「はっ───!?」
気がつくと私・先輩・モードレッドさんの3人は荒廃した大地に倒れていました。モードレッドさんが先輩を庇ったようでしたが、装備が壊れており、あの聖剣までもが落下の衝撃に耐え切れず折れてしまっていました。
「先輩!モードレッドさん!起きてください!ここは──」
───野営中の敵陣のど真ん中
鉄の騎士総勢20。分厚い甲冑と幅広の長剣を手にした彼らの中央にはオールバックの黒騎士がこちらを見下ろしていた。
「───怪しげな男女を発見しました。如何しましょう」
「不穏因子は排除する。殺せ」
「はっ!」
「!!!!」
私は盾を構えつつ、モードレッドさんの折れたクラレントを向けて威嚇しました。無機質な騎士達が私達を囲い、槍の柄で大地を何度も叩く。恐怖を感じるその状況で私は………足が竦んでしまいました。まるで氷上のアザラシを弄ぶシャチのように嬲られる事は間違いない。
「────抜刀、突撃」
その時、横合いから何かが襲い掛かってきました。流暢な日本語…摺り足混じりの駆け足と共に3人の侍が斬り込んでいきます。
日本刀を手に次々と甲冑の騎士をバッサバッサと薙ぎ倒しながら私達の元に向かってきます。その迫力たるや…たった3人なのに阿修羅の如き気迫です!?
「助太刀に参った。2人を連れて離脱せよ。近くで同志が待っている」
「あ、ありがとうございます!」
私に声をかけた金髪の青年に礼を言うと、微笑みで応え戦場へと戻った。3人とも獅子奮迅の活躍を見せ、次々と騎士達を死体へと転職させていきます。圧倒的…ただただ圧倒的な制圧力を以て騎士の一団は黒騎士を残し壊滅してしまいました。
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「退くか、抗い縄にかかるか…好きな方を選べ」
「見逃す?」
「貴殿には我々の存在を伝えてもらう必要がある。見逃す手段もあるという事だ」
「恥を抱えてノコノコお家に帰るか、副長の“拷問祭り満開全席”を選ぶか……難しい選択ですねぇ〜」
3人に取り囲まれる中、黒騎士は止む無く答えを出した。
「引き上げよう。命さえあれば幾らでもチャンスは巡ってくる」
「前者を選ぶか。では副長」
3人の内の1人が副長と呼ばれた男に目配せすると、それに応えた男が素早く彼に詰め寄ると
「ではこちらが我らの愛用する羽織だ。これを着ていくがいい」
「くっ…!!!!殺さず帰した事を後悔するがいい!!」
黒騎士の身包みをスッポンポンになるまで剥ぎ、上半身に羽織を被せた。
「さぁ、帰って貴殿の王へ伝えるがいい!『我らは決して屈しぬ』とな!!!」
ハハハハハ!と爆笑する中、黒騎士は屈辱に顔を歪ませて逃げ果せた。
「さて、帰るぞ。例の客人をもてなすとしよう」
その背中を見送った後、3人は戦場から消えたのであった………。
荒れ果てた地に現れたのは3人の武士であった。彼らの正体とは…そして黒騎士は明日はどうなる!?