【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~ 作:スターダイヤモンド
今話は、超ダイジェストでお送りします。
J-BEAT編集部が仕掛けた『Project A』は、目論み通りの成果をあげる。
さくらとAYAのファッションコンセプトを明確にしたことにより、ふたりの個性が際立ち『C.A.2』の人気は爆発する。
さくらを真似する少女を『サクラー』、AYAを真似する少女は『AYA-X(アヤックス)』と呼ばれ、そのファッションは社会現象となった。
それでもふたりは、その人気に傲ることはない。
事務所の方針によるところが大きいのだが、授業の出席率も高く、ともに成績も悪くない。
何があっても、常に中立。
そんな様子に…最初は綾乃と距離を置いていたクラスメイトも、夏を迎える頃には自然に接するようになっていた。
島崎圭は相変わらずだったが、それでも、さくらや綾乃に絡んでくることは、さすがにない。
どうやらそれは、得策ではない…と判断したようだ。
いつしか綾乃は四天王と並び称され、同じ時期にブレークし始めた男子2人とともに(合計7人は)『ななつ星』と呼ばれるまでになった。
先述した通り、ゲー校は中等部、高等部があり、それぞれ芸能科、普通科に別れている。
しかし両科の行き来はできない。
校舎は同じ敷地内にあるが、その間はフェンスによって完全に分断されている。
これは普通科に通う生徒による(芸能科の生徒への)盗撮やストーカー行為を防止する為…と言われている。
その替わり、芸能科の中等部と高等部は、カフェテリア…いわゆる学食…を挟んで建屋が繋がっており、昼食時は中高生関係なく、同じスペースで時間が共有できる。
そういったことから、綾乃はさくらに紹介されるなどして、モデル仲間の先輩と交流を持つようになった。
事務所は別だが、プライベートでも親しくなり、放課後一緒に食事をしたり、映画に行ったり…ということも増えた。
モデルとして、まったくの素人だった綾乃には、こうした遊びも含めて、何もかもが新鮮であり、勉強となった。
その経験は確実にモデルの仕事にフィードバックされ…特に『感性』が高められ、単に『Cool』と言うだけでなく、その中でも強弱や明暗を付けることができるようになっていた。
こうして綾乃は、表参道で撮影された『写真』から始まった激動の一年を終える。
それは、これまでバレーボール一筋で、脇目も振らず練習してきた綾乃にとって、公私とも充実した一年だった。
浅倉さくらは、中学卒業後に女優デビューする計画の為、着々とその準備を重ねていた。
事務所の社長…原も、もちろん本人も…話題ありき、ルックスありきの仕事など望んでいない。
やるからには実力で勝負!
だから、今の人気にあやかり、数々のドラマ出演のオファーがあっても『時期尚早』…とすべて断っている。
中学の残り一年はモデル業に専念し、学校の『アフター』などで、しっかりとした演技力を身に付ける…そう思っていた。
「売り時を逃すのでは?」と言う声もあったが、焦って失敗すれば、そのレッテルは一生付いてまわる。
挽回するのは容易ではない。
あと一年。
さくらは、再び開花の時を待つ。
~つづく~