「服部静香軍曹」
宮藤さんからひっそり教わった階級で、地図を見る服部軍曹を呼ぶ。
「はい、なんでしょうか。シデン大尉」
うむ堅いな。
「坂本少佐は今どうしている?唐突申し訳無いが」
「しょ、少佐のお知りあいですか!?」
突然気を変えた服部軍曹は余計ビシッとなり身体を意味無く固め始めた。
「さ、坂本少佐は士官学校の教官として活躍しております!」
「そんなに硬くなるな。気楽になれって」
上官になる気分は最高だな。
とは言えきつ過ぎもよくないから程ほどに。
少佐は一応教官として活躍してたか。
せめて顔合わせだけでもしたかったけど残念だ。
「ねえお昼食べないの?」
サンドイッチを食べる宮藤さんに服部軍曹は「少尉はお先に食べてください」とやけに強い口調で答えた。
それにしょんぼりするのは宮藤さんだけだ。
俺も2、3個食べたから多少の空腹は来ないだろう。
爆走し、急停車すると村人らしき人が車から出てきた。
「軍人さん!無線化してくれないかい!?」
「どうしましたか?」
ここで服部軍曹が対応に入ると何でも「村で崖崩れが起きて、怪我人が多い」との事だ。
すぐさまジープは急発進。
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――村 崖崩れの現場
「うわ・・こいつはひでえ」
目にしたのは家と土に石が広く混じる崖崩れの現場。
山の地は何故かくっきりと跡が残っている。
それにこの有様だ。
治療は1時間どころかでは済まされぞ・・。
――3人称 その頃ベルギカ王国 サントロン基地では。
山々、緑自然豊かな森林に取り囲まれたこの空軍基地には立派な高射砲塔とドイツ軍製の12cm砲が各は一場所に設置されていた。
そしてその隣の格納庫では、バルクホルン大尉、ハルトマン中尉、ミーナ中佐、ハイデマリー少佐、1番機の隊長と3番機の隊長が存在していた。
「んぐぐぐ・・!」
MP40の弾倉に弾を1発、1発込めるハルトマン中尉は指に力を入れるも、9mm弾は入る気配は無い。
力と力の中点がずれたのか弾は大きく飛ぶと同時に、ハルトマン中尉の頭にこつんと当たり落ちる。
「痛た!」
甲高い声を上げた時に、
「もう手が痺れる、メンドクサイ!やだやだやだ!」
と中尉とは思えない子供っぷりに、装填機で弾を込めるバルクホルン大尉は成長しないハルトマン中尉に近づき、短機関銃の弾倉を奪い取る。
「こんな物はこうやって・・・!」
少女とは思えない力で親指の押し込みだけで9mm弾が弾倉に装填された。
その光景を遠く見るのは、零戦五二丙型を整備する隊長がスパナを持って汗を拭っていた。
厳つい顔には黒い油が付着していた。
「なあシデンはどこにいるか予想で分るか?」
心配そうに外を見た隊長。
雑巾で機関砲の汚れを吹き取っていたタケムラは、
「恐らくガリアでしょうか。ライン河を挟む所にいると思うんですけど」
拭き終わりにバケツに入った水に雑巾を入れれながら話すタケムラ。
(取りあえずカンも鋭いからな・・信用しよう)
心声を発しながらプロペラを布で磨く。
「あれれ~?ここって宮藤が留学で通る所じゃ~ん」
地図に指を指したハルトマン中尉は大声で叫んだ。
"宮藤"と言うキーワードにバルクホルン大尉の脳裏では宮藤芳佳が、"お姉ちゃん"と呼んでいる想像をし始める。
借りもあった事に、木箱からパンツァーファウスト2丁、そして機関銃のベルト弾薬、2丁のMG42を手に、ストライカーユニットを装着。
「え、ええ?」
彼ら、隊長とタケムラがこの優秀なバルクホルンの裏顔を見てしまったときには口はぽっかり開く。