IS学園での物語   作:トッポの人

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第20話

 放課後開催の織斑との特訓を近距離担当と遠距離担当に任せて、俺は昨日やらなかった整備をするため整備室へ。

 合計で四十秒間リミット解除していたため、整備にはそれなりの時間が掛かるだろう。

 

『春人、春人。実は虚にお願いがあるんだけど』

 

 ほう……実は俺も布仏先輩にやって欲しい事があるんだ。まぁいい、先にミコトから言っていいぞ。

 

『うん! あのね、あのね! ラファールに尻尾付けよ!』

 

 鼻息荒く興奮した様子で提案してきた内容は中々とんでもないもの。

 ラファールに尻尾。そう聞いてまず浮かんだのはとある狼の王様の名を冠する機体。最後は惨たらしく殺されたものの、それまでは無双していたから良く覚えている。

 

 それが俺のラファールに付けるとなれば、ISの操縦もやって、尻尾も動かすようになる。

 ……うん、扱いきれる自信がない。やっぱすげぇよミカは。初陣で完全に使いこなしてるんだもん。度胸もあるし、嫁さんからハーレム許されるし。

 

『私がサポートするから! でもね、本当にやりたいのはそうじゃないの! ふんすふんす!』

 

 口でふんすふんす言うとかあざといな、さすがミコトちゃんあざとい。

 

『本当にやりたいのは右足にその尻尾を巻き付けて飛び蹴りなのです! 蹴ると同時に尻尾で突くのです!』

 

 いや、IS相手に飛び蹴りって難しくない?

 牽制する武器すらないのに。ていうか何で尻尾巻きつけるの?

 

『だって、ただ蹴るよりその方がカッコいいでしょ?』

 

 オッケー……言葉でなく、心で理解した。まぁダメ元で虚さんに言ってみよう。言うだけはタダってね。

 

『で、春人のお願いは何?』

 

 よくぞ聞いてくれた。まぁ俺のはミコトみたいに意味あるような事じゃないんだ。ぶっちゃけると言っても断られると思う。

 

『そうなの?』

 

 だってリミット解除して装甲が展開された後、最後に口全体を覆うマスクが展開されるギミックが欲しいだけだからな。意味ないだろ?

 

『ああ、クウラ最終形態みたいな感じね。分かる分かる』

 

 お前分かるのかよ……。もうホント好き。

 

『ん、んんんっ!! 私も好きっ!!』

 

 えっ、何その反応。何で早口だったの? んんんっ!! って何?

 

 そんな会話を相棒としていれば整備室に着いた。扉を通れば穏やかな雰囲気から一転、どたばたと慌ただしく、騒がしいものへと変わる。

 当然だ、IS学園にあるISは全てここで整備しているのだから。更に三年生が企業就職へ向けて作った新装備とかもここで見ているらしい。

 

「あら、櫻井くん。いらっしゃい」

「……いつもお世話になってます」

「い、いえいえ」

 

 慌ただしさに呆けていると先に来ていた布仏先輩から声を掛けられる。

 正直な話、この状況で当てもなく探し回るのは中々骨が折れるから助かった。

 

「それで連絡してきたのはラファールの整備で?」

「……はい。今からお願い出来ますか?」

「大丈夫よ。まだそんなに忙しい訳じゃないから他の子も手伝ってくれると思うし」

 

 ちょっと待っててと言って他の三年生と話しに行ってしまった。

 

 これで忙しくないとかどんだけ……。少しブラックなところが見えてしまった気がする。

 

『おお、でもかなり優秀なチームが空いてたみたいだね』

 

 早速空いてる整備班が見つかったようで、布仏先輩が談笑しながらこちらへ近付いてくる。若干苦笑いなのは気のせいか。

 そしてその面々についてミコトは知っているらしい。

 

『お世話になってたからね。リュウキ達はこの学園では最高クラスの整備班だよ。ちなみに今虚と話してるのがリュウキね』

 

 どう見ても女の子なのにリュウキって名前なのか……。ま、まぁいいか。

 

 ぞろぞろと引き連れて戻ってきた布仏先輩。リュウキさんを紹介するように手を広げて口を開いた。

 

「櫻井くん、この人達が手伝ってくれるわ」

「私は悠木真、よろしくっ」

「…………こちらこそよろしくお願いします」

 

 悠木じゃねぇか、ちくしょう。動揺しちまったよ。

 

「じゃあ、悠木。悪いけど早速やりましょう」

「任せて。皆せいれーつ!」

『あっ、始まるよ!』

 

 悠木さんの号令により集まった整備班が横並びに立つ。慣れているらしく、並ぶのに時間も掛からなかったし、並ぶ姿も綺麗だ。

 ただミコトがこれから行われる事をやたら楽しみにしているのが気になる。

 

「櫻井くん、私達も準備始めましょう」

「……いいんですか? 参加しなくても」

 

 ちらりと目をやるとモチベーションを上げるためか、演説みたいなのが始まった。内容は今日は早く終わらせてデザートを食べようというもの。女の子らしい極々ありきたりなことだった。

 

「いいの。あのチーム、凄く優秀なんだけどちょっと独特というか……」

「……そうなんですか?」

「ええ、まぁ。見てれば分かるわ」

 

 言われて再び目を向ければ演説も佳境に入ったらしく、最大限盛り上がっていた。

 

「デザートという明日への活力を得るためにも、まずはこの戦場を戦い抜きましょう!」

「「「『おー!』」」」

「じゃあ、いつもの締め行くよー! せーの――――!」

 

 いや、待て。何でミコトも参加してるんだ。

 しかし、そんな事もどうでも良くなるような事を言い出した。当分頭に残るような、締めの言葉を。

 

「戦わなければ!」

「「「『生き残れない!』」」」

「ね? 分かったでしょ?」

「…………はい」

 

 えぇ……何それぇ。普通にファイト、オー! とかで良くない?

 

 物凄く物騒な掛け声で締めくくり、作業に入っていく悠木先輩達。本当に大丈夫なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かに布仏先輩やミコトの言う通りだった。あの人達と途中から来た布仏が加わった事により、いつもより遥かに早く終わった。

 人数が増えたからとかだけではない。皆が皆、やるべき事をちゃんと理解して的確にかつ、手早く終えていったのだ。その様は圧巻の一言。そんな中に入っても意外と見劣りしなかった布仏は何者なんだ。

 

『本音はラファールの改造にも加わってたからね』

 

 普段のほほんとしてるのになぁ。人を見掛けで判断してはいけない良い例なのかもしれない。

 

 さて、早く整備が終わったと言っても既に今日の織斑の訓練は終わっていた。元々今日は無理だとは思っていたから行けないと言ってて正解だったな。

 訓練も終わっていたとなれば特にする事もないので部屋へ戻る事に。

 

「……簪、入ってもいいか?」

 

 簪が着替えている可能性もあるのでノックするといつものように返事ではなく、代わりに扉が開かれる。

 そこには簪ではなく、更識会長が。仲直りしてから頻繁に遊びに来るようになったが、今日も来ていたらしい。

 楽しそうに笑みを浮かべる口を扇子で隠し、ウィンク一つしてから出迎えてくれた。

 

「おかえりなさい! ご飯にします? ライスにします? それとも、お、こ、め?」

「…………ご飯でお願いします」

『じゃあ私はライスでご飯を食べちゃうぞー』

 

 ちくしょう、選択肢三つあるようで一つしかない……!

 

「おかえり、春人」

「……簪、ただいま」

「うん、おかえりっ」

「…………」

 

 遅れてやってきた簪がもう一度おかえりと言うと微笑む。こんなやり取りが嬉しくてしょうがないのだと精一杯伝えてくれる。

 どう応えればいいか分からずに困った風に頭を掻いていると、簪は先に部屋の中に入っていき、それまで黙って見ていた更識会長が小さく唸り声をあげた。

 

「うぅぅぅ……春人くんばっかりずるい……!」

「……すみません」

「私だって簪ちゃんにあんな風に出迎えてほしいもん!」

 

 そう言われてもなぁ。特に何かしてる訳じゃないし、どうしたらいいもんかね?

 

「……ふむ」

「嫌味っぽくしちゃって……!」

「……いや、別にそんな事は」

 

 顎に手を当てて考えているとどうやら嫌味ったらしく見えたらしい。

 弁解しようとするも拳を振りかぶって飛び掛かる更識会長は止められそうにもなかった。

 

「楯無パン――――!!」

「春人? お姉ちゃん?」

「っ!?」

 

 楯無パンチが俺に炸裂する寸前、部屋に入ってこない俺達を不審に思った簪が奥からひょっこり顔を覗かせて呼び掛ける。

 するとまるで止められそうにもなかった更識会長が自ら拳を止めるも、飛び掛かる勢いだけはやはり止まりそうにない。

 

「よ、っと」

「は、う、え……!?」

 

 避けると悲惨な事になりそうだったので正面から受け止めると、更識会長がみるみる赤くなっていく。 直ぐに離れるも、簡単には治りそうにもない。

 それもそうだ。途中まで振りかぶった腕と合わせて情熱的な感じに抱き着いてるみたいになっていた。その恥ずかしさたるや凄まじいものがあるだろう。

 

「春人……?」

「ごめんなさい、悪かったです、すみませんでした、許してください」

「はわわ……!」

 

 すみません、すみません。本当に僕がいけなかったので、瞬きひとつしないでじっと見るのはやめてください。

 まさか帰って来て早々に土下座する事になるとは思わなかったぜ……。ていうか、はわわって言ってる人初めて見た。

 

「あんた何で土下座してんの……?」

「……鈴か」

「へぇー。顔も見ないで良く分かるわね」

「……まぁ、な」

 

 偶々通りがかったのか、鈴が呆れがちに訊いてくる。顔も見ないで誰か判断出来た事に驚いていたが、あまり誇れるものではない。

 声だけで声優さんが誰なのか分かるというダメ絶対音感のおかげなのだから。

 

「……何か感心して損した気がするわ」

「……だろうな」

『やす鈴』

 

 やっぱすげぇよ鈴はを略すんじゃない。

 でも本当に凄いな、何でそんなに分かるんだろ?

 

「なぁんか言いたそうね。でも先にちょっと話したい事あるんだけどいい?」

「……構わない」

「何の話するの……?」

 

 何を疑っているのやら、まだちょっと怒っている様子の簪様が何を話すのかと追及してくる。

 

「ああ、別に簪の心配するような話じゃないわよ」

「本当に?」

「んー、疑われるのも嫌だし一緒に聞いてもらおうかしら。いい?」

「うん、どうぞ」

 

 そうして何やら話がある鈴を部屋に入れる事に。さっきの話し方からするにどうやら俺に用があるみたいだがなんだろうか。と、その前に。

 

「……更識会長、入りましょう」

「……はっ! え、ええ、そうね! そうしましょう!」

 

 未だ固まっていた更識会長に話し掛けると漸く稼働したようで、そそくさと部屋に入っていく。

 

 鈴は簪のベッドに腰掛けたので、真向かいの俺のベッドに腰掛けると何故か簪もこちらに座ってくる。しかもピッタリくっついている。気になってしょうがない。

 

「むぅ……!」

 

 更識会長、睨み付けるのはやめてください。俺からしてる訳じゃないので。

 

「えっと、話してもいい?」

「……ああ」

 

 真向かいに座った更識会長からの視線に耐えていると鈴が切り開いてくれた。俺としてもこの状況はどうにかしたかったので願ったり叶ったりだ。

 

「じ、実は――――」

 

 そうして話し出されたのは結構今更な事だった。要約すると鈴は織斑が好きで、恋人になりたいと。しかし、ツンデレな性格が災いして中々進展出来ない。

 

「さっきも昔の約束で一夏に嘘吐いちゃったし……」

「昔の約束って?」

「あの、その……」

 

 すっかり復活した更識会長が話を引き出していく。実に慣れたものだった。

 昔の約束について聞かれると鈴はもじもじとてぽつりぽつりと話し出す。

 

「前に日本にいた時に親が中華料理屋やってて……一夏が結構食べに来てくれて……」

「結構ってどれくらい?」

「ほぼ毎日。少なくて週五くらいだったと思います」

「あ、ああ、そうなんだ」

 

 いや、多いな。バイトじゃないんだぞ。更識会長もリアクションに困ってるじゃん。織斑も結構分かりやすいな。

 

「で、そんなに来てくれるから一夏に酢豚で良ければ毎日作ってあげるって……」

「それってもしかして毎日味噌汁を作ってあげるって的な意味で?」

「……………」

「「あー……」」

「…………そうか」

 

 はっきりと言葉に出されて恥ずかしそうに俯く鈴。それでも頷いて肯定する姿に更識会長と簪が何とも言えない声が出る。

 

 分かり辛くてしょうがないよ! そんなん今時日本人でも言わないよ! 鈍感の織斑が分かる訳……ん?

 

「……さっき嘘吐いたと言ったが、つまり織斑はちゃんと理解していたのか?」

「春人、それは多分無理」

「幾ら何でも……ねぇ?」

「う、うん。ちゃんと分かってた」

「えぇ!?」

「嘘……」

 

 まずい事になってきた。薄々気付いてはいたが、どうやら織斑は完全に鈴の事が好きなようだ。箒応援委員会会長としてはこれはまずい。

 

「……何て言ったんだ?」

「ただ料理が上手くなりたかっただけだって。誰かに食べて貰った方が美味しくなるから……」

「……織斑の反応は?」

「えっと、そうだよなって笑ってた……」

「……そうか」

 

 きっと織斑は今朝みたいな反応をしていたんだと思う。落ち込んだのを無理矢理隠すような、そんな笑いだったんだ。

 多分鈴もそれに気付いててこうして落ち込んで――――。

 

「私、多分一夏に嫌われてる……」

「「「『えっ』」」」

「な、何よ?」

 

 しょんぼりと俯いていた鈴だったが、俺達が声を合わせて驚いた事に思わず顔をあげて三人を見る。

 

 ステイステイ、どういう事?

 

「何でそう思ったの?」

「だって一夏に酷い事ばっかり言ってるし……最初の頃はフランクだったのに今は何か緊張してるし。まぁ、それは私もなんだけど……」

 

 自分が今まで何を言ったのかを思い出して再び落ち込む。

 

『この名探偵ミコトちゃんの推理では、一夏も鈴の事好きだから緊張してると思うんですけど』

 

 それ正解だわ。さすが名探偵だぜ。

 ていうか、得意の読心術はどうしたんだよ。

 

「……織斑が何を考えているのかは分からないのか?」

「多分悪く思ってないくらいとしか……でもこればっかりは私の勘も自信ないのよ……」

 

 読心術だと思ったら酷く曖昧なものだった件について。でもそれで俺の考えを的確に当ててきたんだから馬鹿には出来ない。

 

「だからお願い! 私と一夏の仲を取り持って欲しいの!」

『出ました、春人のブロックワード』

 

 お願いやめて、それ言われると……はっ! おね、がい……?

 

『自ら言っていくぅ!』

 

 だが、真面目に考えると困ったなこれ。

 箒に応援すると言ったが、鈴も応援して欲しい。しかし、願いが叶うのはどちらか一人のみ。どうしたらいいんだ。

 事情を知っている簪と更識会長も目でどうするのかと訊いてきている。

 

『まぁ、真面目に答えると箒に相談してオッケー出たらでいいんじゃない?』

 

 そうだな、俺一人の話ではないからな。箒に相談してダメだったらダメで行こう。

 

『でもこのままだと箒負けるよ……?』

 

 何だ、知らないのか。ギャンブルの醍醐味は最後に一発大逆転だぜ。

 

『それ逆転出来ない人が言う台詞ですよね』

 

 うっせ。

 

 とりあえず話は纏まった。

 考えると言ってこの場は収めて、箒にもこの話を聞かせる。その上でどうするかを決めよう。

 

「……時間も時間だ。明日答えを出す」

「分かった……。良い返事期待してるから」

「ま、どっちにしてもおねーさんにも相談なさい。きっと力にはなれるわ」

 

 そう簡単には決められないと分かってくれたようで、あっさりと鈴は引き下がる。

 就寝時間が迫ってきたのもあって更識会長もいなくなる。あっという間にこの部屋には俺と簪だけとなった。

 

『ふわぁ……私にしては結構遅くまで起きてたなぁ……もう寝るね』

 

 ああ、お休み。良い夢を。

 

「賑やかだったね」

「……そうだな」

 

 ミコトが寝て余計に静かになったが、やはりピッタリとくっついたまま簪は話し掛けてくる。全然離れそうにないし、離れてもまた元通りになる。

 

「……もう寝る時間だぞ?」

「ま、まだ寝ない」

「……何かあるのか?」

 

 就寝時間を過ぎて明かりを消そうとも離れようともしない。さすがに不思議に思って訊ねれば、簡単に分かった。

 

「今日はその……深夜放送のアニメがあるから……」

「……そうか」

「櫻井、更識、うるさいぞ。静かに寝てろ」

 

 近くに織斑先生がいる事が分かっていたから小声で話していたが、ノックされて扉越しに注意される。聞こえていたみたいだ。

 

「……すみません」

「すみません」

 

 相手は先生だ。しかも織斑先生となれば逆らうのはおかしいというよりも命知らずでしかない。

 二人で素直に謝って、鬼が過ぎ行くのを待ってからゆっくりと顔を見合わせた。

 

「怒られちゃったね……」

「……そうだな。でもアニメ見るんだろう?」

「一緒に見てくれる?」

「……簪だけを不良にはさせないさ」

「うんっ」

 

 嬉しそうに頷くと俺のベッドで肩を寄せ合いながらその時間まで待つ事にした。離れても直ぐにくっつかれるからね。

 

「あっ、春人」

「……ん? 何――――」

 

 裾を引っ張られて呼ばれたので振り向いてみれば、簪は立てた人差し指を口に当てて、まるで子供に言い聞かせるようにこう言った。

 

「しー……だよ?」

「えっ――――」

『うぅん……? 何でアラーム鳴って――――うわぁぁぁ!? 春人なんで死にそうなの!?』

 

 何ていうか、心が浄化されたようなそんな清々しい気分だ。最後に良いものが見れた気がする。天使はやっぱり天使だったんや。

 

『何々、どういう事!?』

「は、春人? 大丈夫?」

 

 近くにいるのに二人の声が遠くから聞こえる。それが不思議だったが、感じる心地好さに次第にどうでも良くなっていく。

 

「おい、うるさいと――――何だこれは」

「お、織斑先生! 急に春人が胸を抑えて……!」

「櫻井が? どうした、返事をしろ」

 

 騒ぎを聞きつけて部屋に入ってきた織斑先生が声を掛けてくる。何とか俺は大丈夫だと応えなくてはいけない。

 

「……大丈夫だよ、遠坂。俺もこれから頑張っていくから」

『それ大丈夫じゃないやつだよ!! あと色々台無しだよ!!』

「遠坂って誰だ。おい、遠坂って誰だ!? 変な幻覚を見るな!」

「え、え? 春人!?」

 

 その後、何とか復活したあと聞いた話では部屋に入ってきた織斑先生も困惑するほどだったらしい。とてもじゃないがアニメなんて見る空気じゃなかった。

 

「……そういえばどんなアニメを見るつもりだったんだ?」

「ショタが好きすぎる人が転生して自らがショタになる話」

 

 何だその業が深すぎるアニメは……。


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