【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~ 作:スターダイヤモンド
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Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~
第29話
ともだち(真姫編)その11 ~真姫ママ~
「なに見てるの?」
「あ、穂乃果ちゃん、海未ちゃん。J-BEATの最新号だよ」
GW明けの某中学校の…とある教室…の休み時間…。
南ことりの元に、高坂穂乃果と園田海未がやって来た。
2人は、ことりが熱心に見入る雑誌を覗き込む。
「本当にことりは、そういう本、好きですね」
「確か…その中に、ことりちゃんの親戚がいるんだよね?」
「うん。浅倉さくらちゃんは、お母さんのお父さんの、お父さんの、弟の、子供の…」
「あはは…遠いねぇ…」
「えへへ…だから会ったことはないんだけど」
「でしょうね…」
「それよりも、今月号はすごいんだよ!」
「なにがです?」
「ほら、この人!」
ことりはジャ~ンと自分で効果音を付けながら、開いたページを見せる。
「!」
「!」
穂乃果も海未も、そこに載っているモデルの姿を見て、ハッと息を呑んだ。
「綺麗な人ですね…」
「…だねぇ…」
「やっぱり、そう思うでしょ?この人、ことりたちと同じ、中学2年生なんだって」
「そうなのですか?随分と大人っぽく見えますね」
「この人ね…先月号は『素人さん』として写真が載ってたの。でも、それが今月号から『専属モデル』になったんだよ!」
「おお!それって、シンデレラストーリーだよね?」
「そうですね。その話が本当なら『見初められた』ということでしょうか」
「相変わらず、海未ちゃんは難しい言葉を使うね…」
穂乃果は頭を掻いた。
「『AYA』って名前なんだよ」
「ちょっとさ、雰囲気が海未ちゃんぽくない?」
「どこがですか?」
「冷たさそうなところ?」
「私は冷たくありません!」
「穂乃果ちゃん、冷たいんじゃなくて『cool』…カッコいい!って言うんだよ」
「そう!それ!」
「本当にわかっているのですか?」
「わ、わかってるよぅ…」
「でも、海未ちゃんに似合いそうなファッションだよね?」
「そうですか?」
「ことりちゃんはさ、こういう服、着てみたい?」
「着てみたいけど…それより『作ってみたい!』かな?」
「デザイナー?」
「うん!可愛い服、カッコいい服、あんなのや、こんなの…みんなが見て、喜んでもらえるような洋服を作ってみたい!」
「デザイナーになることが夢なのですね?」
「ことりちゃんはスタイルいいから、モデルさんでもイケるんじゃない?」
「ムリだよ!人前に出るのとか…苦手だし…」
「とか言って…将来、芸能人に、なってたりして」
「そういう穂乃果ちゃんは?」
「私?」
「穂乃果ちゃんは、何になりたいの?」
「パン屋さん!」
「小学生ですか!」
「なんでよう…」
「穂乃果の実家は、和菓子屋さんなんですよ!その娘が、なぜパン屋なのですか」
「だから、イヤなの。お饅頭はもう飽きた」
「贅沢です」
「だったら、海未ちゃんが穂むらの跡取りになればいいじゃん!」
「はい!」
「ん?」
「えっ?」
「あっ…」
「そっか。海未ちゃんが穂乃果ちゃんと結婚すれば、なれるんじゃないかな?」
「こ、ことりは何を言い出すんですか!?なぜ私が穂乃果と結婚しなければならないのですか!」
「海未ちゃん、慌てすぎ…」
「仮に穂乃果が男の人だとしても、それは絶対にイヤです!」
「そんな、海未ちゃん…全否定しなくても」
「こんなにいい加減な人と、一生連れ添うなど…とても耐えられません…」
「そうかな?意外とお似合いのカップルだと思うんだけどなぁ」
ことりは、ふたりの様子を見て、ニッコリと笑う。
「まぁ、跡取りの話は別として…」
「ことりがおかしなことを言うからです…」
「ごめんね…。それで海未ちゃんは、何になりたいの?」
「私ですか?私は…」
「詩人でしょ?」
「違います!!」
穂乃果の言葉を、速攻で否定する海未。
「街でゴザ敷いて『あなたにピッタリの詩を書きます』みたいな」
「いるね、ベレー帽被って…」
「しません!!ことりまで乗らないでください!」
「それじゃ、あの詩はいつ披露するのさ?」
「ですから、あれは趣味で書いたもので…あぁ、穂乃果だけには見つかりたくありませんでした…」
「それで?詩人じゃないとすると…」
「私は…」
「わかった!オリンピック出場だ!」
「オリンピックに弓道はありません!!」
「あるじゃん!」
「あれはアーチェリーです。弓道とは似て非なるものです!」
「そっか…」
「穂乃果ちゃん、それじゃあ、全然話が進まないよ…」
「もういいです…」
「ごめん、ごめん…。真面目に聴くから…」
「私は…私は、いつまでも3人仲良くいられたらいいな…と思います」
「え~…それは夢じゃないじゃん!」
「ですが…と言いますか、将来どんなことがしたいのか…まだ、漠然としていて…。考古学者などの研究者になりたい…と思ってはいるのですが…」
「海未ちゃん、頭良いもんね!海未ちゃんならなれるよ」
「ことり…ありがとうございます」
「考古学者って…インディジョーンズのこと?」
「穂乃果…どこかに消えてください…」
「うぅ…どうして、こんなに対応が違うのさ…」
穂乃果は、ことりに涙目で訴えた…。
~つづく~