間違いの先に   作:さまそくん

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フランケンシュタインの恋、見ました。
いやあ、綾野剛くん、凄い演技力ですね。感服しました。


【#014】比企谷八幡の、翼

 

 

 

 

 

「亜門さーん、小町、疲れましたー」

 

 

 

「…全く、本当に異例なのか疑うレベルだぞ…」

 

 

 

亜門 鋼太朗と、比企谷 小町が、白いコートを着て、並んで歩いている。亜門は片手に白いトランクの様な物を持ち、対する小町は両手で重そうに持っている。

 

 

 

「もう21時ですよー?帰りましょうよー…」

 

 

 

「馬鹿を言うな。これは調査だ。最近になって目立ち始めた、【虚無の翼(アンノウン)】、奴の事について、何か見つかるまで調査はやめん」

 

 

 

「えぇ…」

 

 

 

 

その様子を眺めている、一人の喰種がいた。

 

 

 

 

 

「こま…ち────?」

 

 

 

 

 

物語は、交差する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!あれは!!」

 

 

 

「およ!?虚無の翼(アンノウン)ですか?」

 

 

 

「ああ────クインケ、展開しろ」

 

 

 

「アイアイサー!」

 

 

 

亜門と小町が、クインケを展開する。亜門はクラを、小町は見た事のないクインケを展開した。日本刀の様な形状をし、その刀身は直刃。小町はそれを両手で、斜めに構え、八幡に向けて刃を向けている。その様子に、八幡は胸を痛める。

 

 

 

「っ…小町…!!」

 

 

 

 

 

溢れそうになる涙を堪え、赫子を展開する。それを黙視した小町は、壁を蹴ってこちらへ突撃してきた。

 

 

 

 

 

「そいやーっ!」

 

 

 

 

 

「っ────、ち…!!」

 

 

 

 

 

つい、名前を呼びそうになってしまったが耐え、小町の斬撃を、しゃがんで躱す。躱したは良いが、小町はそのままの勢いで、俺の顔面を蹴り飛ばす。マスク越しに衝撃が伝わり、これが「本気で俺を殺しに来ている」と、八幡は確信する。

 

 

 

 

 

「よくやった、比企谷三等!」

 

 

 

 

 

蹴り飛ばされ、宙に投げ出された八幡の身体を、亜門がクインケで斬る。斬られた部位は腹部で、そこからは鮮血が飛び散る。返り血が亜門のクインケ、【クラ】にべったりとつき、その血に反応するかの様に、クインケが赫く光る。

 

 

 

 

 

『クソッタレがァああああ!!!!』

 

 

 

 

 

小町に手を出すことの出来ない自分への強さと弱さの間の感情、そこで出来た隙をついて攻撃してくる亜門に苛立ちを覚え、声にならない絶叫をあげる。

 

 

 

それに、小町は何か違和感を感じた。

 

 

 

 

 

(聞いたこと…ある…声────?)

 

 

 

 

 

それを何かで感じ取ったのか、亜門が疑問を覚える。

 

 

 

 

 

(…比企谷三等…何処か動きが悪い。もっと獰猛だと聞いてきた虚無の翼(アンノウン)も、何処か拍子抜けだ…)

 

 

 

 

 

拍子抜けとは言え、S+〜レート。八幡は展開していた赫子を無造作に振るい、亜門へ直撃させる。だが、当の亜門は、クラを盾の様に構え、その攻撃を防いだ。だが、余程衝撃が強かったのか…そのまま、吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

「ぐっうぅ!?」

 

 

 

悲痛と驚愕の声を上げる亜門。だが、伸ばした赫子はそのままの為、そこに小町が飛び乗って、そのまま赫子を駆ける。

 

 

 

「────ふっ!」

 

 

 

八幡の肩部を切り裂き、返り血の鮮血を浴びる小町。その間、亜門はビルとビルの間のポンプを掴んでは蹴り、蹴っては登りの繰り返しで、八幡のいるビルの屋上へと登り詰めていた。

 

 

 

そして、クインケを振るう。

 

 

 

 

 

『ッァ────!』

 

 

 

 

 

斬られた痛みで身体が震え、夥しい量の血が流れ出す。一方的過ぎる殺し合いに、八幡は、とうとう爆発した。

 

 

 

 

 

『ッルォアアアア!!!!!』

 

 

 

 

 

6枚の黒い翼を一心不乱に振るい、同時進行で、四方八方に、羽赫特有の弾丸を発射する。八幡の場合の弾丸は、黒い羽根の様な物で、堕天使の羽を思わせる。

 

 

 

 

 

亜門はクラでそれを防いだが、チラ、と小町を見ると、小町がピンチだと察した。

 

 

 

日本刀の様なクインケで一つ一つを弾いているが、長くは続かない。現に、太ももに一羽刺さっている。

 

 

 

「比企谷三等!非常階段へ逃げろ!!」

 

 

 

腹から声を出して叫ぶ亜門。クラで羽根を弾き返しながら小町の元へと向かうが、小町のクインケは羽根にやって弾かれ、10階建てではあろうビルから落ちてしまった。

 

 

 

 

 

「比企谷三等────!?」

 

 

 

 

 

亜門が叫ぶ先に、八幡が赫子を活かして飛んだ。そして、小町の落ちた方へと飛んでいく。額からは血を流し、肩部は抉られ、痛々しい見た目をしている。

 

 

 

 

 

(────妹を守るのに…理由なんて…いらねえだろ…ぉ!!)

 

 

 

 

 

自分が下になる様に小町を抱き抱え、物凄い速さで落下し、地面に衝突した。

 

 

 

その衝撃で、肺から空気が大量に抜け、過呼吸の様な状態に陥った。

 

 

 

 

 

『っは!がはっ…』

 

 

 

 

 

喘ぐ肺を服の上から抑え、空気が一時的に巡回していないからか、重い身体を起こし、衝撃で離してしまった小町の方へと歩く。

 

 

 

その様子に、小町は怯えて、頭を抱えて地面に蹲る。

 

 

 

正気の沙汰ではないが、その様子を愛らしいと感じてしまった。

 

 

 

 

 

『…ごめ、んな────』

 

 

 

 

 

そう言い残し、小町の頭を撫でた。状況が理解出来ていないのか、あざとく「ふぇ?」と声を上げる小町。八幡は、展開した赫子を広げ、そのまま飛び去った。

 

 

 

 

 

「────おに、い…ちゃん?」

 

 

 

 

 

一つの疑惑を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕は人間じゃないんです。本当にごめんなさい』

 

 

 

 

 

ある歌のワンフレーズを思い出した。俺は人間だったが、それはもう過去の事だ。今は違う。人間ではない。現に、俺は今大量の血を流しながら、誰も来ない高層ビルの屋上で息を整えていた。血は止まらないし、息はなかなか整わず、身体は重りをつけた様に重く、瞼はすぐに沈んでしまいそうだ。

 

 

 

そんな中、手だけを動かし、マスクを外した。ボロボロになってしまったマスクを眺め、そのまま脱力しきって、地面に叩き付けるように手をだらしなくついた。

 

 

 

それと同時に、今まで耐えてきた感情が一気に溢れ出した。

 

 

 

「小町…クソ…何で…」

 

 

 

八幡の目から、少量の涙が零れた。銀色を纏ったその雫は八幡の頬を撫で、そのままの煌めきを残したまま、夜景が映る空へと消えた。

 

 

 

小町が俺に刃を振るうのは構わない。小町は人間で、俺は喰種。理由は対等だ。

 

 

 

だが、俺が小町に赫子を振るったのは、俺自身が許せなかった。守ると誓った小さな背中を、愛していたその性格を煽る様な真似を、────大好きだった妹に、傷をつけた。

 

 

 

許せなかった。自分自身が。もういっその事、穴があれば一生そこに埋もれていたい。死にたい。消えてなくなりたい。でも、もう見れないと思ってきた、小町の笑顔を見てしまった。もっと見たい。触りたい。眺めたい。一緒に笑いたい。でも、もう叶わない。

 

 

 

そんな風に考えていくと、もうどうしようもない自分の行いに、虚無感が生まれた。

 

 

 

 

 

「ホンットに…虚無の翼(アンノウン)だな…俺は…」

 

 

 

 

 

自分が、憎い。

 

 

 

 

 

『八幡』

 

 

 

 

 

そんな時、戸塚が俺を呼んだ。その声は優しく、会ったことは無いが、まるでマザーテレサの様な安心感を纏っている。それを聞いて、更に涙が溢れた。

 

 

 

 

 

『強く、なりたい?』

 

 

 

 

 

────ああ。

 

 

 

 

 

『小町ちゃんを守れるくらい?』

 

 

 

 

 

────ああ。

 

 

 

 

 

『平和の、ために?』

 

 

 

 

 

────ああ。

 

 

 

 

 

『なら、ぼくを』

 

 

 

 

 

────ああ、受け入れる(喰い尽くす)

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

夜の東京の、一つの高層ビル。大量の血だまりと共に、ある一つの花が咲く。

 

 

 

ラフレシアにも見える、翼にも見える、薔薇にも見える、椿にも見えるそれは。

 

 

 

 

 

────正しく、虚無だった。

 

 

 

 

 

「俺は、(喰種)だ」

 

 

 

 

 

一つの幻影と共に、それは一瞬で消えた。




眠いので語彙力ないです
オフトゥンへダイブします…

あ、貯めているのでFTの方も明日投稿します
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