真琴と刀華の出逢いの話があります!
どうぞお楽しみ下さい!
先日は、黒鉄一輝と桐原静矢の選抜戦が行われ、«狩人»である桐原がFランクの一輝に敗北をするという大波乱が起きた。
破軍学園では八百長やら見も蓋もない噂が流れている。一輝の勝利を信じているのは、破軍学園に在籍している一部の伐刀者のみだった。真琴やステラ、«雷切»の二つ名で知られる東堂刀華もその一人だ。
「いよいよ、真琴君の仕合だね!刀華!」
「うん、まこ君がどんな戦いをするのか楽しみ」
刀華は嬉々として微笑んでいる。
「戦ってみたいの?真琴君と」
「・・・勿論」
「フフッ刀華は変わらないね、真琴君との戦績は確か126勝126敗だっけ?」
「うん、いつも引き分けになっちゃうから、今度こそは勝ち越したいんだ」
「選抜戦で戦えるといいね」
「うん」
何を隠そう、真琴はこの破軍学園序列第一位«雷切»東堂刀華の組み手相手なのである。刀華は仕合前や前日に完璧な調整をおこない、仕合に臨んでいた。真琴はその相手を度々、承けているのだ。
何故、落第の伐刀者である真琴と«雷切»がこんな関係かというと、ある晴れた日の事だった。
その出逢いは突然だった。
いつもは一輝と朝のランニングをしているのだが、一輝が風邪を引いてしまい、真琴は一人で走っていた。勿論、いつもの仏像の鍛練道具を身に付けながら・・・。
その時、朝のランニングを終えて、ベンチで休憩する刀華とばったり逢ったのだった。謎の錘の仏像を付けている青年がベンチに向かって走って来たら、気にならない方がおかしいだろう。そして刀華が真琴に話し掛けかたのだ。
「あれ、先客が居たのか・・・」
「あの!この仏像って錘なんだよね?」
「ん、ああそうだけど・・・」
「持っても良い?」
「それは良いけど・・・」
「重い・・・こんなの付けて走ってるの!?凄いね、貴方!」
「というか、誰?」
「あぁ!ごめん!自己紹介が遅れたね、私は破軍学園2年3組東堂刀華です!貴方は?」
「あ、先輩だったんですね。どうにも先輩には見えなくて、同級生かと・・・」
「えー、私、そんなに威厳無いかなぁ」
「い、いや、瑞々しくて可愛く見えたって事ですよ」
「え!?そないな事あらんよ~」
突然褒められた為、刀華は照れている。
「(チョ、チョロい・・・つか関西弁、そっちの人なのか?)」
「あ、貴方の名前は?」
「あーすみません、俺は破軍学園1年1組、近衛真琴です宜しくお願いします、先輩!」
それから、お互いの話で一頻り盛り上がった。意外にも真琴と刀華は共通点も多く、幼い頃に両親を亡くしている事や、お互いに貴徳原財閥の管轄の養護施設に預けられていた事など、直ぐ様打ち解けた。
仲良くなった二人は自分達の都合が合った日に、組手や稽古をおこなう様になった。次第に刀華にとって、真琴は貴重な存在へと変わっていく。
何故なら破軍学園では貴重な無手の伐刀者であり、強者の武術家だったからだ。近頃は並みの伐刀者では刀華には歯が立たなくなり、刀華が対戦相手と知ると戦わずに仕合から逃げる事が多くなってきた。そして仕合前の調整相手には、幼馴染みの貴徳原カナタの様な強者の伐者でなければ相手にもならない・・・。それだけに刀華にとって真琴という伐刀者の存在は、かけがえのない人物になっていたのだった。
「真琴君、勝てるかな?」
「この破軍学園じゃ、まこ君が“本気”になる相手なんて指で数える位しか居ないんだから、大丈夫だよ」
「言い切るね・・・」
「でもその通りだもん、仕方ないよ」
「それもそうだね!早く行こう、刀華!」
刀華と泡沫は意気揚々と会場に向かう。
一方、その頃、真琴は第二訓練場控え室で待機していた。
「真琴、準備出来た?」
「ああ」
一輝が問い掛けると、真琴の目には静かな闘志がみなぎっていた。
「相手が桐原と同じタイプみたいだしな」
「そうみたいだね」
「ま、その腐った性根を叩きなおしてやるだけだ!」
「うん、真琴ならやれるさ」
「おう!」
「真琴」
「ん?何だ一輝?」
「昨日は励ましてくれて、有難う。ステラには言ったけど君にはお礼がまだったから・・・」
「お礼なんて、いいんだよ。大事な親友を馬鹿にされたんだ、怒るのは当然だろ?」
一輝はその言葉を聞いただけで胸がいっぱいになった。
「僕がお礼を言いたかったから言ったんだ」
「へっ、そうか」
真琴がベンチから立ち上がり、部屋の扉へ向かう。
「(真琴、今度は、僕が君を送り出す番だ)」
「真琴!」
「んー?今度は何だ、一輝」
「真琴、“僕に続いて来てね!待ってるから!”」
「ああ!勿論だ!んじゃ、行ってくる!!」
そして、一輝と熱い言葉を交わした真琴は対戦ステージへ歩を進める。みなぎる闘志を心に宿して・・・。
「さぁ、やって参りました!代表選抜戦、二日目!!昨日は落ちこぼれと言われた黒鉄選手が«狩人»を下し、見事勝利を収めています!その熱気が収まらぬ中、落第の拳«ワーストフィスト»こと、近衛真琴選手が入場して来ました!この近衛選手は黒鉄選手の元ルームメイトであり、この破軍学園では黒鉄選手と同様に、落ちこぼれとして知られています!本日も下剋上が観られるのでしょうか!?はたまた、下剋上は起きないのか!?それは神のみぞ知るところでしょう!」
月夜見三日月が見事な前説を語り、会場を盛り上げていた。この月夜見三日月は、破軍学園の放送部に所属しており、姉妹で破軍学園の実況を任されている。
「さぁ、続いて入場してきたのは破軍学園位階序列第45位、中川聖夜選手です!固有霊装は«ガイアハンマー»そして、形容形体は«モーニングスター»、その二つ名は«大地の守護者»!その名に相応しい戦いで、近衛選手を地に叩き伏せるのか!?それとも昨日と同様に、敗北に期してしまうのか!?解説は昨日に引き続き、西京先生にお越しいただいております!西京先生、宜しくお願い致します!」
「宜しくねえー(まこっち、えらく気合い入ってるなぁー・・・。まぁこの勝負は決まったも、同然みたいただねぇ)」
「初めましてだよな、落第の拳«ワーストフィスト»・・・」
蔑んだ視線を真琴に送っているのが、この中川聖夜だ。中川は破軍学園二年生で、入学当初から自分より劣っている伐刀者には自分のパシりに使ったり、かつあげを行うなど根っからの不良である。しかし、授業等はしっかり受けている為、教師からは何も言われていない。
そして、かつあげの現場なども教師には目撃されておらず、パシりを受けている生徒も中川を怖がり、反抗できずにいた。
桐原と同様に底辺伐刀者を見下すタイプである。その為、この仕合はもらったも同然と考えていた。
「落第伐刀者に初っぱなから当たるとは、こりゃ楽勝だな!桐原はヘマしちまったみてぇだけど!ハハハ!」
「(コイツ・・・自分の能力しか磨いてないタイプか・・・。これだったら桐原の方がまだマシだな)」
真琴は観の目を使用し、中川の実力を計っていた
。中川の実力は弟子級開展だが、それよりも劣る実力だと真琴は確信した。
「何だよ、ガン飛ばしやがって・・・」
「いや、なんでねぇよ、気にすんな」
「?まぁいいか、ぶちのめせばいいことだし!」
「それには同意だ」
「はあ?Eランクごときが、この俺に敵うとでも?」
「当たり前だろ?お前みたいな野郎に負けたら、師匠に恥をかかせてしまうからな」
「師匠!?武術の習い事かな?そんなんで、伐刀者に勝てるとでも!?あはは!」
「ああ、勝てるさ」
「んじゃー見せてみろよ!その武術ってやつをさ!」
両者がお互いの固有霊装を顕現し、向かい合う。
「行くぞ、ガイア!」
「我が身を護れ、甲鉄陣玉鋼!」
「Let's Go Ahead」
そして対戦開始のアナウンスが鳴り響いた。
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