Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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ローマ編もいよいよ大詰め。壮絶なバトルが君を待っている………と、思うだろ?


ローマの対局

「よくぞ来た…と言いたい所だが、どうやら私に反旗を翻す道を選んだようだな」

「その通りだ。誉れ高き神祖ロムルスよ…余は貴方に刃を向ける。今・過去・未来であっても皇帝は余1人で充分だ!」

 

玉座にて座すロムルスに対し、ネロは臆する事無く剣を向けた。だが、座したままの彼は俺達の顔をそれぞれ見て…その視線がアルトリアに集中した。

 

「なるほど…神の槍を持つ者か。だが、人の殻に納まったままであるか……」

「どういう事ですか…?」

 

アルトリアがその言葉に首を傾げるが、ロムルスの顔は晴れやかだった。

 

「安心せよ、其方は俗世に染まりし者。その心臓は神域に至ってはおらん」

「……?」

 

クク…駄目だ…。シリアスなシーンの筈なのにアルトリアが全く理解出来てない。コテンと首を傾げる顔はじわじわ来る。

 

「そのうち分かる日が来るであろう…」

「すみません…理解が出来ませんでした」

「敵に頭下げるなよ!?今は戦いなんだぞ!」

「───はっ!?すみません!マスター!」

「ぷっ───」

 

そして、アホ面を晒して正気に戻る辺り俺はロムルスの言っている事を理解出来た。ウチのアルトリアはポンコツだ。確かにロンの槍自体は神の槍と持て囃されている品だが、アルトリア本人は恐らく「攻撃手段の1つ」程度の認識なのかもしれない。

 

「では改めて…覚悟しろ。ロムルス…!」

「良いだろう。許す。私の愛…お前の愛で見事蹂躙してみせよ!!!」

 

ロムルスの気迫が増大する。後ろの壁がぶち破られ、中から現れたのは奇襲中に何度か相対した岩のゴーレムだった。

俺は後ろに下がり、アルトリアとモードレッド、そしてネロは武器を向けた。

 

「行くぞ!父上!ネロ!」

 

開幕から宝具をぶっ放したモードレッドのビームに沿うようにアルトリアとネロが駆け抜ける。屋内での戦闘だがジルとの戦いでそれは慣れていた。おまけにロムルスの想定クラスはランサー。セイバーのモードレッドかネロで当てればまだ希望がある。だが、残りのゴーレムはバーサーカー属性…。なので力のある者がゴーレムと対峙しなければいけない。そして、ネロがロムルスとの一騎打ちを願い出た為、消去法でブリテン親子がゴーレムの迎撃に当たる。

モードレッドの宝具によってゴーレムの体が消し飛んだが、それを盾にやり過ごしたロムルスがネロに襲い掛かる。

 

「父上!あと一体を潰すぞ!」

「はい!」

 

モードレッドとアルトリアがゴーレムを次々と解体していく。

その一方で、ネロとロムルスは壮絶な打ち合いをしていた。タイプ相性なぞ関係ねぇといった風に2人の戦いは熾烈なものだった。だが、その決戦は……

 

「ぬぅっ!?」

「───はぁ…!はぁ…!」

 

ロムルスの突きを見切ったネロの一撃により終了した。

 

───

 

「眩しき愛だ…ネロよ。永遠なりし真紅と黄金の帝国は全て其方とその後の者達に託す。忘れるな──ローマは永遠である」

 

ロムルスは満足げに辞世の句を詠んで消滅した。大きく溜息を吐く一同であったが、その時…声が聞こえてきた。

 

「───よくぞ、ロムルスを倒した…と一応は褒めてやろう」

「テメェは…レフ!」

 

緑色のスーツとシルクハットを被った変態オヤジ…レフが姿を現した。

 

「あやつが宮廷魔術師か…そして携えておるのが聖杯か」

「宮廷魔術師が主を助けず見捨てるとは……裏切りが板に付いたようですね」

 

アルトリアは冷静にそれを詰る。

 

「フランスでの活躍は聞いているよ。おかげで私は大目玉だ…子供のお遣いすら出来ないのかと王から追い返され、こうしてここで暗躍させてもらった…という訳さ」

 

ちょうどそのタイミングでガウェイン・ベディヴィエール・トリスタンが駆け付けてきた。全員殆ど傷を負っていない。俺はレフに対して切り返す。

 

「暗躍?召喚したサーヴァントを間違えた所為で尻拭いする羽目になった阿呆が何言ってんだ」

「ほざけカス共、凡百のサーヴァントを幾ら搔き集めようがこのレフ・ライノールに勝つ事など夢のまた夢!」

「───今のでブチッと来た。目的なんざ関係ねぇ…テメェはこの場でぶちのめす!!!」

「それも良いだろう。哀れにも消え逝く貴様達に…今、私が、我々の王の寵愛を見せてやろう!」

 

そう叫んだレフは突如、ガリっと自分の歯で舌を噛み…その血を聖杯に垂らした。そして、ブツブツと魔術を詠唱した直後、レフの肉体が膨れ上がった。そして、その肉が破裂した瞬間…巨大な肉の柱が聳え立った。

 

「なっ!?なんだあの怪物は…醜い……あまりにも醜く過ぎる!」

「この桁違い魔力…間違いねぇ…!ヴォーティガーンに匹敵する!!!」

「クッ…!」

 

“改めて自己紹介しよう!我が名はレフ・ライノール・()()()()()!!!”

 

「フラウロス…!」

 

“フハハハハハハ!!!コレが我が王から与えられた寵愛そのもの!怯えろ…絶望しろ…この圧倒的な暴力の前になす術無く死ぬがいい!!!”

 

「円卓の騎士達!今こそ結束し魔神フラウロスを撃破しろ!」

 

円卓の騎士達にそう叫ぶと、円卓の騎士達とアルトリアは勝鬨をあげた。ネロもそれに混ざり剣を掲げた。そして、一斉に襲い掛かった。

 

「美味そうなグミだな!一個ずつ抉り抜いてやるぜ!!!」

「同意です!そのお目目をくり抜いたらご飯に添えて食べてあげましょう!」

「───私は悲しい。ピクト人より愚かな者が居るとは…」

「我が王よ、あの目玉は食べられません。食中毒になります」

「無駄口を叩く暇があるのなら剣を振るいなさい!」

「流石は誉れ高き騎士共だ。余も負けておれん!」

 

───正直、レフの方が押されている気がするのは気のせいか?剣とか槍とか音の矢とかで一方的に目を引き裂かれてる様はなんか痛々しい。

 

「ぬぉぉぉ…!何故そこまでの力をォオオオオオオオオオ……!」

 

うーん…なんか拍子抜けだったなぁ……弱くね?攻撃も全体狙いとか舐めてんの?

 

「いい加減ッ───」

 

アルトリアがロンの槍を投擲、槍をフラウロスの肉に突き立てた瞬間、鈍剣を引き抜きながら急速接近しさらに剣先を突き刺す。

 

「黙れッ!!!!」

 

そして、そのまま満身を込めて横に引き裂き両断した。引き抜いた拍子に鈍剣が過負荷により砕けた。

 

「ッ───!?」

 

俺達はその時のアルトリアの表情を今でも覚えている。敵が正面にいるのにも構わず、ドゥン・スタリオンから飛び降りて必死に欠片を搔き集め始めたのだ。

 

「父上!──ちっ!父上をフォローするぞ!!!」

 

まだ動いているフラウロスをトリスタンが宝具により徹底的に攻撃し続けた。やがて、奴の目が濁り動かなくなった事を確認した後でアルトリアを確認すると、破片を袋に入れて戻って来た。

 

「アルトリア」

「すみません…」

 

叱ろうかと考えていた時、フラウロスが溶け始め…中からレフが出て来た。どうなってんだアレ?

 

「ふむ…神殿から離れ過ぎた故……この程度の力しか出せないか」

「今更泣き言か?早く手に持ってる聖杯と有り金全部寄越せ。そうすりゃ許してやる。あ、裸踊りでもいいぞ?」

 

俺の煽りに対してレフは何故か自信満々な顔を崩していなかった。コイツ、ボロ負けした癖になんで偉そうなんだ?

 

「しかし、私とて人理焼却の任を任された身だ。何も万策尽きた訳ではないッ!」

 

レフの持つ聖杯が突然輝き始めた。コイツ…召喚する気か!?

 

「さぁ、人類(せかい)の底を抜いてやろう!私が召喚するのは………破壊神『アルテラ』!!!」

 

破壊神…?破壊神………アルテラ?

 

「一同!お下がりください!私の後ろに!」

 

何かに気付いたガウェインが俺達を後ろに下がるよう叫んだ。

 

「さぁ、殺せ!破壊しろ!蹂躙しろ!この者は唯の英霊…だがその力は───」

 

 

「──黙れ」

 

 

直後、レフの腹から何かが飛び出した。あれは……剣…なのか?

 

「え───?」

 

直後、その剣がレフを縦に一閃した。真っ二つになり、全てを理解出来なかった彼の残骸の後ろにそれはいた。

 

聖杯を体に吸収した褐色の肌の破壊神が………。




皆んなで掛かればあっさり潰せるフラウロス君UC。そして唐突に現れるアルテラ。終焉の足音が首都に迫る中、モードレッドに託されたのは馬より速いアレ!?

次回、ローマの終焉!


モ「って何勝手に予告してんだよ!?」

ダメですか!?はい、すんませんでした

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