……ほんとにすみません。失踪しかけましたが、何とか復活しました。
お詫びと言ってはなんですが、今までの話よりは長くなっています。
これからは気をつけます……が、もうしないとは言えません。というか次も遅くなると思います……。
出来るだけ早く書きますね。
それではどうぞ。
☆スノーホワイト
今日、ファヴから急にチャットに来るように呼ばれた。
昨日カラミティ・メアリが脱落したばかりだというのに、一体どうしたのだろうか。
全員に届いているらしく、今は指定された時間まで2人で待っていた。
「何の集まりなのかな?」
「さあね。新しい魔法少女がそろそろ来るはずだし、その事についてかもしれないね。……っと、時間だ」
すると、チャットにファヴが入ってきた。
「今日は集まってくれてありがとうぽん。今日はみんなに頼みたいことがあるぽん」
ここで一息つくように間を置き、ファヴは切り出した。
「…ライデンを脱落させて欲しいぽん」
「…え?」
スノーホワイトは呆気に取られた。同じくラ・ピュセルも口を大きく開いて驚いている。
「どういうことよ」
ルーラがファヴを問いただす。
「そのままの意味だぽん。ライデンは危険だから、このまま魔法少女を続けてしまうのは良くないって結論が出たぽん」
「ま、まってよ!」
堪らずスノーホワイトは言う。
「なんで?なんでファヴはそんなこと言うの?危険って何なの?」
「…まあ知らない人からしたら意味が分からないのも仕方ないぽん。でもここのチャットでファヴは今言ってしまったぽん。もう引き返せないぽん。だからみんなにも事実を伝えるぽん」
ファヴの真剣な様子にスノーホワイトもラ・ピュセルも黙るしかなかった。
その時スノーホワイトは気づいた。
このチャットに、ライデンだけ来ていないということを。
チャットの魔法少女達が静かになると、ファヴは重い口を開いた。
「…昨日の夜、脱落者を発表したすぐあとの事だぽん。森の音楽家クラムベリーが、ライデンに殺されたぽん」
ーーーーー
☆ライデン
「へえ……」
今ライデンは魔法少女が集まっているチャットを見ている。
もちろん、チャットに参加している訳では無い。自分の管理者用端末で覗いているだけだ。
しかし、まさかファヴの狙いは、他の魔法少女を使ってライデンを倒すことなのだろうか?
もしそうならそれはとんだ茶番だ。
ただ犠牲者を増やすだけの愚かしい行為だ。
しかし、今の今まで魔法の国を騙して卑劣な試験を隠してきたあのファヴが、そんな馬鹿なことをするだろうか?
やはり現状ではファヴの思惑は分からない。
とりあえずファヴについては最新の注意を払って行動することにしよう。
本当ならクラムベリーが行った試験について報告したい所だが、ファヴの妨害によりそれは叶わない。
また、他の魔法少女への連絡も妨害されていてできない。この状態では、周りの魔法少女からは自分から連絡を絶っているようにしか思えないだろう。
このままではほかの魔法少女達を手にかけるような事態に陥りかねない。
自分の意思とは関係なく、人を殺す。
ライデンは顔を顰めた。
嫌なことを思い出した。
もう二度とあんなことは繰り返さない。
絶対に。
元々ライデンに人殺しに対する忌避感は薄い。
客観的に見て「悪」で、ライデンの中で死んだほうがよくて、殺してもよいと判断した人物なら躊躇無く殺すだろう。
だが、何の罪もない者を殺すのは流石に気が引ける。
罪悪感を少なからず感じるし、そんなことをすれば然るべき罰が自分に下るだろう。
そのため、ライデンは今まで罪のない人や魔法少女を手にかけたことはほとんど無い。
ただ一度だけ例外があるだけだ。
彼女は元々かなり昔の、魔法の国で働いていたエリート魔法少女だった。
仕事は荒事が多かったが、収入は多く、安定した生活を得ていた。
その頃から戦闘狂の片鱗を内に秘めてはいたものの、周りにそれを気づかせるような真似は極力避けていた。
ライデンはその時、安定した生活を求めていたのだった。
ただ、ある魔法少女と出会ってライデンは変わった。
変わった、と言うより、その内にある戦闘狂の素質を開花させていた。
ライデンは、魔王と呼ばれる魔法少女に出会ったのだった。
魔王パムは一目見てライデンの素質を見抜いた。
またライデンも、パムの強さを初対面ながらも感じていた。
お互いの強さに引かれあったのかどうか、知る術はないが、とにかくそれから二人は何かと個人的に繋がりを持ち、いつしか唯一無二の親友と化していった。
2人が会うときは決まって試合をした。
戦闘狂同士、これは暗黙の了解のようなものだった。
と言っても、その頃はパムがライデンに稽古を付けるだけの事が多かったが。
2人は似たもの同士で、親友で、好敵手だった。
そして、ライデンの出会いはそれだけではなかった。
2人の実力差が着々と埋まっていった頃、ある別の魔法少女が2人と出会う。
その名はフォルーナ。
彼女は2人が求めているような強さはなかった。
知略に長けているわけでもなかった。
だが彼女は、どこまでも行ってしまう2人を止めるストッパーのような役割として、2人と行動するようになった。
最初は鬱陶しそうに接していたライデンも、天真爛漫なフォルーナとだんだんと打ち解けていった。それはパムも同じであった。
なぜ他に仲のいい魔法少女がいなかった2人がこうもすんなりと打ち解けたのか。
ライデンはフォルーナの魔法のせいだと推測している。
彼女の魔法は「自分が幸せになれる」という魔法だった。
どんな悪意があろうが、どんなアクシデントが起ころうが、彼女の幸せを邪魔することはできない。
その魔法が働いて、2人と仲良くなりたかったフォルーナはそれを叶えられたのだろう。
そうしていつしかフォルーナも、2人と親友の関係を築いていった。
余談だが、本人の知らないところでもライデンは有名になっており、特に魔王塾の塾生達はみな魔王の好敵手であるライデンに憧れを抱いているようだった。
しかし、それは長くは続かなかった。
ある日彼女ら3人は他愛もない話をしていた。
実は、フォルーナの魔法は絶対的で、彼女は今まで風邪一つひいたことが無く、怪我もかすり傷さえ負ったことがない。
そんな魔法があるからか、彼女は一言、こう言ってしまった。
「もしも誰かに殺されちゃうなら、ライデンとパム以外には考えられないな」
3人にとっては、ちょっとしたブラックジョークだった。
ただ、フォルーナの魔法は、彼女の最高に幸せな人生の終わり方がそれだと認識してしまったのだろう。
数日後彼女は、魔法によって操られたライデンによって殺されてしまった。
犯人はその後すぐさまパムによって始末されたが、ライデンがフォルーナを殺してしまったという事実は変わらない。
暫くしない内に、ライデンは魔法少女を辞めた。
だが、今ライデンはまた魔法少女となってここにいる。
あんな事があっても、生来魔法少女の事が好きらしいのか、今自分が魔法少女でいられて嬉しく思っているのがとてもわかる。
だがライデンは謝らなければならない。
猛反対を押し切りやめてしまい、喧嘩別れとなってしまった魔王パムに。
聞いた中だと、現在も彼女は魔王塾で生徒を鍛えているらしい。
早く彼女に会いたい。
そのために魔法の国にこの試験のことを告発しなければならない。
そうするとやはり、ファヴがとても邪魔だ。
管理者用端末でどうにかできないか。
少し試してみようと、彼女が自分の管理者用端末をいじると、ライデンはその異変に気づいた。
いつの間にか、あらゆる機能が使えなくなっている。これではチャットの中身を見ることすらできない。
(失敗した……!)
ファヴに隙をつかれた。気づかないうちに管理者用端末が使えなくなっている。
これを使えなくなるのは正直かなり痛い。
クラムベリーの管理者用端末は回収してはいるが、ファヴによって現在は使えない。
「むむ……」
これでは八方塞がりだ。
「仕方ないか…」
面倒だからやっていなかったが、そうも言ってられなくなった。
行動を起こすためにライデンは重い腰をあげた。
ーーーーー
☆ルーラ
「はぁ…」
重いため息を吐いたのは、女王様の格好をした魔法少女、ルーラだった。
彼女は今、ファヴのせいでほかの魔法少女達を敵に回してしまっている。
ライデンに一度協力してしまったのは失敗だったのだろうか。
先ほど終わったチャットでの出来事を思い出す。
「……ていうことで、まあつまり、ライデンは戦闘狂で、強者であるクラムベリーに戦いを挑んでそのまま殺したってことだぽん」
「そ、そんな……」
「嘘だろ…」
みんなが呆然としている中、ファヴはあくまで淡々と話す。
「ファヴは嘘なんかつかないぽん。みんな信じて欲しいんだぽん」
「……でも…そんなことって…私たちと会ったときは普通の人だったのに…」
スノーホワイトは未だに信じられない様で、ポツリと呟いた。
「スノーホワイトはライデンに闘う相手として見られてないだけだぽん。彼女のターゲットとして選ばれたら、もう逃げられないぽん。そして闘って死んでしまうんだぽん。クラムベリーや……カラミティ・メアリのように」
「…え?ちょ、ちょっと待ってよ。ねえファヴ、
周りの魔法少女の目には、気のせいなのだろうが、ファヴの体が一瞬止まったように見えた。
(やばいやばい失言だ!)
内心冷や汗塗れのファヴは必死に先ほどの発言を撤回しようとするが、もう遅かった。
魔法少女達は一斉にルーラへ詰問する。
「どういうこと?」
「ルーラ達がやったってのは嘘だったの?」
「ライデンと協力してたってことなのか?」
「私たちのことも潰す気なの?」
ピーキーエンジェルズ達はオロオロし、たまはルーラを縋るように見つめ、スイムスイムは無表情、そしてルーラは、
「…少し違うわ。カラミティ・メアリの件で私は、ライデンに
「…脅された?」
「本当に?」
「いや、嘘かもしれない。やった事がバレたからライデンを切り捨てたのかも」
「…信じられない」
現在、魔法少女の中に死人が出てしまっている以上、ルーラの事を信用する人はなかなかいなかった。
ルーラは必死に脅されてやったと周りに主張したが、結局ライデンの仲間という扱いになった。
恐らく普段から周りと交流をしなかったのが仇になったのだろう。
悔しそうにしていたが、どうしようもない。過去は変えられないのだ。
ルーラは仲間の4人と一緒に、逃げるようにログアウトしていった。
「クソ!」
苛立ちから床を蹴ったルーラは、遠くで怯えているたまを呼んだ。
「…あんたが頼めばきっとライデンは私たちに手を出さない。お気に入りの様だしね。今からでも急いで連絡しないと…」
「…え?わ、私たちは助かるの?」
「それがアンタにかかってるって言ってるの!」
「ご、ごめんなさい!」
「全く…」
無能すぎるたまに苛立ちを隠そうともしないルーラ。
ピーキーエンジェルズは慌てて右往左往し、スイムスイムは打開策を考えている。
そのせいか、彼女達はに密かに忍び寄る影に全く気づかなかった。
「たまちゃんを虐めるのは許さないぞー」
「な!?」
5人が気づくと、寺の入口にビリビリと電気を纏った魔法少女が立っていた。
彼女は纏っていた電気を消すと、笑みを浮かべて語りかけた。
「さて、時間が無い。単刀直入に言おう」
ルーラは突然の来訪に動揺しながらも、ライデンの余裕に欠けたその表情に危機感を感じ、とりあえず頷いた。
「ファヴをどうにかするのに、君たちに協力して貰いたい」
ーーーーー
☆スノーホワイト
意味が分からなかった。
スノーホワイトの知っている彼女は、気さくで親しみやすく、少し暴走してしまうが根はいい人な先輩魔法少女だった。
しかしファヴが言うには、彼女はもう2人の魔法少女を手にかけて、且つその理由は自身の快楽の為だと言う。
スノーホワイトの頭の中はゴチャゴチャだったが、それでも必死にファヴの言ったことを否定していた。
そんなはずがない。
きっと何かの間違いだ。
多分隣で考え込んでいるラ・ピュセルも、同じ様に考えているだろう。
とにかく一度話し合うべきだ。
面と向かって聞くべきだ。
私の魔法もこういう時には役に立つかもしれない。
スノーホワイトは立ち上がった。
「ラ・ピュセル、私ライデンに会いに行く」
ーーーーー
☆リップル
やっぱりライデンは危険なやつだった。
あのカラミティ・メアリの教育係だ。
最初から決まっていたのだ。
そしてそのカラミティ・メアリを倒してしまったほどの、強敵。
カラミティ・メアリは縄張りに入りさえしなければ害は少なかった。
だがライデンは、自発的に魔法少女を、人を殺しているのだ。
いつか自分も殺されてしまうかもしれない。
そうなる前に…殺られる前に、こちらから殺る。
リップルは意を決して立ち上がった。
「おい、急にどうしたんだ?リップル」
「……トップスピード、私はアイツを殺す」
ライデンを中心として、魔法少女達はそれぞれの意思で行動を開始する。
それは奇しくも、魔法少女同士の殺し合い…クラムベリーの行った試験と酷似していた。
だがそんなことは誰一人気づかない。
ファヴすら気づかないまま、救いようのない殺し合いが始まる。
遂にバトルロワイヤルが本格的に始まってしまいます。
スノーホワイトやリップル達はどうなるのか。
次も長くお待たせするとは思いますが、どうかお待ちください。
…失踪はしないはずです。
この後にライデンの設定を見ると丁度良いので、見ることをオススメします。
感想や評価、お待ちしております。
モチベとか湧きます。