【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~   作:スターダイヤモンド

46 / 173
Winning wings ~抑えきれない気持ち~

 

 

 

 

ヤツに好きだと言われた。

 

 

オレは…

 

 

 

 

 

「チョモ…」

 

 

「はい?」

 

 

 

「…オレも…お前のことが…」

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

「…好きだ…」

 

 

 

 

 

「…うそ?…」

 

 

 

 

 

「この状況で嘘を言うと思うか?…オレも同じだ。ずっとお前が好きだった…」

 

 

 

「…信じられない…いつから?…」

 

 

 

「…小学生の頃から…」

 

「聴いてないよ…」

 

「お前と一緒…。当時は、それが好き…っていう感情だとは気付かなかった。むしろ、お前のお母さんの方が好きだった。ムチャクチャ綺麗だったし…今もそうだけど」

 

「元モデルだからね」

 

「そうなの?そりゃあ、綺麗なわけだ…」

 

 

 

「高野くん…ひょっとして、熟女好き?」

 

 

 

「違ぇ~よ!…違うって!…まず、お前のお母さんは熟女じゃね~し…えっと、その…だから、あれだ!お前のお母さんはそれだけ綺麗だし若く見える…ってこと」

 

 

 

疑惑については、全力で否定。

 

 

 

…だけど、もし誘われたら…断る自信はない…

 

 

 

「…うん、わかった。まぁ、私から見ても、そう思うから、それはそれでいいけれど…。…で、私はどうだったの?」

 

 

 

本題に戻った。

 

 

 

「お前は…お前は倒すべき相手だと思っていた」

 

「倒すべき相手?」

 

「上手く表現できないが…勉強でも性格でも、どうやっても勝ち目がないことは知っていた。オレにないものを持ってるお前が、羨ましかった」

 

 

 

「…」

 

 

 

「だから…なんとか認めてもらいたい…っていう気持ちがあったんだと思う」

 

「認めてたよ、私は…」

 

「今、知ったよ…お前の気持ち」

 

「うん…」

 

「だから、さっき『ライバル視してた』みたいなことを言ったけど…反面、どこか憧れみたいなとこがあったんだと思う」

 

「憧れ?…」

 

ヤツは首を傾げた。

 

「なにが一番そうさせたのか…って言うと…やっぱり身長だな」

 

「…身長?…そんなに気にするものなの?」

 

「あっ!わかってねぇなぁ…そりゃあ、気にするよ。…人によるかも知れないけど…」

 

「特に小学生の時なんて、だいだい女子の方が高いわけじゃん。チビ扱いされるのは、イヤなわけ」

 

「私、そんな扱いしてた?」

 

「直接『チビ』とは言わなかったが、いつも見下ろされてた」

 

「ぷっ!だって、それは仕方ないでしょ」

 

「だから、それはこっちの被害妄想だ」

 

「だよね」

 

「だけど、男なら考えるぞ。彼女が、自分より大きかったらどうなるか。一緒に傘に入るの大変だな…とか、壁ドンとかできないじゃん…とか、お姫さま抱っこしたら、そのままシュミット式バックブリーカーになるな…とか」

 

「シュミット式バックブリーカー?」

 

「抱き抱えられられずに『こうやって、こうなる』ことだ」

オレは方膝を立てて、人をへし折るフリをした。

 

「小学生で、そこまで考えるんだ?」

ヤツは、笑うかと思ったら、逆に真剣な顔でオレを見た。

 

「考えるよ」

 

「そうなんだ…」

 

「だから…チョモは『対象外』にしていた…というか…」

 

「…なるほど…」

 

 

 

「あ~…上手く言えねぇ!…伝わってるか?…」

 

「なんとなく…」

 

 

 

言葉で説明するのは難しい。

 

 

 

「今思うと…好きだったと思う。お前の性格、嫌いじゃなかったし…。でも、素直に認めたくなかった。そうこうしてるうちに、卒業しちゃって…」

 

「そうだね…」

 

「だから、公園で再会したときは、正直嬉しかった」

 

「偶然だったけど…」

 

「あぁ、あそこで会わなければ、そのまま想い出で終わってたんだけどな…」

 

「うん、あんなところで会うとはわなかったね…」

 

 

 

…運命なんて言葉、簡単には信じないが、あの時会わなければ、今はない…

 

 

 

「だけど、お前はバレーボール辞めて、モデルになってるじゃん」

 

「うん」

 

「その瞬間、お前は永遠に手の届かない存在になった」

 

「大袈裟だよ…」

 

「大袈裟じゃねぇよ…」

 

「こっちは張り合えるところはサッカーしかないからな。そしたら、まったく違う分野に行っちまいやがった」

 

「ごめん…」

 

「あ、いや、謝らなくてもいいんだけど…。そんでもって、また、忘れた頃にコーチを頼まれて…」

 

「うん…」

 

「もしかしたら『オレのこと、好きなんじゃね?』とか思い始めて…そうしたら、なんかスゲー意識しちゃって…『あれ?好きだったのはオレかも』みたいな…」

 

 

 

「じゃあ、これって…両想い?…」

 

 

 

「…なのかな…」

 

 

 

「…ホントに私なの?私、女の子っぽくないよ?」

 

「知ってる。優柔不断より、よっぽどいい」

 

「私、束縛されるの嫌いだよ」

 

「大丈夫。オレも嫌いだから」

 

「私…胸大きくないよ?…」

 

「大きくても垂れてたら意味ないし、乳輪が大きいのも好きじゃない」

 

 

 

…何を言ってるんだ?…

 

 

 

さすがに、これはヤツもスルーできなかったらしい。

 

 

 

「ばか…」

 

 

 

再び、ヤツが呟いた。

 

 

 

「い、今のは置いといて…。なんでオレがそんなことを言ったかというと、やっと、並んでも恥ずかしくない背の高さになったから…」

 

「また、身長の話?私はそんなに気にしてないよ」

 

「気にしろよ!こっちはやっと対等な目線で話せるようになったんだから」

 

「…でも、本当に並んだのかしら?」

 

「並んだよ!いや、抜いただろ!」

 

「どうかな?」

 

「じゃあ、そこに壁に背中付けて立ってみ?」

 

「こう?」

 

「お前の頭が、この高さだろ…」

 

オレは自分の掌を、ヤツの頭の上に置いた。

 

 

 

「あっ!」

ヤツが先に声を出す。

 

 

 

「おっ!」

オレもその状況に気付いた。

 

 

 

…近い!…

 

 

 

「これって…壁ドン?」

 

 

 

「…いや…そういうつもりじゃなかったんだが…」

 

 

 

「してみたかったんでしょ?」

 

「してみたかったわけじゃない。…それに…何か違う…」

 

 

 

…あと、10cm身長が足らないか?…

 

 

 

「オレが上から覗き込む形にならない」

 

「ふふふ…そうだね」

 

 

 

理想的な壁ドンではなかったが、期せずして近い状態にはなった。

 

ヤツは壁に背を向けたまま『動かない』。

 

オレも、ヤツの正面に立ったまま『動けない』。

 

 

 

 

 

ふたりの時間が止まった。

 

 

 

 

 

暫くして、ヤツは目を閉じた。

 

 

 

…これは!…

 

 

 

「…チョモ?…」

 

 

 

オレの呼び掛けに、ヤツは小さく頷いた。

 

何が言いたいか、悟ったようだ。

 

 

 

オレは覚悟を決めた。

 

ヤツの唇を見る。

 

こんなに間近で見るのは初めてだった。

 

艶々として、柔らかそうだ。

 

 

 

オレはヤツの頭に手を回し、顔を近づけた。

 

 

 

 

 

だが…

 

 

 

 

 

寸前で止めた。

 

 

 

 

 

「チョモ…今、キスなんかしちゃったら…オレ、それだけじゃ収まらない気がする…。お前のお母さん、下にいるし…」

 

 

 

キスもエッチもしたことがない…わけじゃない。

 

 

 

 

 

だけど…

 

 

 

…相手は夢野つばさだぞ!…

 

 

 

ちょっと怖じ気付いた。

 

 

 

 

 

「…高野くん…」

 

 

 

「…スマン…」

 

 

 

「ううん…なんか、私こそ…ごめん…」

ヤツはそう言うと、その場にドスッとしゃがみ込んだ。

 

 

 

「おい!大丈夫か!?」

 

「緊張が解けたら、腰が抜けちゃったみたい…」

 

「なんだ。…らしくないな」

 

「どうせ…私は…女らしくないですよ!」

 

ヤツはそう言うと、壁に手を付き、立ち上がろうとしたが、またよろけて、再度尻餅をついた。

 

「おいおい、大丈夫かよ」

 

「大丈夫…」

 

「手ぇ、貸すよ…」

 

「ありがとう」

 

オレは右手を差し出し、引っ張りあげると、ヤツは立ち上がった勢いで、全体重をオレに預けてきた。

 

 

 

「ぬぉっと!」

 

 

 

ヤツを抱き止める…。

 

 

 

「すまん、不可抗力だ!」

 

オレはすぐに身体を離そうとした。

 

 

 

しかし、ヤツがオレの腰に回した両腕は、離れない。

 

 

 

「チョモ!?」

 

 

 

「ちょっとの間だけ、こうさせて…。少しだけ、私にも好きな人ができた!…って、実感させて…」

 

 

「…あぁ…わかった…」

 

 

 

…どこが女っぽくないだよ…

 

 

 

オレはリクエストに応えて、一旦は下ろした腕を、肩越しからそっと巻き付けた。

 

 

 

 

 

どれくらいの時間、そうしたか。

 

ヤツは一向に離れる気配がない。

 

 

 

…寝てるのか?…

 

 

 

「チョモ?」

 

オレは呼び掛けた。

 

 

 

「…なぁに…」

 

「あ、いや…動かないから寝たかと思って…」

 

「…寝てないよ…。だけど、なんか、すごく幸せな気分になっちゃって…ちょっと、意識をなくしてたかも」

 

 

 

「は?じゃあ、もっと意識なくしてみる?」

 

 

 

オレの精一杯の照れ隠し。

 

 

 

…「ばか」って言うに決まってる…

 

 

 

 

 

でもヤツは…

 

 

 

 

 

何も言わずに頷きやがった!

 

 

 

 

そうなったら仕方ない。

 

 

 

 

 

 

「許せ…」

 

 

 

 

 

オレはチョモを壁際に押しやると、ついに自らの唇を、ヤツの唇に重ねた…。

 

 

 

 

 

知り合ってから、約6年。

 

初めてお互いの秘めていた想いが、結実した瞬間だった…。

 

 

 

 

 

~つづく~

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。