ソードアート・オンライン 仮面の将軍   作:七十円玉

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初めまして、こんにちは。 七十円玉と申します。 ハーメルンにお世話になるのは本日が初めてとなります。
オリキャラと原作キャラによるSAOとなります。 進みは遅くなりますが宜しくお願いします。
本編には独自解釈、大筋を大きく改変しない程度の設定改変が含まれております。 どうかご了承ください。 批判、批評、指摘、感想なんでもお待ちしております。



諦観の現実、諦念の仮想
第一話 槍を持ち、盾を構えて、防ぐ者


 ソードアート・オンライン――それは、全ゲーマーにとっての憧れであり、一種の終着点であり、これから先の仮想遊戯を発展させる出発点であった。

 総応募者数10万人以上ともいわれるβテストから3ヶ月、ついに発売日と正式サービス開始日が決まり日本のマスメディアは大々的に報道していた。

 テレビでネットで新聞でラジオでこの世のありとあらゆる情報端末で情報は報道された。

 そして、それだけの大規模に報道されたソフトであれば販売される数も多いだろうと予想していた多くの者の期待を裏切り、その初期ロットの数は僅かに1万本であった。

 ソードアート・オンラインが一ゲームに過ぎないにも関わらず何故そこまで注目されるのか、そこには当然理由が存在する。

 新次元の没入型ロールプレイングゲーム――最も初期にゲーム雑誌の特集ページにはデカデカと見出しが書かれ、多くのゲーマーは疑問を持った。

 『実際にそんなことができるのか?』と。

 だが、続々と新情報が公開されるにつれ疑問は期待へと、そしてベータテストにより確信へと変わった。

 『ビギナーズラック』を筆頭とした多くのゲームレビューや日本最大のオンラインゲーム情報サイト『MMOトゥディ』がソードアート・オンラインを絶賛した。 『これは未来のゲームの全てを変える。 今までのゲームが全て過去のものになった』と。

 ソードアート・オンラインをプレイするためには『ナーブギア』と呼ばれる新時代のコントローラー、いや最も近いのはヘッドマウントディスプレイだろう。

 だがHMDなどとは決定的に違うのは従来のHMDは視覚制御による操作や従来型のコントローラーの補助でしかなかった点に対して『ナーブギア』はヘルメットのようにすっぽりと被り、NERDLESシステムを利用し、脳からの信号を制御、操作して仮想世界の肉体作り出し操作するというものだった。

 仮想現実を人はついに手に入れ、それを医療用や軍事用などではなく遊戯用として運用することがどれだけの奇跡か多くの者が実感していた。

 

 【2022年11月6日】

 ベッドの上にスウェット姿で寝そべる少年は頭に『ナーブギア』を被り、ゲーム開始時間を今か今かと待ち焦がれていた。 βテスト以来の感覚、仮想の現実。 それを早く感じたいと心臓は早鐘を打っていた。

 事前に設定していた時刻にアラームがなった瞬間、少年は掠れた声で呟いた。

 「――リンクスタート」

 瞬間、目の前が様々な色のラインが流れて視界の隅へと消えていく。

 自己診断プログラムが視界を駆け回り、異常がないことを知らせるとログインIDの入力を求められる。 何度も何度も反復したIDを素早く打ち込みログインボタンを押す。

 

 <キャラクター登録>

 βテスト時に登録したデータが残っていますが、使用しますか?

        Shogun(M)

 (YES)           (NO)

 

 自らの名前が変わっていないのを確認し、少年――ShogunはYESをクリックした。

 

 『Welcome to Sword Art Online!』の文字が表示され、視界は青のラインに覆われ世界を変える。 目を眩ませる程に白い世界に包まれて、ショーグンの現実が始まった。

 

 

 

 一瞬の浮遊感、それが収まるのを確認してから瞼を開く。

 視覚に直接リンクしているのだろう、太陽光が目を眩ませたが、普段起きるような目眩はなかった。

 

「……おぉ!」

 

 思わず声が出てしまう。

 自らの体がしっかりと接続されているのを確かめるように両手両足を視界に収めて動かしてみると、遅延なく動いた。 本物の体のように。

 地面には石畳、空は快晴。 小説の中で、幾多ものファンタジーで想像された街並みが目の前に広がっていた。

 周りを見渡すと同時間に接続されたのだろう多くのアバターが青白い光とともに中央広場に現界していた。

 <始まりの街>そこに自分は戻ってきたのだ。 この世界にこの現実に。

 興奮が止まらないのは同じなのか周りのアバターも歓声を上げこのSAOの驚嘆し感動の声をたからかに上げていた。

 視界の端に映る時間とHPバーがMAXであることを横目に見ながら時間を確認する。

 

「……一時三分、まだ時間はある」

 

 現実ではあれほどまでに掠れて嫌悪していた声が、SAOでは何倍もマシになり自分の耳にもわかりやすいほどに聞き取りやすくなっていた。

 まずはβテストの際に約束していたメンバーに会いに行こう。

 そう思い待ち合わせ場所の南方にある池のついた屋敷まで足を踏み出すと横から歩いてきた人にぶつかってしまった。

 

 「おおっとっとと!」

 「すす、すいませんっ!」

 

 相手が謝る前に謝る。 前を見ていなかったのは自分であるため、ぶつかった尻餅をついた相手に手を差し出し起こす。

 

 「おぉ! 悪いな! 兄ちゃん!」

 「前を見ていなかったのはこちらのせいですから……」

 

 相手のアバターは赤いハチマキと口ひげが特徴的な兄貴、というのが第一印象だった。

 笑顔が眩しい。

 

 「……では、ぶつかってすみませんでした」

 「いやいやいいってこんなの。 ところで兄ちゃん、突然で悪いんだが……武器屋の場所とかってわかるか?」

 「武器屋……ですか。 少し待ってください思い出します」

 

 記憶を辿り、<始まりの街>でオススメの武器屋を思い出す。

 SAOは同じ武器や防具であっても町ごと、店ごとにわずかながら値段や性能が違う――そのことを踏まえたうえでMAPを呼び出し印をつけた。

 

 「いま渡しますから」

 「はぁー……、慣れてるな兄ちゃん。 もしかしてβテスター経験者……とか?」

 

 SAOのやや過剰な表現システムにより驚きの表情を顔に作り出したアバターは感心しながら問いかける。

 

 「一応……まぁ。 えっと……ここが武器屋になります。」

 

 街のMAPに印をつけたものを相手にドラッグするように移動させるとバンダナ兄貴に表示が出たのが少し目を見開いていた。

 

 「おぉ!? え~と……ShogunさんからMAP情報が送られましたぁ?」

 「……青い丸のボタンを押してください」

 「青い丸……」と呟きながらバンダナ兄貴は押すとまたも驚きの声が上がった。

 「おぉ! MAPにマークが」

 「……そこがオススメの武器屋です。 お節介かもしれませんが安い道具屋と防具屋もMAPに載せておきました。 使ってください」

 「それでは……」と歩みを進めようとすると声がかかる。

 「い、いま時間あるか!? せっかくこうしているのも何かの縁だしよ。 何かお礼させてくれ!」

 

 左上に書かれている時間を見ると13時12分、待ち合わせまで18分。正直あまり時間がない。

 

 「すみません。 待ち合わせをしていまして……」

 「なら今度お礼するからフレンド登録しないか? と、まだ名前も言ってなかったな。 俺はクライン。 よろしくな。」

 

 ここまでマシンガンのように言われてしまえば断るのも逆に失礼なんじゃないか。 何より相手は自分のことを既に紹介しているのだから。

 

 「自分は……自分はショーグンです。 宜しくお願いします。」

 

 そうバンダナ兄貴ことクラインさんにむけてフレンド登録申請を行った。

 

 

 

 「今度お礼するからなー!」という声を背中に聞きながら、手を振り別れる。 今の自分は漫画の主人公のようにカッコいいかもしれない。

 時計は既に十五分を切っていた。

 

「……まずい、遅刻してしまう」

 

 未だ多くの人でごった返している広場のアバターをすり抜けながら、βテストの旧友の顔を思い出す。

 多分だけど名前もアバターの顔は変えていないと思う。 あくまで多分ではあるけれども。

 広場南の人通りの多い道を抜けながら商店の窓ガラスに映る自分を横目で見ると現実の世界の自分とは程遠い見た目だった。

 中柄の体躯、長い髪、傷のない顔、威圧感とは程遠い顔。

 ガラスの中の自分に微笑むとそこには久々に見た笑顔の自分がいた。 

 

 

 池を分断するように敷き詰められた石橋を渡っていくと屋敷の前――テラスのようなスペースで3人の男女が笑いながら話していた。その中の一人が自分に気づき手を振っていた。

 

「おーい! ショーくーん! こっちだこっち!」

 

 椅子から立ち上がり、周りの目も気にせず名前を呼ばれるとどこか恥ずかしいが現実の自分ではないためあまり気にはならない。

 

「お、お待たせしましたぁー!」

「いやー……久しぶりだねショーくん。」

 

 そう言いながら温かい人あたりの良い笑顔を向けるのは『シンカー』さん。

 日本最大のオンラインゲーム情報サイト『MMOトゥディ』の管理人さんである。 βテストの時と変わらず髪は金髪、顔や体格は欧米人という見た目だが初期装備のベストとジーンズによりも雑誌の男性モデルのような雰囲気を出していた。

 

 「オネーサンを忘れてないカ? ショー坊?」

 「……忘れてませんよアルゴさん。 あとショーボウって呼ばないでくださいって……!? ア、アバター変えたんですか!?」

 

 人をショーボウ呼ばわりしているのは『アルゴ』さんだと思う。 金色の髪に初期装備では隠せないほどのボディライン、どこからどう見ても美人のアバターがよく知る笑みで自分を捉えていた。

 

 「ん~……心機一転変えたヨ。 オレッちの豊満なボデーに見とれたカ? ショー坊?」

 「『ラック』さんもお久しぶりです。 先週の『ビギナーズラック』読みましたよ。 すごいアクセス数だそうですね」

 

 アルゴさんが「ショー坊に無視されタ!?」と言っているが無視してシンカーさんの隣に座る銀髪の老年アバターに話しかけながらシンカーさんの対面に座る。

 

 「おっ! 見てくれたかぁ、レビューと序盤の攻略、操作のコツを載せただけで400万アクセスだからなぁ。 通帳見るのが怖いくらいだよ」

 

 フフフ、とアフィリエイトによる収入を想像し、笑顔が止まらないのかニヤニヤとしながら話す姿はさながら漫画のエロオヤジであるが、彼が『MMOトゥディ』のもう一人の管理人、とはいっても前述した『ビギナーズラック』というブログの執筆者だから厳密には『MMOトゥディ』の『ブログ』の管理者であるが。

 

 「もちろんラックは今度何か奢ってくれるんだよナ」と、期待した声でラックさんに集ろうとしているアルゴさん。 

 「<鼠>にエサは与えてはいけないってウチのおかんに言われてるんだよなぁ」とラックさんが横目でシンカーさんを見る。

 「労働には対価を、成果には報酬をとも言うしなぁ……実際、アルゴとショーくんが居なければあそこまで詳細な攻略情報は書けなかったしね。 何か奢らないとね」

 「りょーかい。 じゃあ、ちょっと俺は抜けるから何が食べたいか考えとけよ二人共」

 

その言葉に自分とアルゴさんは顔を見合わせ、息を合わせて二人で言った。

 

『アインクラッド全席!!』

 

 その答えにラックさんは溜息をついてコンソールを操作し青い光となってログアウトしていった。

 

 「……やっぱり、こういうのを見るとゲームなんだなって思いますね」

 「どうしタ? ショー坊? えらくナイーブじゃないカ」

 「いえ、そんなことはないですよ。」

 

 表情か、声にどこか影があったのかアルゴさんが心配して顔を近づけると、心臓が早鐘を鳴らした。 たとえ相手の姿がアバターだと分かってはいても女性の姿で迫られるのは恥ずかしい。 避けるように話題を変える

 

 「そ、それよりもラックさん残念ですね。 ログインしてから30分ぐらいしか経っていないのに……シンカーさん。 何かラックさんは予定があるんですか?」

 

 「ん? あぁ、なんでも世界最速レビューを書きに行くって言っていたよ」

 

 笑顔で答えるシンカーさんは「サーバーが落ちないか心配だなぁ」と呟くと、間に入るようにアルゴさんが言葉を放つ。

 

 「あんまりゆっくりしてると時間がなくなるんだガ」

 「そうですね。 早く終わらせてしまいましょう」

 

 アルゴさんに続けて言いながら、アイテム窓を表示してβテスト当選者だけの特典を呼び出した。

 薄い青の光に包まれてテーブルに置かれたのは一冊の本。 いや、アルゴさんとシンカーさん、それとおそらくラックさんの分であろう計4冊の本がテーブルに鎮座していた。

 大きさは文庫本程度であり、腰の袋に入れても邪魔にならないような大きさである。

 『特典』それはβテスト終了時に告知されたアイテム一種引き継ぎサービスである。

 もちろん、正式サービス時においてβテスト参加者がゲームバランスを壊すようなアイテムの引き継ぎができないようにレア度や武器、防具、アクセサリーの引き継ぎの禁止など多くの制限がかけられてはいるものの、多くのプレイヤーがこのサービスに喜んでいた。

 自分もその一人である。

 本などは引継ぎ禁止アイテムの中には入っていないのだが、何分一冊の本に詰め込める情報は少なく、殆どのプレイヤーは序盤に多数消費するポーション等を引き継いだ筈だ。

 だが、こうしてテーブルあるのは4冊の本。 少なくとも4人はこの奇特なアイテムを選んだと言えた。

 ここにいる3人(ラックさんも合わせれば4人だが)はSAOβテスト開始時から、『情報』に重きを置いていた人間である。 その三人がここで集まっているというのは今まで知り得た情報を統括して恒久的に利益を得るためである。

 ちなみに当然得意な分野というものがある。

 アルゴさんはクエスト関連の情報(とはいってもβテスト後半ではプレイヤー情報も正確になっていた)を専門とし、シンカーさんは街や村などの多くの商店の掌握、そして人望を活かしたプレイヤーの情報収集(ベータテストにおいて他のプレイヤーを攻撃した『オレンジ』プレイヤーの情報が主ではある)ラックさんは攻略に必要な装備、テクニック、システム外スキルの発見を専門とし、自分は主にモンスター関連の情報一通りと地形の把握による情報収集だった。

 

 そして今、目の前にある4冊の本こそ何ヶ月にも及ぶ苦労の集大成であり、何物にも代え難い宝といえた。

 

 「大儲けさせてもらおうカ」

 

 ニヤリとアルゴさんが時代劇の越後屋のように口角を釣り上げ、シンカーさんは頷く。

 そして自分は四つの本を一纏めにするように重ね合わせた。

 瞬間、四冊の本は青白い光を放ち大きな辞典ほどの大きさになった。 

 

「これは……ちょっと大きいな」

 

 困惑した表情で辞典大の本を見つめるシンカーさんであったが、ふと思いついたのか口を開く。

 

 「さすがにここまでの大きさでは持ち運びには不便だからね。 早速だけど編集作業と行こうじゃないか」

 「編集……各層ごとに情報を分けるのは当然としテ、地域ごとにさらに分ければ利益が出るナ」

 アルゴさんの提案を聞きながら、自分も提案する

 「……どうせでしたらボス攻略の前と迷宮区に入る前に手引き見たいなのを割安で売ったらどうです?」

 「……ショー坊おぬしもわるよのウ?」

 「人の情報を勝手に売ってくアルゴさんよりはいい人ですよ。 それにどこの悪代官ですか」

 「まだ第8層のこと根に持ってんのかヨ」

 「アレは……忘れられませんから」

 

 アレとは――第8層のボス攻略の際、最前線でタンクとしてそこそこ活躍していた自分に誘いがあった。だが、その時は重要なクエストの真っ最中であり断り続けていたら気づいたら集団ストーカーまがいの行為や非マナープレイを数日間行われたのであった。

 自分の位置情報の出処はアルゴさんであったため、お返しにとばかりにPKで始まりの街に送ってやったというのが、事の顛末である。

 それからは絶対にお互いの情報は漏らさないという秘密協定をむすんでいる。

 

 「まぁまぁ、前のことは忘れて忘れて。 今は編集を始めようか?」

 

 シンカーさんの言葉に頷き、2人して編集作業を開始した。

作業自体はもともと纏められていた情報を何分割にも分けるというものだったので一時間程で終わった。

 

「……意外と量があったなぁ。 二人共お疲れ様、さっき出店で買っておいたんだ」

 

深く息を吐いてインベントリから3人分のレモネード(に、似た何か)を取り出し、アルゴさんと自分に渡すシンカーさん。

 

「有難うございます。 お代は……」

「いいっていいって。 それにお金を貰おうとしてもアルゴはくれないだろうし」

 

ガッと、グラスを掴み喉を鳴らしてレモネードを飲んでいるアルゴさんを横目に見ながら笑っていた。

 

 

「それじゃ俺はNPCに委託販売してくるよ」

 

 そう言ってシンカーさんはアインクラッド攻略本、記念すべき第一号をインベントリにしまい街に歩いて行った。

 NPCへの委託販売はこの世界で最も素早くお金――つまり『コル』を手に入れる手段である。 自らが生産した低レア度のアイテムであれば同等の物をNPCが増産して販売し、売上は各層の都市にある銀行に入金される。 溜息が出るほどよくできたシステムだった。

 この世界での製本技術がどの程度発展しているのかはわからないが、以前ベータテストにおいてオリジナル小説を販売した強者に聞いた話では同じ層で有れば三四日も有れば各町に流通するらしい。 なお、一店舗での販売かと思っていた作者は自らの黒歴史がほぼ 全ての街で勝手に増刷され、晒されるのを見て<始まりの街>南端から何度も身投げを行ったらしい。

 ちなみSAO初めての小説家であることや、小説の内容のおかげかSAO内では上位ギルドマスターよりも知名度が高く、ベータテスターのほぼ全てが知っていた。 ある意味英雄である。

 

 「ショー坊はこれからどうするんダ? オレッちはこれから始まりの街でパルクールでもして遊んでこようかと思うんだガ」

 「自分は槍を買いに行ってそのあと外で狩りに行ってきます」

 

 パルクールとは街を飛んだり跳ねたりして目的地まで素早く移動したりするスポーツなんだとか。 ベータテストの感覚を戻すために走りに行くんだろう。 そこまで考えたところであることに気づく。

 

 「……って、もしかしてまた敏捷地極振りですか?」

 「もちろン。 オレッちは素早くないとナ。 ショー坊は……脳筋振りカ?」

 「脳筋じゃないですよ! タンク振りって言ってください!」

 「あまり変わらないだロ。 そんジャ、また6時にここでナ」

 

 そう言って、街を駆け出すとレベル1だというのになにか補正でもあるのかと疑うほどに素早く視界から消えた。

 

 「なんか面白そうなネタがあったら送れヨー!」という声が遠くから聞こえたので、取り敢えず手を挙げて答える。

その後はクラインさんにも教えていない<始まりの街>の路地深くに建てられた武器屋に行き、槍と盾を購入した。 その途中いろいろと悶着があったのだが、本人の名誉のためにも今は割愛する。

 

 そして、今。

<始まりの街>北部門をくぐり、広大なアインクラッドの大地にその足を進ませようとしていた。

 




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