【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~   作:スターダイヤモンド

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しばし、実況中継でお楽しみ下さい。





祈っちゃうでしょう…泣いちゃうでしょう…

 

 

 

》日本の命運は第3戦に持ち込まれました。日本はここまで1敗1分。フランスの結果次第ですが、決勝への道は、勝利しか残されておりません。とにかく日本は勝たなければなりません。

 

》対するは南アフリカ。ここまで2戦2敗。予選敗退が決まっています。しかし、国の威信を懸けて…自らの、サッカー選手のプライドに懸けて、日本に全力で立ち向かってくるでしょう!お互いの意地と意地がぶつかり合う、素晴らしい内容のゲームになることを期待しましょう!

 

 

 

》では早速、日本のスターティングイレブンを紹介します。システムは過去2戦の3-3-2-2から変えてきました。中盤をダイヤモンド型にした、オーソドックスな4-4-2のスタイル。負けはもちろん引き分けも許されない状況。点を獲りつつ、守りつつ…といった、攻守のバランスを重視したシステムと言えます。

 

》まずはGK。…GKは『深山』を入れてきました…今大会初出場。非常にコーチングが上手い選手。後方から守備陣のポジショニングをコントロールします。

 

》続いてDF…フォーバックです。左から…フランス戦では左のSHに入り、攻守に渡って大活躍…1ゴール1アシストの『森嶋』…機を見てオーバーラップを仕掛けたいところ。CBには…ボランチもできる『黒崎』と…『坂巻』が入りました。坂巻はあのブラジル戦で悔しいミスがありました。今日は是非とも名誉挽回といきたいところ。そして、右のSBは『近江(このえ)』です。近江も今大会初出場です。果たしてどんなプレーを見せるのか?

 

》中盤はワンボランチ。ゲームキャプテンでもある『桐原』…攻撃の起点になります。SHは左に『藤城』、右に『須田』。

 

》トップ下には…スタメンに戻ってきました『Beautiful lefty sniper』こと『夢野つばさ』!!ブラジル戦で痛めた肩の状態は思わしくありません…それでも、日本を勝利に導く為、崖っぷちに追い込まれた日本を救うため、ピッチに立ちます!

 

》そして、ツートップは、ここまで2試合連続ゴール中と好調の…スピードとスタミナを併せ持つ頼れるドリブラー『緑川』と…今日は『神谷』が入ります。この選手も初出場。ゴールへの嗅覚に優れた選手です。

 

》これで日本は、登録メンバー18人すべてが出場したことになります。

 

 

 

》この試合、南アフリカの強力ツートップ『クリスティーナ』と『ジェニファー』を、いかに抑えるかがカギとなります。とにかく、どこからでも、どんな体勢からでもシュートを放ってきます。精度はあまり高くありませんが、油断は出来ません。フランス戦であげた得点は、ジェニファーのバイシクルシュートを、クリスティーナが頭で方向を変えたという、アクロバティック、かつトリッキーなものでした。

 

 

 

 

 

》さぁ、生きるか死ぬか、運命の一戦…今、キックオフのホイッスル!!

 

 

 

 

 

》南アフリカ、いきなりロングボールを入れてきた!DF、坂巻、クリア!大丈夫です、大丈夫です。今日は坂巻、落ち着いています。

 

 

 

》南アフリカは、夢野がボールを持つと、寄せが早い。遠目からでも強烈なシュートが打てることをよく知っています。その分、周りの選手のフォローが大事になってきます。

 

 

 

》おっと、夢野倒された!ボールをもらって、ドリブルにいこうかというところ。南アフリカの選手の足が掛かりました。やはり、夢野にはタイトにきています。チェックが厳しい!…少し、左肩を押さえているが…大丈夫か?

 

 

 

》南アフリカ、速いパス交換から、左サイド…ジェニファー下がってボールをもらいにきた…おぉっ!この位置から、ロングシュート!!…これはGK正面、がっちりキャッチ!深山、抑えました。しかし、ヒヤリとする場面。遠い位置でしたが、力強いシュート…やはり恐ろしい選手です。

 

 

 

》ああ~っと夢野、また倒された。ハーフライン付近…あっ!日本、早いリスタート!桐原、大きく前線へ!緑川…通った!…いや、オフサイド?…オフサイドです…僅かに裏への飛び出しが早かったか?日本、惜しいチャンスを逃しました。しかし、この人のスピードは世界でも引けを取りません。いいチャレンジでした。

 

 

 

》前半16分。南アフリカ、初めてのCK。…低いボールが入る!日本、クリア!しかし、こぼれ球拾われた!日本危ない!繋がれる…シュート!クリア!クリア!ここは坂巻がクリア!今日は坂巻、集中しています。クリスティーナのかかとで流すシュート、よく反応しました。

 

》そして、このボールを…日本は近江がオーバーラップして持ち上がります。右サイド…須田に預けて…夢野…もう一度、須田…。逆サイド、藤城が呼んでいる…が、外から近江が走り込む!渡った!右サイド深いところ!神谷が寄る…あっと、このパスは合わない…緑川まで流れた!…しかし、ゴール前…シュート打てるか?おっと、ヒールで後方にパス…ここに夢野!?…決まった!ゴーーーーール!左足!!日本先制!!ペナルティーエリアの外からでしたが、デビルウイング炸裂!GKは一歩も動けず、ボールはゴール左隅に突き刺さった!!日本、欲しかった、欲しかった先制点は、エースの左足から生まれましたぁ!見たか南アフリカ!見たか世界よ!これが日本の夢野つばさだぁ!!GKも驚きの表情を隠しきれません。…夢野、この大会の鬱憤を晴らすが如く…の…目の覚めるようなミドルシュート!フリーになったとはいえ…よく決めました!

 

》そして、さすが日本が誇るゴールデンコンビ!…緑川と夢野…阿吽の呼吸。緑川がシュートを打つと見せかけて、ノールックでバックパス…夢野の動きを感じていました。南アフリカのDF陣は、これに誰もついていけません。この調子でゴールを量産してほしいところ。

 

》しかし、日本はこのあとを気を付けなければなりません。フランス戦では、すぐに1点を返され、結局、それが4-4という、もつれる展開を生みました。ここは早く、もう1点奪って、南アフリカを突き放したい。今日の日本は勝つだけじゃダメなんです。フランスのスコアにもよりますが、大量点が欲しいんです。

 

》そのフランス対ブラジルは…日本と同じ時間にキックオフしています。今のところ0-0です。こちらの情報も、随時皆様にお伝えして参ります。

 

 

 

》前半30分が回りました。いい時間帯に先制した日本。早く追加点がほしいのですが、ちょっと膠着状態が続いています。攻めあぐねている感じ。南アフリカが、思った以上に反撃に出てきません。かなり守備的である為、日本かボールを持っても、なかなかスペースがなく前線に運べません…。なんとかギャップを作ろうと、中盤で速くて短いパスを繋ぎますが、縦に入れることができません。

 

》ならば…と攻撃陣がロングシュートを放っていきますが、南アフリカもこれには動じず、冷静に対応しています。

 

》しかし、南アフリカ も「負けていい」とは思ってないでしょう。どこかで攻めに転じるハズです。その隙は逃したくないところ。…ですが…その前に、どうしても追加点が欲しいんです。

 

 

 

》さぁ、日本…痺れを切らしたように、左SBの森嶋が上がっていきます。日本、一時的にスリーバックの形。森嶋、どうするか?中盤、この辺りまではわりと自由にボールをを持たせてくれますが、ここから先の攻め手がない。ボールは森嶋から藤城…夢野…桐原…須田…大きくサイドチェンジして再び森嶋…そして緑川…ここはドリブルで強引に…いや、奪われた!カウンターに注意!あっ、しかし、すぐに藤城が奪い返します。ルーズボールを夢野!ナイスフォロー!そのまま前へ…あ~っと倒された!ホイッスル!ホイッスル!これはカードが出ます。イエローカード。

 

》夢野がドリブルで仕掛けようというところ、南アフリカの選手に、ユニホームを引っ張られて倒されました。その選手にイエローカードが出ました…が…夢野は大丈夫でしょうか?起き上がれません…。

 

》VTRで確認しましょう…。倒した選手とは別に…もうひとり…夢野のチェックきた選手と交錯したんですね…。倒れたあと、その選手に押し潰されたような形になりました。これは不可抗力ですが…。今日は、再三厳しいマークを受け、削られてきた夢野。それでも一瞬の隙を突き、見事な先制点をあげました。しかし、ここはかなり苦しいか…一旦、担架で運ばれます、

 

》…とはいえ、日本FKのチャンスです。ゴール正面からやや左…ペナルティーエリアの少し外。距離にして約20mほどでしょうか…。

 

》日本のセットプレーは、夢野がターゲットになる場合…あるいは、こぼれ球を狙う場合…とあるのですが、今はピッチの外。どちらのパターンもありません。果たして、どう攻めるのか?

 

》まだ、無理をする時間帯ではありませので、フランス戦のようなパワープレーは早いでしょう。…しかし、このチャンスは活かしたいところ。今日のスタメンの中では…一番長身の坂巻ですが…ゴール前には上がりません。ボランチの桐原がファーポスト付近に向かいます。

 

》ボールに近づいていくのは…左SBの森嶋と右SHの須田。左利きの森嶋なら、GKから逃げていくボール…須田ならゴールに向かっていくボール。果たして直接狙うのか?桐原の頭を狙うのか?…緑川、神谷、藤城はペナルティーエリアの中…南アフリカの壁は3枚。ジェニファーとクリスティーナはハーフライン付近に残ります、

 

》主審が壁の位置を下げます…そして…笛が鳴った!須田…スルー!そして、森嶋!桐原の頭!…は合わない…GK、ダイレクトキャッチ!…そして、すぐさまロングスロー!?…カウンターだ!日本、中盤に大きくスペースが空いている!ジェニファーがドリブルであがる!逆サイドにはクリスティーナ。速い!!しかし、日本はDF3人残っている!…ここは遅らせた!…ボールはジェニファーからクリスティーナへ…クリスティーナ、中央に切り込み…ペナルティーエリア強引に入ってきた!!…危ない日本!…ここは坂巻とクリスティーナ!坂巻、スライディングで奪う。クリスティーナ倒れたが…黒崎がクリア!!…ボールはこちら側のタッチラインを割り…ま…し…いや、待ってください…

 

》!?

 

》えっ?笛が鳴っていた?ファールですか?

 

》主審は…あぁ!ペナルティースポットを差しています!!なんと、PKです!PK!日本PKを与えてしまいました!そして…坂巻にイエローカードが出されます。今大会1枚目…ですが…これは厳しい判定…。坂巻の足は…ボールにいってます。クリスティーナが転んだのは…その後のこと。接触はしていません。

 

》リプレーで見ても…ノーファール。足にはいってません。

 

》あぁ、これは日本、猛抗議です。逆にシミュレーションではないかと…ベンチから監督も飛び出して来ましたねぇ…。しかし、ここはあまり熱くならないでもらいたいところ。まだ失点したわけではありません…ですが…収まりません…。数人の選手が必死に監督と坂巻を宥(なだ)めていますが…

 

》主審は首を大きく振って、抗議を受け付けま…あっ?胸ポケットに右手を入れた…あぁ!カードです!カードか出ました。イエローとレッド、2枚持ってます!…なんということでしょう!坂巻に…2枚目のイエロー…た、退場です…。そして、監督にも…いきなりレッドカード!?なんと監督にもレッドカード!退場を言い渡されましたぁ!!

 

》いやぁ、大変なことになりました!!…すみません…私もちょっと、冷静ではいられません…。

 

》坂巻は…立てません。膝から崩れ落ち…泣いています…泣いています…涙が…大粒の涙が頬を伝います。

 

》初戦のブラジル戦。敗戦の責任を、一身に背負うことになってしまったクリアミス。フランス戦は出番がありませんでした。それだけに今日の一戦に懸ける意気込みは大きかったハズ。実際、今日は集中していましたし、何度もいいプレーが見られました。それだけに…無念でしょう…。

 

》ですが…このプレーに関して、あなたを責める人はいません!!涙を拭いて下さい。まだ、終わってません!まだ、あと試合は50分も残されています。大丈夫です!仲間を信じましょう!日本の…なでしこジャパンの底力を信じましょう!祈りましょう、奇跡を!

 

》今、坂巻は馬場と佐藤に両肩を抱えられて、ピッチをあとにします。…そして…場内、日本のサポーターからは『ちづる』コールです。この声があなたの耳に届いているか!?…タッチライン…フィールドに振り向いた坂巻…一礼して…ベンチへと下がります。この姿にスタンドから大きな拍手です!

 

 

 

 

 

~つづく~

 


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