アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件   作:100¥ライター

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魔法科高校の劣等生の映画を観に行きたいです…
ちなみに作者は雫派です。
あの大人しくクールな感じとは裏腹に仲間想いで熱い心を持っているとても可愛らしい子なんです。
まぁ、推し語りはこれくらいにして…
今回も見てくださると嬉しいです


32話 奪うか奪われるか

「よし、こっからが本番だ。」

 

 

まずは両者の手札をチェック…

 

 

魔王軍の手札

 

・全員がかなりの戦闘力を誇り、目立った弱点が少ない。

・悪魔が長生きなこともあり、戦闘経験も豊富。

・相手の心や過去、そして未来までも見通すことが可能な見通す悪魔バニルがいるのでこの戦いがかなりイージーモードとなる。

・マスターにも主人公枠先行配布を獲得可能な程の力量がある。

・魔王軍に来ればカズマがニートしていた時代よりも更に優れたインターネット環境を提供する。

・そしてそのネトゲも漆原(ルシフェル)がいることで1人でゲームをやるより更に幅が広がる。

 

 

考える度に頭痛がしてきた。こんな超待遇に対して行かない方がおかしい。

 

 

ここまで提示されたら誰だって魔王軍へ入る。俺も入る。だが、俺は俺自身でこの戦いをしたいから入る気はないが。

 

 

正直みんなが魔王軍に入らせたくないというのは偏見が大半を占めているはずだ。

 

 

このすばの世界の魔王軍は恐らく(一概にそうとは言えないが)アクシズ教と紅魔族からの謂れの無い風評被害などが原因だったとはいえ、人間に仇なしていた組織だ。

 

 

茅野が真奥の知識がどれだけあるかは知らないが同作品の恵美がいる以上、少なくともあまり悪いやつではないと知っているはずだ。

 

 

でもいくら今の真奥やウィズが優しくていい奴だとしてもアクア達はそれが抜けないのだろう。だからここまで食い下がっているのだと思う。無論、それ以外の理由もあるはずだが。

 

 

おまけにカズマ側からある程度条件を引き上げることを考えればその上げ幅が一番大きいのはもちろん魔王軍。厳しいなぁ…

 

 

そしてこちらの手札だが…

 

 

ダクネス、めぐみん、アクア、アイリス…

元々のカズマの仲間などが一通りいる。

 

ダクネスのマスターが金持ち

 

 

 

あ、これダメなんじゃないか?それに魔王軍のマスターの新井も金持ちだから差別化点にはならない。

 

 

そもそも俺達側は同盟でも何でもない烏合の集だ。俺達が全体で同盟だったらワンチャンあったかもしれないが、マスターが4人もいる以上同盟なんか組めば高確率でメンバー達に齟齬が生じる。頭の回るカズマならそんな危険要素を孕んだチームに入りたいとは思うまい。

 

 

あと個人的な理由で連合は組みたくない。

 

 

簡単に言えば信用出来ない。いくらアニメキャラの方がいいやつでも3次元の人間に対してだとつい疑り深くなってしまう。

 

 

対してあちらのマスターは1人。1人で5人のキャラを所持しているのも中々凄いが、主人公先行配布は少し前。真奥が来る前は何人いたかは知らないがやつはそれまであいつらをまとめていたということになるのか…

 

 

「逆転するにも札が足りない…」

 

 

あといくら…何をベット出来る…?交渉材料が少なすぎる。

 

 

というか茅野とダクネスのマスターが諦めムードなんですが。諦めんなよ!

 

 

正直俺からしたらカズマがどこに入るかなんてどうでもいい。むしろ魔王軍に入るなら不可侵条約を結ぶのは魔王軍1つで済むためそっちの方がいい。というかダクネスのチームに所属させて下手に借りを作りたくない。

 

 

バニルが俺を丸め込もうとしていた以上、俺達と戦うことは少なからず面倒だと思っているはず。あまり波風を立てなければ容易に不可侵条約は結べる。だから俺は負けてもいい。

 

 

でもアイリスは違う。アイリスはサトウカズマが魔王軍に入ることを快く思わないし、カズマが仲間になることを望んでいる。

 

 

仲間の願いを叶えることもマスターとしての務めだ。俺はアイリスのために…勝つ。

 

 

こういう交渉材料が少ない時は交渉材料の価値を引き上げればいい話だ…

 

 

「めぐみん」

 

 

「はい」

 

 

もうめぐみんに全てを任せるしかない。

 

 

「カズマ…もし我々の仲間になってくれるのであれば今夜…私と一緒に…まぐわいましょう。朝まで寝かせませんよ」

 

 

何故こいつらは言葉を濁すのだろうか。まぁ、濁さなくても…

 

 

「バニル」

 

 

「この作品は超健全であることをウリにしているため、汝が望むような展開はない。」

 

 

「べ、別にイチャイチャする展開なんて望んでなんかいねーし!?何言ってんのこいつ!」

 

 

「我輩は汝がイチャイチャする展開を望んでいるとは一言も言ってないぞ。」

 

 

「クソが!バニルてめぇ、ハメやがったな!」

 

 

ちっ!バニルが交渉の席にいるだけで嘘やぼかした表現が出来ないから不利すぎる!相手の嘘が分かるいずなや空閑が欲しい…

 

 

どうする…もう更に引き上げるものは…

 

 

「私の策を信じなさい!」

 

 

アクアがそんな自信満々なことを言い出した。だが、どうにか出来るのか…?

 

 

「汝、敬虔なるアクシズ教徒よ。」

 

 

「ツッコまないからな」

 

 

「汝、私達のチームに所属するが良いでしょう…そうすれば女神アクアが授ける力により、道は開けるでしょう。」

 

 

『そうなんだー、すごいねー!!』

 

 

田所を除くマスター全員の声がシンクロした。

 

 

「テキトーに流さないでよ!!それにあんなヘンテコ悪魔の言うことを鵜呑みにするつもり!?」

 

 

「頭にきますよ〜」

 

 

「いや、バニルのこと抜きでも普通に魔王軍の方が強いだろ。」

 

 

だよな…ルシフェルは堕天使であるため悪魔特攻のセイクリッド・エクソシズムも無効だろうし、新井とかいうマスターは恐らくアクアのスペックを完全に把握しているのだろう。

 

 

「わ、私ね、カズマのこと…そこはかとなく良い男だと思うの!だから私達のチームに入って欲しいなぁって…」

 

 

「褒めるところがないなら無理に褒めるな!あとお前のチームの田所が危ない!さっきから俺をチラチラ見てくんのやめてくれないか!?」

 

 

とうとう怖くて誰も触れていなかった部分に触れてしまったか。

 

 

「言いがかりはやめてよ、ヒキニート!田所はね…ちょっと淫夢が大好きなだけなの!考えてもみなさいな!淫夢厨がみんなホモだったらこの国はホモだらけよ!」

 

 

なんかフォローしてんのかしてないのか分からないことを言い始めた。

 

 

つか淫夢厨そんないないだろ…いないよな?俺も本編をロクに見れなかったにわかだぞ?

 

 

「ねぇ、田所!…田所?」

 

 

「…」

 

 

ヤバい、カズマに向けているあれは野獣の眼光!!相手は死ぬ(色々な意味で)

 

 

「ほら見ろ!だから魔王軍のこと関係なしにお前のチームには入りたくないんだよ!それにお前絶対変なトラブル持ってくるだろ!」

 

 

「ひどい!私をトラブルメーカー呼ばわりした!謝って!私をトラブルメーカー扱いしたことを謝ってよー!!」

 

 

「つーか、お前じゃなくてチート武器を持っていっていれば俺の所有物としてこの戦いに持っていけたからマスターが意気消沈しなくて済んだはずだったんだがな!」

 

 

あーあ、カズマがまた言ってはいけないことを…

 

 

「うぅ…わぁぁぁぁぁぁぁぁー!カズマさんが言っちゃいけないこと言ったあああああー!!わああああああー!!」

 

 

とうとうアクアがウィズに泣きついた。

 

 

「あ、あの…アクア様!泣き止んでください!私浄化されちゃいますから!」

 

 

あれ?あれは害する行為にあたらないのか?俺の推測ではノゲノラの十の盟約がベースとなっていると思ったんだが…

 

 

いや、この場合はウィズがアクアを拒絶していなかったからか?ルールの実験をいつかしてみたいものだ。

 

 

「いいよ、来いよ!こっち来いよ!こっちに!」

 

 

あれ…前に倒したはずのベルディアさんが見え…いや、気のせいだ。淫夢ネタ喋ってるし、あれは絶対違う。そう思いたい。

 

 

「お兄ちゃん…どうしても…私達の仲間になるのは嫌ですか?」

 

 

!!アイリス…あんな物憂げな表現で…

 

 

その手があったか…いや、アイリスにとっては作戦ではないのだろう。彼女自身の純粋な願いだ。これならカズマも…

 

 

「っ…!」

 

 

よし、効いてる!あとひと押しあれば…

 

 

「そこのハーレムラブコメ主人公を気取っている男よ。一つ言い忘れていたが…我々は貴様を軍師として迎え入れようと考えている。汝のアニメキャラの知識を有効活用し、そしてこれはあちらの時とは逆の発想になるが、あの世界の有能なアイテムをこちらで作ることができるならば…我々はまさに無敵になるのではないか…?」

 

 

「…よし、俺は魔王軍に入る。」

 

 

しまった!俺達は最初から負けていた…!!俺達はカズマを戦わせることを考えていたが、魔王軍はハナからそんな考えはなかった。カズマの知識や生産スキルなどを最大限生かす。俺達と魔王軍では運用方法が全く違っていた…!!

 

 

「カ、カズマ!待ってくだー」

 

 

「もう話は終わりだ。俺はお前らが手を出さない限り絶対に手出ししないことを誓う。悪いがもう帰ってくれ。」

 

 

 

 

「ハヤト、私は大丈夫ですから。お兄様に会えただけで十分幸せです。」

 

 

そんなこと言わないでくれ。お前のせいだとボロクソに罵ってくれた方がまだスッキリする。

 

 

「マスター、マスター。チェックアウトの時間ですよ。」

 

 

「あぁ…」

 

 

今回俺はブロリー戦以来の大敗北を喫した。




最後まで見てくださり、ありがとうございます!
サトウカズマ争奪戦編完結です!
カズマは最終的には魔王軍に入りましたが、これでバッドエンドという訳でもないので…
次回からは日常編となります
夏休み最終日のエピソードなどのショートストーリーなどが入ってから夏休み後の戦いがスタートです!お楽しみに!

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