史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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BATTLE.11 落第の拳«ワーストフィスト»VSヴァーミリオン皇国の皇女

「そこまで!勝者、近衛真琴!」

 

 第三訓練場に黒乃の声が響き渡った。多くの魔導騎士を輩出し、黒鉄の血を受け継ぐ深海の魔女«ローレライ»をEランク騎士“近衛真琴”が戦いの格を見せ付け組手の勝者となった。

 

「というわけでアンタはトイレ掃除確定ね!」

「・・・・っ」

「どうした?黒鉄妹?」

「・・・何故貴方程の伐刀者がEランクなんですか?」

「んな事言われてもなぁ・・・伐刀者としてのステータスが“低いから”としか言えんな」

「あれでステータスが低い?そんなの信じられません・・」

「黒鉄、近衛が言ってる事は本当だぞ?奴は魔力量がD、魔力制御と運がEで、他伐刀者の平均基準値よりステータスが下回っている」

「それじゃ他のステータスはどうなってるんですか?」

「それはだな・・・」

「「?」」

「・・・私から話そう」

「お願いします」

「近衛の攻撃力と防御力は国際魔導騎士連盟の定めるところに拠ると“測定不能”だそうだ」

「「え!?」」

「だが驚くべき箇所はもう一ヵ所、それは近衛の身体能力だ。なんと、黒鉄を超える“S+”!日本の学生伐刀者としては破格のステータスを誇っている」

「え、S+・・・」

「・・・体術の冴えは評価項目に含まれてないからな」

 

 

「それじゃ、私に向けて放った技は伐刀絶技ではなく・・・」

「あぁ、体術の一つで気当たりだ」「気当たり?」

「武術に携わっている人間なら1度は耳にする技なんだが・・・。お前は武術を嗜み程度にしか身に付けてないみたいだからな、知らないのも当然だ」

「成る程、それでは真琴さんもお兄様と同じく武術を極めて要るのですか?」

「黒鉄妹、俺と一輝は“まだ”武術を極めていないぜ・・?だがそれなりに、な」

「驚きました、お兄様の様な方が他にもいらしたんですね」

「何処にでも変わり者はいるって事だ」

 

 程無くしてステラと真琴が組手の準備を始めた。然程時間は掛からず二人は指定の場所へ移動した。

 昨日に引き続いて、強者の伐刀者と連戦出来る事にステラは喜んでいた。昨日模擬戦を行った一輝より、真琴が強いかも知れないのだ。期待に胸がふくらみ、高揚を隠せなかった。

 

「おい、ステラ少し落ち着けよ・・・」

「落ち着いてなんていられないわ!だってアナタはイッキより強いかも知れないんでしょ?」

「それは一輝に失礼だろう・・・」

「真琴、僕は気にしないよ、だって事実だからね」

「お前がそう言うなら良いけどよ・・・」

 

「・・・ではこれより、ステラ・ヴァーミリオンと近衛真琴の組手を始める!ルールは先程と同じ!殺さない、急所の攻撃は寸土、気絶はありとする、では組手開始!」

 

「傅きなさい!妃竜の罪剣(レーヴァテイン)!」

 

「我が身を護れ!甲鉄陣玉鋼!」

 

 

 

 

 

 それじゃ、気当たりで様子を見るか・・・

 

「はああ!!」

 

「(これはシズクにも放った❰気当たり❱!)」

 お前も珠雫と同様に受け流せていなかったからな、有効とみたぜ?

 

 真琴が放った気当たりを、ステラはピロティで受け流す事が出来なかった。だが同じ手を2度も喰らうわけにはいかない・・・。何故なら自分はAランク騎士の伐刀者だ!ここで諦めたらAランクのプライドが許さない!

 

「・・私を嘗めるんじゃないわよ!!」

「ほう、近衛の気当たりを呑み込んだか・・・」

「っく・・・(ステラさんは気当たりを受け流したっ!それなのに私はっ!)」

「自分を責めるものじゃないよ、珠雫」

「お兄様・・・」

「珠雫は奮闘したよ、並みの伐刀者で有れば真琴の気当たりを受けただけで怖じ気づきその場から逃走するだろうからね。気絶しないだけマシだよ」

「・・慰めていただき有難うございます、お兄様・・・」

 

 呑み込まれたか・・・んじゃもう俺の気当たりは使えないか・・・

 

「俺の気当たりをもう受け流しちまうとはな、流石はAランク騎士といったところか」

「マコトの気当たりはもう効かないわ、覚悟しなさい!」

 

 ステラは真琴に向かって突進し、攻撃を仕掛けた!真琴は空手で絶対の防御とされる、前羽の構えを取りながら、攻撃に備えていた。ステラはそのまま真琴に向かって突きを放った!

 しかしその一撃は真琴に届かなかった、何故なら真琴によって攻撃が逸らされたからだ。真琴は前羽の構えから回し受けに移行し、完璧に受け流していた。ステラは攻撃が外れると一度後退し距離をとった。

 

「大したものね、私の一撃を躱すなんて」

「俺には届いて無いぞ?ステラ殿下様?」

「ふん!いうじゃないのマコト!これならどうよ!」

 

――――

 

「近衛のクロスレンジは大したものだな」

「はい、ステラの攻撃をあそこまで完璧に受け流すとは・・・僕も見習わないと・・・」

「お兄様、聞いても良いですか?」

「ん?何だい?珠雫」

「真琴さんは無手の武術を学んでるんですよね?使用している武術は何なのですか?」

「真琴が使用してるのは空手だよ」

「空手とはオリンピックの競技の一つである、スポーツの空手の事でしょうか?」

「そのスポーツ空手ではない、“本物の空手”だ」

「?意味が良く分かりませんが」

「黒鉄、説明してやれ」

「分かりました、理事長。いいかい珠雫、世間の空手は“現代空手”と云われるスポーツとして進化した空手なんだ」

「進化した空手?」

「うん、現代空手はマットの上で戦う事の多い、対現代用武術として進化し、スポーツとして多くの人達に馴れ親まれている。けどそれは、空手本来の姿じゃない」

「どういう事ですか?」

「空手は元々対白兵戦用として創られた徒手格闘術、無手の人間が武器を手にした者達と戦う為に生み出された武術なんだよ」

「そうだったんですね、初めて聞きました・・・。(!?)という事はつまり真琴さんにとって私達は・・!」

「黒鉄、気付いたか・・・。そうだ、近衛にとって武器を手にした伐刀者はただの“標的”に過ぎない」

 

 ――――

 

 ステラは苦戦を強いられていた。全ての攻撃を完璧に往なされ、剣が真琴に届いていなかったからだ。ステラは少し焦りが出てきていた。

 しかし対戦相手の真琴はステラとは違い、少し安堵していた。昨日、一輝VSステラの戦闘を観戦してステラの太刀筋を確認していたからだ。その為ステラの攻撃を冷静に対処する事が出来ていた。

 

「(大体ステラの攻撃パターンは読めた、次の行動は、連続で突き!)」

 

 真琴の読み通り、ステラは連続突きを繰り出した。

 

「(これも躱された!?さっきからマコトに攻撃が当たらない!?)」

 

 ステラの頬には焦りによる汗が、垂れて来る。

 

「(よし!それじゃそろそろ・・・!俺が懐に突っ込めばアイツは俺目掛けて大剣を振り下ろすはず!)」

 

 真琴は姿勢を低くしながらステラに直進していった。好機と見たステラは真琴の読み通り、妃竜の罪剣を振り下ろした!その攻撃を読んでいた真琴は体を制止し、大剣と交差するように拳を打ち出した!

 

「❰白刃流し❱!!」 

 

 打ち出された拳は妃竜の罪剣を受け流し、ステラの顔面に向かって突き進んだ。咄嗟の事でステラは防御の判断が間に合わずそのまま頬に拳が触れ、真琴VSステラの対決は真琴が勝利を収めた、それと同時にステラと珠雫の三日間のトイレ掃除が決定した瞬間でもあった。




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