俺は夜間哨戒に出る前に、サーニャ・リトヴァグ中尉とこんな話をした。
ネウロイ親玉から謎の電波と声が来るという事。
「シデンさんはラバウルから来たと言ってましたよね・・?」
「ああ・・」
「今現在、ラバウルでは彼方の捜索活動が始まっています。それと遥か遠くでは銃声と爆音・・」
頭から八木アンテナ模様の魔法?を発動させたリトヴァグ中尉の話はまだ続く。
「ここの世界では何日も日が経っていますが、あちらの世界では行方不明から1時間経っています」
「ヴェネチアのネウロイの巣に紛れた雲から異世界からの周波数が・・」
もしかしたら・・?
「ネウロイの巣撃破後の数日後、異世界へ戻る積乱雲は出来ると思います」
「どうしてそんな事が分るんだ?」
「私の固有魔法は・・、遥か彼方の世界でも電波をキャッチする魔法なの」
「簡単に例えるとすべての無線や電波を聞き取るのが出来るんです。幾ら遠くても・・」
つまりネウロイの親玉ごとぶっ壊せば、隊長とタケムラはラバウルの地へ帰れるんだと確信した時、操縦桿を思いきって振った。
子機が襲来してくる時、後ろに張り付くネウロイの光線を回避するが――
「ぐっ!」
主翼諸共引き裂かれ、あとほんの少しで体当たりできたというのに操縦不能になってしまった・・。
<<脱出だ!早く!>>
「でえい!」
閉ざされたキャノピーを壊したとき、投身をした。
鼓膜が引き裂かれる爆発の音と熱風を背にして、黒い洋上へ真っ先に落とされようとしていた。
しかし肝心の落下傘は装備していない。
誰か来ようにもここは防衛圏としてかなり危険空域だ。
これる筈も無い。
と俺はそう思った時、誰かに支えられる感じがした。
「大丈夫ですか!?」
「み、宮藤さん」
新たなストライカーユニットを履き、大型機銃を背中にした宮藤さんだ。
軽々俺を持ち上げる。
これも魔法なのか。
「いくら何でも一緒に戦うと言って無理だけはしないでくださいね」
「すまないな・・。逆に迷惑かけただろう」
「いえいえ迷惑なんて。天城まで送りますね」
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――空母 天城
甲板から見守るウィッチ隊と水兵達。
今後のバックアップは坂本少佐が受け入れた。
何も無ければ良いんだが・・。
胸のポケットから写真1枚を取る。
白黒の写真には零戦に搭乗した時の俺の顔が映っていた。
笑ってカメラに向かって手を挙げた時。
それが最初の戦いだった。
ひらりと舞い上がる桜の花びらは、踊りながら青空へと消えて行く。
轟いた砲声がどこからか。
「おっ!大和が撃った!」
隊長の叫びが回りに伝わり、水兵達は大喜び。
強力な46cm砲をプラスに対ネウロイ用と言う脅威なる威力のおかげで、親玉は雪崩の様に崩れ落ち、大きな水柱が聳え立つ。
黒雲もゆっくりと去りうっすら白い雲が顔を出した。
「ネウロイの反応・・!」
化けの皮を剥がした親玉。
目にするのは、大和の数百倍以上あるネウロイのコアだった。
「いかん!坂本少佐が戻っていない!」
「すぐに戦闘機を出せ、早く!」
「急げ、早くしろ!」
慌しくなる甲板。
戦闘機を失った俺には出撃する手出しも無いと思ったが、
「俺の役目はもうこれで十分果たした。俺の戦闘機、乗るか?」
「乗らせてください・・!隊長!」
「その意気だ!」
力強く肩を叩かれた。
とっても痛いが不思議と嬉しさが伝わった。
即準備されていた五二型の操縦席に乗り込み、点検無しに滑走路を疾走し、零戦は甲板を蹴り空へと飛び立つ。
<<宮藤機、発進するぞ!>>
なっ・・。
宮藤さんもか。
<<共に少佐を助けましょう!>>
「勿論さ。援護する!」
ハンドルを素早く回し、着陸脚を引き込む。
「我、1番機。サクラサクラ、花散るサクラ」