やっとここまで来れました!
真琴の選抜戦は次々回を予定しています!おたのしみに!
仕合が始まり、まず桐原が先に先手を打った。自らの伐刀絶技狩人の森«エリアインビジブル»を発動させ、一輝に攻撃を仕掛けたのだ!だが、その攻撃は一輝の身体に届いていなかった!何故なら一輝が陰鉄で打ち払らったのだ!さらに矢が飛んでくる方向を逆算しながら、桐原に反撃をしていた。
しかし、仕合は真琴が危惧していた通りに進んでいたのだ。
「あ~やっぱり一輝の奴、“緊張”していやがったな・・・」
「お兄様が緊張?」
「あぁ」
「そんな素振り全然見せなかったのに・・・」
「・・・本当にそうかしら?」
「え?」
「ステラ、俺と一輝がベランダで話してた事は知ってるよな?」
「ええ」
「俺は昨日の夜、一輝にこう伝えた、“全力で行け”ってな、なのにアイツは“必ず”勝つって言いやがった」
真琴の一言でステラは気付いてしまった。
「!(一輝は必ずなんて使うタイプじゃない・・)」
「でも時間を掛けて見切るのがお兄様の剣で・・・」
その質問にはステラが応えた。
「相手の剣を見切るのにどれだけ消耗を強いられると思う?」
「!」
冷静沈着な一輝なら矢を払わずとも全力でかかれば、桐原程度の伐刀者を斬り伏せるも出来たはずだ。何故それをしないのか、それは・・・。
「しなかったんじゃない、出来なかったんだ」
「え?どういう事ですか?」
「真琴が最初に言ってたでしょ?緊張していたって、その程度の見切りすら出来ない程に一輝は緊張していたのよ・・・」
「それに一輝がこの七星剣武祭出場という切符を手にする為に、どれ程の努力をしてきたと思う?一輝の剣を受けたステラお前なら、分かるよな・・・?」
「それは・・・」
黒鉄一輝の努力は並大抵のものではない。普通ならば誰かに教えてもらい、その技や型を練習し努力を重ねて鍛練をしていく、真琴もその一人だ。
しかし、一輝にはそれが無い。家では居ないものとして扱われ、実家の剣技を教えて貰えず、中学からは道場破りを繰り返して技を学んだのだ。そんな人間が普段通りに、人と接している方がおかしかったのだ・・・。
「もし、この緊張を振り払い、元の一輝に戻らなければ、桐原静矢になすすべなく、敗北をする!」
仕合に戻ると一輝は被弾こそしていないものの、予想通りに消耗し疲弊ていた。
ここまで善戦していた一輝を見て、桐原は驚嘆していた。本当に僕に勝つつもりだと、だが桐原は悪感もしていた。才能も欠片もないただの凡人が、才能ある自分に勝とうとしているのだから・・・。
「まさか黒鉄君は本当に僕に勝つつもりとは・・」
下卑た表情を一輝に向けた。
「勿論だよ、そうでもなければここには来ないよ」
「あぁ、そうかい、君の存在は実に不愉快だよ、落第騎士«ワーストワン»!」
「好きなだけ愚弄するならすればいい、僕はそれを尽く打ち払おう」
「口だけは達者だ・・・」
桐原はもう一度狩りの森«エリアインビジブル»を展開した。
「あぁ~そうだ、当てる箇所を前もって教えてやるよ。ほら右太もも!」
そういうと桐原は一輝に矢を放った。何処から射って来るのか予測していた一輝だったが、矢を視認する事なくズドン!と桐原の発言通りに右太ももが射ぬかれていた。
「ぐあああ・・・・ど、どうして!・・・」
困惑の表情を浮かべる一輝。
「お前みたいな“凡人”とは違って僕は“天才”なんだぞ!前みたいに同じなわけ無いだろ!」
「!」
「ほら左手!」
「ぐあああ!!」
そこから、桐原の狩りが始まった。一輝という獲物が«狩人»桐原静矢にいたぶられていく。そして一輝の全身至るところ全てが射ぬかれ、傷つけられていく様は蹂躙という言葉ですら優しいものの様に真琴達は感じた。
その最中、桐原はこんな事を口にする。
「あぁ、そうだ!確かお前ってさ~確か、七星剣武祭で優勝しないと卒業出来ないんだってぇ?」
桐原がその情報を何処で入手したのか分からないが、一輝と周りの人間を驚かせるのには充分だった。
「新理事長も酷な条件つけるよなぁ!優勝なんてなぁ!!アッハハハハ!!!」
その事実を聞いた他の伐刀者は、感染病ように一輝を嘲笑っていく・・・。
「何だ?アイツだけ卒業する条件があるのか?」「七星剣武祭優勝とか、なにほざいてんのよ“落ちこぼれの人間”のクセに!」「なぁなぁアイツさAランクに勝ったって話、あれ八百長らしいぜ?」「マジで、やっぱりFランはFランだな!」「大好きなママの所へ帰んな!」「おい、Fランに帰る場所なんか無いに決まってるだろ?」
「「「「「「「「アッハハハハハハハ!!!」」」」」」」」
大勢の人間が一輝を愚弄し、人の努力を踏みにじり、嘲笑っている。真琴達以外、全ての人間が一輝を馬鹿にしている様に感じる程だった。ただひたすらに嗤う、嗤う、そして嗤い続けた。
言葉を聞いた、真琴とステラはそんな生徒達に激怒し、言葉を溢した。
「「何にも努力もしない連中が、人の努力を馬鹿にしやがって!!(して!!)」」
そんな二人の表情は鬼神の如き表情だ。
そして桐原もその空気に便乗し、一輝をいたぶりながら、言葉を続けた。
「皆ぁ!挫けそうな黒鉄君を応援してあげてくれぇ~!」
一輝を心の底から煽りながら桐原は言った。
「ワーストワン!」「「「「「「ワーストワン!!」」」」」」
桐原の掛け声に合わせて会場中が口する。
「あ、ワーストワン!」「「「「「「ワーストワン!!
」」」」」」
「「黙れーーーーーー!!!!!!!!」」
「俺の大事な親友を馬鹿にするなあああああ!!!!」
「私の大好きな騎士を馬鹿にするなあああああ!!!!」
真琴とステラが息を合わせる様に言い放った!会場中がその言葉にハッとする。
「イッキ!何情けない顔してるのよ!諦めかけてるんじゃないわよ!」
「そうだ!俺が昨日言った事、もう忘れちまったのか!!そして俺と交わしたあの約束も!!!果たさないまま、終わる気か!!根性を見せろよ、黒鉄一輝!!!!」
「私は、私は!上を見てるアンタが好きなんだから!私の前ではずっと格好いいアンタでいなさいよ、この馬鹿ァアアア!!」
二人の激しい励ましは学園全体に響く様に聞こえた。その言葉に会場に溢れていた笑い声は、すぅ~と鎮まっていった。しかしそんな声を聞いたにも関わらず、桐原は懲りずに煽りを続ける。
「女とごみ親友に励まされているぞぉ~黒鉄君!」
そんな桐原の言葉は無視した。一輝は«狩人»に脚を射ぬかれ、内臓も射ぬかれた。たがここで立たなきゃあの二人に示しがつかない!大切な人達がこんな自分を励ましてくれたのだ!男の意地を見せ、そのズタボロにされた身体で立ち上がった!
「はぁー・・・ぐっ!」
「「!」」
なんと一輝は自分自身を思いっきり殴った。真琴はその姿を見てある人物と重ねていた、その人物とは自分の師匠である白浜兼一だった。
(今までの行いを払拭する為に自分を殴ったのか、まるで師匠のようだな・・・あの人も強敵に立ち向かって自分の身体が震えた時は殴ったりして止めてたんだっけ・・・こうして見ると一輝と白浜師匠は所々似てるな、お人好しの所とか・・・)
「有難う、ステラ、真琴!いい渇が入った!」
「アッハハ!女とごみ親友に励まされて張り切っちゃったかなぁ~!?」
(真琴、あの夜の時の言葉は僕が緊張している事を教える為だったんだね・・・。気付かなくてごめん!けど、もう大丈夫だ!)
「んじゃ次は君のおめでたい脳天でも狙うかぁー当たったらお陀仏だぜぇ!」
(何故、矢を捉える事ばかりに固執していた!やるべき事は最初から一つだったはすだ!!)
「❮一刀修羅❯!!」
そして一輝は自分自身で唯一の伐刀絶技、“一刀修羅”を発動させた。それはたった一分間の身体能力向上のブーストだ。強敵達と渡り合う為に自分自身で編み出した唯一無二の伐刀絶技であり、切り札だ。
他の伐刀者は一分間のブーストと聞けば、ただの欠陥技だと言うだろう。一輝とってはされど一分、その時間だけは高ランクの伐刀者に手が届くのだ!実際にその技を使用して、Aランク騎士である、ステラ・ヴァーミリオンを打ち倒している。
(ん?一輝の奴、もしかして・・・)
真琴は何かに気付き、笑みを浮かべている。
(やるんなら最初からやれっての、心配させやがって)
「欠陥だらけの技で避けられるかよ!!」
«狩りの森(エリアインビジブル)»を維持しつつ、矢をステルス化させ一輝に向けて発射した。このままの一輝ではさっきと同じ様に射ぬかれ、それで終わるはず・・・だった。
(思い出せ、受けた痛みの順序を!方向を!)
「ほらぁほらぁ!!」
桐原は有頂天になりながら言葉を発している。ステルス化した矢を発射し、確実に獲物を射ると思考している!
「当たったちゃうぞー!」
(そうだ、一輝、思い出せ!奴の言葉を!!声音を!奴の全ての行動を!そうすればあれが出来る!今のお前なら!)
真琴は気付いていたのだ。他の伐刀者には無い、一輝の強さを、それは一分間のブーストでも、摸倣剣技でもない、ずば抜けた“観察眼”だ。
そして一輝はその場景や言葉、そして痛みを思いだしながら、彼の人格を暴き出そうとしている。
「死んじゃうぞーーー!!」
桐原がその言葉を口にした瞬間!一輝はステルス化した矢を掴みとった!しかもその矢は一輝の右胸辺りに向かって発射された物だった。桐原は矢を放つ前に、脳天へ狙うと公言していた。あろうことか放った場所は右胸、“わざと”狙っていたのだ。これが桐原が狩人と云われる所以だろうか?
「やっぱりね、桐原君ならここは必ず投げてくると思った!」
一輝は透明化した矢を掴み砕いた。
「ば、馬鹿な見えてるっていうのか!?」
桐原は驚いている。
「姿形も見えちゃいない、けど分かるんだ」
「そんなことあるかーー!!」
「!?」
またしても矢は一輝によって阻まれた。
「痛みの深さが!声音に宿る感情が!その全てが僕に教えてくれる!ならそれを辿ればいい!その果てに、君は居るのだから!!!」
桐原の姿は一輝に見えているはずない、だがその黒鉄一輝と目があった様な気がした。いや気がしたのではない、本当に合っていたのだ!
それに驚いた桐原は少し焦りの表情を見せていた。もしかしたら、自分の無傷の勲章が初めて破られてしまうかもしれない。しかもこんな落第騎士«ワーストワン»に!それだけは阻止しなくては!と愚考していたのだ。
「掴まえた!僕はもう君を逃がさない!」
ここから落第騎士«ワーストワン»の怒濤の猛攻が始まる!!!
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