この素晴らしき女神様に感謝と祈りを! 作:EternalSky
この素晴らしい世界で彼女は祝福されるのか!?
まだ話には遠い状態です。
真っ暗でグラグラと揺れていた感覚が終わって、恐る恐ると眼を開く。
それにより、視界が開いていく。
地面に叩きつけられるような形ではありましたが、女神様がそんなことをするつもりなどないでしょう。
恐らくは不可抗力といったものです。女神様でも万能ではないのでしょう。
恐る恐ると、足と腕に力を入れて立ち上がる。ふらっとすることもなく立ち上がれて、また涙が溢れだしてくる。
あ、ああ、た、立ててる。歩ける!!
しっかり地面に立てる足が愛おしくて仕方がない・・・腕を上げることができて久々に伸びることができるのがすごくうれしい。
一通り楽しんだら、周りを見てみることにした。
ここが異世界か。
「女神様に感謝と、祈りを!」
毎日、祈ろう。女神様の名前忘れちゃったけど、その分毎日祈ろう。この感謝を祈りに込めて!
人が見てても、気にする理由はない。
もう、この感謝の気持ちが止められない。
さてっと、なんというか周りには中世ヨーロッパのような街並みが広がっている。白い壁に赤い屋根がちらほら見える。
確か、こういうのが異世界の普通だって、だいちゃんが言ってたよね。
さあ、これからは新しい人生の始まり。
幸せな人生を送るためにも!
これで私、一条雪改め「ユリュ」の異世界ライフの始まりだ。
第一話
まずは、ここがどこかかな?
いや、町に降り立つ事ができたんだし、当面の宿を確保するのがお約束なんだっけ。
だいちゃんの話では冒険ファンタジーにはお約束という形で理不尽な未来に落ちてしまうケースがあるらしい・・・。
理由も細かく説明してくれたけど、正直しっかり覚えてない。
確か・・・絶対に必要なことがあると聞いた気がする。
どうしたらいいんだっけ?
・・・・・・全然思い出せないや。
まぁ、しかたないよね。まずは生きるために必要なのは、食事。
でも、こっちのご飯ってどう作るの? お米とか香辛料とか調味料とかがあれば、大体は作れるけど・・。
もし作れないなら、買わないとだよね・・・・・・。
異世界だと、お金は・・・円じゃないよね? 異世界どころか異国でさえユーロだったり、ドルだったり、元だったりするんだし・・・。
なら、まずは情報収集かな?
当面のお金か食べ物を手にいれないと。
行く人に声をかけてみよう。だけど誰に声をかけたらいいのかな?
確か、だいちゃんが言うには・・・。
同性かお年寄りに聞いたら大体の答えが得られることが多い・・・。
何かをしてもらうなら、同い年くらいの同性か俺に頼めーだったよね?
だいちゃんはここにはいないし、異世界だから合ってるかわかんない。ならさっと適当に見つけないと、正直知らない人怖いけど・・・・・・あの人でいいかな?
目前で歩いている皮でできた不思議な服を着た男の人に声をかけることにする。
「あのーすみません」
「え? あ、はい」
目線を彷徨わせながら彼は止まってくれた。
よく見ると腰に刃物だと思われるモノ・・・おそらく剣をもった方がいました。
やばい人に声かけちゃったかな?
まさか軍人さん?
何だかすっごい胸見てくるんだけど・・・ああ、だから同性? 次から気を付けますだいちゃん。
どうすればいいのでしょうか。
「あの~申し訳ないのですが、この街ってなんてお名前なのでしょうか?
初めて来た町なもので・・・」
「あー。ここはアクセルの町だよ。
今日来たところなのかい?」
「アクセルの町ですか、ありがとうございます」
アクセルの町っと。
こんな刃物もった人とはすぐ離れよっと。
あー怖かった・・・。
さっきの危険そうな人は追っては来てないし、とりあえずは一安心かな。
でも・・・よく見ると、結構往来に刃物とか持ち歩いてる人が多いし、あの不思議な皮の服もどうやら普通に歩いている。よく魔女とかアニメでしてたような服装の子も見える。
異世界ってこんなものなのかな?
騎士って感じの鎧を着た人もちらほら見えるし、これが普通なんだと思う。でも頭に被ってないから騎士様じゃないんだよね?
ん? あれ? それなら逃げなくてよかった?
でもあの視線は嫌だし、いっか。
・・・・・・今思ったら、ここは通貨ってあるのかな?
もし物々交換だったら、どうしても生きてはいられないだろう。
どうしたらいいのかな? お金みせて~なんていったら変人だし、疑われる確率が高いよね。
そもそもさっきの行動自体変人そのものだし。
これ以上変人っぽい行動は控えないと・・・・・・。
結構前途多難です。女神様・・・。
まぁ、でも歩けるなら何か道はあるよね。
「おい、そこの妙な格好の嬢ちゃん、お困りかい?」
妙な格好? 誰の・・・周りからみたら浮いてるよね私・・・つまり私に声をかけてくれたのかな?
声にふりかえってみると、その人はモヒカンにヒゲを生やしていて、
半裸に肩当てとサスペンダーを着た・・・圧倒的に不思議な出で立ちをした男。
へ、へんたいだ・・・。
首を傾げて、周りを見渡してみることに。私以外人がいない。
そもそも、あり得ないよこの格好。
私が妙で、コレが普通の格好なの!?
この人は私の知り合いではないのは間違いない。なんで私に声かけるの? まさか人さらい!?
いや待て・・・落ち着いてユキ。格好で人を判断するのはおかしいってだいちゃんが言ってた。
この人は困ってるかって声をかけたんだ。困ってるのは事実なんだから、そういえばいいんだ。
最悪、久々で不安だけど護身術で・・・。
「私でしょうか?」
「おう、嬢ちゃんは何に困ってるんだ?」
にこやかな笑みを浮かべて、さらに怖さと凄みが増した。なにこの笑顔怖い。
「えっと、私この町が初めてでちょっと途方に暮れてまして・・・」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あ、この人すっごくいい人だ。
途方に暮れてた私に詳しく教えてくれた。
冒険者ってものがあること。
ギルドってところに行って、冒険者登録をしてしまえばその依頼を受けることができること。
あのなりで、彼が機織り職人であること。
ギルドで冒険者カードってのをつくったほうがいいこと。
そのためには1000エリス・・・(通貨単位がエリスである)と理解できたこと。
懇切丁寧な説明で分からないところの質問にはしっかり答えてくれた。
「ご丁寧にホントありがとうございます」
「いいってことよ。困ったときはお互い様だ」
親指を立てながら、怖い・・・にこやかな笑みを浮かべながら去っていく彼を見送って・・・
私は冒険者ギルドに踏み出した。
道まで教えてくれているし、ギルドってだいちゃんの話にも結構出てたし・・・
問題は1000エリスか。
現状文無しの私では、お金を得ることもできないし・・・お金を借りるにも知り合いはいない。
あのとき借りればよかった? いや、無理。危ないでしょ?
前借りできることを祈って、私はとりあえずギルドに向かうことにする。
「冒険者ギルド・・・ここかぁ~」
景観はお察しということで、
なんというか、中世の建物だ。他と比べても少し大きめの建物で、
看板にはしっかりと冒険者ギルドであることが明記されている。言葉が違うのに理解できるし、日本語に見える。
すごくドキドキする。
怖いもの見たさというか、すごくおっかない雰囲気だ。お化け屋敷と違って、緊張に近い感じがする。
少し戸惑ったけど、勇気を振り絞って重々しい雰囲気の扉を開けて中に入った。
「いらっしゃいませー。お食事なら空いてるお席にどうぞー。
お仕事案内なら、奥のカウンターへ~」
「あ、はい」
なんというか思ってたのと違うけど、これはこれで物々しい雰囲気だ。
柱には動物の骨が飾ってあったり、鎧と剣が飾ってあったり、銅像が置いてあったり、酒場もある・・・あの人に先に聞いてなかったら間違えたと思って出る未来しか考え付かない。
どうみても危険そうだし、酒場があまり良い印象がない。絡まれたりしないよね?
でも堂々としないと・・・。
こういう場合は堂々としないと逆に危ないってだいちゃんが言ってたし。
お仕事案内は奥だから・・・あれか。
奥のカウンターがギルドの受付って書いてある。ふむ受付は4人だね。
女性が2人で男性が2人だ。
一人の女性の受付は対応中なので・・・男の人と話すより同じ女性と話すほうが気楽だよね。
受付は女性の方が慣れてる事が多いんだよね?
じゃあ早速と、受付さんに話しかける。
「はいどうぞ。今日はどうされましたか?」
にっこりと笑顔で応対する受付さん。
「あのー冒険者になりたいんですけど、ここで大丈夫ですかね?」
笑顔には笑顔をと頑張って首をかしげる。
「ええ、大丈夫ですよ。
では、登録手数料が掛かりますが大丈夫ですか?」
「・・・すみません、手数料をお借りできないでしょうか・・・」
「は、はぁ?
・・・・・・ええ、大丈夫です。
ですが、紹介した報酬から天引きという形になりますが大丈夫ですか?」
ギルドに借金して、手数料を払うことは可能でした。
ですが、報酬から天引きでの支払いになることをしっかり言われた。当然の処理だと思う。
「はい! 大丈夫です。よろしくお願いします」
「ではまずはこちらの書類にご記入をお願いしますね」
どうやら、まずは借用契約が先みたいだ。
でも、記入内容が内容だ。
名前
性別
年齢
身長
体重
なんというか借用にこんなものがいるのだろうか? そもそもとして名前や性別や年齢はいいとして、
体重とか! 体重とか!!
書きたくないな・・・。
細かくは覚えてないし、おおよそでいいよね。体重は少なめに書いてっと。
名前は、ユリュと書いておこう。本名は過去の名前だし、もうあの時の事は思い出したくない。
女神様が大丈夫って言ってくれたから、普通に話してたし、文字も気にしてなかったけど全部日本語じゃない文字に変わっている。
困らないようにって配慮されてて、ホントうれしい。
前の世界と違って、すごく楽しい。
いっぱい歩いて、いっぱいお話できて、楽しい。すっごくうれしい。
女神様には感謝が絶えないよ。今楽しく生きていけるのは、女神様のおかげだもの。
女神様に感謝を!
「はい、ありがとうございます。
・・・えっと、それではこちらのカードに触れて下さい。
このカードが冒険者カードと呼ばれるモノで、あなたのステータスが分かりますよ」
祈りをささげていると、受付さんの言葉に中断する。
このカードに触れればいいんですね。
というかステータスってなに?
「はい、ありがとうございます。
ユリュさんのステータスは・・・・・・。
器用度と魔力が高めですね。知力も平均以上ありますし、これでしたら魔法職、または職人が最適かと思われます。
しかし、筋力と耐久や敏捷はかなり低いので・・・鍛冶といった力を使う職人やソロでの冒険は非常に危険だと思われます。最低限パーティとしての冒険をおすすめいたします。
あ、でも生命力や幸運は平均よりは少し高い程度ですし、頑張ってくださいね」
え、なに。ステータスってそんなのなの?
そりゃあ、私は病弱でしたから・・・動けるだけすごいと思ってたし、今更力を使うのは当面無理。
まあ、冒険に出るなーって言われない程度には大丈夫なんだし、
でもパーティか・・・大丈夫かな。足引っ張りそうなんだよね・・・。
というか、生活する分には冒険者にならなくてもいいよね? 仕事の凱旋が楽だからーって言ってたんだし。
「では、職業の選択を行います。
先ほど述べた通り、器用度と魔力が高いので魔法職か職人が最適であると思います。
・・・ただ上級職はまだ無理かと思います」
「・・・うーん」
どうしよう。
魔法職か・・・ウィザードってなに? プリーストってなに?
だいちゃんが言ってたような・・・なんだっけ。
そもそも魔法かー。魔力とか言ってたし、魔法使いってことだよね。
まずは聞いてみるべきかな?
「えっと、職業について聞いても大丈夫ですかね?」
「分かりましたではウィザードから・・・」
色々教えてもらいました。
適正的にはウィザードとプリーストとアルケミストみたいですね。説明に熱がこもってました。
ウィザードはよくある魔法使いですね。
炎、氷を生み出して敵と戦う職業で、基本的には後ろで戦うことになる職業。
プリーストは神官ですね。
神に祈りをささげて奇跡をーという形で思ってたけど、傷や毒や呪いなどを治す魔法のお医者さんみたいな感じです。
アルケミストは学者というか職人というか・・・。
えっと、物質を解析して文様や術式を組み込んで魔法具にしたり、魔法で物質を変化させたりする職人だそうだ。
熱がこもってたこの三つは非常に話してくれました。
ほかにも、冒険者・ソードマンなど様々な職業を説明されたが、どうやらおすすめはできないらしい。
適正的にはウィザードなんだけど、確かだいちゃんが魔力がなくなると何もできないのが魔法使いとか言ってたし・・・ちょっと怖い。
プリーストは女神様に祈りをささげるってのもいいけど、実際はお医者さんだから無理。感染症とか、体組織の再生とか? 正直悪化させそう。包帯巻いたり、絆創膏とか薬塗るくらいしかできなさそう。
アルケミストはどっちかというと学門よりらしいから、私は頭良くないからなー。無理無理。
あれ? なれる職業ないよね? これ?
「一応レベルが上がれば上級職に転職もできますし、
お気になさらずとも・・・・え?」
「はい? どうかしましたか?」
受付さんが私の冒険者カードを見て固まった。
なんだろう。すいっと横から私のカードを見てみることに。
映されていた文字は・・・シャーマン?
なんだシャーマンって。
「あ、申し訳ございません。見慣れない職業があったものですから」
「このシャーマンですか?」
「はい、祈祷師という意味ですが・・・すみません一応確認を取ってきますね」
祈祷師? 神様に祈りをささげてたから?
あの世界から逃げられるようにって・・・祈りをささげてたし、
今さっきも女神様に感謝をささげてたし・・・。
でも、それなら普通にクレリックとかビショップとかじゃないの?
うーんわかんない。
そういえば、だいちゃんが言ってたっけ。
なかなかないってことはそれは言い換えれば希少価値だってことだ。
・・・・・・そのあと何か言ってたけど覚えてない。
だけど希少価値は、珍しくて価値があることだし・・・それに意味があるとも言えるんだよね?
「お待たせいたしました。シャーマンは当ギルドで把握していない職業になりますね・・・。
申し訳ありませんが、説明はできそうにありませんね」
「!! いいえ~では、そのシャーマンにしてみたく思います」
その言葉に、受付さんは驚きの表情を浮かべた。
さもありなん。
「えっと、よろしいのでしょうか?」
「ええ、どのようになるのかわかりませんが、魔法職であることは間違いないようですし、
これにビビッと来ましたので!」
「・・・・ビビッ?
・・・・・・・・・・わかりました。
それでは、ユリュさん。
ようこそ冒険者ギルドへ!
スタッフ一同、心より今後の活躍を期待しております」
すごく葛藤があったみたいですが、これでいい。
得体のしれない職業だし、好んで仲間にする人はいない。
パーティを組むことになるのなら、これを試金石にしたらいい・・・。
・・・さて、まずはどうすればいいのかな?
身の安全が最優先。お金は最悪、何か探せばいい。
「すみません、冒険に行く前に手数料分のお仕事と、今夜過ごすことができる場所を教えていただけませんか?」
「あー、あはは・・・それでは説明させていただきますね」
さてっと、ウエイトレスのお仕事で報酬をもらって、一部は手数料をお支払いできたし・・・。
今夜のお泊り場所は馬小屋みたいです。臭そう・・。
宿ってのを取るのにはお金が足りないし、借金持ってる身分で宿代払うよりもできる限り借金を返したいし・・・。
正直、馬って臭いよね? 牧場臭かったーってだいちゃん言ってたし、もしかしたら眠れないかもしれないな。
もう太陽は沈んでいるし、冒険するにしても先立つものもないし、スキルポイントもあんまりなかったから無駄はできないし・・・。
なにより、この体力ですよ・・・。かなり低いって言ってたけど低い。
ホント低い。
一桁です。ほかのパラメータ特に魔力とかは2桁でもかなりの数字なのに・・・。
生命力はあるらしいのに、耐久がない。
ステータスってのを見たら器用度も高い。低いステータスとは雲泥の差。
とにかく、まずは馬小屋で眠れるようにするのと、当面の生活に必要なモノの確保が先だよね! がんばるぞー!
シャーマンは独自職業です。
この職業があるのなら、次の名前考えておかないとダメそうですね・・・。
あ、まだカズマさんには会えません。
まだアクア様が天界にご健在ですので。