魔法少女育成計画 electric   作:怠惰のブルーコ

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春休みが後1週間しかない…。
とりあえず投稿出来ました。
今回はちょっと長くなりました。
それではどうぞ。


第五話

☆リップル

 

一週間前、ファヴは魔法少女を半分に減らすと言っていた。

1番マジカルキャンディが少ない人から順番に1人ずつ減っていくと。

そして今日。遂に脱落者が決定する日……だったのだが、結果は予想外なものだった。

 

まず、脱落者はカラミティ・メアリ。

あのカラミティ・メアリが脱落するとは予想していなかったが、嬉しい誤算だ。リップルは元々、あんな奴は魔法少女とは言えないと思っていたのだから。

しかし、どうやらマジカルキャンディの数で決まった訳では無いらしい。

なんと、あのカラミティ・メアリが倒されたと言うのだ。

皆その事実を聞いて呆気に取られていた、否、そうでない者もいた。

 

そのカラミティ・メアリを倒した者()

彼女()はカラミティ・メアリが一般人に危害を加えようとしていた所を発見し、それを止めに入ったと言う。

 

正直信じられない。

 

カラミティ・メアリを倒したこともそうだが、彼女が一般人が危害を加えるなど日常茶飯事。それを見て止めに入るなど、恐らく嘘に違いない。勿論そんなことは口には出さないが。

何か話せない理由があるのか。

そしてそこから推測される可能性を思い浮かべ、リップルは今日のチャットを欠席している彼女を思い浮かべる。

 

彼女とは関わりがほとんど無い。というか、会話自体したことが無い。

それでも彼女についてはそこそこ知っている。

理由は簡単。

とあるおしゃべりがよく話題にするからだ。

信憑性は微妙だがその情報によると彼女は、カラミティ・メアリを圧倒する程の実力を持った教育係で、この街の2番目の魔法少女らしい。

 

その彼女……ライデンは、おしゃべり……トップスピードの教育係でもあったらしく、よく話題にされていた。

リップルが考えるもう一つの可能性。

それは、これをやったのは彼女達……ルーラ一派(・・・・・)ではなく、ライデンなのではないか?

勿論、なんの根拠もない。

ライデンと会ったことのない自分がこんなことを考えるのはおかしいだろう。

 

しかしどうしてもその可能性を捨てきれない自分がおり、リップルは今度ライデンに会うことを決めた。

 

 

ーーーーー

 

 

☆森の音楽家クラムベリー

 

「何故チャットに参加しなかったのですか?」

 

クラムベリーは、待ち合わせ時間より少し遅れて小屋の前にやって来たライデンを見つけると、開口一番にそう尋ねた。

彼女から話は聞いていたため、ルーラ一派がライデンの功績を自分のものにしていたことにはなんの不満も無かった。

 

今回のカラミティ・メアリを落とそう作戦(ライデン命名)はクラムベリーとライデンの2人で考えたものだ。

この計画は、ルーラ一派に交渉を持ちかけるところからスタートする。

内容は、今からカラミティ・メアリを潰しに行くけどルーラがやったってことしてくれ、というもの。

 

何故こんなことをするのか。

正直こんなことは要らないんじゃないかとクラムベリーは思っていたが、ライデンは慎重だった。

自分が教育した魔法少女を倒したりすると、イメージが悪い。

今まで付けてきたイメージ像の明るくて親しみやすいライデンは、裏では容赦のない性格だと思われると警戒される。

 

だからその行動自体自分はやってないとすることで、本性を隠しルーラ一派には功績を譲った恩ができる。

恐らく試験の間だけの関係だろうが、人数が多いグループに恩を売れるのは悪くない事だとライデンは主張し、結果このような、クラムベリーにとっては回りくどいとしか言いようの無い行動に出たのだ。

 

しかし、当のライデンがチャットを休むのはどうなのか。

少し頭の回るもので、カラミティ・メアリを知っている者なら気づいてもおかしくない。

そして気づいたものがライデンを疑い、そのライデンと何度も会っているクラムベリーをも疑えば、この試験自体が破綻しかねない。

クラムベリーの問いに非難するようなものを感じたライデンはどうどうと言うように両手を前に出す。

 

「まあまあ落ち着いて」

 

「ですが」

 

「話を聞いてって。これはねー、私を疑える人(・・・・)がどれだけいるか探すためなんだよ。これで私のことを疑った魔法少女は警戒対象にして、そんなことを考えなかった人は私たちのことに気づくことは出来ない」

 

「…ほう」

 

「私の方でも一応目星は付けてるんだよ?多分だけど、リップルちゃん、ウィンタープリズン、マジカロイドちゃん辺りが気づくと思う。でも念には念を入れないとねー。これで私のことを疑い出した魔法少女が脱落するようにこちらで色々すれば、クラムベリーは純粋に戦闘を楽しめて、私は身が潔白のまま試験を合格できる。お互い利益しかないね」

 

「なるほど。きちんと考えていたのですか。それならいいのです。……ただ、貴女は合格できると言っていますが、きちんと私とは戦って頂きます。それを分かって言っているのですか?」

 

うん(・・)

 

自分のことを嘗めたような発言に、クラムベリーの目が細くなる。

次の瞬間、クラムベリーは吹き飛んでいた(・・・・・・・・・・・・・・)

背中がぶつかった木はすでに倒れている。

今クラムベリーはライデンを殴ろうとして、そのカウンターのように殴り返されて吹き飛ばされた。

 

「ふっふっふ。そんなんで私に攻撃しようなんざ百年早いよクラムベリー」

 

そう言いながらバチを取り出しいつでも戦闘できるように構えるライデン。

するとクラムベリーが倒れた木から起き上がった。

 

「流石です。ライデン、貴女は今まで試験で会ってきた魔法少女の中でも飛び抜けて強い。試験の最後まで取っておくつもりだったのですが、今やっても構いませんね?」

 

「別にいいよー。…ファヴは嫌がりそうだけど」

 

「どうでもいいです。では始めましょう?」

 

そう言った途端にクラムベリーは、目にも止まらぬ速さでライデンに向かっていく。

最初はお互い魔法は使わず(武器のバチは使う)、格闘戦の応酬だった。

リーチではバチのあるライデンが有利だが、ここは慣れているクラムベリーの方が一枚上手だった。

 

クラムベリーは右手でライデンを殴ると、ライデンはそれをサイドステップで右に躱し、左脚の回し蹴りで反撃する。それを後ろに下がりながら受け止め、クラムベリーはライデンを転ばす。

転びながらも受けを取り、ライデンは体制を整えるために下がった。

 

が、それを許すクラムベリーではない。

彼女はそれを追いかけながらライデンの足を踏みつけた。

普通なら間違いなく骨が折れていたであろうライデンの脚は、小さな傷こそ付けられても大きな怪我はしなかった。

そのまま脚を振り上げて反撃しながらライデンは起き上がる。

 

振り上げられた脚を避けながらもクラムベリーは攻めるのを止めなかった。

クラムベリーが果敢に攻撃してライデンを追い込んでいると、遂にライデンが太鼓を叩いた。

 

「どうやら私はかなり鈍ってたようだけど、もうお遊びはおしまいだよー。クラムベリー。今止めるのなら魔法を使うのを一旦止めて、試験最後の1人になるまで待ってあげるけど」

 

「笑わせないでください。怖気付いたのですか?魔王の好敵手であった(・・・・・・・・・・)貴女が。私にも教えて貰えなかった四つ目の力、見せてくれるのでしょう?」

 

「ふーん。……後悔して知らないからね?」

 

そう言い左下の最後の太鼓を叩くライデン。

すると彼女の体がバチバチと電気を帯びだす。

いや、帯びるというより内側から溢れ出るように電気が音を立ててライデンの体にゆっくりとまとわりつく。

クラムベリーは最初それを見ていたが、

 

「少し準備が遅すぎますよ」

 

そう言うと不意にライデンに掌を向け、次の瞬間爆音が鳴り響く。クラムベリーの魔法による破壊音波だった。

周りの木々は倒されて小屋も音を立てて崩れた。

地面もライデンが立っていた場所を中心に、クレーターのように抉られている。

 

先程まで格闘戦をしていたライデンはクラムベリーとの距離が近かった。それに加えて音という性質上、この攻撃を回避するのは非常に困難だった。

そして至近距離から銃弾を回避するライデンでも、その時は回避できなかった。

しかし、その時ライデンを見ていたクラムベリーは違和感しかなかった。

 

ライデンは最初から回避しようとしなかった(・・・・・・・・・・・)のだ。

周りの様子から分かるよう、この攻撃をモロにくらえばさしものライデンでも無事では済まない。

だが、その予想は裏切られる。

 

「……一つ聞いてもよろしいですか?」

 

「んー?何かな?」

 

「…何故貴女は、そこに立っているのですか」

 

「哲学かな?…それとも、クラムベリーは私に倒れて欲しかったのかな?こんな風に」

 

ライデンはクラムベリーの問いに、平然と、何事も無かったかのように受け答えすると、その場に仰向けに転がった。

戦闘中にこんなことをするということは、もう完全に、完璧に、クラムベリーをバカにしてるのだろう。

珍しく青筋をたてながら、クラムベリーは破壊音波を何重にも重ねて打ち出す。

 

確か一の魔法は一度だけどんな攻撃も防ぐ魔法だったはず。

もしさっき防がれたのがそれによるものならば、複数の攻撃をほぼ同時に与えれば突破できる。

しかし今度も結果は同じ。

仰向けでこちらを苛立たせる視線を送ってくるライデンは、またしても傷一つない。

ただバチバチと電撃が体を駆けずり回っているだけだ。

そもそも、さっきの攻撃を受けたあと太鼓を叩いていないということは、一の魔法ではないということだ。

 

「じゃあ反撃だね」

 

ライデンはそう言うと起き上がってバチを取り出し、クラムベリーの元へ全速力で飛んできた。

動きの速さに関して、クラムベリーはライデンにはまず適わない。

避けることは無理だろうが、そんなことをする必要は無い。クラムベリーは先程から(・・・・)繰り出していた破壊音波を最大火力でライデンに向ける。

クラムベリーはずっと破壊音波の攻撃を止めずに続けていたのだった。

 

ライデンは相変わらず無傷だが、目的は攻撃ではない。反動でクラムベリーはライデンとは反対方向に飛んでいく。

何とか着地すると、辺りは元々木など無かったかのように荒野の様になっていた。

先程の全力のクラムベリーの攻撃のせいだろう。

 

また、クラムベリーも無傷ではない。

あんな威力の音波の反動を受けて飛べば、その速さは音速に匹敵する。そうなればそんな速さで飛ばされたクラムベリーの体は傷だらけになるのも道理だろう。

 

傷を確認しながらライデンがいた方向を見ようとすると、まるで雷でも落ちたような音(・・・・・・・・・・)が後ろに鳴り響いた。

咄嗟に前に行こうとするも、急に全身が痺れたかと思うとクラムベリーは膝をついた。

 

おかしなことに、脚が動かない。

その事に気づき、クラムベリーは先ほどと同じように破壊音波の反動で逃げようとした。

が、ここでさらにおかしなことに気づく。自分が今何をしようとしていたか分からなくなったのだ。すると段々頭が働かなくなっていった。

モタモタしている内に息も苦しくなってきた。

 

また、自分が誰と戦っていたのかが曖昧になってくる。

思考がぼうっとしだし、彼女は何か衝撃を感じた、気がした。

音だけだ。

彼女の魔法のお陰か、音だけは鮮明に聞こえる。

今、彼女のぼんやりとしていた視界が動いている。

何かが土を転がっている音が聞こえる。

 

必死に動こうとするが、もはや触覚すら怪しくなり、自分の体が動けないのか、動いているのに気づいていないのか分からない。

と、ここで視界が暗転した。

何もわからない。

もう考える事が出来なくなっているクラムベリーは、ゆっくりと思考を落としていった。

 

 

ーーーーー

 

 

☆ライデン

 

つまらない。

結局クラムベリーと戦ったライデンの、最後の感想はそれだった。

彼女の四つ目の魔法、『自分が雷になる』は正直自分で使っていて狡いと思う。

まず、雷という時点であらゆる攻撃は効かない。物理攻撃でなくても、かのアニメが大ヒットした有名な魔法少女の必殺ビームだって効かない。そして勿論、クラムベリーの音攻撃も効かない。

すべて通り抜けて行く。

 

次に、自身が移動する時に雷と同じ速度、即ち光速に匹敵する速度で移動できる。

目にも留まらぬ速さとはこの事で、激しい音を立てるもののほとんど瞬間移動のようなことが出来る。

また、止まる場所は自由だが、障害物があれば強制的に止まり、それが自分自身を電気として帯びてしまう。生物なら大抵即死。非生物ならそこで留まって、また雷となって光速で移動できる。

と言っても、ライデンも光速で移動しすぎると認識が追いつかず、周りが分からなくなってしまうのであまり多用はできない。

 

そして、至近距離にいる人間に対しては、手足などの筋肉や脳など、様々な体の部位を麻痺させて機能を止められる。

クラムベリーに行ったのは正にそれで、一旦クラムベリーの背後に雷化して停止し、そこから彼女の脚を麻痺させて動きを止めて、脳を少しずつ麻痺させて魔法を使いにくくさせて、視覚、嗅覚と味覚、触覚を麻痺させた。

魔法のおかげで聴覚だけは最後まで残っていたようだが、それだけでは何も出来なかった。

 

ライデンはため息をつく。

昔からこれだ(・・・・・・)

彼女の魔法は理不尽で、相手の抵抗はまるで意味を為さない。

だから彼女はこの四の魔法をあまり使わないようにしている。

どうしても一方的になってしまうのだ。

 

クラムベリーのように他人を巻き込もうとまでは思わないが、ライデンも自分を戦闘狂だとは自覚している。

戦うのなら、もっと手応えのある戦いがしたい。そのために、ごく稀にしか四の魔法は使わない。

 

要するに、四の魔法を使うと楽しくないのだ。

 

それとは別の理由も一応ある。

彼女の魔法は四つとも、自身が充電した電気を消費して使われる。

一から四にかけてその消費量は増えていき、四の消費量は他と比べてずば抜けている。

だが、慎重なライデンは常に四を2日ぶっ通しで使える電気を充電している。

今回のようにあまり戦闘を長引かせずに倒せるのなら多少使っても問題は無い。

 

クラムベリーは既に変身が解けていたが、その体は真っ黒に焦げており、もはやどんな顔だったかなど分からない。

もしかしたら男だったのかもしれないと思いながら、彼女の懐からマスター用端末を取り出す。

そこから電子妖精が浮かび出す。

 

「…おめでとうぽん。貴女が次のマスターだぽん」

 

「んー。なんだか不満そうだねー。クラムベリーが良かった?」

 

「分かってて言ってるぽん?」

 

「先に言っておくけど、私はちゃんと聞いたからね?ファヴは嫌がるんじゃないって」

 

「…そうかい」

 

「あーぽん付けてない。本当にバグってんだね。電子妖精がこんなことするなんて」

 

「あんたがマスター用端末さえ持ってなければ消してたのに。クラムベリーめ。余計なことしやがって」

 

私が魔法少女の試験を受けて合格した(・・・・・・・・・・・・・・・・・)ってことにして、2人で監督する(・・・・・・・)ってゴリ押すんだから凄いよね。そこまで私を助けてまで戦いたかったとは。まあ正直私の名前出せば行ける(・・・・・・・・・・)とは思うけど」

 

「…で、どうするつもりだ?あんたがゲームを続ける様には思えないんだけど」

 

「えー。当たり前じゃん(・・・・・・・)。カラミティ・メアリを除いて、試験を受けてる子達はみんないい子だよ。ああいう子達に殺し合いさせるなんてちょっとナンセンスだよ」

 

「……そっちがその気ならこっちだって実力行使に出るからな」

 

「ほう。やってみなよ」

 

「……」

 

ファヴは端末の中に戻ったかと思うと出てこなくなった。

準備をしているのか。

待っている間に色々面倒くさくなってきたライデンは、とりあえず自宅のアパートへ戻ることにした。




まさかの展開。
正直クラムベリーに退場して貰うのはもっと後にするつもりだったんですが、ラ・ピュセル生存ルートも悪くないかなと思いましたので。
……戦闘描写難しい。

ライデンの魔法はチートです。四つ目の魔法が発動すれば大概の魔法少女は死にます。
魔王パムと戦ったらどうなるのか。作者も分からない…。
四つ目の魔法が切れるまで羽で持ちこたえられれば電池切れで負けるので、魔王の方が強い、のかな?

雷と化したライデンは文字通り無敵なのでその状態では倒せません。が、プクプックやのっこちゃんなどの魔法は効きます。
将軍は剣で刺せないので勝てません。

作者がライデンで勝てないと思っているのは、
ハードゴア・アリス、夢の島ジェノサイ子、テプセケメイ?、魔王パム?、ソニア・ビーン、グリムハート、プクプック、レーテ?
です。
?は分からないキャラ。
出来れば皆さんの意見が欲しいです。
感想の方でお声を頂けると嬉しいです。

次回は、主人公の過去についてちょっとやろうと思います。

感想・評価、お待ちしております。
モチベとか湧きます。
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