史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

23 / 66
こんにちは、紅河です!


何話にかけて、オリジナル展開が続きますが、宜しくお願いします!


BATTLE.22 武術位階

「それにしても真琴さん、良く模擬戦受けましたね」

「ああ?まぁ受けねぇといつまでも絡まれそうだったからなぁ」

「だからってこんな下らない事やらなくても」

「Eランクに徹底的にぶちのめされれば、少しはあいつらの考えも変わるだろ?」

「マコト、そんなこと考えてたのね」

「まぁな」

 

「そういえば武術位階の話は?」

「ん?そういや呼び出しを承ける前に、話す約束だったな」

 

 

 真琴は理事長室に行く前にステラ達とそんな約束をしていたのを思い出した。

 

「んじゃ模擬戦までまだ時間があるから、この控え室で話してやるよ」

「頼むわね」

「まず、武術位階は大きく分けて三つに分類される」

「前に話していた気と同じなのね」

「ああ、まず一つが❮弟子級❯、二つ目が❮妙手❯、そして最後が❮達人級❯だ」

 

 達人級の人達とは多才な才能を持ち、毎日の努力を怠らずやって来た武術家が到達する者たちの事。その実力は弟子級や妙手に位置する人間を遥かに上回る力を有している。

 

「確か、マコトの師匠達が達人級なのよね?」

「達人級といってもただの達人級じゃない、❮特A級の達人級❯だ」

「それの何が違うんですか?私には同じに聞こえますけど」

「達人にも階層があって、❮特A級の達人級❯の達人は並の達人級が束になって集まっても、敵わないほどの力を持ってる」

 

「「!?!?」」

 

「二人は俺の実力、知ってるよな?」

「はい、身にしてます・・・」

 

 ステラと珠雫は以前、真琴と組手を行い真琴に完全敗北をしているのだ。

 

「特A級の達人級の実力はここにいる、一輝、ステラ、珠雫、アリス、そして俺が力を合わせ本気で戦ったとしても、師匠達に傷一つつけられず、敗北する程の実力だ」

「・・・それは私達が伐刀者の能力を使ってもですか?」

「ああ、例えどんなに優れた能力を持ってる伐刀者でも、師匠達には敵わねぇよ」

 

「「・・・・・」」

 

 沈黙。

 ステラと珠雫は武術位階の話を真琴から聞かされ、その事実に言葉を口にする事が出来なかった。昨日、真琴から梁山泊の逸話の数々を聞かされたが、半ば半信半疑だったのだ。だがそれが漸く現実の事だと、認識する事が出来たのだった。

 二人が暫く黙っていると不意にアリスが話を切り出した。

 

「ところで真琴は、その武術位階だとどの辺に位置しているのかしら?」

「俺か?俺は❮妙手❯だ」

 

「妙手?」

 

 少し落ち着いたのか、珠雫がその話に割って入ってきた。

 

「この妙手とは、才能の無い武術家の最終到達地点で、弟子以上達人未満の強さに達した武術家を指す。その戦闘能力は弟子級を大きく上回っているが、実力、精神共に“不安定で危険な状態”なんだ」

 

「あら?それはどうして?」

 

「それはな、慢心や勘違いを起こすからだ」

「慢心と勘違い・・・」

「そうだ。妙手ともなれば、弟子級を赤子のように簡単に倒す事が出来る。その結果、妙手に到達した奴は調子に乗るんだよ、“俺は誰よりも強い” “もう自分に敵う人間なんて存在しない!”てな具合にな」

「そうか、その慢心と勘違いが自分の死を招くわけか・・・」

「一輝、その通りだ」

 

「マコトも妙手ってことは、それらと戦いながら仕合に臨んでいるのね」

「ああ、道場を出る時、師匠達に言われたよ。“殺すな、殺されるな”ってな」

 

 その助言は中々に的を射ていた。流石は真琴の師匠である。

 

「んじゃ弟子級ってのは?どういう人なわけ?」

「弟子級は武術位階の中で最下層に位置し、ほとんどの武術家は弟子級に該当されている。武術の初心者から常人とかけ離れた実力を有している者まで、その実力の幅は広い」

「僕やステラ、珠雫、アリスなんかがここに位置してるよ」

「え?イッキは妙手じゃないの?」

 

 ステラがさも当然でしょと言わんばかりに口にする。

 

「ステラ、一輝はまだ弟子級の壁をぶち破ってはいない。といっても、弟子級最上位だがな」

「さ、最上位・・・」

「イッキでもまだ届いていないなんて・・・・」

 

 ステラと珠雫は驚きの声をあげる。

 

「まぁ、例え何かの世界チャンピオンだとしてもその実力が妙手に達していないなら、等しく弟子級として呼称されるぜ。んで、弟子級の中にも階級が存在してな」

「階級?」

「そうだ、❮開展❯と❮緊湊❯という」

「それはどういったものなの?」

「“先に開展を求め、後に緊湊に至る”って言葉聞いたことねぇか?」

 

 一輝とアリスは知ってるというような表情をしているが、ステラは分かっていないようだ。

 

「え?どういう事?」

 

 その言葉を耳にし、思考を続けていた珠雫が先に答えた。

 

「始めは大きく、後に小さくですか?」

「珠雫、よく分かったな」

「??まるで意味がわからないわ・・・」

「つまり、最初は威力と正しい動作を重視して、その基礎を身に着けてから実戦的な命中精度や動作を重視するという意が込められている言葉なんだ」

「へぇー」

「でもそれと弟子級がどう関係あるのでしょうか?」

「弟子級だからこそ、この言葉なんだよ。この言葉は武術の習熟段階の名称として、弟子級の実力を称する時に用いられる。ここにいる一輝やステラ達で表すと、まず一輝とアリスが❮緊湊❯でステラと珠雫が❮開展❯だな」

 

 その真琴の言葉に、自分の剣技を馬鹿にされたと思ったステラは、声をあらげながら言い放った。

 

「私の剣技が未熟だっていいたいの!?」

「そうじゃねぇよ、仕方ねぇな。んじゃお前に分かりやすく教える為に、一つクイズを出してやる」

「クイズ?」

「そうだ、このクイズにお前が正解したら謝ってやるよ」

「分かったわ!出してみなさい!正解してやるわ!」

 

 真琴が出したクイズとは体重がどの足にかかっているかというクイズだった。そして真琴は一つのポーズ取った。そのポージングとは足を肩幅まで広げ、右足の膝を曲げていかにも右足に体重がかかってるポーズだった。

 

「ねぇマコト、私の事馬鹿にしてる?」

「あ?してねぇけど?」

「そんなの何処からどう見ても右足じゃない!」

「珠雫も答えていいからな」

「え、私もですか?」

「同じ開展同士だからな、あ、一輝とアリスは口出すなよ?分かってるだろうからな」

「ん、分かった」

「了解よ」

「それなら答えますけど、私もステラさんと同じ右足ですね」

「でしょ?シズクもそう思うわよね?」

「ええ」

 

 二人の答えを聞いた真琴は、うっすらと笑みを浮かべながら言った。

 

「残念、不正解だ。答えは左足だ」

 

 すると、ステラと珠雫が思っていた右足が宙に浮き、まこの左足にその体重がかかっていたのだ!

 

「ええええ!?」「・・・・!?」

「間違えただろ?これがお前達を開展だという、何よりの証拠だ」

「うぐっ悔しいわ」

「こんな問題を間違えるなんて」

「開展とは即ち、弟子級でも武術的に未熟な者を指す、そして緊湊に至った者は、武術的に一つ上の段階に進んだ者なんだよ」

「でもどうやって左足に体重を?どうみても右足でしたが」

「相手を惑わす古流空手の身体操法の一つを使ったのさ、んで、その秘密はこのガマクにある」

 

 そういうと真琴は自分の脇腹を指差した。

 

「ガマク?」

「ああ、この場所は普段使用することがない筋肉だ。上半身と下半身は平行にして、何事にも正位置に残しつつ、体の重心のみを操ったのさ」

「な、成る程。でも相手の重心なんて見れませんよ?」

「それがな、違うんだよ」

「え?」

「それはステラ達が“見の目”でしか相手の動きを把握していないからだ。上位の武術家は“観の目”で相手を捉える」

「観の目?それはどういう?」

 

 珠雫は真琴の言っている意味が良く分からないようだ。

 

「見の目とは、表面上の動きでしか相手を見据えていない目の事。観の目とは、相手の重心、呼吸、何気ない仕草から全体を把握するものの目の事だ」

「だから、ステラと珠雫は真琴の軸足が右足だって答えたでしょ?」

「あっ・・・」「確かにそうです」

「ま、長くなったがそういう事だ。もうすぐ模擬戦時間だからな」

「もう、そんな時間なの?」

「ああ、んじゃ行ってくる」

 

 真琴は扉に向かうが、扉の前に行くと一輝達に振り向いた。

 

「あともう一個いい忘れた事があったぜ」

「何よ?」

「この模擬戦で、緊湊に至らなければ見ることが出来ない技ってのを二人に見せてやるよ」

「見ることが出来ないなら意味ないんじゃ・・・」

「僕が解説しながら教えるから、心配しないで」

「頼んだわね、イッキ」

 

 

 それから五人は控え室を後にした。真琴はステージに、一輝達は客席にそれぞれ歩きだしたのだった。

 真琴がステージに入ると、中川の取り巻き連中が既に到達し真琴の事を待っていた。

 

「おせぇぞ!落第の拳«ワーストフィスト»!」

 

 取り巻き連中のリーダー的な存在の鈴木が真琴に向かっていい放った。

 

「あ?別に遅刻してねぇだろ、時間通りだよ」

「五月蝿いぞ、落第伐刀者のくせに!」「偉そうな事言ってんじゃねぇぞ!」「あんな勝ち方しやがって・・・」

 

 真琴の言葉に鈴木達の不満が徐々に溜まっていく。

 その言動に真琴は呆れ、溜め息を漏らした。

 

「はぁ・・・つーか、お前らが模擬戦したいって言ったんだろうが。お前等は中川との仕合に不満みたいだが、俺は一切卑怯な手は使ってないし、反則もしてない、正当に戦って勝利を勝ち取ったんだぞ?筋違いな事をしてるのはお前らなんだからな?そこら辺自覚しろよ」

 

「ぐっ・・・」

 

 リーダーの鈴木が何を思ったのか、口を開いて言った。

 

「そういや落第の拳«ワーストフィスト»さんよぉ、何か条件を付けてたよなぁ?俺等も何か条件を付けさしてくれよ」

 

 それは厚かましいお願いにも程があった。頼まれて模擬戦をするのは真琴なのだ。にも関わらず、鈴木はこう続けた。

 

「俺等が勝ったら、お前は一生俺らの“オモチャ”になれよ」

 

「アイツら!何偉そうにいってんのよ!」

「真琴さん、受ける必要ないです!」

 

 

「お前さんのギャラリーはあー言ってるぜ?どうすんだ?」

「(これ受けねぇと、何かしらのいちゃもんつけて来そうだな・・・はぁ、なら受けた上で徹底的にぶちのめすか)」

「ああ、良いぜ。パシリでも何でもやってやるよ、ただし俺に勝てたらだけどな」

 

 

 

「マコト!?」「何言ってるんですか!?」

「真琴はあんな奴等に負けるほど落ちぶれてないよ」

「真琴なら大丈夫よ、心配ないわ」

 

 ステラと珠雫を一輝とアリスがそれを宥める。

 

「後悔しねぇんだな?」

「ああ、だがEランクに五人全員で掛かって来て、無様に負けたら笑い者だけどな」

 

「舐めやがって!」「調子に乗るなよ!落第騎士が!」

「言わせておけ」

 

 ここで鈴木が取り巻き達を腕で静止させる。

 

「話は纏まったか?」

 

 模擬戦の審判である黒乃理事長が真琴達に確認する。

 

「ええ、問題ないですよ。あ、そうだ。お前等、俺の条件も忘れるなよ?」

「五人纏めて掛かってこいだっけ?自分の不利になるような条件を付けるとはな!」

「もう一つあるだろ?」

「ああ?」

「俺が勝ったらこれ以上俺に関わるなっていう条件だよ」

「ああ、勿論だ」

 

 鈴木を含め、中川の取り巻き全員が下卑た笑みを浮かべる。

 

 

「では、これから模擬戦を始める!お互いの条件を遵守すること!指定の位置に移動しろ!」

 

 

 鈴木達は距離を取りつつ、真琴を囲うような位置に移動していく。真琴はその位置を確認し固有霊装を顕現させる。

 

「我が身を護れ!甲鉄陣玉鋼!!」

 

「それでは、模擬戦、開始!!!」

 

 

 




ご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。