――視点 2番機 シデン
「ぬあー」
治療も終わったし止めた貰って、崖崩れがあった麓の村を眺めながら山道を走行する。
あっけない堅物軍人の会話にも付いていけず聞くだけとなった。
宮藤さんは次の夜にヘルヴェティアに着く予定だ。
「はい・・」
「そしたら静香ちゃんは帰っちゃうの?」
「目的地に送り届けるのが任務ですから・・」
また短い事に・・。
彼女、宮藤さんにとっては寂しくなる様なものだろう。
・・武器が無い時どうすれば良いか。
ゴォォ・・。
む、轟音?
ジープは急停止し、俺はその音の方角に目を付ける。
大きな土煙に宮藤さんは驚きの声を上げたが、問題はそれじゃない。
影からうっすらと赤の光りに黒の装甲。
塔型、地中式のネウロイが村に出現したのだ!
ん!?地中!?
そうかあの崖崩れはあいつが移動していたときに起きたものか!
服部軍曹は無線で連絡を取ろうにも通信不能、バストーニュ基地に避難する様に命じた軍曹に、宮藤さんは引き返すように命じた。
どれも危険と言う判断に、軍曹自身が時間を稼ぎ、その間に宮藤さんが村人を避難させると言う物だ。
「時間が無いぞ!」
「は、はい!」
俺の命令に、ジープは山道を下り始める。
武器も手にしていない時、あるいは弾切れの武器を持っていた時。
只のお荷物に過ぎない場合があるが、俺にはちゃんと武器を見つけていた。
服部軍曹の護身拳銃だ。
「軍曹、その拳銃を俺に貸せ。弾倉全部!」
「分りました!」の一言で素早く護身拳銃を抜きだし、ポケットの予備弾倉3つを俺の後部座席に置いた。
全面銀色の拳銃。
九四式拳銃と刻まれており、暴発拳銃と呼ばれている。
よくもまあ、下士官に至急したもんだ・・。
余り物なら良いとして、こいつには独特な要素があり、側面を強く押すと暴発することだ。
生産的にはコストも低いので一応無いよりかはマシ拳銃となっている。
攻撃を受けつつ、山道から村へ入った時ジープは急停車。
すぐさま降りて民間人の救助活動を行おうとしていた。
――3人称 ベルギカ王国 サントロン基地
(まさかあのバルクホルン大尉が、妹好きと言うのには驚いた)
と、心で発した隊長。
少し前にハルトマン中尉とバルクホルン大尉はカールスラントとガリアを挟む、ライン川上空の戦闘を終えたばかりだ。
妹愛に対する事に彼ら2人には失望したのだろう。
ある個室で、テーブル上の地図を囲む様にネウロイの事を話すミーナ中佐。
その時、扉が強く開けられたときリネット曹長、クロステルマン中尉が宮藤と連絡が取れない事を言った。
「何だって!?」
これに強く動揺したバルクホルン大尉に隊長とタケムラはすぐに廊下へと駆け出した。
格納庫に配置された零戦五二丙型は何時でも出撃できる体勢をとっており、彼ら2人はそれぞれの機に乗り込んだ。
後に来るバルクホルン大尉、ハルトマン中尉等の6人達は、ストライカーユニットに脚を入れ込み武器を手にする。
爆音を唸らせ、発進する2機の零戦は天に向けて基地の滑走路を蹴った。
「くそ、無線が通じないぞ」
手で無線機を調整するも、ノイズ混じりが発生している。
それどころか機体諸共墜落させた2番機の零戦はガリアの森林地に放棄それていたからだ。
ハイデマリー少佐の固有魔法では敵の数、居場所、あらゆる事を彼女はすでに知っている。
特にバルクホルン大尉の宮藤芳佳に対する心配性は人一倍高い。
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――視点 シデン
「服部軍曹!」
「静香ちゃん!」
下士官の戦闘はまだ早すぎたか・・。
同じ様に俺達パイロットは腕前になるまで5年必要だ。
だがそんな事を思っている場合じゃない。
彼女はネウロイの光線でストライカーユニットを損傷させ、このまま地面に強打してしまったのだ。
塔型のネウロイは目にする限り遅い速度で防空壕の方へ向かっていた。
「村から遠ざけないと・・!」
「拳銃だと火力が無いぞ」
20mmの旋回型機関銃と動いているジープ・・。
それに目をつけた俺と宮藤さん。
「こいつで撃退する他はないぞ・・」
「同じ事を考えてました。でも時間がありません」
すぐに俺は服部軍曹の20mm旋回型機関銃を持ち上げるとズッシリと重い。
まるで川原の大きな石を持ち上げた感じだ。
肩で担ぎ、走ってジープへと乗り込む。
「シデンさん、機銃お願いします」
「任せろ。航空機銃担当は何度かやったからな」