いやあ、綾野剛くん、凄い演技力ですね。感服しました。
「亜門さーん、小町、疲れましたー」
「…全く、本当に異例なのか疑うレベルだぞ…」
亜門 鋼太朗と、比企谷 小町が、白いコートを着て、並んで歩いている。亜門は片手に白いトランクの様な物を持ち、対する小町は両手で重そうに持っている。
「もう21時ですよー?帰りましょうよー…」
「馬鹿を言うな。これは調査だ。最近になって目立ち始めた、【
「えぇ…」
その様子を眺めている、一人の喰種がいた。
「こま…ち────?」
物語は、交差する。
△▼△▼△
「…!あれは!!」
「およ!?
「ああ────クインケ、展開しろ」
「アイアイサー!」
亜門と小町が、クインケを展開する。亜門はクラを、小町は見た事のないクインケを展開した。日本刀の様な形状をし、その刀身は直刃。小町はそれを両手で、斜めに構え、八幡に向けて刃を向けている。その様子に、八幡は胸を痛める。
「っ…小町…!!」
溢れそうになる涙を堪え、赫子を展開する。それを黙視した小町は、壁を蹴ってこちらへ突撃してきた。
「そいやーっ!」
「っ────、ち…!!」
つい、名前を呼びそうになってしまったが耐え、小町の斬撃を、しゃがんで躱す。躱したは良いが、小町はそのままの勢いで、俺の顔面を蹴り飛ばす。マスク越しに衝撃が伝わり、これが「本気で俺を殺しに来ている」と、八幡は確信する。
「よくやった、比企谷三等!」
蹴り飛ばされ、宙に投げ出された八幡の身体を、亜門がクインケで斬る。斬られた部位は腹部で、そこからは鮮血が飛び散る。返り血が亜門のクインケ、【クラ】にべったりとつき、その血に反応するかの様に、クインケが赫く光る。
『クソッタレがァああああ!!!!』
小町に手を出すことの出来ない自分への強さと弱さの間の感情、そこで出来た隙をついて攻撃してくる亜門に苛立ちを覚え、声にならない絶叫をあげる。
それに、小町は何か違和感を感じた。
(聞いたこと…ある…声────?)
それを何かで感じ取ったのか、亜門が疑問を覚える。
(…比企谷三等…何処か動きが悪い。もっと獰猛だと聞いてきた
拍子抜けとは言え、S+〜レート。八幡は展開していた赫子を無造作に振るい、亜門へ直撃させる。だが、当の亜門は、クラを盾の様に構え、その攻撃を防いだ。だが、余程衝撃が強かったのか…そのまま、吹き飛ばされてしまった。
「ぐっうぅ!?」
悲痛と驚愕の声を上げる亜門。だが、伸ばした赫子はそのままの為、そこに小町が飛び乗って、そのまま赫子を駆ける。
「────ふっ!」
八幡の肩部を切り裂き、返り血の鮮血を浴びる小町。その間、亜門はビルとビルの間のポンプを掴んでは蹴り、蹴っては登りの繰り返しで、八幡のいるビルの屋上へと登り詰めていた。
そして、クインケを振るう。
『ッァ────!』
斬られた痛みで身体が震え、夥しい量の血が流れ出す。一方的過ぎる殺し合いに、八幡は、とうとう爆発した。
『ッルォアアアア!!!!!』
6枚の黒い翼を一心不乱に振るい、同時進行で、四方八方に、羽赫特有の弾丸を発射する。八幡の場合の弾丸は、黒い羽根の様な物で、堕天使の羽を思わせる。
亜門はクラでそれを防いだが、チラ、と小町を見ると、小町がピンチだと察した。
日本刀の様なクインケで一つ一つを弾いているが、長くは続かない。現に、太ももに一羽刺さっている。
「比企谷三等!非常階段へ逃げろ!!」
腹から声を出して叫ぶ亜門。クラで羽根を弾き返しながら小町の元へと向かうが、小町のクインケは羽根にやって弾かれ、10階建てではあろうビルから落ちてしまった。
「比企谷三等────!?」
亜門が叫ぶ先に、八幡が赫子を活かして飛んだ。そして、小町の落ちた方へと飛んでいく。額からは血を流し、肩部は抉られ、痛々しい見た目をしている。
(────妹を守るのに…理由なんて…いらねえだろ…ぉ!!)
自分が下になる様に小町を抱き抱え、物凄い速さで落下し、地面に衝突した。
その衝撃で、肺から空気が大量に抜け、過呼吸の様な状態に陥った。
『っは!がはっ…』
喘ぐ肺を服の上から抑え、空気が一時的に巡回していないからか、重い身体を起こし、衝撃で離してしまった小町の方へと歩く。
その様子に、小町は怯えて、頭を抱えて地面に蹲る。
正気の沙汰ではないが、その様子を愛らしいと感じてしまった。
『…ごめ、んな────』
そう言い残し、小町の頭を撫でた。状況が理解出来ていないのか、あざとく「ふぇ?」と声を上げる小町。八幡は、展開した赫子を広げ、そのまま飛び去った。
「────おに、い…ちゃん?」
一つの疑惑を残して。
△▼△▼△▼
『僕は人間じゃないんです。本当にごめんなさい』
ある歌のワンフレーズを思い出した。俺は人間だったが、それはもう過去の事だ。今は違う。人間ではない。現に、俺は今大量の血を流しながら、誰も来ない高層ビルの屋上で息を整えていた。血は止まらないし、息はなかなか整わず、身体は重りをつけた様に重く、瞼はすぐに沈んでしまいそうだ。
そんな中、手だけを動かし、マスクを外した。ボロボロになってしまったマスクを眺め、そのまま脱力しきって、地面に叩き付けるように手をだらしなくついた。
それと同時に、今まで耐えてきた感情が一気に溢れ出した。
「小町…クソ…何で…」
八幡の目から、少量の涙が零れた。銀色を纏ったその雫は八幡の頬を撫で、そのままの煌めきを残したまま、夜景が映る空へと消えた。
小町が俺に刃を振るうのは構わない。小町は人間で、俺は喰種。理由は対等だ。
だが、俺が小町に赫子を振るったのは、俺自身が許せなかった。守ると誓った小さな背中を、愛していたその性格を煽る様な真似を、────大好きだった妹に、傷をつけた。
許せなかった。自分自身が。もういっその事、穴があれば一生そこに埋もれていたい。死にたい。消えてなくなりたい。でも、もう見れないと思ってきた、小町の笑顔を見てしまった。もっと見たい。触りたい。眺めたい。一緒に笑いたい。でも、もう叶わない。
そんな風に考えていくと、もうどうしようもない自分の行いに、虚無感が生まれた。
「ホンットに…
自分が、憎い。
『八幡』
そんな時、戸塚が俺を呼んだ。その声は優しく、会ったことは無いが、まるでマザーテレサの様な安心感を纏っている。それを聞いて、更に涙が溢れた。
『強く、なりたい?』
────ああ。
『小町ちゃんを守れるくらい?』
────ああ。
『平和の、ために?』
────ああ。
『なら、ぼくを』
────ああ、
△▼△▼△
夜の東京の、一つの高層ビル。大量の血だまりと共に、ある一つの花が咲く。
ラフレシアにも見える、翼にも見える、薔薇にも見える、椿にも見えるそれは。
────正しく、虚無だった。
「俺は、
一つの幻影と共に、それは一瞬で消えた。
眠いので語彙力ないです
オフトゥンへダイブします…
あ、貯めているのでFTの方も明日投稿します