アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件   作:100¥ライター

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仕事の都合…というか忙しくて存在を忘れかけてましたが、少し暇が出来たのでまたちょいちょい書いていきます。

こっから先は今までの話を知らなくても問題ないように書いていくので奇跡的に覚えていた人も忘れた人もはたまた何も見てないという人もよろしければどうぞ!


80話 生者と死者

一度死んだ人に再び会う方法は現実世界においては0だが、沢山のアニメを探せば実は意外と多い。

 

例えばドラゴンボールや技による蘇生。特に死んだ直後に限ればほぼノーリスクで蘇生可能なこのすばのアクアは優秀の極み。ただ本人の性格がネックだが。

 

次に科学が発展した世界ならDNAからクローンを作り出すなんてのもあるな。ただし、それは真に同一人物と言えないかもしれないが。

 

他にも自らの生死を問わないなら自分が死んであの世で再開なんてのもあるな。ただし、これはちゃんと天国地獄があると確認されている世界の話に限って。

 

 

そもそも…大半の世界じゃ死んだ人間をどうこうしようってのが間違いなのかもしれないな。

 

 

死んだ人間はこの世の未練だとか云々理屈付けず、即成仏するべきだし、残された人間も死者にいつまでも執着するべきではない。

 

 

…それが正しい在り方だと思う。正しい…在り方だ。

 

 

 

 

「エド…なんだよ、それ」

 

 

「穢土転生。かつて2代目火影が考案し、作られた禁術だ」

 

 

「禁術…?それってどんな効果があるの?」

 

 

珍しくシスティーナが食いついてきたな。まぁ、いずれにせよ疑いがある以上は説明しなきゃな

 

 

「平たく言えば死者の魂を呼び寄せ、生き返らせる術だ」

 

 

「蘇生!?そんな術があるの?もっと詳しく!」

 

 

「蘇った死者は特殊な攻撃でなければダメージを受けてもすぐに修復される。倒すにはそいつの未練を果たすか封印するぐらいしかない」

 

 

ぶっちゃけ発動させちまえばかなり強力だ。俺だってもし相手にするなら専用のチームを編成したいぐらいだ。何も対策しなければ必敗だろう。かつてのカブトのように団体で来るなら能力無効化系や封印術、あるいは洗脳系に長けた能力者。このいずれかを3人は欲しい。

 

 

「…はっ、死者を再び蘇らせる…か。そう言われちゃサーヴァントも少し似てるのかもな。所詮は俺達サーヴァントも過去の存在だしな」

 

 

「いや、それは違うぞ。サーヴァントは過去と現世と繋ぐ触媒があればいい。だが、穢土転生は一部個人情報かつ生贄が必要なんだ」

 

 

「生贄…?」

 

 

生贄という言葉に反応して、ユウキやシスティーナの顔がわずかに強張った。

 

 

「そうだ。特権ルールがどこまで作用しているかは知らないが、そのまま使うなら間違いなく生贄が必要になる。かつての故人と感動の再会…なんて考えているのなら残念だが、この手段は使わせんぞ」

 

 

…まあそんなわけで命を奪うという行為をしているからアニメキャラが穢土転生を行うなら敵マスターかアニメキャラのみになる。

 

 

「そしてもしマスターがこれを会得したら誰でも生贄可能になるってわけだ」

 

 

叛逆されないとは言わない。穢土転生は術者がある程度強くなければ制限をかけなきゃ大体叛逆される。しかし、制限をかけると弱くなり、この戦いにおける最強クラスのキャラには到底勝てない。ジレンマである。

 

 

「…酷いよ。今を生きる人の人生を無理やり奪って、死者を引きずり出すなんて」

 

 

「ユウキ…」

 

 

今を生きたいと渇望していたお前だからこそ出てくる言葉だよな。

 

 

「そうです!こんな人道に反した行いはすぐに止めるべきです!」

 

 

マシュも…いや、みんな気持ちは同じか。

 

 

「もちろん、こんな事は許しておけない。事前に探し出すことは困難だが、一般人をそう何人も生贄にすれば必ず痕跡は出てくる。それ以前に穢土転生はあくまで可能性の一つだ」

 

 

 

「ねぇ、隼人。どうにかして被害が広がる前に止められない?」

 

 

「…分かった。ツテを当たってみる」

 

 

 

 

『はい、もしもしー。漆原だけど』

 

 

俺が電話をかけたのは漆原半蔵。かつての魔王軍悪魔大元帥ルシフェルだ。現在はエンテイスラで猛威を奮っていたような面影はなく、今はオンラインゲームをしながら最新機器でハッカーをしているとのことらしい。

 

 

マスターは新井秀斗。魔王軍を率いる一流マスターだ。

 

 

魔王軍は現在10人しかいない主人公・ラスボス枠を3人所持しており、メンバーも全員がトップクラス。作品もある程度統一されていることから連携もピカイチ。そんじゃそこらのマスターが集まってもまず勝てないだろう。

 

 

本当に…休戦協定がなかったら間違いなく全面戦争案件だったな。

 

 

「隼人だ。お前に聞きたいことがある」

 

 

『何だよ、津島隼人。僕今スマブラで忙しいんだけど…芦屋じゃダメなの?』

 

 

「そう言わず頼む。お前が魔王軍一番の古株だろ?」

 

 

もちろんここで言う魔王軍は新井の率いる方の魔王軍だ。真奥の方だったらルシフェルが仲間になったのは二番目だからな。

 

 

俺はここで穢土転生の疑いがあることを漆原に報告した。

 

 

 

 

『(ここからは情報漏洩を少しでも防ぐために僕達の世界の言葉で話すよ)』

 

 

「(中央交易言語…俗に言うエンテ・イスラ語だな)」

 

 

「ハヤト?今なんて言ったの?」

 

 

「津島さんは様々な世界の言語を話せるんですよ。あれも恐らくその一つです」

 

 

『(…にしても穢土転生か。お前よく妙な厄介事に巻き込まれてるよな…僕達は大蛇丸もカブトも…あともちろん卑劣様も見てないよ。おっと、その復帰は甘えだっ!)』

 

 

「(そっか…なら些細な手がかりでも良い。気になったことはないか?)」

 

 

『んー、たしか沖縄県で行方不明者数人って事件があったかな。おまけに沖縄の刑務所からも何人かいなくなったって僕独自のルートで調べた資料に載ってる。敏腕マスターの津島隼人が詳しく調査してくれると助かるなー。行ってくれたらこれの対価は調査報告書だけで手を打つよ』

 

 

調査報告書か…

 

 

「なぁ、俺がまとめなきゃダメか?」

 

 

『うん、僕がまとめたら芦屋やマスターがやれ漢字の誤変換が多いだのやれ公用文で書けとか怒ってくるし』

 

 

お前公用文はともかく、まだ漢字覚えてないのかよ…

 

 

「何もなかったら?」

 

 

『会ったマスターの報告ぐらいは欲しいけどもし本当に何もなかったらその時は何も無しで構わないよ。それすら重要な情報だしねー。はい、メテオー。よし、ゲームセット』

 

 

「…さて、肝心な手当は出るのか?」

 

 

『ないよ。本来なら僕がひとっ飛びする案件だし。一応マスターに掛け合ってみるけどもし出なかったら実費で頼むね』

 

 

「そうかよ…」

 

 

「あともう一つ聞きたい」

 

 

『まだ何かあるの?』

 

 

「お前らがもし穢土転生したやつに会ったらどう対処する?」

 

 

『そうだね…まずはバニルや男鹿辰巳、ヒルダに穢土転生者の攻略を頼む。そうして大ダメージを与えたらカズマやウィズ、芦屋に拘束してもらう。あとは僕か真奥が封印術を施してフィニッシュかな』

 

 

…秒殺っぽいな。こっちの編成じゃ倒すのに一苦労しそうだ。

 

 

「ありがとよ、そんじゃ」

 

 

『あっ、そうだ。津島隼人。お前には前から聞きたいことがあったんだ』

 

 

「何だ?知ってる範囲内で答えよう」

 

 

 

『お前、何で本気でやってないわけ?』

 

 

 

彼の言葉を理解した俺は無言で電話を切った。

 

 

 

 

「お前ら、沖縄行きたいか?」

 

 

「行きたい行きたい!」

 

 

「連れて行ってくれるのですか!?」

 

『沖縄?』

 

 

ユウキとアイリスはテンションマックスで大喜びといったところだが、やはりと言うべきか日本をよく知らないシスティーナとルミアはそんなキョトンとした顔をしている。

 

 

「えっとだな…お前達が分かるように言うとサイネリア島に近い気候の場所だ。年中暖かく、秋にも海水浴できるくらいだ」

 

 

「へぇ…でも何で急に?」

 

 

「どうやら沖縄に穢土転生の術者がいるって疑いがかかっているらしい。そうでなくともとある事件にマスターが関与している率が高いんだと。俺に情報をくれたやつが言ってた。今回はその対価で行う実地調査だ。遊びじゃないからな?」

 

 

「…それは確かな情報なのですか?」

 

 

「あぁ、魔王軍と取引して聞いた。誓って嘘ではない」

 

 

モモが疑い深く聞いてきたが、あいつは取引の時に嘘を言うほど馬鹿ではない。

 

 

「いいけれど…旅費はどうするの?」

 

 

「あっ…」

 

 

ドラゴンとか呼べないかなぁ…いや、これ以上は贅沢だな。反省しなければ。なら…

 

 

 

 

「おい、ミカァ!飛行機代出せやコラァ!」

 

 

「は、隼人!?」

 

 

「今度沖縄に向かう。出してもらおうか」

 

 

「分かった。…でも条件があるわ。今からやるゲームにこの前の3戦分と今日20戦勝ったらね!」

 

 

ゲーム?何なら勝てるんだよ、お前。ぶっちゃけ俺負けないぞ?

 

 

「今回はポケカ!あんたはデッキないでしょうけど…」

 

 

「もしもし、モモ。ポケカ頼む」

 

 

『はい』

 

 

甘いな、美嘉め。俺の必殺ピカゼクデッキで消し炭にしてやろう。

 

 

「やるか、ポケカ」

 

 

「待って!それなら貴方にはこの1500円でカードを買って、デッキを作ってもらうわ。メルカリ、カードショップ…構築済みデッキ…手段は問わないけれど…」

 

 

いきなり負けると悟ったのかえげつないハンデ要求してくるな、おい。だが、こっちにも考えがある。

 

 

「おーい、モモ。それ1500円で売ってくれないかー?」

 

 

「はーい、いいですよー」

 

 

「やったぁ!ガチのピカゼクデッキだぜ!よし、勝負…」

 

 

「待てや!!」

 

 

「うぉっ!?」

 

 

「反則反則!!いくらなんでもそれはダメ!」

 

 

ダメか…酷い仕打ちだ。今や環境の最前線じゃないのに…

 

 

「手段は問わないって言っただろ…」

 

 

「じゃあ、少しだけ待ってろ」

 

 

〜30分後

 

 

「ほら、レシート。あとスリーブ付けさせてくれよな。ほとんど持っているとはいえ、キズつけたくないし」

 

 

レア×4 432円

水エネルギー 32枚 640円

トレーナーズ×4 200円

ノーマル×19 190円

ノーマル×1 30円

計 1492円

 

 

「ふっふっふ…爪が甘いわね、こんなのだいぎんじょうギャラドス確定じゃない…廉価版を作ったばかりにお粗末な結果ね…叩きのめしてあげるわ」

 

 

ここから美嘉の逆転劇が…

 

 

 

 

「たねポケモンがありません」

 

 

始まってすらいなかった。

 

 

「早く始めなさいよ!何枚引かせる気!?」

 

 

念のため弁明しておくが、煽っているわけではない。本当に来ないのだ。デッキの欠陥やイカサマを疑ってきたので美嘉にも一度切らせた。しかし、来ないのだ。

 

 

「お前の手札何枚?」

 

 

「ふっ、35枚よ」

 

 

「あっ、来ました。お願いしますね」

 

 

いや、意図的に引いてなかったって方が正しいな。

 

 

「まぁ、何をするにせよ所詮は雑魚デッキ。私の相手じゃないわ。デッキも見たけど明らかに廉価版だいぎんじょうギャラドス。ギャラドスも見たし、間違いはない。どうせ場は…コイキ…ング?」

 

 

バトル場

 

隼人

 

アンノーン

(特性 HAND)

 

vs

 

美嘉

ミュウツー&ミュウGX

 

 

「私のターン、ドロー。モノマネむすめ。手札を全て山札に戻します。貴方の手札は35枚ですね?なら35枚ドローします。アンノーンの特性HAND。私の勝ちです」

 

 

「クソがっ!」

 

 

あぁ、カードの山が…沢山作戦考えたんだろうなぁ…

おっ、ウルトラネクロズマGXにミュウミュウタッグか。なるほどね…ミュウミュウタッグでフォトンゲイザーを撃つプランだったか。他にもシナジーを発揮するやつがちらほらと…これはまともに勝負したら流石に負けてたな。

 

 

しっかし、柔らかいスリーブメインだったが、アンノーンとモノマネむすめ4枚だけハードスリーブにしていたイカサマまで見抜けないとは。まだまだよなぁ。

 

 

「ほら、プライベートジェットよこせや」

 

 

「うぅ…まだまだ!ってか勝手にハードル上げんな!」

 

 

〜遊戯王

 

 

「サイバー・エンジェルー弁天ーでプレイヤーにダイレクトアタック」

 

 

「っ〜!!何でエクストラデッキ0枚の前時代デッキに負けなきゃいけないのよ!」

 

 

「お前禁止カード入れてただろ。指摘しなかっただけありがたく思え」

 

 

〜デュエマ

 

 

「メテオレイジ・リザードでトドメ」

 

 

「私を舐めてんの!?そんな最弱クリーチャー使って!」

 

 

「舐めてるけど」

 

 

そもそもインビジブルスーツをクロスさせただけで対処出来なくなっていたのはどこのどいつだ。

 

 

「くぅぅ…」

 

 

「とりあえず最初の3戦は勝ったぞ」

 

 

「…これから思い知らせてあげるんだから!さっきの3戦!禁止カードも何でも込みでやるわよ!」

 

 

〜ポケカ

 

「ふふっ、エルフーンGXデッキよ。先行は取られたけど最初は技を使えない…やぶれた時空で即進化からの無限回避であんたは…」

 

「ククイ博士、プラスパワーを使用。草エネ付けてフェローチェGXのファストレイドで60ダメ。モンメンきぜつ。対あり」

 

 

〜遊戯王

 

 

「先行1ターンエグゾディア決まりっ!」

 

 

〜デュエマ

 

 

「“轟轟轟ゴゴゴ”ブランド!“轟轟轟ゴゴゴ”ブランド!“轟轟轟ゴゴゴ”ブランド!“轟轟轟ゴゴゴ”ブランド!」

 

 

「ソリティアしてんじゃないわよ!」

 

 

「いや、しゃーないじゃん。無法地帯のカードゲームなんて所詮はじゃんけんと変わらんよ」

 

 

「ほら、とりあえず3戦終わったぞ?あとは?」

 

 

〜リズム天国

 

 

「リミックス10目隠し縛り程度じゃ甘いよ」

 

 

「嘘でしょ…」

 

 

〜家庭教師ヒットマンリボーン 決戦!真6弔花!!

 

 

また随分と懐かしいゲームを持ってきたのでちょっと最初は接待してみた。多分こいつは俺の知らないゲームでハメ殺しでもするつもりだったのだろうが、当てが外れたな。

 

 

「5回勝負…それは分かる。でも…何で真6弔花最弱のブルーベルに負けなきゃならないのよ!」

 

 

10年後雲雀と翼白蘭を使っておきながらデンドロ・キラムとニゲラに秒殺されたやつが何か言ってる。ブルーベルに対しても容赦無くⅠ世とかいうガチキャラ使ってくる始末。俺は悪くない。

 

 

「じゃあ、今から本気出すから後悔するなよ」

 

 

この後久々に永久ハメコンボしたら泣かれた。

 

 

〜マリオメーカー2

 

 

「あんたは30分以内にステージを作りなさい。それを2時間に私がクリアしたら私の勝ち。出来なかったら隼人の勝ちよ」

 

 

マリオメーカー2か。いや、さぁ…こういうのには明確な必勝法があってだな…

 

 

「あぁぁぁぁぁ!もう孔明は嫌ぁ!!というか運ゲーもやめなさいよ!」

 

 

うん、マリオメーカーってさ。つまんなくてしょうもない要素を大量にブチ込めば難易度は簡単に上げられるんだ。ただそんな害悪ステージを投稿しても人気コースには絶対になれないがな。

 

 

「あっ、その中間取ったら最初からやり直しだから」

 

 

「っ〜〜〜!!!」

 

 

ほらね、クリアさせないことだけが目的ならただイライラするだけで何の爽快感もないステージを作れば良い。それこそ最も簡単な勝ち筋だ。

 

 

 

これから…何で勝ったっけ。あっさり全勝した。途中からどんなゲームで勝ったかも覚えていない。

 

 

「ありえない…何でプリキュアのキャラで古今東西したのに勝てないのよ…」

 

 

「プリキュアはオタクの嗜みだ。勝って当然」

 

 

「そんな嗜みあってたまるか!!」

 

 

…それを除いてもお題をふっかけておきながらオールスターズ全員言えないのは酷いと思う。

 

 

「まだよ…まだ切り札がある!」

 

 

〜太鼓の達人

 

 

わざわざゲームセンターに移動してこれか。今日の戦いは終わっているが、念のためモードレッドだけは連れてきた。流石に今他の勢力による暗殺はないだろうけど。

 

 

「ラストは太鼓の達人よ」

 

 

(勝ったわ…あんなひょろい腕じゃ満足にバチが握れないわ…ここであんたは敗北よ!)

※トリオン体になれば余裕で握れます

 

 

「…もしもし、モモ。あれを」

 

 

「はい」

 

 

「おけっ…いやー、このバチを握る感覚…久々だな」

 

 

「マ、マイバチ!?まさか貴方そのレベルに至っていると言いたいの?」

 

 

「…答える必要はない」

 

 

「よし、私本気出すから」

 

 

幽玄の乱

 

 

「あっ、やべ」

 

 

「ふふん、最初から可の連続…先が思いやられるわね」

 

 

「いや、俺そろそろ本気出すから」

 

 

 

 

1033140

 

「おぉ、100万代出すのは普通にすげぇな」

 

 

「ふふん。で、あんた…は?」

 

 

1145140

 

 

「舐めてんのか!!」

 

 

「いや、頑張れば割といけるし…」

 

 

「この調整…もし私の良の数次第じゃあんたの負けだった。今までのゲームも…いいや、今までの扱いだって…私なんて眼中にないってわけ?」

 

 

「どうした、急に」

 

 

いや、フルコンじゃない時点でそこそこ差はあるが…

 

 

「ほら、あんたお望みのブラックカードよ!!」

 

 

「お、おう…」

 

 

「あんたなんか知らない!沖縄でもどこでも行けば!?」

 

 

美嘉が急にキレてブラックカードを突き出し、どこかへ去っていった。

 

 

「…俺、何かしたか?」

 

 

「あ?俺に聞くなよ」

 

 

この時の俺は知らない。沖縄にとんでもない計画を企だてていたマスターがいたことを。その彼が巻き起こす災禍を…

 

 

そして時は流れ…

 

 

 

 

俺はこの戦いで見事優勝した。そうして願いの一つ…ユウキの病気を治して…いや、生き返らせてもらうことにした。

 

 

「ねぇ、どうしてこんなことになっちゃったの…?僕がいない間に君はどうしてそこまで変わっちゃったの…?」

 

 

「俺が勝ち残るのは当たり前だろう?」

 

 

「そうじゃなくて…!!」

 

 

「何も変わっちゃいねーよ。最初からそうだった。俺は今まで嘘をついていた。病気を治す。けれどお前は既に死んでいるから生き返らせるしかない。つまりはそういうことだ。人を生き返らせるには相応の犠牲が必要不可欠。それが俺だ」

 

 

「さぁ、生き返らせるぞ。お前は何もする必要はない。願いを叶えてもらえばキリトやアスナ…みんなと普通に楽しい人生を過ごせるだろう」

 

 

そう、俺なんかとじゃなくて。今度こそみんなと楽しい思い出が作れるだろう。

 

 

「…要らない」

 

 

「何…?」

 

 

「僕のためにハヤトが死ななきゃいけないぐらいなら僕は死んだままでいい!」

 

 

やはりと言うべきかユウキにものすごく反対された。あの時、俺は知ってしまった。いや、確信を得た。と言う方が正しいのか。ユウキの病気を治すのは無理だと。ユウキはもう死んでいると定義されていた。だからもし彼女が未来を生きるのであれば生き返らせるしか手段は無く、そのためには一人の命が犠牲になると。

 

 

「ふざけるな!なら一体俺は何のために…!!」

 

 

ユウキは俺に生きる意味をくれた…お前はこれからを…未来を生きるべき人間だ。だから俺はユウキのために…

 

 

「死ぬことで僕に恩返しをするつもり…?ハヤトこそふざけないで!死ぬことは!断じて恩返しなんかじゃない!僕の命は既に終わっているんだ!だからもういいんだよ!願いは君のために使うべきだよ!」

 

 

「そうか…なら…『これから俺とユウキは全力で勝負をする。もし俺が勝ったのなら俺の命でユウキを生き返らせてくれ。もしユウキが勝ったのならその時はあいつの願いを叶えさせてやってくれ』」

 

 

「…と、まあこんな風に結果的に叶う願いが一つなら問題ないだろ?ガヴリール」

 

 

ガヴリールドロップアウトのガヴ…最初に会ってから今の今までずっと…あの事件があってもなお俺を観察していたとはな。

 

 

「オーケー、オーケー。じゃあ、あとは準備をしとくから。界王神様が」

 

 

やっぱりこいつはちょいちょい人任せか。まぁ、今はどうでもいい。勝ち筋をしっかり考えていこう。

 

 

 

 

準備はこのことか。ステージは天下一武道会を思わせるようなリングか。逃げ場がないのは少し厄介だが…この1戦だけは何が何でも勝たなきゃいけない。

 

 

「ハヤト、君は随分面白いねえ」

 

 

「最後の最後まで楽しいことするねえ」

 

 

そして神の中でも最上位に位置するのがこの全王様だ。どうやら全王様の暇潰しにこの戦いが提案されたとか何とか噂されているが、真相は貴方のお好きなように解釈してくださいとのことだ。

 

 

「えぇ、これが私の最期の戦いです」

 

 

「違うよ、だって君は死なないから。僕が決して死なせない」

 

 

「黙れ、ユウキ。俺は死ぬ。他ならぬお前のために。必ずな」

 

 

「二人とも熱いねえ」

 

 

「燃えてるねえ」

 

 

「えっと…ルールは…基本天下一武道会と同じ…ただ武器はいくらでも使ってOK。制限時間は無し。これでいい?」

 

 

「了解だ。さぁ、最期の戦いを終わらせよう」

 

 

「うん、僕は君を全力で止める」

 

 

「ねぇ、ガヴリール」

 

 

「何?全ちゃん」

 

 

「この戦い…神や天使だけが見るのはもったいないと思うのね」

 

 

「ここにいーっぱい今まで出てきたキャラを呼んだら面白いと思うのね」

 

 

「はい、おっけおっけ。なら私達でキャラ呼んできます」

 

 

「うん、任せるのね」

 

 

「楽しみにしてるのね」

 

 

「とりあえず二人はあそこの控え室で1時間程待っててくれ。今他の天使や神と協力して、呼んでくる」

 

 

 

待機室

津島隼人様と書かれた部屋に入り、今までの戦いを思い出しながら最高の相棒にして、最強の敵。ユウキに勝つ方法を考える。

 

 

ユウキ…やつはSAOにおける一般的なALOアバター。

 

 

種族はインプ。「絶剣」と呼ばれる剣士。キリトを二度も下したまさに作中最強の剣士候補筆頭。ゲームでは銃を使ったりする場合もあるが、今回はほぼないと思っていいだろう。

 

 

魔法は使わず、剣の攻撃のみ。彼女の必殺技『マザーズ・ロザリオ』は当たったらタダでは済まない。

 

 

そしてALOアバター特有の飛行能力…これも上手く攻略しなきゃならない。

 

 

俺の手札は通常のトリガーと黒トリガー。グレンから教わった魔術。そして…数少ない手の内がバレてないカードであるデビルーク星を始め、様々な世界の科学の粋を集めた多彩な武器。これらに最後の切り札があれば勝てる相手だろう。

 

 

いや、勝てる勝てないじゃない。勝たなければならないんだ。

 

 

「ごめん、ユウキ。けどさ、やっぱ俺。お前には生きていて欲しいと思うよ。」

 

 

「色々あったっけか。最初にユウキを呼んだあの日や美嘉、アスナと会うために北海道にユウキとアイリスで行ったり…サトウカズマを取り合ったり、京都で妹と運悪くエンカしたり…あとは沖縄に行ったら最低最悪のやつ…この戦いの諸悪の根源たるやつと会ったりもしたかな。 けど一番ヤバかったのはマスターの実力を試すためにマスターによる勝ち抜きサバイバル戦…2回で充分だと思っていたのに3回目まで出てくるし…」

 

 

3回目に関しちゃ俺や魔王軍、パッショーネ。あとは雲雀さんなんかが名を上げすぎたことで俺達上位陣に歯向かうやつらが一人もいなくなって、戦いが停滞しまったからなんだが。

 

 

そして3回目の戦いは十三の試練とかいう最悪なやつがあったっけか…

結論から言えばこの戦いが終わってから主人公達が一気に解禁されたことで戦いが更に激化し、あっという間に終局を迎えたのだが…

 

 

せっかくだ。思い出話をするのも悪くない。第3回マスターサバイバルから今までの戦いを振り返ってみるか。

 

 

今までの戦いから新たな勝ち筋を見出せるなんてこともあるかもしれないしな。今一度思い出してみよう。




一旦今までの流れの大半を切ります。

これが私が最初から決めていた最後です。

ユウキとマスターである津島隼人が互いの未来のために戦う。
これこそが全てです。

そしてこの次からは最終地点に至るまでの道のりの一つ。最後のマスターサバイバル編を始めます。それでは!

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