比企谷×川崎
アンチ・ヘイト。
さきさき可愛いですよねぇ!!俺ああいう女の子めっちゃ好きです。いないんだけどね。
あ、それと、UA1000突破ありがとうございます!俺の作品を見て楽しんでいただける方がいらっしゃると考えるだけで俺の毛穴が広がって変な汗出てきます!!俺きめえ!!
気を取り直して。では、4話です。どうぞ。
いつからだろうか。
俺の目が更に腐り、笑顔も減り、俺自身が無機質なロボットの様になってしまったのは。
答えのない自問を延々と繰り返しているだけで、軽く1時間は過ぎる。
だが、珈琲の香りが漂うアンティークな店、【あんていく】では、その1時間がとても楽しい。芳村さんと話すと心が落ち着くし、古間さんと話すと意気投合するし、入見さんと話すと読書の幅が広がる。
「突っ立ってねーで働け。比企谷。」
群青色の髪の毛で片目を隠している、口が悪い、黙っていれば美少女現在進行形でJKのこの女は霧嶋董香。雪ノ下が容赦ないのなら、コイツは躊躇ない。そんなお前らに言いたい。強い言葉を使うなよ。弱く見えるぞ。
「トーカちゃん…もっと優しk」
「あん?」
「……なんでもないです。」
圧殺された、何処か大人しさと寂しさ────俺が言えた義理じゃねーけどな。────を秘めた切り揃えた黒髪+眼帯のこの男は、金木研。大学1年生。俺と同じく、元人間で、俺と同じく鉄骨落下事件の被害者。だけど、俺のとは違う鉄骨落下事件。悲劇にあった者同士という事で、仲は悪くないはず。俺は愛称として金木さんと呼んでいるが、年下に「おいカネキ!!」と呼ばれる金木さんは少し可哀想だと思う。
「お前らうるせえぞ。ビシッと働け。」
茶色のくせっ毛パーマが特徴的の長身のこの男は、西尾錦。大学2年で、金木さんの先輩であり、俺によく勉強を教えてくれる良き先輩でもある。口が悪い。錦さんは俺の愚痴に付き合ってくれたりもするし、いい人なんだ、とは思うが…やはり口が悪いな。うん。
「…霧嶋、金木さん、錦さん。俺の為に争わないで下さい。」
「あ?何が俺の為に争うなだよぶっ殺すぞ。」
「比企谷。上半身と下半身にさよならするか?」
「と、トーカちゃん…西尾先輩…やめましょう、ね?」
上から、霧嶋、錦さん、金木さん。金木さんは例外だが、皆口悪い。俺泣いちゃう。特に錦さん。上半身と下半身にさよならするかとかどんな脅迫だよ。俺聞いたことねーよ。
「トーカちゃん。西尾君。金木君と比企谷君も言ってるし、やめようね。」
そこに、仏様のような笑みの芳村さんが止めに入る。どうやら、芳村さんには反抗出来ないようで、文句有り気な顔だが、言い争いをやめた。そもそも、言い争いの定義ってなんだろう。この人らの場合、言い争いで赫眼出しちゃうし。
そんな中、チリンチリンと音がし、扉が開いた。
「…いらっしゃ────」
扉の先には、見覚えのある女が現れた。青みを帯びた髪、整った顔立ち、高校生にしてはかなり大きめの胸、括れが目立つ腰から伸びる長くしなやかな足。そして、右目の泣きボクロ。俺はこいつ知っている。羽虫の姉だ。確か名前は…
「────川崎?」
「────比企谷?」
ああ、合ってたか。もう出会うこともないと思っていた女だ。何故ここにいるかは分からないし知らない。だが、川崎は俺の事について散策してくるかもしれない。「人間は私利私欲の塊、信じては、ならぬ。」という言葉を思い出す。本当にその通りだと思う。興味があるものには勝手に突っ込むし、その為なら周りなんて気にしない。気に入らないことがあれば切り捨てて、気に入ったらよりよく利用しようとする。四捨五入と同じだ。5未満の奴らは使えないから捨てる。5以上の奴らは採用されて言いように利用される。走れメロス様々だな。
話がズレた。俺が総武高校を辞めてもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。表向きは【比企谷八幡は死亡】ということ、裏は【半喰種の身になり、高校へ通えなくなった】という事だが、その表向きの事さえも総武高校の生徒には伝えていない。
ハッキリ言ってしまうと、ここに川崎がいるのはとてもマズイ。俺は学校を辞めた身だ。さっきも言ったが、一般的なら散策される。
「…珈琲、いい?」
そんな俺の考えも虚しく、川崎は窓を見ながら珈琲を注文してきた。ますます何を考えているのかが分からなくなってきた。
「…事件にあったんだってな。雪ノ下の姉と先生から聞いたよ。」
平塚先生はともかく、あの女……。
「……で、どうした?同情でもしたか?」
俺は俺を嘲笑う様に呟いた。川崎は軽蔑の表情を浮かべずに、ただただ微笑みながら言った。
「馬鹿言うなよ。アンタと同じような経験なんかした事ないから分からない。」
真顔で否定された。
「今まさにお前は馬鹿やってるけどな。」
「アンタに言われちゃおしまいだね。」
目瞑られながら返された。
「ごもっともだ。おかげで腐った目が更に腐っちまった。」
「うわっ本当だ。」
真顔でビビられた。
「うわってなんだよ失礼だな。」
「悪いね。ま、比企谷らしいと言えば比企谷らしい。」
真顔で────はなく、川崎は微笑みを浮かべてそう言う。いつものクールでドライな川崎は何処へやら、俺の前では優しい女の子になっていた。俺の経験と学んだ心理の情報をフル活用しても、川崎のこれが仮面という訳では無い。
それに、何気ない会話がとても楽しい。俺の心に出来た隙間を川崎が埋めてくれているような気がした。
「頼れる人がいる。遠慮なく頼ってほしい。」という芳村さんの言葉を思い出した。
────頼れる人…。
俺は、怖いんだと思う。人を頼る事が。親からは愛情という愛情を注がれず、友達と言えた存在には騙され、告白したら俺の勘違いで玉砕され、更にいじめられる。そんな俺は、いつしか全て自分でこなす様になっていた。ここで問題だ。
そんな俺が、人を頼ることなんてできるのだろうか?
否、自分でやるべきだ。
自問自答を繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、それでも尚、俺が求める本物の答えには行き着かない。
人に任せたりはするが、人に頼ることは出来ない。他力本願。俺はまさにそれだ。誰かに任せて、そいつらは楽をする。
────いや、逆だ。俺が他力本願の行動をされていた。相模とかいう馬鹿には仕事を押し付けられ、自分で働かない無能共には仕事を押し付けられ、文句しか言わない雑魚共には人格を否定された。罵倒された。そんな人生で、俺は人に頼るということを恐れていた。否、出来なかった。だからこそ、芳村さんの言葉は心に響いたんだと思う。初めて、誰かに頼っていいと言われた。初めて、誰かに頼って欲しいと望まれた。初めて、自分だけではどうにもできない窮地に立った。だったら俺はどうするか。決まっている。
「────川崎。頼みが、ある。」
俺は。
そうすることを選んだ。
川崎がどんな反応をするのかは分からない。否定されるかもしれない。でも、頼ることしか出来ないのなら、そうするしかないだろう。喰種としてしか生きれないのなら、そう生きるしかない。人しか食べれないのなら、人を食べるしかない。だから。だから俺は…!!
俺は、川崎の反応を待った。
…川崎は。
「────ん。いいよ。」
と、微笑みながら俺に歩み寄った。
「ちゃんと出来たじゃん。人を頼ること。」
見透かされた様に、笑われる。いつもの俺ならムカついていただろうが、嬉しかった。川崎は俺の事を理解してくれている。トラウマ抉ってくる訳でもなく、罵倒する訳でもない。俺は、川崎を────
信じた。