これで2度目の戦果を挙げた。
機体にまたコアを貫く矢のマークが入れられた。
おまけに扶桑から"零式艦上戦闘機五二型"3機が届けられては、夜間哨戒用の"月光"1機まで。
俺達の仕事はまだまだある。
なんせ、ここで寝泊り出来て、3食の飯だ。
これで休むなんてまず無いだろう。
実質殆ど寝ていないため疲労も来ているが何のこれしき。
勿論、ミーナ中佐にも許可を得たが「無理はしない様に」と言うのがおまけとしてついてきた。
「夜間は任せてくださいな」
「んじゃ2番席の上向き機銃は俺がやるか」
1番席の操縦はタケムラ、2番席の機銃手は俺。
夜間哨戒のウィッチはエイラ大尉とリトヴァグ中尉。
すでに出撃しており俺達はレーダー網を潜るネウロイを警戒する役目になる。
あえて言えば後衛を支持するみたいな感じだな。
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準備を終えて出撃した時、時間は時間はすでに22時になっていた。
ここ最近、ネウロイも不定期に来ると言う事で油断は出来ない。
そう言えば"アフリカの星"はまだ戻っていなかったんだっけ。
まあ良いか・・。
機内はレーダーの弱い発光で照らされる。
気象の変化で今夜は分厚い雲が水平線までに広がっていて、奇襲おかしくない最悪の状態。
<<レーダー、何か確認できますか?>>
「いや特に無い」
<<了解です。飛行続行。高度2000へ落とします>>
いや特に無いと言ったがレーダーに映る、点が自機の方に急接近する。
<<タケムラさん・・!そちらにネウロイが!>>
<<なんだ――>>
その時、雲を貫いてきたのは赤い光線。
前の操縦席は轟音を撒き散らすとキャノピーが粉々に、跡形も無い。
<<ああ!!わあああああ!>>
「どうした!?おい!」
なんてこった・・!
機内は血まみれ、レーダーの画面にも血が付着して、タケムラの右肩はあるかないかで判断が出来ずに
悲鳴を喚いている!
<<肩、肩がああ!!右肩をやられましたああああ!誰か、誰かあああ!>>
クソ!指揮官のミーナ中佐に!
「負傷者だ!誰か援軍を求む誰か!」
通信の乱れで送信さえ出来ないじゃないか!
2番席には機銃を撃つあれも無い・・いやあったぞ!
右手に零戦と同じ発射機が!
「タケムラ!操縦出来るか!?」
<<左で何とか!>>
「鎮痛剤は無いのか!?」
<<上官に貰ったヒロポンなら!>>
あのクソヤク中め・・!
「やってねえだろうな!?」
<<やる筈ないですよ!>>
「敵は恐らく上だ!高度を上げてくれ!」
<<了解・・っ!>>
<<敵ネウロイはもう1機・・。エイラと私で撃破します>>
「分った!」
畜生何て日だ・・!
<<雲の中、突入します・・!>>
いやこのままで大丈夫だ。
中型のネウロイの黒い影が雲越しに見えているからだ。
30°の上向き20mm機関砲3挺。
こいつなら装甲だって・・!
「速度を上げてくれ」
キャノピーに取り付けられた照準機をネウロイより手前に、予知撃ちをする。
大分間合いが開いたところで、
「よしこの速度を維持させてくれ」
<<わかりました・・>>
発射機に力をこめ、倒した瞬間に強い振動と、耳の傍で雷が鳴ったような砲声が響き渡る。
曳光弾が雲の中へ消えるだけで、ネウロイにどのような損傷を与えたか分らない。
「うわっ!?」
いきなり機体が不安定に!
「どうしたタケムラ、おい!聞こえてるか!?」
<<・・・・>>
座席で魂が抜けた様にぐったり・・。
まさか大量出血による意識が飛んだのか!
「1番席の操縦士、意識不明の重傷だ!誰か応答してくれ!」
「誰か頼む! 誰か!」
<<げ・・!そ・・ちらに!援軍を送っています!>>
繋がったか!?
いやまだ乱れもあるが微かに声がする!
<<ひ、引き返します・・!>>
「タケムラ!大丈夫か!?」
<<少し飛んだだけです・・!>>
機体が安定になる。
離脱しようと機体は大きな旋回で基地を目指そうとするが、問題はタケムラの体力と意識だ・・。
着陸できるまでの体力さえあればな・・。
2つのエンジンはフルパワーでこの戦域を離脱しようとする。
小さな基地が視界に入ると、機内にあったカールスラント製の"カ式信号銃"を手に、空高く銃を突き出した。
ボンと野太い音で信号弾が白い光りを放射しながら基地に伝える。
「信号弾を撃った!負傷1名!」
滑走路が見えてくる!
「脚、出したか!?」
<<・・・は・・・い>>
やばいぞ・・。
機体は上向きに滑走路へ着陸すると同時に、強い反動が伝わった。
エンジン出力も弱まり、プロペラの回転数が落ちる。
格納庫ギリギリまで機体は停止。
<<も、もう・・限界です>>
「すぐに負傷者を運び出せ、急げ!」
駆けつけた整備兵が主翼へ立つと負傷したタケムラを2人係りで運び出す。
俺はすぐに2番席から離れ、整備兵と混じっていた隊長に状況報告。
「敵の不意打ちによりタケムラが重傷。大量出血で意識不明です」
「敵ネウロイは中型で高速。索敵による油断が原因です」
「相手は電子機器をいかれさせる物だった。これは仕方が無い・・。だが今はタケムラのことだ」
怒りもせず残念な顔で俺に言った。