Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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※不穏なタイトルと本文は一切関係ありません。

モードレッドがついにアレを装備する…!?


ローマの終焉

「くっ───お前ら無事か…?」

「はい……何とか…」

 

女─アルテラの姿を認めた直後に凄まじい爆発が起こり、吹き飛ばされた俺達だったが、何とか全員無事だった。

 

「───何とか…耐え切りました」

 

ガウェインを除いて。

 

「ガウェイン!大丈夫か!?」

「えぇ、なんとか…」

 

ベルクラシック帯を行使しアルテラが唐突に放った宝具らしき者を全て受け止めたガウェイン。その“肉体”に傷は1つとして無かった。

 

「わぁああああああああああ!!!」

 

つまりガラティーンを除けば一糸纏わぬすっぽんぽん。慌てて俺は近くに転がっていた盤を掴んで隠すべき所に覆いを掛けた。

 

「ふむ…伯父上より貧相な体だな…」

 

さりげなくdisるネロ。

 

「変態ヤロウ…///何やってんだ」

「ガウェイン卿……///」

「今ので台無しですね」

「─はい」

 

赤面しそっぽを向くブリテン親子。呆れ返るトリスタンとベディヴィエール。気まずい雰囲気が流れた…。

 

 

******************

 

「さてと、アルテラは何処かへ行ってしまった。恐らく奴の目的はローマの破壊に違いない…」

 

ガウェインには現地の服を着せて誤魔化した。が、アルテラは既に居らず何処かに消えていた。

 

「早駆けで間に合うか?」

「何処にいるか分からないのに!?どうしろと?」

 

早くも絶望感に満ちるカルデアチームとネロ……であったが、直後。海から何かが向かっている事に気が付いた。

 

「センパーイ!!!」

「あれは……」

 

何かに引っ張られるように飛んで来る可愛い後輩だった。彼女は地上に到達した所で減速しようと足を地に付けたが勢いを殺し切れずずっこけた。

 

「どうしたんだ…それは?」

「あ、ハイ!ダ・ヴィンチちゃんからモードレッドさん宛ての新兵器です!時間が無かったので装着して来ました!」

「新兵器…って」

 

マシュが腰に装着された謎のアイテムを外すと、重めの音と共にそれは大地に転がった。

 

「あ!それ前に頼んだブースターじゃねぇか!」

 

そういや言ってたな。カッコイイ武器が欲しいって。まさか本当に作ってたとはな……。

 

「早く装備してください。このブースターなら追い付ける筈です!」

「あのさぁ…敵の場所が分からないのに──」

『やっとぐだ男君に繋がった!』

「久しぶりだなロマン。風邪でも引いてたか?」

『違うよ!ずっと連絡しようとしてたんだけど返答が無かったんだ!』

「───すまん、通信で相手に探知されると思ってブロックしてた」

『ダメでしょう!!!何事も大事なのは「ホウ・レン・ソウ」なんだよ!?』

 

ロマンのお叱りはスルーして、俺はモードレッドの腰アーマーをテールブースターに換装する作業を行った。大型のブースターの先端には穴が開いており、完全にロボアニメに出るアレだった。

 

「よし、換装完了だ!ロマン、敵の座標をモードレッドに送ってくれ!それで追い付く!」

『だから───え!?わ、分かった!座標を送るよ!』

 

ロマンも素早く座標を提示してくれた辺り有能だ。あとはモードレッドに任せるとしよう。

 

「モードレッド、先行してアルテラを抑えてくれ!俺達も後で追う!」

「了解!」

「モードレッドさん、移動方法は『頭の中でイメージ』して下さい。そのブースターがサポートしてくれます!」

「なるほど…!」

 

モードレッドはゆっくりとロボアニメにありがちな発進のポーズをした。

 

「モードレッド、いっきま───」

 

直後、ブースターが暴走して彼女は頭からずっこけた。

 

 

 

 

 

 

「ごめん!仕切り直し!仕切り直ししてくれ!もう一度やらせてくれ!!!」

 

と顔を真っ赤にして抗議したので、それに応え改めてポーズを取らせた。

 

「イメージだイメージ……よしっ!モードレッド、目標を駆逐す───」

 

その瞬間に、テールブースターに引き摺られるようにモードレッドは地上を走り出した………。

 

「───よし!俺達も追うぞ!全員馬に乗れ!」

「先輩!私は───」

「マシュ、お前徒歩な」

「酷いッ!?」

 

 

******************

 

「ぅぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

凄まじい速度の中でモードレッドは何とか体勢を整えコントロールに成功していた。ホバー移動は走るより馬より速く彼女を運んでいるが、その正面にゴーレムがいた。しかもスクラムを組んで道を塞いでいた。

 

「ヤバッ!?これどうやって減速すんだ!?」

 

慌てて減速しようとするが、間に合わない。モードレッドはクラレントを手に大声で叫んだ。

 

「そこをどけぇえええええええええええええええええ!!!」

 

その時、テールブースターから勢いよく何かが発射された。硝煙と薬莢が吐き出され、撃ち出されるそれの正体は「銃弾」。毎秒10発の機銃が掃射され、正面のゴーレムが蜂の巣を経て木っ端微塵になった。スクラムを突破したモードレッドはようやくアルテラを視界に捉えた。

 

「ようやく見つけたぞ!ペンライト女!」

「む────!?」

 

アルテラが振り返るか返らないかの瞬間にクラレントを振るい、通り魔の如く斬り付けた。が、アルテラも剣を振るっており、その一撃は左ブースターを破壊する。

 

「ぉわっ!?」

 

減速出来ずそのまま砂の上を転がり、なんとかモードレッドは視界に負傷したアルテラを捉えていた。神の鞭とも言われた剣を腕ごと切り落としており、ブースターの破壊はまだ命令が生きていた腕の神経によるものと推理した。

 

「これでオレの勝ちだ。大人しく負けを認めろ!」

 

クラレントを構えたモードレッドにアルテラは無表情だった。

 

「私はアルテラ…フンヌの大王…この西方世界を滅ぼす破壊の大王」

「ハッ、知るかよ!そんな事!!!」

 

右のブースターを噴かせ加速したモードレッドは再びアルテラに斬りかかった。だが、足元の自分の腕を蹴り上げ、剣を捥ぎ取るとクラレントの一撃を受け止めた。

 

「クソッ!片腕だけでこのパワーか!?」

「少女よ…なんと脆い」

 

そのまま蹴り、モードレッドを離すと剣を鞭に変形させて斬りかかった。ブースターを逆噴射しそれを回避した後、機銃で牽制を浴びせる。アルテラがそれを鞭を高速回転させて防ぐのを確認しながらモードレッドは再度インパクトを仕掛けた。

 

「フッ───!」

「読めねぇ…ッ!」

 

鞭が振るわれ、先端が硬質化したアルテラの剣をモードレッドは斬り払い、再び距離を取り機銃を乱射した。だが、突然弾が出なくなった。

 

「マジかよ…ここで弾切れ!?」

 

だが、アルテラも何発か浴びていたようで腕の切り口と共に血を流していた。持久戦に持ち込めば勝利はほぼ確定している…しかし、その持久戦が難しい状況になっていた。

 

「だが、退けるかよ!」

 

ここでブースターも推進剤が切れ使えなくなった。やむを得ずデッドウェイトと判断しパージ。クラレントを両手で握り、戦闘体勢を取る……が、その時。

 

「───っ!?」

 

音波の矢がアルテラ目掛けて降り注ぎ、再びアルテラが防戦一方となる。マスターと父上達円卓の騎士達だった。

 

「よく食い止めました!モードレッド!」

「ありがとう父上!」

 

ガウェインとベディヴィエールの連携でアルテラを挟撃。トリスタンが宝具を阻止する為の狙撃を続け完全に動きを止めた。倒れるのも時間の問題だ。

 

「マシュ、これで分かったろ?出番無いって」

「───はぃ」

 

俺の乗る馬の後ろでマシュがクソデカ溜め息を漏らした。

 

***********************

 

「ただいま帰還しました」

「お疲れ、マシュ。ぐだ男君。結果として特異点の修復は完了した。でも、次から連絡を怠らないように」

「ヘイヘイ、すんませんした〜」

 

わざとらしく肩を竦めた俺は、円卓の騎士達を連れてお疲れ様会を開催する事にした。余談だが、ガウェインはネロ・トリスタンは途中でやって来たブーティカから別れのキスを貰った為すごくニヤけていた。




以上、セプテム編でした。
余談ですが、ローマ全体に通っていたという水路には鉛が使われており鉛中毒になるローマ人が多かったそうです


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