アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件   作:100¥ライター

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2ヶ月ほど時間をあけてしまい、申し訳ないです…
今年で沖縄編はちゃんと終われるようにがんばります…!
引き続きダークマイトのネタバレがあるのでお気をつけて…


84話 悪趣味

最も恐ろしいもの。それはコミュニケーションを断つ事だと俺は思う。

1人で戦える五条悟や雲雀さんなんかを連れ回すならともかく普通に戦うなら連携は必須。故にこの戦いにおいて最も恐ろしい能力だろう。

 

特にトーキングヘッドのようなこちらの危機感が伝わらないものであれば尚更…コミュニケーションを断てば信頼にすらヒビが入るのだから。

 

 

…奴は俺をおちょくって楽しんでるな。

 

今、俺は謎の光を受け、まともな会話ができない状態に追いやられた。そう考えるのが妥当か。とりあえずどこまでが問題なくてどこまでがアウトか。法則はあるのかないのかをテストするか。

 

『七草香澄と泉美の2人に耳を舐められながら七草先輩を抱いて眠りたい』(七草先輩、奴を捕らえます)

 

『はっ—!?』

 

 

「マ、マスター…君…?」

 

真由美…驚けば良いのか軽蔑すれば良いのかよく分からない表情をしているな…しかし、今の言葉で全てを理解した。

 

今俺は本来話す言葉と違う言葉を話してしまうらしい。

しかも法則性は一切分からない。

 

何の言葉が何に置換されるのか。それを知るのが先決か?先程俺が口にしていたのは…

 

 

「はっはっは!愉快愉快!!我が名は吸血鬼Y談おじさん!君ほどのマスターなら一度くらい何処かで名前を聞いたことくらいはあるんじゃないのかね?」

 

 

『—!!』

 

原作は読んでいないが、名前は聞いたことがある。

 

一時期SNSで吸血鬼すぐ死ぬのパロディが流行った時があった。

あいつは人の隠れた性癖を喋らせて辱めることを喜びとする男だ。俺の記憶が間違いでなければこの能力はかなり強い…

 

それにしても仮にも吸血鬼が昼間にやって来るのは想定外だった…昼間外に出ても問題ない特権ルール持ちかあるいは…

 

「おや、もう分かったと言いたげな顔だね。なら早く君のお仲間に伝えた方がいいんじゃないかな?」

 

言えたら苦労していない。しかし、他のみんなからすればいつも指示を出してサポートするマスターが急におかしな事を口走ったのだから説明を求めるのも無理はない。

 

「マスター!ふざけないで早く答えなさい!」

 

「マスターさん!お願いします!!」

 

システィーナが怒りを混ぜた瞳で。そしてルミアが懇願するようにこちらを見つめる。ふざけてなどいない。俺を舐めるな。

 

無論、こういった自体は既に想定している。こちらの思い通りに喋れなくなる能力にやられた場合で情報を伝える手段はいくつもある。こんな時に頼れるのは…そう、ずんだもんだ。

 

 

『システィーナの髪に顔を埋めて匂いを嗅ぎたいのだ!』(奴の能力を受けた奴はY談しか話せなくなるのだ)

 

「…えっ?」

 

 

「《最ッ•低》!!」

 

俺は再び頭を抱える。何?今はシスティーナの風魔法ゲイルブロウで宙を舞っているから頭は抱えられない?ははっ、やかましいわ。

 

おかしい、確かに頭では奴の能力を入力したはずだ。それが何故か全く違う言葉になっている。親にエロ本並べられて説明を求められるのってこういう気分になるのだろうか。俺の信頼があっという間に地の底まで落ちていくのを感じる。

 

しかし、最新の科学は負けない。こんなこともあろうかとデビルーク星の科学力を用いて作ったAI津島隼人がいる。これなら…

 

『涙目で防犯ブザーを片手にかける幼女は素晴らしいと思います。至高の芸術です』(Y談おじさんの能力は催眠術です。本来であれば精神を破壊させるほどの力がありますが、本人の性癖故にY談を喋らせることにしか使っていません)

 

「…!!」

 

「マスターさん…?」

 

モモですらもう救い用のない人を見る目でこちらを見ている。俺の株価はえげつない速度で急降下していることだろう。

 

分かった。俺はどうやらこの戦いが終わるまで何が何でも普通の言葉は喋ることが出来ないらしい。おまけに他手段を用いた意思疎通も不可能と来た。

 

「ふふ…はっはっは!愉快愉快!!今どんな気持ちかな!?マスター隼人君!」

 

「先輩!すみません、私が不甲斐ないばかりに!」

 

待て、まだ他にも策がある。奴の名前は上杉。それで閃いた。

上杉暗号。ドクスト履修済みの俺にとっては造作もない。

ギリギリモモには伝わる…はず。

 

『RJ310836、RJ318351、RJ01017895、RJ01229288』

 

「マ、マスターさん?その数字には何の意味が?」

 

何もかも上手くいかない。もうやだ、あの能力。最低すぎる。

ならもう、最後の手段が問題ないかに賭けるしかあるまい。

 

「マスターがダメなら私が行くわ!さぁ、かかってきなさい!」

 

「おや、君も中々面白そうだね。くらえ!Y談波!!」

 

『先生がネクタイを緩めた時に見える鎖骨がエロい!』(ちょっと!あんた私に何をしたの!)

 

…やられたか。可哀想だが、効果が切れるまで治らないだろう。

おまけに詠唱にすら邪魔が入るならいくらシスティーナとはいえ、魔術を使うのは困難と見た。

 

「システィ?」

 

「先生が私と結婚するために争って欲しいぃぃぃぃ!!」(いやぁぁぁぁぁぁ!なんでぇぇぇぇ!!)

 

「ははは!君も中々に良い性癖を持っているじゃないか!もう少し特等席で楽しみたいが…彼等はそうさせてくれないみたいだね」

 

「ダークマイト…やれるな?」

 

「無論、勝てるとも」

 

Y談おじさんはマスターと一緒にダークマイトが生成した小型飛行船の上に乗って優雅に試合を眺めている。このまま戦闘員とマスターを1km圏内に入れつつ安全圏に逃げるつもりだろう。ならこちらの打つ手。一か八か。

たった一人だけ真相に気付いてくれるかもしれない存在に賭ける。

 

「相変わらず悪趣味ですね。いたいけな少女の趣味を衆目に晒すとは」

 

モードレッドの攻撃をいなしながらため息混じりに話すトリスタン。

 

「おい、よそ見してる暇あんのかよ、トリ野郎!!」

 

「そして貴方は相変わらず粗暴ですね、モードレッド卿」

 

その舐めた態度に激昂したモードレッドが剣をより強く振るうもトリスタンには擦りもしない。

 

「それは私と君の性癖(好み)の違いというやつじゃないかな?トリスタン君」

 

 

見る限りダークマイトにもトリスタンにもすぐに負けたりはしないだろう。しかし、この拮抗した状態を崩すためマスターが新たに召喚権を行使する可能性も充分あるし、油断はできない。

 

ならば俺もやることをやるか。

 

「ルミア…お前の学校にいる先生とスクール水着の食い込みと角度について語りたい…」

 

「マ、マスター!?」

 

「…分かりました。現在、何かしらの理由でマスターとシスティが正常ではないと判断して私が指揮を取ります」

 

「ルミアちゃん?何が分かったの?」

 

未だ俺のことを性癖カミングアウトお兄さんと思っている真由美が首をかしげる。

 

「恐らくマスターとシスティは何かしらの精神作用の攻撃を受けていて真実を喋ることができない状態かと思われます」

 

…やはり気づいたな。ルミア達の通うアルザーノ帝国魔術学院には精神作用の魔術が得意な先生がいる。よく気づいてくれた…

 

「お願いします、マス—!」

 

「イグナイテッドアロー!」

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!!」

 

ルミアが言い切るよりも先にダークマイトに目掛けて投擲される炎の槍。そして能力無効化の光が俺に放たれた。

それが可能な奴は…俺が答えを出すより早く二人は空から舞い降りる。

 

「おじさん、中々早いじゃない」

 

「軽口を叩いている暇はないぞ。目の前の敵をしっかり見据えろ、アクア」

 

「やれやれ、いきなり荒っぽいことをするじゃないか。繰り上がりNo.1の分際で…」

 

不意打ちの炎の槍にも動じず刺さった盾を放り投げて挑発する。

 

「話には聞いていたが…奴を模倣するとは…随分と悪趣味だな」

 

「ふん、所詮は旧時代のヒーロー…この素晴らしいセンスは分からないか…」

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!ア、アクアにエンデヴァー…?なんでお前達がここに…ん?なんで俺は普通に話が…」

 

「あら、マスターハヤト!なんか強い催眠術と呪いがかかっていたからサクっと解除しておいてあげたわ!!」

 

「あ、あの…良かった…ですね、マスター…」

 

…これからあの能力をどう攻略するかってところだったじゃないですか。どうして話の腰を折りに行っちゃうんですか。アクアさん。ルミアちょっと気まずい感じになってんじゃん。だが、とりあえず2人が協力してくれるなら力を貸してもらおう。

 

「亜里沙はトリスタンを抑えてくれ」

 

「…分かりました」

 

 

「…そこの吸血鬼!この女神アクア様が退治してあげるわ!」

 

「おやおや…女神だとは大きく出たねぇ、お嬢さん」

 

「ホントなんですけど!?もう!沖縄ってリゾート地でしょ!?なんでこんなにアンデッド臭がするのよ!」

 

特権ルールで明記されてあるかはさておいて恐らくほぼ確実にアクアのせいだろう。吸血鬼も定義としてはアンデット。それを引き寄せる体質を持つアクアが影響していたとしてもおかしくはない。

 

「奴はY談おじさん。あいつが杖から放つ光を受けるとY談しか話せなくなる。他の意思疎通手段もY談を介さないと困難になる」

 

「あ〜!貴方よく見たら…信者のみんなに卑猥な言葉を言わせていたおじさんじゃない!!」

 

「…?君の信者…とやらが誰かは知らないが…私は辻Y談を楽しんでいただけさ」

 

「っ〜〜!楽しみ方が陰湿なのよ!暗いのよ!やるならもっと明るく楽しくやりなさいよ!!」

 

「…アクア、俺達のやることは穢土転生なる術を使う者と蘇生された者を探す事だ。本来の目的を見誤るな」

 

「でも!野放しにしたら私の可愛い信者達が悲しみにくれることになるわ!」

 

「隙だらけだ、お嬢さんっ!」

 

ダークマイトが握りしめていたコインが光の矢に変化し、無数の矢がアクアを襲う…

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!」

 

「…ん?うわぁぁぁぁぁぁ!私の力が!肉体が!顔がァァァァ!!」

 

…前に全てを無効化してしまった。

 

槍はコインに戻り、化けの皮は剥がれる。奴の個性『錬金』もこのすば側から見れば能力やスキルに分類されるわけか。

 

そしてオールマイトを意識した偽りの顔、個性で増強した肉体は消え失せ、ダークマイトの真の姿が露わになった。

 

「バルド・ゴリーニ。これで終わりだ!!プロミネンス・バーン!!」

 

エンデヴァーが莫大な炎をダークマイトに浴びせる。ダークマイトは既に自信喪失。懇願するような目で命乞いをする。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!か、考え直せ!!この俺が負けたら世界の象徴は失われてしまう…!!象徴が無ければ世界はどうなる?誰が日本を。誰が世界を守る!?このままでは破滅の未来は逃れられな…」

 

 

「世界は…人間は…お前に守られなければならない程弱くはない!!」

 

エンデヴァー渾身の炎を纏う拳。赫灼熱拳がダークマイトを大きく吹き飛ばし、致命傷を与えた。光になって消えていく…これではもう助からんな。

 

「バカな…ありえない…」

 

「俺が追いかけ続けた男は…お前のように脆くはない」

 

「おじさん!貴方中々やるじゃない!見直したわ!!」

 

「おじさんはやめろ、アクア。戦いはまだ終わっていない」

 

「マスター、ダークマイトがやられましたがいかがなさいますか?」

 

『引き続き戦いを続け…』

 

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッ…

 

 

「こ、この音は…!」

 

この一定のタイミングで鳴り響くまるでエンジンのような音…

 

「キ、キ、キ、キング!?何故ここにいる!?」

 

嘘だろ、キングが何故…ここで奴が本気を出したら俺達に勝ち目は…ない。

 

「マスター、あのオールバックの金髪で目に傷がある…キングさん?という方は強いのですか?」

 

「強いなんてレベルじゃない…誰も戦闘スタイルを知らないが、ありとあらゆる怪人を屠ってきた地上最強の男だ…なんでこんな所に…」

 

 

剣は素人だと言いながらアトミック侍すら認識できない速さの太刀筋。シルバーファングよりも強い肉体。おまけに月をサンドバッグにする男…

 

「ちょっとキングさーん!なんかジャラジャラしたおじさん倒しちゃったんですけどー!」

 

「…すまない、流石の俺も飛んだエンデヴァーには追いつけなくてな」

 

『…撤退だ、キングが相手なら分が悪い』

 

「と、いうことみたいです。またいつかお会いしましょう」

 

「あっ、コラ!ざけんな!逃げてんじゃねぇ、トリ野郎!!」

 

マスターがトリスタンの1km圏外に出たのだろう。トリスタンは目の前から消え去った。

 

「…キングさんはアクア達の味方なのか?」

 

恐る恐る問いかける。殺されないように言葉を選べ、俺…

 

「あぁ、お前の話は聞いてある。事を構える気がないなら俺は戦わん」

 

「全力出せるキングさんと戦うバカはいませんよ…」

 

「エンデヴァーさん!貴方達も穢土転生の術者を探しに来たのですか?」

 

先程エンデヴァーが言っていたことを覚えていたのだろう。モモがエンデヴァーに問う。

 

「あぁ、そうだ。マスターが穢土転生を使えるとなれば世界は破滅する…故に穢土転生の術者がいるなら倒さねばならない」

 

 

「そう、ですね…良ければ後ほど情報交換をしましょう」

 

「?ねぇ、なんで穢土転生が使える人がいたらまずいの?」

 

ん、アクアはマスターが穢土転生を使えた場合どうなるか知らんのか。

 

「ん?それは…」

 

俺が弁明するとそいつはどこからか吹っ飛んできた。血まみれの状態からして退場寸前だろう。

 

「ぐおぉぉ…!!」

 

「白目が黒目になっている男…こいつが穢土転生か!」

 

「違う!こいつの目は…厳密にはかなり大きな黒目で…」

 

この血だらけの男を…白髪で黒いフードを被った男を…俺は知っている。

そして今にもダークマイトのように消えかかっている。

 

「津島…隼人…だな?穢土転生の術者は見た…俺を連れて行け…」

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