Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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今回は日常回と見せかけてシリアスパートです。


奇襲

東の村

 

 

「今日は暫し休息を取るとしよう」

 

新撰組が帰還して来た事で俺達は漸く安心出来た。大麦のご飯が上手く炊けたし、今日は面白い料理に挑戦して成功した。早速食べてもらうとしよう。

 

「おや、これは何でしょう?」

「ジンギスカンを作ってみたんだ。流石に羊肉を調達する余裕が無かったから…その……」

「飛んでるワイバーンを狩りまくって加工した肉を使ったんだ。味は保証するぜ!」

 

今回はジンギスカンを作ってみた。まぁ、肉はワイバーンだが…焼き方はジンギスカンだ。ひよこ豆をモヤシに加工して下に敷いて蒸し焼きにする。タレも特製(製法は秘密)で作った物で、ワイバーン肉の臭みを取ったり肉に味を染み込ませることに使った。

 

「では戴くとしよう。折角だ。村の人にも振る舞おう」

「皿と椀を持ってくるように言ってくれ!」

「承知!」

 

村の人にも分けると言った薩摩は上機嫌で出て行った。取り敢えず、焼いた肉を配分してタレも少し入れて…モヤシも入れておく。炊いた麦飯も添えて…っと。

 

「じゃあ先発はこの沖田s─いたっ!?」

「阿呆、局長が先だろうが」

「はーい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、美味であった。料理好きの名は伊達ではなかったようだな」

「よかった。村の皆も満足してくれたみたいだな」

 

残ったタレを大麦とワイバーン肉の残りで炊いた炊き込み飯も好評だった。子供達も腹いっぱい食ってくれたようだし。

 

「よぉ、いい匂いして来たから戻って来たらスゲェ美味そうなの食ってんじゃないか!」

 

と言って戻って来たサーヴァント「アーラシュ」も炊き込み飯をあっという間に掻き込んでしまった。やっぱ飯を食うと元気になれる。

 

「先輩!お代わりありますか?」

「すまん、アーラシュが完食しちまった」

「酷いッ!?私一口しか食べてないのに!!!」

「あ、あったわ。モヤシ」

「」

 

 

***************************

 

次の日…

 

俺達は新撰組の臨時の屯所で作戦会議を始める事になった。結局のところカルデアからの通信を一度足りとも傍受する事が出来ず、止むを得ず「現行戦力で予備知識が無いままに戦う」事を決意した。特異点を修復するまでに発見されないのなら死んでしまうが、事態が事態だ。もう待つ事は出来ない。

 

「作戦なんだが、新撰組の努力によってエジプトの王オジマンディアスとある程度信頼関係を築けたのは大きい。彼に応援を要請して部隊を借り、そのまま一気に城へ向かう。キャメロットが頑丈且つ高い壁で囲まれている以上、これしか打開策は無い」

「オジマンディアスさんはアーラシュのファンだって小耳に挟んだこの沖田さんのお手柄ですよぉ〜いたっ!?」

「調子に乗るな沖田。話の途中だ。まぁ、こいつの言う通り、アーラシュを使って同盟要請をしたのが大きい。現在、百貌に要請し決起の時が決まり次第、即報告しに行く事になっている」

 

取り敢えず、俺達が決めるのは決起の時と確かな勝算だ。ギリギリまでその点は考えていこ───

 

 

 

「敵襲だ!敵襲!!!」

 

運命の時は刻一刻と迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「事前に用意した岩を有りっ丈転がせ。何人かは轢き殺せる上に重装騎士には突破しにくい壁となる。接近されたら避ける事に専念しろ。大振りの隙を狙って突く武器でダメージくらいは与えられる。1人の敵には複数で相手をしろ。勝てないなら数で倒せ」

 

薩摩の冷酷にして淡々とした指示により、敵の騎士団は大きく足止めを食らっていた。モードレッドも怪我を押して出動しており、撃ち漏らした敵を闇討ちで倒していた。

 

「一気に本丸を潰す魂胆か…コンチクショウ!!!」

「モードレッドさん!先行し過ぎです!一度下がって下さい!」

 

よろけたモードレッドをマシュがカバーし、宝具で防御陣を展開する。引き上げてきたモードレッドを受け止めた俺は、西の村の様子を一瞥した。沖田・土方・アーラシュ・呪腕・静謐が出動しており、遠くから見た感じでは何とか食い止めているようだ。いや、終わったようだ。

 

「よし、呪腕達が戻って来た!押し返す───」

 

その時、俺の前に1人の剣士が現れた。誰が見間違えようか…その正体はガウェインだった。

 

「ガウェイン!よかった!生きていたんだな!心配したんだ──」

 

 

 

 

 

 

だが、近付こうとした時…ガウェインの聖剣は俺の首に向けられていた。




再び俺の前に現れたガウェイン。だが、仲間だった筈の彼は俺に剣を向ける。何があったのか分からぬまま真夜中の夜明けは唐突に訪れる。次回、「不夜」。

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