Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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キャメロット編が終わった為にモチベーションとやる気が一気に無くなってしまいました……皆んな!オラに力(と文才)を分けてくれぇえええええええ!







閑話休題12…移り変わる

「父上…本当にいいのか?」

「えぇ、私自身もう戦えない事は自覚しています。最後に残った宝具ももうありませんし、これからはスタッフとして働く事に致しました」

 

帰還したアルトリアは宝具を全て失った上に霊核の大半を磨耗しており、戦える状態ではなかった。そんな彼女が選んだ道は戦いを辞める事だった。願いも果たされた…本来なら英霊の座に還ってもおかしくないが、アルトリアは大事な息子を見守りたいから残ったらしい。

 

「なんかなりたい役職はあるか?」

「今のところ、料理でも学んで調理スタッフでも目指そうかなと思っています」

「そうか、じゃあレシピのコピーを貸してやるから勉強するといい。困ったり分からなかったりしたらすぐ聞けよ?」

「感謝します」

 

そう言って自分の部屋に戻っていったアルトリアを見送った俺達は2つの部屋の整理を始めた。

 

「ガウェイン…トリスタン……すまなかった」

 

小さく謝罪の言葉を述べ、遺品を回収する。髪の毛一本も回収出来なかった為、この遺品が彼等の遺体となる。

 

「オレがもう少ししっかりしていたら……って考えていてもしゃーねーか!片付けるぞ!」

「そうだな!これも1つの区切りだ!やるぞ!」

 

ガウェインとトリスタンの遺品を整理すると、レイシフトしながら回収した木材で棺桶を作り、その中にそれぞれの道具を詰めていく。家具は最初からある為、次の住居人に使ってもらおう。

 

「これで全部か」

「よし、葬式だ……っつっても、簡易的なモンだけどな」

 

2つの棺桶の蓋を杭で固定すると、用意していた簡易熱処理場まで運び、焚べた。燃えていく遺品を全員で眺め、それぞれ思い思いに弔いの言葉を述べて部屋を出た。次は大事なイベントが待っている。

 

 

******************

 

 

「よし、同調率100%に到達。凍結解除!」

 

ロマンの指揮の下、一個のコフィンが解放された。呻き声と共に半身を起こすのは2人目のマスターにして新生新撰組臨時局長こと「薩摩 隆志」。彼の目覚めと同時にスタッフからの拍手が起こり、霊体状態から実体化を果たした沖田と土方が現れた。

 

「久しぶりの空気だ。改めてよろしく頼むぞ、『人理保障機関』の方々」

 

薩摩は2人から受け取った新撰組の衣装を身に付け、コフィンを降りた。明らかに約2世紀ほど遅れた格好の青年は、草鞋を履いた足で廊下へ出た。

 

「歓迎するぜ、薩摩」

「早速だが、新撰組の臨時拠点を設けたい。部屋はあるか?」

「あぁ、死んだ2人が相部屋だったからな。広い部屋だ。うってつけだろう」

「忝い。行くぞ」

 

新撰組の面々はさっさと居なくなってしまった。彼等には彼等なりの事情があるのだろう。今はそっとしておこう。

 

「彼等も時期慣れるでしょう。急かさず、いつも通りの日常を見せてあげれば自然と溶け込む筈です」

「そうだな!ありがとうよベディヴィエール…………!?」

 

いつの間にか隣にベディヴィエールが居た。あれ!?お前獅子王との戦いで死んだ筈──

 

「実は、レイシフトの時にレディ・ジャンヌと共に弾かれたのです。もっと早くに言いたかったのですが、結局言えずじまいで…」

「良かった…!お前の個室に鍵が掛かってるわけだ」

 

生存確認が出来た。それで充分だ。

 

「我が王は今、料理の練習をしております。見に行きますか?」

「そうだった!今何を作っているんだ?」

「カレーを」

「カレーか」

「はい」

「カレーのルーはカルデアに無いけど大丈夫か?」

「───はっ!しまった!私とした事が!!!」

 

次の瞬間、俺は駆け出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺に聞けよ?って言ったよな」

「はい……」

 

アルトリアはかなり萎縮して俺の説教を聞いていた。寸胴鍋の中では水っぽくなったカレーが完成しており、台所には片栗粉が置いてあった。上手くいかなかったらしい。

 

「しかもちゃんとカレールーが無い時の対処法もメモに挟んだよな?まさか失くしてないよなぁ?ん?」

「ごめんなさい…」

「が、今から路線を修正する事は出来るぞ。今からアドバイスしてやるからしっかり覚えろよ?」

「えっ?」

「バーカ、皆最初から上手い訳ねぇだろ?分からなかった時に俺に相談しなかった事を怒っただけで別に全否定はしてねぇぞ」

 

半泣きのアルトリアの頭をクシャクシャと撫でた俺は彼女を立たせて鍋と対峙した。

 

「片栗粉でトロミを付けようとしたんだろ?片栗粉は洋食には向かねぇんだ。使うべきは小麦粉でも片栗粉でも無くこいつだ」

「米粉…?」

「そうだ。鍋から少し水を借りてこいつで溶かすんだ。米粉は粒子が細かいからゼッテーにダマにはならない。無いなら刻んだ餅も有効だ」

「餅ィ!?」

 

コロコロと表情を変えるアルトリアと共に俺はカレーの修正を開始した。

 

「こいつを溶かして入れるだけで簡単にトロミの調整が出来るんだ。見てみ?」

「すごい…!」

「足りないと思ったら少しずつ入れてみるといい」

「ありがとうございます!」

 

アルトリアは嬉しそうに少し味見してから調合しつつ、完成したカレーの盛り付けを始めた。満足いく出来だったようだ。

 

「業務用サイズで作ったって事は皆に食わせる予定だったんだな?」

「はい…私のワガママを聞いていただいた御礼をと思いまして…」

「なら早速呼ぼう!待ってな!」

 

俺は、アナウンスを使い夕飯の時間を伝えた。

 

 

******************

 

 

「すげぇ!父上が作ったのか?」

「はい、マスターにも手伝っていただきましたが…」

「美味い!これなら父上の料理も毎日食べてみたいぜ!」

「ぇー…」

「立香の飯も美味いぜ!朝は立香…昼は父上で、夕飯は2人一緒に作る…!いつかそんなローテーションで食わせてくれよ!」

「はは///照れてしまいます///」

 

なるほど、息子にカッコイイところを見せたいというのも手伝って欲しいと言い出せなかった理由のようだ。

 

「咖喱とはまた…美味いではないか」

「マスターったら、箸で食べるなんて……あー!!!やめてください!味噌汁じゃないんですから!」

「やかましい、飯が食えんぞ」

 

新撰組の面々も満足してくれたようだ。取り敢えず、アルトリアの試みは成功したと言えよう。

 

「よし!」

 

今日はアルトリアのガッツポーズが見られただけ充分だ。カレーの味付けも悪くないしな。アルトリアの新たなスタートを俺は心の中で祝福した。




ストレス発散に四川料理店で四川麻婆を本場の味注文してヒーヒー言いながら食べて来ました。やっぱり中華は四川がナンバーワン!はっきり分かるんだね。




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