魔法少女育成計画 electric   作:怠惰のブルーコ

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暫くライデン視点は無いつもりです。
一応オリ主のはずなのですが、戻った記憶はしばらく伏せておきたいので。
それではどうぞ。


無印
第一話


☆森の音楽家クラムベリー

 

木々が生い茂る森の中にひっそりと建つ小屋に、薔薇が絡みついている魔法少女、森の音楽家クラムベリーはいた。

魔法少女育成計画というソーシャルゲームを使って、試験に参加する少女を探し始めて4日経つ。

そろそろ1人目が見つかってもいいんじゃないか、と思っていたその時、彼女の持つ魔法の端末が反応した。

待ちわびたファヴからの連絡だ。

 

「クラムベリー、ちょっと想定外の事態が起きたぽん」

 

「想定外の事態、ですか。そろそろ1人目が見つかる頃かと思ったのですが…」

 

想定外の事態ということは、少なくとも参加者が決まったわけではないだろう。

そう思っていたが、

 

「いや、見つかったのは見つかったよ?でもそれが問題なんだぽん」

 

「…どういうことですか?」

 

「実は……いや、直接会った方が早いぽん。今呼び出したからちょっとだけ待ってて欲しいぽん」

 

よくわからないが、ファヴも状況をよく理解していないように見える。とりあえずその問題の人物を待つことした。

数分後、コンコン、と小屋の扉がノックされた。扉を向くクラムベリーにはうっすらと笑みがうかんでいた。

彼女は音に対して鋭敏な知覚能力を持っている。その彼女は聞いた。おおよそ普通の魔法少女が出せるはずのないスピードで向かってきた何者かが扉の前で止まったことを。

 

いくら魔法少女でも、あのスピードで走ることのできる脚力を持つ者は稀だ。確かな期待を感じながら、クラムベリーは窓に向かって(・・・・・・)声をかけた。扉の向こうにいた魔法少女は、いつの間にか窓の傍に移動していたのだ。もっとも、クラムベリーはその音にも気づいていたが。

 

「申し訳ありませんが、扉から入ってきて頂けませんか?」

 

「…いやー、やっぱりバレてたか。さすがクラムベリー」

 

ところが、窓の向こうから返ってきた声を聞いたクラムベリーは、顔色を変えて窓を開けた。そしてそこに立つ人影を視界に捉えると、信じられないような表情をしながら、ゆっくりと首を振った。

 

「…有り得ない。貴女が何故ここに」

 

「さあ?何でかなー?」

 

クラムベリーの目の前に立った彼女は、悪戯が成功した子供の様な顔をしていた。

 

 

ーーーーー

 

 

☆カラミティ・メアリ

 

気に食わない。

現在のカラミティ・メアリは機嫌が悪い。

彼女が魔法少女になったのはつい先日だ。

今日は先輩魔法少女とやらに会いに行かなければならないらしい。仕事でも新人が先輩に挨拶をすることは当然の事だろう。

 

だが彼女にとってそんなものは関係ない。自分からわざわざ会いに行くということは、自分が下手に出ているということだ。

カラミティ・メアリにとって、その行為は屈辱だった。

こちらは会いたくもないのに、わざわざ会いに行かなければならないなんて、(カラミティ・メアリにとっての)常識的に考えられない。

会ってみて、大したことのないやつだったらそのまま殺すつもりで、彼女は先輩の元に向かっている。

 

待ち合わせ場所は夜の公園。待ち時間に遅れて来たカラミティ・メアリを待っていたのは、角が生えて、虎柄のビキニを身につけた魔法少女だった。

自分の格好も中々アウトだと思っていたが、彼女を見る限り魔法少女はみんなそんなもんなのか、と1人頷いていると、先輩から話しかけてきた。

 

「待ち合わせ時間くらい守ってよー、後輩くーん」

 

この時点でほとんどキレかけていたカラミティ・メアリだったが、不思議とその先輩からはスキが感じられず、結局ただ立ち尽くすだけでいた。

 

「無視かよー。……よし、じゃあとりあえず自己紹介をしようか。

私の名前はライデン。貴女の名前は?」

 

「カラミティ・メアリだ。それでライデン先輩。早速だけど、お願いを一つ聞いてくれないかい?」

 

「メアリちゃんね。うん、いきなりだけど、先輩として受けられる範囲のものなら何でもーー」

 

「死ね」

 

返事を言い終えるのを待たずに、カラミティ・メアリは腰から銃を抜くと、自分の『持っている武器をパワーアップできる』魔法で強化された銃でライデンを撃った。

さっきまで普通に会話していただけあって、かなりの至近距離だった。

当然被弾すると思われたが、その弾丸は空を切り、後ろにあった滑り台を破壊しただけに留まった。

 

「ちょっと過激すぎやしないかな」

 

ライデンはいつの間にか、1歩、いや半歩程だけ右に移動していた。たったそれだけでカラミティ・メアリの近距離での奇襲を避けたのだ。

馬鹿にされたと感じたカラミティ・メアリは舌打ちを一つした後、後ろ下がろうとした。

 

だが、ここで彼女の体は止まる。

別に何かに驚いたとか、障害物があった訳では無い。

だが、彼女の体は痙攣するだけで動こうとしない。

カラミティ・メアリはライデンを睨めつける。

これは恐らく、いや確実に、ライデンが何かしら魔法を使ったと考えて良いだろう。

だが、何をされたかは全く見当がつかない。

ライデンは無防備な彼女に近づくと、

 

「ハッハッハ。ほれほれー、動けない状態で他人に煽られて今どんな気持ち?」

 

「あ?」

 

精一杯の殺意を込めた視線を送るが、ライデンは何処吹く風で流している。

 

「とりあえず貴女がちょっとヤンチャで、私のこと嫌いなのはよくわかった。それはいいんだけど、先に言っておくね。揉め事を起こすのは好きにしていいけど、それは自分の担当エリアをつくってからにしてね。そうしないと私がお仕置きに行っちゃうよ?」

 

口では軽く言っているが、彼女の目はカラミティ・メアリを冷たく見据えていた。

 

「そしてここは私の担当エリア。今日はメアリちゃんの教育係を受け持ったから呼んだけど、今後は勝手に入って来て欲しくないかなって」

 

「……ふん」

 

「ん、じゃあ人助け頑張るようにね。人を助けるとマジカルキャンディーの数が増えていくから、まあ励みにでもしてね」

 

「……で?」

 

「で?って言われても。これで説明は終わり。いや、厳密にはもっとあるんだけど、正直あんまり意味なさそうだしねー」

 

「あ、そう。で、さっきので?はこれをいつ解いてくれるんだい?っていう問いかけだったんだけど」

 

「ああ。それなら大丈夫。後五分位で解けるよー。よし、じゃあもう用は済んだから。人助け頑張ってねー。バイバーイ」

 

そう勝手に言うと、ライデンはカラミティ・メアリに向けて手を振りながらその場を去っていく。

どうにかその背中に鉛玉をぶち込もうとするが、やはり体は動かず、とうとう彼女の背中は見えなくなってしまった。

約五分後、ようやく体が動くようになったにも関わらず、カラミティ・メアリはじっとその場に立っていた。

 

次の日、その公園は原型を留めていないほど、破壊し尽くされていた。




感想や評価、お待ちしております。
モチベとか湧きます。
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