史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは、紅河です!

次回はプール回の予定です!
加々美にも活躍の場を与えたい・・・。

どうぞ、お楽しみ下さい!


BATTLE.25 更正

「連戦連勝ー!黒鉄選手!五回連続で選抜戦を無傷で突破しました!もう落第騎士とは言わせない!!無冠の剣王«アナザーワン»だぁ!!」

 

「ふぅ・・・」

 

「やっぱり、先輩凄い!」

 

 真琴の模擬戦から十日程過ぎ、毎日の様に選抜戦は行われていた。真琴達の戦績はというと全戦全勝し、選抜戦を勝ち進んでいた。

 真琴達が教室で寛いでいると、新聞部の日下部加々美がクラスメートを連れて、一輝と真琴の元に来ていた。

 

「たくっ、刀華さんめ、いつも本気で来ることないでしょうに・・・」

「アハハハ・・・苦労してるんだね、真琴も」

「まぁな、模擬戦の後、刀華さんの調整を手伝ってたんだが、結局また引き分けちまった」

「戦績はどのくらいだっけ?」

「確か、130勝130敗だったかな?」

「雷切相手にまた引き分けか、流石真琴だね」

 

「先輩方!私達に武術を教えてください!」

「え?」

「先輩って俺らか?」

「はい!一つ年上ですし、なにより先輩方は強いですから!」

「武術を教えてくれだそうだが、どうする一輝?」

「僕は構わないよ、真琴は?」

「俺は弟子を取らない主義だ、悪いな。それに俺は無手だからな、教わるなら一輝の方が適任だろ」

「でもサポートくらいはしてくれるよね?」

「ああ、それくらいなら構わん」

 

「やったあ!」「「明日から宜しくお願いします!」」

「先輩方、有難う御座います!」

 

 すると加々美が一輝に抱きつき、その喜びを表現した。

だが一輝はステラの事を気にして、直ぐ様加々美から距離を取った。

 

「何よ、一輝の彼女は私なのに・・・」

 

 ステラはその様子を見て不機嫌になっていく。一輝は私の男だと言わんばかりの形相を心の中で行っていた。

 しかし、真琴達を見てつまらないと思っているのは他にも居た。それはクラスメートの男子達だった。真琴達、落第伐刀者が女子にちやほやされてるのを見て、嫉妬をしていたのだ。

 

「落第騎士が調子に乗りやがって」「いい気なるなよ」「だぶりのクセしてよぉ」

 

 その様子を見ていた他の男子生徒達が不満を溢した。

 

「はーい、帰りのホームルーム始めるよー」

 

 教室の扉を開けて入った来たのは真琴達の担任を任されている“折木有里”だ。

 この人物は一輝の恩人でもある。この破軍学園では入試試験が筆記試験、伐刀者能力試験と戦闘試験のどちらかを選ぶ事が出来る。一輝は黒鉄家の落ちこぼれだ。筆記や能力試験を行えば、直ぐ様黒鉄家が動き一輝を落ちる様に手を回すだろう。しかし、戦闘で試験官に勝利すれば話は別だ。一輝の強さを証明出来る為である。その試験官を務めたのが担任の折木有里なのだ。

 

 

「皆ー席についてね~、んじゃ始め・・・おぼぉ!」

 

「「「「「ゆりちゃああああん!!!」」」」」

 

 

 真琴達に挨拶を済ませると折木有里は血を拭きだし倒れてしまった。この折木有里は極度の虚弱体質で、一日に一リットルの吐血する体質で毎回病室に運ばれているのだ。

 

 

 

 そして日付は変わり、加々美達の約束を果たすため、真琴達は学園の中庭に来ていた。ここは真琴達がよく組手を行うところだった。真琴が授業に出れなくなってからというもの、この場所で鍛練に励むのが日課になっていたのだ。

 

「一輝、いつもの所で良いよな?」

「うん」

「お二人はいつも一緒に鍛練を?」

「ん?まぁな、最近はステラと一緒だが、ルームメイト時代はここで組手してたな」

「真琴に何回挑んでも、勝てない日が続いた事もあったなぁ」

「当たり前だろ?俺は妙手だぜ?弟子級に遅れを取るほど怠けてるつもりはねぇよ」

「凄い!近衛先輩は先輩より強いんですね!」

「一輝より武術位階的に上に居るってだけだ、それに負けた事だってあるぞ?」

「へぇー!」

「俺の師匠が言ってたよ、“力が強さではないように強者が必ずしも勝者ではない”ってな」

「成る程!メモメモっと。今日は一体何を私達に教えてくれるんですか?」

「今日はインナーマッスルの使い方と体幹の大切さを教えるよ」

「ふむふむ」「インナーマッスル?」「体幹?」

 

 クラスメート達が疑問符を浮かべている所に、側にいた真琴が説明をする。

 

「インナーマッスルとは内側の筋肉の事だ。この筋肉が備わってるお蔭で人間は複雑な動きを行うことが出来る。つまり、インナーマッスルを鍛える事で、動作の向上を図る事が出来るってわけだ」

「へぇー!」「それじゃ体幹は?」

「体幹ってのは分かりやすく言うと胴体の事だ。人間の胴には普段使ってない筋肉が沢山有るからな、それを意識するしないで大分違う」

「今からそれを鍛えるトレーニングをやるからね」

「「はい!」」「宜しくお願いします!」

 

「んじゃ真琴、お手本を見せてあげて」

「りょーかい」

 

 そういうと真琴は片足を上げ、その場に立って見せた。

もう片っ方の片足は大地をがっしりと掴み、真琴の身体はまるで大地に根を貼る一つの大樹の様だった。

 

「凄い!眼を瞑ってるのに一ミリも動いてない」

「取り敢えず、これを30秒間やってみな。あ、目は瞑らなくていいから」

「はい!」「分かりました」

 

 クラスメート達が真琴の真似をしてやってみると、足は揺れ、あっという間に身体の体勢は崩れてしまった。それもその筈、普段使わない筋肉を使っているのだ。思うように身体が動かないのは当然である。

 

「近衛先輩、喋ってるのに全然身体が崩れてない!」

「そりゃ師匠達に鍛えられたからなぁ、このままなら何時間でも行けるぞ?」

「えええ!?」

「だって不安定な足場じゃねぇし、平坦の場所ならこんなもんだろ」

「流石、S+ですね、納得です」

「戦闘中は片足に力が掛かっている事の方が、ずっと多い。中国拳法では均等に体重を掛かっている事を“双重の病”として戒めてる程なんだ、ね、真琴」

「ああ」

「言っている事はよく分かりませんが、先輩が言った通りに書いておきますね!そういえば、近衛先輩は中国拳法も習っているんでしたね!」

「お前が理解しないと意味ないだろ・・・」

 

 

 真琴が加々美にツッコミを終えると、クラスメートである男子達が真琴達の元へやって来た。男子達は少し不機嫌な表情をしていた。

 

 

「おいおい、二人の落第伐刀さんよぉ!女性にちやほやされているからって調子に乗ってんじゃねぇぞ」

「大先輩気取りか!?ああん!?」

 

 すると、クラスメート達が自分自身の固有霊装を顕現させ、戦闘態勢をとる。

 

「何してんのよ!あんた達!」

「(全くここの生徒は懲りねぇなぁ・・・)」

 

 その様子を見ていた、真琴は呆れていた。

 一輝が男子達に話をしようと近付いた時、真琴がそれを止めた。

 

「ったく、一輝!」

「ん?真琴?」

「こいつらの相手は俺がするわ、お前はあの子達の事を見てやれ」

「真琴、有難う」

「つーわけで俺が相手だ。同じ落第生だし、文句ねぇだろ?」

「ああ、構わんぜ。五人に勝てると思っているのか?」

「(コイツら、この前の俺の模擬戦見てないのか?ま、好都合だが)愚問だな、纏めて掛かって来いよ・・・」

 

 真琴は前羽の構えを取りながら相手を観察し、分析していた。前に戦った鈴木達は真琴の一つ上の学年だ。だがクラスメート達は同じ一年、真琴とのレベルの差は歴然だった。

 梁山泊では多人数戦闘も踏まえて教わっている。この程度の人数ならば、倒すことなど造作もないのだ。

 

「オラァ!」

 

 一人が真琴に向かって斧を振り下ろす!しかし真琴はそれをかわしながら、空手の山突きを放つ。続けざまにクラスメート達が攻撃を仕掛けるが、真琴には掠りもしない。制空圏を纏っていた為、その攻撃を裂けながら相手にカウンターを捩じ込んでいった。気がつけば、リーダー格である真鍋だけが残っていた。

 

「あ、有り得ねぇ!」

「さて、最後はお前か・・・」

「くそ!」

 

 急いで真鍋が固有霊装の銃を構えるも、あっという間に真琴に近付かれた。そのまま真鍋の顔に寸土の正拳突きを放ち、その拳の勢いに負けたのか真鍋は気絶し、戦闘は終了した。

 

「おいおい、これでお仕舞いかよ・・・」

 

 

 

「おい、起きろ」

 

 真琴が真鍋達を揺らしながら起こしていく。真琴は怪我をしない程度に威力を留めておき、直ぐ様起きれるように手加減をしていたのだ。

 

「んあ・・・」

「気が付いたか?」

「わ、落第の拳«ワーストフィスト»!」

「んで、お前等は何の目的だったんだ?稽古の邪魔をしやがって・・・。どうなるか分かってるよなぁ?」

 

 顔に傷がある男が真鍋達に迫って来ているのだ。恐怖しない方が可笑しいだろう。普通なら逃げ帰るところだろうが、真鍋達は意外な行動をとったのだった。 

 

 

「「「「「す、すみませんでしたあ!」」」」」

 

「俺たち、女性にちやほやされてる先輩達が羨ましかったんです!」

「さっきの行いは謝ります!」

「俺らにも武術を教えてください!」

 

 それを見ていた加々美が一言言った。

 

「調子よすぎ・・・」

 

「一輝ー!こう言ってるがどうするよ?」

「そう言う事なら良いよ、一緒にやろう!」

 

「「「「「はい!お師匠!」」」」」

 

「(一輝め、白浜師匠に似たお人好しだなぁ・・・。師匠の高校時代もこんな感じだったのか?)」 

 

「あのー」

 

 真琴が物思いに耽っていると、一輝の元へ他の女性生徒達が話し掛けて来た。

 

「私達も混ぜてくれませんか?」

「勿論良いよ!君たちも片足立ちからやってみよう!」

 

 

 そんな真琴達の光景を陰から覗き見している、生徒が一人いた。それは真琴に模擬戦を挑んだ鈴木だった。

 

「あいつらいいな、俺も混ざりたいが、近衛が関わるなと約束してしまったし、どうしたものか・・・・」

 

 鈴木は前回、真琴に勝負を挑みボロ負けしているのだ。そして真琴が模擬戦受ける条件として出したのが、“二度と真琴と関わらない”というものだった。

 その為、どうしていいか分からずただ見ているだけになってしまったのだった。

 

 真琴達が他の生徒達に武術の教える事になってから、数日がたった。あれから人数も増え、中庭では通行の邪魔になってしまう為、近くの森に少し広い所があり、そこで鍛練をしていた。

 

「随分増えたわね」

 

 その人数は三十人程までになっていた。

 

「あれから色々あってね」

「ね、ねぇイッキ!」

 

 ステラが照れつつも二本のスポーツドリンクを手に持ち、一輝に話し掛けようとしていた。

 

「何?ステラ」

「あ、あのね、そのぉ・・・喉渇かない?」

「それは確かにね」

 

 

 ステラは勇気が出せずしどろもどろしていた所に、ドリンクを持った珠雫が表れた。

 

「お兄様!ドリンクです!」

「ん?ああ、有難う!珠雫!」

「あっ・・・」

 

 ステラがその光景を見て驚きの表情を浮かべて呆けている。一輝はゴクゴクと飲み進んでいく。

 

「フフン!」

「プハァ!珠雫助かったよ」

「お兄様、珠雫っぽい味はしました?」

「やけに具体的な冗談だねぇ・・・」

「アンタもしかして!」

「ドリンクに口なんてつけませんよ?ええ、してませんとも」

 

 したり顔で珠雫がステラを見つめている。

 

「ステラさんはドリンクを持って何をしてるんですか?」

 

 ステラを煽りながら珠雫が続ける。

 

 

「え!?これ!?じ、自分で飲むためよ!すっごく美味しいわこれ!」

「それ一本だけ私にくれませんか?」

「え、べ、別に良いけどシズクが飲むの?」

「貴女には関係ないですよ、ドリンクありがとうございます。それより、お兄様、後で私にも剣を教えてください!」

「でも、家では小太刀の師範が居たはずじゃ」

「お兄様を家に居られなくした、あの人達に教えを請う事はありません!」

「分かった」

 

 ドリンクを飲み終わったステラが、声をあらげてながら一輝に話し掛ける。

 

「シズクに教えるなら私にも教えなさいよ!」

「え?ステラにも?」

「何よ嫌なの?」

「えっと、それは」

 

 だが一輝はステラに教えるのを出し渋っていた。何故なら一輝にとってステラとはライバルなのだ。だから教えたりはしたくない、ステラが自分を超える者であって欲しいから。

 

「いいわよいいわよ、イッキに教えて貰えなくたって平気だもん!本当は教えて欲しくなんてないしー!ちょっと言ってみただけだしーイッキのバカーー!」

 

 ステラはいじけながら走り去ってしまった。

 

「(ステラさん、素直じゃないですね・・・)」

「ステラ・・・」

 

 ステラの事を心配な表情で見つめる一輝。

 

「それより、お兄様、真琴さんは何処に居るんですか?」

 

「え、真琴?真琴なら奥の方で技の修行してると思うけど・・・」

「分かりました、有難うございます!」

 

 珠雫がそう言うと真琴の方へ向かって行ったのだった。

 その頃、真琴はというと・・・。一人、大きい木に向かって技を放ち続けていた。その技とは真琴が考案中の新技であった。

 

「❰近衛流・風林寺押し両手❱!!」

 

 真琴が拳から放った凄まじい衝撃破と風が木を襲い、辺り一面の葉っぱが空を舞っている。

 この技は梁山泊最長老“風林寺隼人”の百八つの奥義の一つ、押し一手を真琴なりにアレンジしたものだ。先日、鈴木達の模擬戦で披露した技も、風林寺隼人の実の息子“風林寺砕牙”の千木車を発展させたもの。基礎を着実にやって来た、真琴だからこそアレンジすることが可能なのだ!

 

「やっぱり、長老みてぇなデカイ衝撃破は出来ないか・・・」

 

 

 長老が放つ押し一手は、並みの人間を飲み込む数メートル程の衝撃破を出すことが出来ていた。真琴の実力は妙手に位置し、気を掌握してるといっても未熟な武術家にはかわりない。その為、真琴が放つ押し一手の技の規模は小さく、精々50㎝程であった。その幅を補う為、真琴は押し一手を両手で放っていたのだ。

 

「まだ、技とはいえねぇな・・・。もっと強くならねぇと」

 

 突然、ボキッという木を折る音が聞こえた。

 

「誰だ!」

 

 茂みから姿を現したのは、なんと真琴の仕合に納得せず、あろうことか模擬戦を挑んで来た鈴木だった。

 

「お前は確か・・・鈴木だったか?」

「ああ」

「何でお前が此処に・・・というか俺に関わるなって約束したよな?」

「それは・・・」

「なら・・・」

「お前を馬鹿にして、すまなかった!」

 

 すると、鈴木は真琴に土下座をして謝って来た。

 

「何のつもりだ?」

「俺は今まで馬鹿な事をしてきた。中川と連れ添ってパシリしたり、かつあげをしたりして、低脳伐刀者を弱者だと愚弄してこれまで生きてきた。だがそれは間違っていた!それにお前達は違う、決して弱者なんかじゃない!俺は、お前の模擬戦をして気が付いたんだ!努力を続ける事こそが俺達、学生の本分だって!模擬戦での事は謝る!だから俺に武術を教えてくれ!」

 

「・・・・」

 

 真琴はその鈴木の行動に、少し驚きつつ喜びを感じていた。この破軍学園に入学してからというもの、底辺伐刀者を馬鹿にするのがここの生徒達の日常だったのだ。だが一輝や真琴が選抜戦で活躍してから、武術を教わりたいと言ってくる生徒が徐々に増えてきたのだ。これは生徒達の考えが変わってきた証拠と言えた。

 しかし、来るのは一輝の方ばかり・・・。真琴に生徒が寄り付く事は余りなかった。それは生徒達が真琴の顔を怖がったからだ。

 真琴には小さい頃に“とある事件”で付けられた消えない傷がある。鼻から右頬にかけて斜めの傷だ。それを見た生徒は話し掛けず、一輝ばかりに質問をしていたのだった。

 そして、鈴木達や中川と戦う時に真琴が意図していた事が漸く実を結んだのだ。それは“更正”させること!それがやっと現実のものになったのだ。

 

 

「顔、あげろよ」

「え?んじゃ・・・」

「いいか、お前がやって来た事は決して消える事はないからな」

「・・・ああ、分かってる」

「お前、パシリやかつあげした奴等の事は覚えてるか?」

「ん?ああ覚えてるけど」

「今日じゃなくてもいいから、今までの事、そいつらに謝ってこい」

「!?」

「・・・それに武術を習いたいなら俺じゃない、一輝だ」

「黒鉄に?」

「ああ、お前は確か固有霊装が打刀だったな?」

「よく覚えてるな」

「対戦相手だし、それくらい当然だろ。それに俺は無手の武術家だ、道場では刀なんかも習ってはいたが、固有霊装が手甲とすね当てだからな、その技が使えない。それに剣の腕なら一輝の方が俺より上だ」

「分かった、黒鉄の所だな」

「あっちの方で片足立ちをやってるはずだ、一輝に話し掛ければ喜んで受け入れて貰えるだろうぜ」

「近衛!俺の厚かましい願いを聞いてくれて有難うな!」

「おい、お前の下の名前は?」

「え?名前?」

「ああ」

「俺の名前は、晴比古、鈴木晴比古だ!」

「ん、分かった、晴比古だな。学年は上だが、同い年だしお互いに呼び捨てでいいよな?」

「勿論だ!宜しくな真琴!」

「おう」

 

 鈴木は勢いよく一輝の元へ走り去ってしまった。鈴木が真琴に話し掛けるにはとても勇気がいる事だっただろう。模擬戦をして、関わらないという条件を出され、それを受け入れたのだから。だがそれを破っててでも真琴に武術を習いたかったのだ。ならば、それを汲んでやらねば真琴の活人拳が廃るというものだ。

 

「(へっ、嬉しいものだな、友達が出来るっていうのは・・・)」

 

「真琴さんって優しいんですね」

「うわあー!!って珠雫か、急に話し掛けるんじゃねぇよ!危うく攻撃仕掛けたぞ!」

「関わらない事を約束させたのに、その人に懇願されたからって願いを受け入れるなんて、普通なら断るところですよ」

「まぁな、だが師匠達ならこうしてた筈さ」

「甘いですね」

「これが活人拳ってもんさ、つかお前は何しに来たんだよ。一輝達の所に居たんじゃなかったのか?」

「さっきまでは居ましたよ、これを届けに来たんです」

 

 すると、珠雫はステラから貰ったスポーツドリンクを真琴に手渡した。

 

「スポーツドリンク?気が利くじゃねぇか、さんきゅ」

「実は、真琴さんに一言言いたい事があって」

「ん?何だ?」

「私、真琴さんに感謝してるんです」

「あ?どういう事だ?あ!ケーキの事か?」

「それもありますけど、違います」

「ケーキじゃなかったら、飯をご馳走したことか?」

「それも違います!一旦食べ物から離れてください!」

「んじゃ何だよ」

「それは、貴方が私の愛を理解してくれたからです」

「・・・その事か、別に感謝されるいわれはないけどなぁ」

「私の愛は常人には理解されないものと思っていました。だけど、アリスと真琴さんだけは理解をしてくれた・・・。控え室で真琴さんに尊敬してるって言われて、私の心が満たされたのを感じたんです」

「だからあの時泣いてたのか」

「はい」

「けど、一輝はステラの事を・・・・」

「ええ、分かってます。それについては、いずれ私なりの答えを見付けようと思います」

「そっか、その答えが見付かるといいな」

 

 珠雫の覚悟を聞いた真琴はただひたすらに感心していた。何故なら、珠雫の恋は決して報われる事は無いからだ。一輝はああ見えて一途なのだ。一途にステラの事が好き好きでしょうがない、そして一輝は鈍感だ。だからこそ、珠雫のこの恋愛は報われないのだ。

 これは一人の少女が自分の恋愛を無くしていると同義だった。そんな姿を見た真琴は思わず、珠雫の頭を撫でてしまったのだった。

 

「頭は撫でないで下さい!」

「良いだろ?減るもんじゃないし」

「髪が減ります!」

「何気にひでぇな・・・」

「んじゃやめてください!」

「仕方無いだろ、手近な所に頭があるんだから」

「いい加減にしないと怒りますよ!!」

「わかったよ、この辺にしておいてやるよ」

「全く・・・というか技の修行はいいんですか?」

「ああ、そうだったそうだった!やらねぇと」

「どんな技なんです、私に手伝えますか?」

「そうだなーこの技は気当たりを使うから、気当たりに慣れるにはもってこいだぞ」

「分かりました、どの辺に立てばいいですか?」

「えっと、数メートル離れて・・・」

 

 

 こうして、一輝達の鍛練が終わるまで続いた。

 真琴は技の修行を、珠雫は気当たりに慣れる為、受け流す術を見付ける為に・・・・。

 そして、真琴達が技の修行とほぼ同時刻に鈴木、改め晴比古が一輝の教えを受けていのであった。

 

 

 




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