アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件   作:100¥ライター

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75話 シリウス

「容赦しないわよ!津島君!!」

 

 

「こっちこそ!降伏の準備でもしたらどうですか?先生!!」

 

 

今回のトリガー編成はハウンドやメテオラでサポートしながら隙を見て両手のスコーピオンで攻めるベーシックなオールラウンダー型だ。今まで色々使ってみたが、俺が一番気に入っている型だ。

ただし、今回のような場合は後々改造する必要があるが。

 

 

この狭いフィールドじゃ派手な大技を使おうとすれば高確率で攻撃不可能なルールに引っかかる。リーナが最大限に力を発揮しようとするならここは都合が悪い。

 

 

だからこそ…

 

 

「っ!」

 

 

リーナはそれを嫌って校舎を出る!戦略を分散させて的確な指示を行き渡りにくくすることも考えた上だろう。

 

 

「逃がさないよ!」

 

 

「ユウキはそのまま追ってくれ!少ししたらすぐ行く!!」

 

 

まずはトリガーの組み替えをしなきゃならんな。拘束目的なら鉛弾(レッドバレット)が最適解。ハウンド側の方のグラスホッパーの枠を削り、鉛弾に変える。この程度のチェンジなら慣れたからそう時間もかからない。

 

 

あとは監視役となった3人に新しい戦力が来てないか見張ってもらうだけだが…

 

 

「ん…」

 

 

あの白い車どっかで見たこと…あるような…

俺は車に関してはそこまで詳しくないが、あのスポーツカーっぽいやつの名前はたしか…

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

「…いや、何でもない。急ぐぞ。トリオン体に換装してすぐ向かう」

 

 

まさか…いや、今はあるか定かじゃない心配をするより目先のリーナを無力化するのが先か。だが、とりあえずナンバーくらい確認しとくか。7310…ん?やっぱどこかで見たことある気がするが…なんだったか。

 

 

「くそっ!やっぱ強さだけは他の円卓共とは比べもんにならねぇ…」

 

 

ん…やはりランスロットは強いか。マシュがいるからって絶対本気は出してこないとは言い切れんし。じゃあ、トリオン体になる前に…

 

 

「モードレッド!令呪を以って命ずる!!…ランスロットに絶対勝てよ」

 

 

「はっ、誰に口きいてんだ?俺の心配をするぐらいならてめぇの心配でもしてな。マスター」

 

 

 

 

「リーナ!」

 

 

やつは広いグラウンドにまで逃げていたか。倉庫も遠すぎるから戦闘に使えそうなものもすぐには探せない。俺達が絡め手を多く使うことも周知なわけか。

 

 

「ハヤト ツシマ…貴方の話は聞いているわ。的確なキャラ分析を元に様々な策略を張り巡らせ、あらゆる敵を倒す優勝候補筆頭マスターの一人。そして優勝候補の中で一番女癖が悪いマスター…ってね」

 

 

「おい、女癖悪い云々言ってたやつの名前を教えろ。殺してくるから」

 

 

童貞のくせに女癖悪いとかなんなんだよ。まっ、どうせ格ゲーで女キャラばっか使うやつをエロ呼ばわりするみたいな小学生レベルのくだらないもんだろうけど。

 

 

「だが、そういうお前らのマスターの噂は全くと言っていいほど聞かないな」

 

 

俺の記憶がいじられてない限り先生は突然この学校に来たわけではない。それなら間違いなく先生が家に帰る前にバトルが起こるはずだ。何故今まで無名だったんだ?

 

 

「考えなくてもすぐに教えてあげる。貴方が捕まってからだけどね!」

 

 

ダガーを飛ばしてきたか!だが、これを回避するくらいわけはない!そして鉛弾をぶち込んでやればダガーを遠隔操作で操るダンシングブレイズを阻止可能だ。不確定要素を一つ潰せるのは大きい。

 

 

「ユウキはルミアのフォローに回ってくれ!」

 

 

「うん!」

 

 

よし、ダガーを確保した。あとは鉛弾でー

 

 

「何!?」

 

 

この刻印…いや、このマーキングで発動する術は…!

 

 

「螺旋丸!!」

 

 

「ーっ!」

 

 

見た瞬間すぐに気づいて離れようとした。しかし、わずかに間に合わず右腕を消し飛ばされた。…いや、違うな。ベイルアウトさせることも可能だっただろうにやつはわざと右腕しか攻撃しなかった。

 

 

こんな芸当が出来る忍はもちろん1人しかいない。

 

 

「4代目火影…波風ミナト!!」

 

 

飛雷神の術でマーキングした場所へ瞬時に移動したり、誰かを別の場所に飛ばしたり…螺旋丸や仙人モード。果ては九喇嘛モードまで使いこなす火影の中でもかなり優秀な忍だ。

汎用性などの面で見ればそんなに強くないアニメキャラが多い瞬足キャラ界の中でも頭一つ抜けている。

 

 

「今貴方が自由に使える戦力は少ないはずよ。サーヴァント二人はランスロットが完封する。そして三人なら私にも勝てると高を括った貴方はここで負けるのよ」

 

 

「津島隼人君。君を拘束させてもらうよ」

 

 

「お断りだ。お前らにならともかく得体の知れないマスターの言いなりになんざなりたくはないな」

 

 

右腕のトリオン流出はスコーピオンで流出箇所を覆えば防ぐことが可能だ。メテオラやグラスホッパー、フルガードなんかが使えなくなるが、背に腹は変えられない。

 

 

「ねぇ、どうしてそんなにマスターを信用しないの?その口ぶりからして私達は信用してくれているのに」

 

 

「考えなくてもすぐに教えてやるさ。お前が負けたあとでな!!」

 

 

だが、今では戦力が心許ない。ユウキは恐らくミナトの相手で手一杯だろう。

 

 

「モモ…イレギュラーだ。真由美をこちらに送ってくれ」

 

 

「落ち着いてください。今七草さんをそちらに送るのは良くありません。確かに先ほどはミナトさんを捉えられませんでしたが、七草さんが監視の目を光らせることは相手の増援や予期せぬ乱入者を抑える役割も担ってます」

 

 

「だったらシスティーナに空間把握の魔法でも使わせれば良くないか?」

 

 

「確かにそれもなしではありません。しかし、死角からの狙撃を得意とする七草さんを前線に出すのはあまり良くありません」

 

 

「…っ」

 

 

俺が冷静じゃなかったな。

 

 

「すまない。ならシスティーナで。上手いことやればいける。いざとなれば切り札を切る」

 

 

「了解しました。すぐ送ります!」

 

 

「そして…やつらの司令塔を炙り出してくれると凄く助かる。まだ片鱗しか見えてないが、かなりヤバそうだ。モモ、頼んだ」

 

 

普段なら随所で発揮するリーナのポンコツ具合がなりを潜めているのが恐ろしい。

 

 

「派手にやられたわね。ハヤト」

 

 

「こんなのはやられた内に含まれないから気にするな」

 

 

「俺はこんなところで躓くわけにはいかない。ミナトはユウキに任せてここはリーナを確実に落としに行く」

 

 

だが、念のため聞いとかなければならない。

 

 

「ユウキ、やつは相当強い。大丈夫か?」

 

 

「任せてよ、隼人。ボク絶対負けないから」

 

 

やれやれ…どうやら俺はちょっと心配しすぎていたみたいだな。

 

 

行ってこい、ユウキ。お前は最強だ。あとは俺達がこちら側を全力で止める。

 

 

こんな時に言う言葉があるとしたらもうあれしかあるまい。

 

 

「悪いな、リーナ。こっから先は通行止めだ」

 

 

俺達が負けない限りユウキは必ず勝つ。信じてる。

 

 

「システィーナ!ルミア!勝つぞ!!」

 

 

「容赦はしないわよ!」

 

 

リーナの掛け声が聞こえた矢先、グラウンドが一瞬で灼熱地獄と化した。

 

 

「っ…!」

 

 

いきなり大規模な魔法ぶっ放すやつがいるかっての!リーナめ…戦術ごと火の海に葬るつもりか…

 

 

「システィーナ!今すぐ《エア・スクリーン》を張ってー」

 

 

ダメだ。こいつ結構動揺してるな…

 

 

「ルミア!」

 

 

代わりに頼む…と、言い切るより早く詠唱を終えていた。やっぱりこいつの精神力や対応力は桁外れだな。

 

 

「嘘…あれだけの炎…威力だけ言えばあのアルフォネア教授にすら匹敵する。あんなのを相手にどうやって戦えば…」

 

 

まさかとは思ったが早速心が折れかけてんな。ここはマスターらしく仲間に発破をかけるとしよう。

 

 

「システィーナ!!この戦い…最高に理不尽だろ?」

 

 

「…は?」

 

 

「相手は簡単に言えば未来のアメリカにおける最強の魔法師。こっちはまだ魔術師にもなっていない魔術学院生徒二人+大した戦力にもならないマスターだ」

 

 

リーナを楽に完封する手段ならいくらでもある。そもそも誰にでも勝てるキャラなんて存在しないのだから。

 

 

ちょっと思いついただけでもあらゆる魔法を無効化するブラッククローバーのアスタを使って完全封殺。あちらも身体能力が高いが、アスタには敵わないだろう。

 

 

あとはミッドナイトとデス13のコンボ。

ペローナのネガティブホロウとマーモンのバイパーミラージュ・Rのコンボみたいな初見殺しの即死コンボでハメるとか。いや、もういっそお兄様を使えば基本的には勝てる。

 

 

しかし、そんな都合の良い手札はない。俺が今使えるキャラはシスティーナと銀の鍵を使えない(正確に言えば俺が使用を止めている)ルミアだけ。はっきり言って無理ゲーの極みだ。

 

 

それでも勝たなきゃならない。勝ち方を模索し続けていかなければならない。

 

 

「そしてお前らの頼れるグレン先生もいない。最高に理不尽な戦いだ。…だが、勝たなきゃいけない。…そういった無理ゲーの攻略法を作り、定説を覆し続けるのがゲーマーだ。俺は諦めるつもりはこれっぽっちもないよ」

 

 

「…まっ、俺はグレン先生に比べちゃ少し頼りないかもしれないが指示だけは聞いてくれると助かる」

 

 

「作戦会議はもう終わり?誰であっても手を抜くつもりはないわよ!」

 

 

俺は知っている。口ではそんなこと言いながらも倒さないギリギリで手加減してくれてんのは。

 

 

「俺が攻撃に入る!二人にはサポートを任せる!!」

 

 

「えぇ!」

 

 

「頼みます、マスター!!」

 

 

リーナは俺を殺すことが出来ない。絶対に。

今回の戦いはいわばマウントの握り合いだ。この戦いに買った方が優位に立てる。そして円滑に従わせるには禍根を作ってはいけない。そうした方が遠い目で見た時に有益であるとあちらも気づいている。

 

 

「システィーナ!【ラピッド・ストリーム】!!そのあとは【ライトニング・ピアス】で援護射撃だ!ルミアは【ショック・ボルト】で構わない!」

 

 

魔術師を倒すなら基本的には接近戦で詰めに行くもんだろう。鉛弾も遠くからじゃ決めにくいし、実に合理的だ。システィーナに背後から突風を送ってもらい、瞬時に距離を詰める。

 

 

「近距離に詰められて負ける…そんなのでシリウスが務まると思う?」

 

リーナが握っているのはナイフ型のCAD。USNAでよく好まれる武装一体型のそれだ。そしてそれらのCADはある魔法を発動させるのに使われる。ナイフに纏わせたり、リーチを刀のように長くしたり…あるいはスコーピオンのように刃渡りを変形させる。

 

 

「分子ディバイダーだな!」

 

 

「あら、よく知っているわね!」

 

 

「あぁ!対策の必要があるキャラは一通り調査済みだ!!」

 

 

近距離の一瞬の駆け引きが重要になる戦いになる方が俺にとっては楽だ。というよりまともな魔術戦をして勝てるわけがない。

 

 

伸縮させる、軌道を曲げる。あるいは刃を増やす。そうやってただひたすらスコーピオンで攻め続ける。高速かつ変則的に。リーナがボロを出すまで。

 

 

「ハウンド!」

 

 

「《猛き雷帝よ・極光の閃槍以って・刺し穿て》!」

 

 

「《雷精の紫電よ》!」

 

 

トリオンキューブを周囲にチラつかせることで相手に意識を持っていかせる。システィーナとルミアに指示した【ライトニング・ピアス】と【ショックボルト】もそれだ。

至近距離のインファイトになればわずな油断が勝敗を分ける。

 

 

そんな平凡な策が効かないとは分かっていてもひたすら愚直にやる。超至近距離の駆け引きならわずかな隙が生じると信じて。

 

 

「せいっ!」

 

 

よし、リーナの横薙ぎを回避した!これは隙が大きい!

 

 

「…っ!?」

 

 

横薙ぎの勢いと共にナイフを捨てた…?いや、今袖から何か球体が。あれは手榴だー

 

「甘いわ!」

 

 

「ぐっ!」

 

 

手榴弾はただのブラフだと気づくよりも早く地面に組み伏せられた。つーか腕力ぱねーな。こちとら片腕ないとはいえ、トリオン体だぞ。

 

 

「超至近距離のインファイト中に別の飛び道具へと意識を向けさせてその隙を突く。さっきから貴方が狙ってたことに自分が引っかかってどうするわけ?」

 

 

…返す言葉もない。これは俺の落ち度だ。

 

 

「大事なお仲間を倒されたくなかったら大人しく降伏しなさい」

 

 

「…すると、思うか?」

 

 

リーナにはまだ見せていない手。分子ディバイダーはスコーピオンと似たようなことが可能だが、分子ディバイダーには出来ないことがある。それは…

 

 

「スコーピオンはトリオン体ならどっからでも出せるんだぜ!!」

 

 

俺はハリネズミのごとく背中からスコーピオンを出してリーナを狙ったが、流石戦闘経験が豊富なこともあって、彼女の素早いバックステップで回避されてしまった。

 

 

「《冴えよ風神・剣振るいて・天駆けよ》!!」

 

 

だが、システィーナはちょうど回避先に風の刃【エア・ブレード】を飛ばしていた。

 

 

しかし、これは高速移動の魔法で逃げて対処。奥の手であるヘヴィメタルバーストを縛りながら戦ってもこれか。

 

 

「貴方…いい魔法師になれそうね。筋は悪くないわ」

 

 

「何だ?急に変なこと言い出して。残念ながら俺は既にこいつらの世界の魔術を本格的に覚えちまったからそっちのを覚えるのは無理だ」

 

 

「あら。マスターも既に別の能力を持っていたし、優秀な人というのはどこも引っ張りだこね」

 

 

「…何が言いたい」

 

 

「ハヤト。貴方に敬意を払い、今撃てる最大火力を見舞うわ」

 

 

こいつ…!!今ヘヴィメタルバーストを撃つ気か!!本来ヘヴィメタルバーストは都市や軍隊に向かって放つ戦略級魔法。しかし、特殊な魔法兵器ブリオネイクを使えばそれを個人用に使えるようになる。Fate風に言えば対軍宝具を対人宝具にしてくれる優れものだ。もちろん当たればただでは済まない。

 

 

「ハ、ハヤト!あれ絶対とんでもない技よ!どうするの!?」

 

 

「さぁ、貴方はどうする?」

 

 

「…リーナ。俺の答えは…」

 

 

「なるほど。真っ直ぐ…向かってくるのね。ならこれで終わりよ」

 

 

音速を軽く超えたビーム砲が俺の認知より遥かに早くトリオン体を貫き、一瞬で消し飛ばした。

 

 

「さぁ、トリオン体が無くなった貴方はもう抵抗出来ない。降伏しなさーっ!!身体が…重い…」

 

 

「すまんな。鉛弾成功…」

 

 

人間に撃つと外せない重りみたいなのが付くのか。鉛弾が上手く効いたおかげでリーナはもうまともに動けないだろう。

 

 

「これでリーナの無力化は成功」

 

 

「そんな…確かに私は貴方のトリオン体を破壊したはずよ…」

 

 

「仙豆だ。あれでトリオン体の修復もどうにかなると分かったからくらったあとで使った。大規模攻撃に目がいってたお前には撃ちやすかったよ。切り札だったし、俺が満身創痍じゃなかったからあんまり使いたくなかったが」

 

 

「よし、とりあえずは1人を取り押さえた!!」

 

 

「これで私を取り押さえたつも…り……すぅ…すぅ…」

 

 

身動きがとれなくなったリーナにルミアがすかさず【スリープ・サウンド】をかけた。リーナは微睡みに落ち、完全に戦闘不能になった

 

 

「さっすが。頼りになるな」

 

 

「いえいえ、大したことではありませんよ」

 

 

「ん、マスターからか…すまない。君との決着はまた今度にしよう」

 

 

「あっ、ちょっと!」

 

 

あらら、あっちも予期せず戦闘終了か。

 

 

「あのお兄さんかなり強かったなぁ…僕もお兄さんもお互い攻めあぐねてたからね…逃がしてごめんね」

 

 

おいおい…あんなに戦ってまだ余裕ありそうだな。この戦いがフルパワーによるものではないとはいえ、ここまで上手く立ち回れるとは。

 

 

「いや、ミナトをここまで足止めしただけ充分お手柄だ。気にすんな」

 

 

「さて、とりあえずこちらは交渉材料を無事確保したわけだ」

 

 

そしてここから蒼木先生との交渉に取り掛かろうとした矢先だった。

 

 

空中で巨大な爆発が起きた。原因を探るため空を見上げようとしたが、分析に入るより早く状況報告の通信が来た。

 

 

『マスター、気をつけて下さい!今アイリスさんの猛攻を掻い潜ってきたドラゴンがそちらに!!』

 

 

ドラゴン…だと?

 

 

「ぐっ!」

 

 

「きゃっ!な、何なの!?」

 

 

暴風と共に舞い降りたドラゴンは風のローブを脱ぐと同時にメイドへと姿を変えた。そして隣にはもう一人の人影。

 

 

「さきほどのマスターの言う通り…ここにいましたか。津島隼人」

 

 

長いブロンドヘアーをツインテールにしており、ドラゴンだった名残の尻尾や二つの角が見られる。こいつはもう間違いない。

 

 

「トールか…!」

 

 

「さっきの先生も一緒よ!」

 

 

誰かしら主人公枠を確保しているとは思っていたが…勘弁してくれよ。今までバトルハイになってたからまだなんとかなっていたものを…

 

 

ん?さきほどのマスター?普通は自分のマスターをそんな風には言わない。なら…

 

 

つまりあれか。ミカが保身のために俺を売ったか。モモはミカにも一部情報を送ってたからそれを漏らしたのだろう。

 

 

別に気にしてはいない。いくら情報を吐いたかは知らんがどうせミナトがトールのとこへ飛雷神の術で飛べば最低限この戦いの情報ぐらいは手に入っただろう。

 

 

「トール」

 

 

「分かってます。殺すな…でしょう? 正直結構面倒なんです。加減して倒すの…下手をすれば貴方を殺してしまうかもしれません。ですから…早めの降伏を勧めます」

 

 

これがドラゴンの威圧か…空気がピリピリしてきやがった。

蒼樹先生もリーナの言葉通りなら何かしらの能力者。わずかな油断すら許されない。

 

「モモ、システィーナとルミアは真由美側に返す。そしてアイリスを呼ぶ。呼ばなきゃヤバい。そしてお前も指揮官探しは後回しにして遠距離組の援護に回れ」

 

 

「了解です。すぐ送ります!」

 

 

これは総力戦だ。全員で先生を倒す。

 

 

「すまないが、この戦いは俺達が勝つ」

 

 

「口ではなんとでも言えます。私を無力化出来るものなら…やってみせろ。劣等種共」

 

 

ったく…本当なら今すぐ逃げ出したいはずなのに不思議とわくわくしてきやがる。こいつらとなら誰にでも勝てる気がしてくる

 

 

「じゃあ、今度は俺が援護に回る。ユウキ、アイリス。あいつらに一発ブチかましてやろうぜ」


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