この素晴らしき女神様に感謝と祈りを! 作:EternalSky
前回、前後編と思ったと書いていたため、細かい部分をカットして前中後編を免れたのは内緒。
この世界は甘くはない。
日本のように、死を遠ざけることはない。
この世界は残酷な世界だ。
下手な行動は死へと直結していく。
それでも、私は女神様に感謝と祈りを送ります。
たとえ、残酷な世界でも、
私はこの足で立てて、この腕で・・・。
今度はちゃんと生きていられるから。
だいちゃん。
あなたは私を誇ってくれますか?
あなたは死んだ私を怒らないでくれますか?
あなたは約束を破った私を恨んではいませんか?
あなたはさよならすら言えなかった私を・・・。
第六話
なーんてシリアスはなく。
「もちろん他のスキルを取れば楽に冒険ができるのでしょう。
火、水、土、風。この基本属性のスキルを取っておくだけでも違うでしょう。ええ、違うでしょうとも!
でも、ダメ。ダメなのです!
私は爆裂魔法しか愛せない。
例え今の私の魔力容量では一日一発が限界でも。
例え魔法を使った後は倒れるとしても。それでも私は、爆裂魔法しか愛せない!
だって、私は爆裂魔法を使う為だけに、アークウィザードの道を選んだのだから!」
「素晴らしい! 素晴らしいわ!
その、非効率ながらもロマンを追い求めるその姿に、私は感動したわ!」
アクアの言葉が静寂に響きました。
ロマン・・・現実にはあり得ないような 空想や冒険の要素、夢と幻想に彩られた雰囲気、または魅力的で不思議なムードの事だよねー。
じゃあ現実にはあり得ないような幻想ですねわかりません。
個人的には私は現実的に動いてほしいと思います。
「そっか。多分茨の道だろうけど頑張れよ。
お、そろそろ街が見えてきたな。
それじゃあ、ギルドに着いたら今回の報酬を山分けさせて貰おう。
うん、まあ、また機会があればどこかで会う事もあるだろ。では、ギルドに着いたら解散、という事で」
どうやら、カズマさんはしっかり一時パーティとしての役目をしっかり果たすつもりのようだ。後腐れはなく、スパッと解散。いいですね。
それに今回の報酬なら、恐らくはカズマさんもまともな装備を整えることができるだろう。
私も杖かダガーを変えようかなー・・・。
あーでも宿生活脱出のために、そっちだよねー・・。
「ふっ・・・。我が望みは、爆裂魔法を放つ事のみ。
報酬などあくまでおまけに過ぎず、何なら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出して貰えるなら、無報酬でもいいと考えている。
そう、上級職であるアークウィザードである我が絶大な力が今なら食費と雑費のみ!
これはもう、長期契約を交わしてもいいのではないだろうか!?」
さってと、戻ったら魔法具でも作ろうかな。
正直カエルに殺意わいてきたし、水で流してるって言ってもちょっとヌルヌルで気持ち悪いんだよね。
どうにか倒す方法考えないと・・・。根絶やしにしてやる。
「いやいや、その強力な力は俺達のような弱小パーティには向いていない。
そう、お前さんの力は俺達には宝の持ち腐れだ。俺達の様なパーティには普通の、それこそユリュみたいな魔法使いで充分すぎるぐらいだ。
それにほら、俺なんか初期クラスの冒険者をやってるぐらいだから」
・・・カズマさんもだけど、攻撃できない魔法使いになんの意味があるのでしょうか?
早く攻撃魔法を覚えないと・・・。
申し訳なくて、冒険者のパーティは組めませんよ・・・。ほんと。
あーーーレベルがほしい。
「いやいやいや、弱小でも駆け出しでも大丈夫だから。私・・・、じゃない、我も上級職だけど駆け出しだから。
それに、ユリュさんの呪術で捉えたり、さっきみたいにかき集めてもらえれば一気に倒せるでしょう?
私、まだレベル6だから・・・。
見捨てないでもう少し使ってくれれば、レベル上がれば魔法使っても倒れなくなるから。
だ、だから、ね? お、お願いだから、手を引き剥がそうとしないで欲しいです」
「いやいやいやいや、爆裂魔法一発しか使えない魔法使いとか、かなり使い勝手悪いし意味わかんないから。
ユリュの呪術で捉えたら俺だって倒せるからそんなオーバーキル必要ないし、ほとんど複数に打ち込めたのはユリュがお膳立てしたからだろうが!
くっ、魔法使いのくせに意外な握力をっ・・・!
こ、こら離せ、お前多分他のパーティにも捨てられた口だろ、
というかダンジョンにでも潜った暁には、爆裂魔法なんて狭いダンジョンじゃ使えないし、いよいよ役立たずだろ、
お、おいこら離せ、ちゃんと今回のクエスト分の金はやるから! 離せ!」
「見捨てないでください! もうどこのパーティも拾ってくれないんです!
ダンジョン探索の際には、荷物持ちでも何でもします、
お、お願い、私を捨てないでー!」
さらっと呪術が有用スキル認定な件。スキルのレベル上がるまでは動きを遅めるだけだったのに、今じゃ状態異常をかけまくれるからねー。
だいちゃんも状態異常はめんどくさいって言ってたし・・・。面倒なのね・・私。
範囲広げるとバカみたいに魔力を消費するみたいだから、予測しないと使いにくいスキルなんだけどね。
忌火のレベルが上がって、熱源と攻撃性の魔力を感知できるようになったから、モーション先読みしてるだけなんだけどね。
「やだ・・・・・・。あの男、あの女の子を捨てようとしてる!」
「隣には、なんか粘液まみれの女の人に、あんな巨大なカエル運ばせてるわ!」
「あんな女の子を弄んで捨てるなんて、とんだクズね。見て? 女の子二人は粘液ぬるぬるで、もう一人は動けなくておぶさってるのよ?
一体どんなプレイしたのよあの変態・・・」
えっ・・・なにそれ?
これ、間違いなくあらぬ誤解を受けているんですけど!?
「どんなプレイでも大丈夫ですから!
先程の、カエルを使ったヌルヌルプレ「よーし分かった! これからよろしくなめぐみん!」」
・・・・・・はぁ、誤解はといておかないと。
「ちがいます。カエルに飲み込まれかけたところを助けてもらっただけです。
私たちは冒険者なんです。
女性が普通はいかないクエストだったとしても、異常発生してる以上、討伐しなければみんなが迷惑するんです。
そんな憶測だけのうわさを立てないで下さい」
少し睨みを入れて黙らせた後、ギルドへと向かいます。大体、男性が主に受けるクエストで、異常発生した場合は、大半の男性がヌルヌルで返ってくることがあるのに。
勝手に私たちがカズマさんに変なことされたなどという噂を流されたら、恥ずかしくて臨時パーティにいけないじゃないですか!!
「・・・・・・」
「なにか言いましたか?」
「い、いやなんでもない。
アクアはカエルを納品したら、三人で早く大浴場に行ってこい。報告とかは俺がしとくから」
「できたら、カエルも持っていってほしいんですけどー」
「バカいえ、持っていけるなら持っていってるわ!」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えまして、カエルの納品を終えたら大浴場に行って汗を落としましょう?」
「ええ」
「はい」
クエストの報告はカズマさんがしてくれるみたいだし、さっさと大浴場に行ってこのヌルヌルを落とすことにしましょう。
お風呂に入っていて、ふと思った。
あれは、間違いなく女神様とだいちゃんの声だった。
理解はできないけど、彼の言葉は間違いなく聞いた・・・。
なんで?
どうして?
私の妄想?
この世界にだいちゃんはいるのか?
わからない。
でも女神様は見てくださっているのでは?
アクア? 自称女神・・・女神?
いやいやいや・・・あり得ないでしょう?
もしかして・・・アクシズ教の女神アクア様?
「はぁー生き返るわねー」
「本当ですねー」
・・・・・・ないですね。
随分と庶民的な神様なことで・・。
女神様の言葉を思い出すと・・・・・・。
・・・健康だけでは危ないかもしれませんから、才能にもおまけしておきましょう。
それから、過去を引きずることはありません。あなたには幸せになる権利があります。
だから、あなたが異世界での幸せをお祈りしておきますね。
心苦しいのですが、言わなければなりません・・・。
さあ、勇者よ。願わくば、数多の勇者候補たちの中から、あなたが魔王を打ち倒すことを祈っています。
さすれば、神々たちからの贈り物として、どんな願いでも叶えて差し上げましょう。
・・・・・・・ですが、無理することはありませんよ? あなたはあなたの幸せな人生を送りなさい。
そう言っていた。
魔王・・・。
私には無理と言っているに等しい。
・・・・・・運動ができなかった私と違って、今の私は少しだけどきっちり動くことができるようになっています。
無理のない範囲で、魔王を相手取る方がいいのかもしれません。
女神様。私に力と勇気を与えてください。
「・・・・・・」
「・・・ふふ」
なんでアクアは微笑んでいるのでしょうか?
まあ、いいや。・・・・・・女神様に感謝の祈りを捧げます。
「ユリュ、そろそろでましょう。カズマを待たせすぎてもいけませんし」
「あ、はーい」
その言葉と共に、思考と祈りを止めてギルドへと足を運びました。
「なあ、ユリュ。
ホントに固定でパーティ組めないのか?」
大浴場から戻って、クエストの精算を終えたカズマさんと合流するなり、また聞かれました。
「・・・何度も言いますが、固定でパーティは組めませんよ」
「こっちも何度も言うけど、こんな駆け出しな上に、爆裂魔法しか使えないぶっ倒れ娘が入ったパーティに・・・誰も来ないと思うんだよ」
「おい、言いたいことがあるなら明日言い値で買いますよ!」
・・・・・・うーーーん。さすがに、なー。魔法具の生産は生活かかってるしなー。拠点のためにもお金稼いどきたいのよね。
そのためにもレベルは上げたいわけで・・・。
だいちゃんだったらどういうだろう?
無理だってはっきり言う?
事情説明?
うーーーーん。
「おっユリュ。明日暇ならゴブリン狩り手伝ってくれないか?」
「あら、テイラーさん。明日はま「待って下さい、今私たちが話してる最中なんですよ」
ダストのパーティリーダー『テイラー』。
私をカエル討伐以来、ダストと一緒に結構誘ってくれる。リーンさんとは仲良いと思うし、一匹は獲物をくれるから経験値にはなるんだよね・・・。
個人的には、行きたいのは山々なのですが・・・。
「何を言っている?
我らが天使ユリュは明日に我ら『オリシュ同盟』とグリフォン退治の予定なのだが?」
「・・・あのダイドウジさん、いい加減・・・天使さまに失礼なのでやめてはもらえませんか?
それから、グリフォン退治は無理です。死んでしまいます」
恐らくは日本人のパーティ。オリーブ同盟の副リーダーダイドウジマコトさん。
故あって、ルナさんに迷惑をかけていた人で、
俺はオリーブなんだー! と意味不明な事を口走る中二病な人だ。
元々の異世界では旅行中だった時なのか、アロハシャツを着ていた私より身長は高そうだけど、年齢的には同い年かちょっと下かと思っている。
だいちゃんの言うとおり、恩を売るために手数料を出したら・・・それ以来ストーキングしてくる変な人たちで、結構ここらのモンスターに苦戦してて、目の前で死なれると寝覚めが悪いと・・・祈りで回復したら・・・とうとう天使呼ばわりする人が出始めたマジやばい集団だ。
唯一の例外は・・・リーダーであるスメラギさん。
彼には恩があるのだが、他の人たちには正直迷惑ばかりかけられている。
私が天使だったらその内、神罰とか与えそうな人たち。
まあ、天使じゃないからそんなことはない。
「断る。我らが天使に、天使と呼んで何が悪いか!?」
「悪いわよ。ユリュが嫌がってるじゃないの!
毎回ユリュにおんぶにだっこで恥ずかしくないの?」
ダイドウジさんの言葉に、リーンさんが噛みついている。
因みに、テイラーさんたちとオリーブ同盟さんたちは仲が悪い。私が固定を組むともれなくオリーブ同盟(リーダーを除く)が変なことをしてくるのが間違いないのだ。
はぁ・・・・・・めんどくさい。
結局、このチームのどちらに入っても、支援がメインになって経験値は稼げないからレベルがあがりません。
・・・・・・お金にはなるので、いいんですけどね。
「・・・つまりはこういうことです。カズマさん。
私が固定を組めば、とても、とてーも・・・面倒なことになるんですよ」
「・・・・・・ユリュも苦労してるんだな」
「ええ、カズマさんにはアクアさんがいますので回復は必要ないかもしれませんが、
ここで飲んでたり食べたりしてるときなら、傷を癒すことくらいならできますよ?」
「おお、それは助かる・・・ありがとうユリュ」
同情にも似た視線を受けたけど、こっちにも同じような視線を返しておこう。
「おいおい、リーン。落ち着けって。」
「マコト落ち着け」
抑え役の二人が出てきたから安心しておこう。
でも、最近呪術のスキルレベルアップの影響で少しずつこういうの増えてきたんだよね・・・。
あーホント固定組みにくい・・・。
ホントにアイツらめんどくさい。
だいちゃんーたすけてーー。めんどくさいー。
私の蒔いた種だけどさー。
「ようこそ嬢ちゃん! 地獄の入り口へ!」
どんな地獄じゃ!
ガチャン
扉の開く音と共に、少し笑いながら入ってくる。
頬に小さな刀傷がある、ちょっとスレた感じだが明るい雰囲気の女性と、
ガチガチのフルプレートメイルを着込んだ金髪ロングのお姉さん。
笑いながら入ってくる女性と、騎士然としたクールな女性は友人でもある。
「大変そうだなユリュ」
「ヤッホーモテモテだねぇユリュ」
「・・・見てたなら助けてくださいよクリスさん、ダクネスさん」
明るい雰囲気の女性は、エリス教徒で盗賊なクリスさん。
教会で祈りを捧げようとしてたら、教会前でばったりあったという盗賊らしくない? 人だ。
盗賊として、ダンジョンアタックなどに参加させてもらったり、
騎士然としたクールな女性・・・ダクネスさんとは経験値を渡すためにわざわざ獲物を残してもらったりとかなり恩のある人だ。
すっごくクールでかっこいいなーあこがれちゃうなー。いつかああいう風になれたらいいなー・・・。
「いやいや、自分の蒔いた種は自分で刈るべきだよ?
前だって初心者にたかられたじゃない。
助けてあげるのは良いことだけどさ・・・甘やかすのとは違うんだよ?」
「・・・仕方ないじゃないですか、
目の前に困ってる人がいて見捨てられないんですよぉ・・・。
それに悪い人たちじゃないから、余計に見捨てられないんですよぉ・・」
「それで、自分が倒せないんじゃ本末転倒だよ?」
「うう・・」
違うんです。私が非力すぎてまともに倒せないんです。現状だと、呪術で毒殺(経験値入らない)か、傷にダガーをぐりぐりするぐらいしか倒せないんですよーー。
「レベルが心配なら御安心ください。
我らが天使ユリュ、我らオリシュ同盟と共に戦えばレベルなぞ・・・」
いらないわ! このエセ紅魔族どもめ。
「レベルを気にしてるなら、俺が弱らせるからゴブリンでも倒せばいいって」
毎回ホントお世話になっております。でも明日、明後日には用事があります。
「すみません明々後日までの納品依頼があるから、明日と明後日には出来る限りの予定をいれたくないんです!!
早いですが失礼しますね!」
「あらら、ちょっとやりすぎたかな?」
「いや、それでいい。
そうでもしなければ・・・」
というか、レベルレベルレベルってふざけるな!
まだ7レベルのひよっこ駆け出し冒険者の私に、いちいちそんなこと言うんじゃない!!
明々後日の依頼、正直明日かければ十分できるから明日に何かするわけでもないけど・・・納品するだけだし、ほぼ終わってるけど・・・もう帰ります。かえって寝ます!!
「今日も生きていけることに感謝いたします。
女神様に祈りを!!」
今日は納品日だし、さくさくっと持っていきましょう! 直接ウィズさんのお店に持っていくとしましょう。
今日はサンドイッチにして、ウィズさんにお裾分けしよーっと。食パンがないのは残念だけど、スパッといきましょう!
マイダガーちゃんにクリエイトウォーターをかけてから、一気に斬る。サンドイッチにはマヨネーズと卵で良いかな? それにできたら、生野菜なんだけどこの世界の野菜動くからなー。
えい! 【ティンダー】!
「ぐぎゃあああ!」
悲鳴である。ここの野菜は生きている。
もうこっちの世界で大分生きてるし、四季のある世界であることも理解できてる。
でも、まだこの野菜には慣れない。
しっかり焼いたら、動かなくなるけど・・・。
スティック状に加工した程度では普通に動くので、しっかり焼かないと。
「・・・」
「よし!」
いい感じに焼けました!
まだしゃきしゃきした歯ごたえはありますし、問題もなさそう。
パンの大きさにちぎって・・・挟んでサンドイッチのできあがりー!
さあ、数作ろっと!
よしご飯も食べたし、元気に納品と致しましょう!
「おはようございます! ウィズさん」
「あ、ユリュさん。おはようございます。
経過は順調ですか?」
魔法具店の店主ウィズさん。
元冒険者で、凄腕のアークウィザードだった人で、
お店を持っていて、一人で切り盛りしてる・・・そんな感じの人だ。
私の魔法具作成スキルで、ウィズさんのお店に商品を納品させてもらっている。
でも、触れたら爆発する薬品とか誰が使うんだろう?
あと、このダイエット器具という名の殺しのチョーカー・・・。
普通に高級すぎるほどのマナタイトもすごい。
そういった棚もあれば、私が作った祈りのスクロールに、フリーズの魔法が込められたスクロール。
魔力を込め続けることができるのなら、冷凍魔法をかけ続ける冷凍庫・・・。
不思議な魔法具なども置いているし、結界魔法を展開する魔法具といった・・・できたらいつか手にしてみたいような最高級品までおいてあるお店だ。
そう宣伝しておきましょう。
欲しいものがございましたら、ぜひウィズ魔法具店へ!
「はい、順調ですよ。
これが呪術のスクロールでこっちが祈りのスクロールです。
最近覚えたての忌火のストーンがこれです。
コチラが差し入れのサンドイッチです」
「わあ! ありがとうございますユリュさん。今日のお昼にしますね!」
私の魔法具作成のスキルは、空のスクロールや材料などに魔法やスキルを込めることができる。
スクロールは声に出して読まないと起動しないこと。
ストーンは発動対象にストーンをぶつける、または発動対象が設定されたワードを唱えなければ使用できないのです。
特にストーンは、一度使えば砂になるし、同じワードを設定すればそのに全部が発動してしまうため、試し用としてしかウィズさんには渡せません。
スクロールは見聞して、ウィズさんがスラスラと黙読していきます。20ずつで40もあるスクロールを手早く読み終えてストーンに手を伸ばしました。
10個のストーンはゆっくり一つ手に取って、それほど時間をかけず微笑みました。
「・・・・・・はい、確かに良い出来です。
では忌火のスキルは、次の依頼までに決めておきますね」
スルスルとスクロールをまとめていくウィズさん。
まとめ終えると、少しほっとしてお金を・・・。
また20万エリスだしましたね!?
「・・・・・・ウィズさん。毎回思いますが、私が貰いすぎですよ!
初心者の作るスクロールに、こんな高額は!」
「何を言っているんですか! 本来は私が貰いすぎなんですよ。
通常、スクロールは高価なモノなんです。初心者でも、魔力を込めることなく魔法を使うことのできる魔法具なんでから!
それに、ユリュさんのスクロールはオリジナルのモノです。スキルも唯一のスキルなんです。需要は高すぎるぐらい高いし、呪術のスクロールなんか置かれる度に売り切れるほどなんですよ!?」
だとしても! だとしてもぉおおお!!
絶対にダメです!
「ダメです! 2万エリスもあれば生活には困りませんし、十分ですから!
紙も私が作成してるし、原価は全くかかってないので受け取れません!」
「なら、ユリュさんのスクロールの独占料として取っておいてください。
私のお店の一押し商品になっているので、借金返済のためにも!!」
「またですか!!
借金があるならなおさら、お返しします!
元々私のスクロール作成はウィズさんから教わっていて、師匠のお店に安く融通して何が悪いんですか!」
「私が教えたのは見分け方ですよ?」
「それでスキルが追加されたんですから、一緒です。それに、紙を作成するためにあれだけの道具まで用意して貰ってるんです! なおさらその分はお礼として受け取ってください!」
ウィズさんは、私がお金がなくて困ってるときに、色んなことを教えてくれたり、少ないご飯を分けてもらった恩人で師匠。
さらにはスクロールの見分け方を教えてもらって、それから魔法具作成スキルが新しく追加されたし、スクロールが紙で作れるならと、紙の作り方を覚えていた私のためにわざわざ道具まで買ってきてくれている。
そのお金を差っ引いて、投資と割りきって下さい。
「うう、ユリュさんも頑固ですね。
わかりました。でも、本来はもっと高く取引されるモノなんですからね?」
「わかっていますよ師匠」
渋々返したお金を受け取るウィズさん。
全く、お金がないなら素直に貰っておいてください。
恩というのは、じわじわと侵食して人を縛る鎖なんですから。
「それで、ウィズさん。
例のアイテムに関して情報は集まりましたか?」
「ああ、スキルアップポーションのことですね。
仕入れることはできませんでした。ですが、ちょっと情報だけ手に入りましたよ。
一撃熊の生き胆がスキルアップポーションの材料となるみたいです」
「・・・・・・どうあがいても一撃熊は手がでませんね・・・。
諦めます」
一撃熊・・・名前だけでわかるとは思うが、恐るべき一撃を与える熊で、
ビギナーな冒険者の私では相手をすることすら不可能なほどのモンスターです。
なぜ駆け出し冒険者の街と言われるアクセルの街で、どうやって見つけろというのか・・・。
色々な点で無理なモンスターです。
ん? というか一撃熊? なんかどこかで文字を見た気がする。
気のせいかな・・・?
この世界はホント楽しい。
生きているって自由って感じがすごく・・・嬉しい。
あんな私でもできることがある。こんな私でも笑っていられる。
何もできなかった。何もできることがなかった私が・・・。
だいちゃん。私は今はもう大丈夫です。
あの時みたいに、バカな真似はしません。
ねえ、女神様。私、女神様のおかげで今はすっごく楽しいんだ。
ありがとう、でもごめんなさい。
私はそれでも寂しいんだ。
だいちゃんがこっちに来てくれたらって本気で思っている。
でも、こっちに来てほしくないとも本気で思っている。
だから、だから・・・・・・。
御恩返しという訳ではありません。
報酬目当てな私をお許しください。
私が魔王を倒します。
必ず、倒します。
そんな私で良ければ・・・・・・見守っていてください。
女神様に感謝を、祈りを。
この世界って著作権ってすごく大事にされてる世界なんだって。
スキルで簡単に覚えてしまうから新開発する人のやる気の為だとか・・・そんな感じでまた聞きしたのでさらっと入れました。
本来なら、本文に入れないといけないんだけど、かなり難しい。
一人称だし、仕方ないね。
そして、地味に出してみたオリジナル軍団。
その名もオリシュ同盟。
単純に転生者軍団である。詳細は今は想像にお任せします。
さくっと原作キャラクター大集合させました。
え? 大事な方が数名いない?
おかしい・・・・・・必要な人は全部出したはず。
おや? 誰かが来たようだ・・・・・・。