史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

28 / 66




BATTLE.27 六徳の感

「さぁ!やって参りました!代表選抜戦第六仕合!本日は黒鉄一輝選手VS兎丸恋々選手の仕合です!!落第騎士«ワーストワン»で知られる黒鉄選手が五戦連勝!しかも無傷で突破しております!そして、お相手の兎丸選手も同様です!さてどちらが本戦出場の切符を手にするのでしょうか!?」

 

「あの、真琴さん」

「ん?何だ、珠雫」

「お兄様は勝てるでしょうか?」

「心配なのか?」

「はい、相手は学園序列3位ですし・・・。速度中毒«ランナーズハイ»には自身の二つ名にもなった«マッハグリード»があります。走る速度はマッハを超えます、それに対応出来るものなのでしょうか・・・」

「心配ねぇよ、一輝には“ある技術”がある」

「“ある技術”?」

「仕合が終わったら教えてやるよ」

 

 真琴と珠雫が喋りながら仕合を待っていると、そこへ仕合を終えたステラがやってきた。

 

「お、ステラ仕合終わったのか。結果はどうだった?」

「勿論、勝ったわ!当たり前じゃない!」

「ふっそうか。雷先輩も破軍学園じゃ中々に強いんだがな」

「あの攻撃をまともに受けたら、やられてたかもね(私が先輩の技を真っ向から打ち砕いたからね!)」

「ふむ、ステラが雷先輩のクレッシェンドアックスを真正面から捩じ伏せたのか、成る程な」

「(ま、マコトに心を読まれた!?)」

「固いこというなよ」

「(他人の心を読むとか、ま、マコトに隠し事は出来ないわね・・・)」

 

 真琴は妙手に至っている。武術家は相手の様々な仕草や言葉等から相手の思考を読むことが出来るのだ。妙手以上の武術家相手なら未だしも、弟子級の心であれば読む事が可能なのだ。

 

「と、ところでイッキは大丈夫よね」

「問題ないさ、さぁ始まるぞ」

 

 真琴がそういうと戦闘開始のアナウンスが会場中に鳴り響く。

 すると、恋々が自身の能力を使い、先手を打った。数多の伐刀者を打ち倒した恋々の伐刀絶技«マッハグリード»を発動させたのだ!

 この技は自身の移動速度の累積することが出来る伐刀絶技。 恋々が停止さえしなければ、加速を維持し続ける事が可能で最大、マッハ2という驚異的な速度にまでになるのだ。そして、その速度のまま相手に突っ込む事で成り立つ技が«ブラックバード»!それが恋々最高の必殺技である。

 

「やはり、速すぎる!目で捉えきれない!」

「イッキ!」

「大丈夫だって・・・二人とも落ち着けよ」

「そんな呑気に!」

「一輝は避けるから、慌てんな」

「え?避ける?」

「ああ、黙って見てろ」

 

 その言葉を聞いたステラと珠雫は、その意味が分からなかったが、その数分後―目の当たりにする事となる!

 

「❮ブラックバード❯!」

 

 恋々が一輝の背中目掛けて、自身の最高最大の必殺技«ブラックバード»を打ち放った!!その速度は常人の目では捉えきれはしないだろう。勿論、真琴も、そして梁山泊の師匠達ださせ恋々のスピードを捉える事は出来ない。だがそれは“目では追いきれない”だけなのだ。何故なら・・・・。

 

「なぁっ!?」

 

 すると、恋々の攻撃が直撃する瞬間に、ひらりと身体を翻し、一輝がかわしていたのだ!かわした時に恋々の腕を掴み、体勢を崩させその場に伏せさせると、陰鉄を恋々の喉仏に向かって寸土目を行った。

 

 

「ま、参りました・・・」

 

「き、決まったー!!!黒鉄選手が兎丸選手、速度中毒«ランナーズハイ»を下しましたー!兎丸選手の«ブラックバード»を躱し、見事勝利を収めたのです!」

 

「か、勝ったの?」 

「お兄様・・・」

 

 珠雫は安堵の表情を浮かべる。

 そして、気になっていた事を真琴に質問をしたのだ。

 

 

「あの真琴さんさっき言っていた“ある技術”とは一体?」

「ある技術?」

 

 ステラがそれに便乗し、真琴に尋ねた。

 

「ま、それは移動中に話してやるよ、次は俺の仕合だからな」

 

 

 真琴達が控え室に到着すると、真琴はその“技術”の話を始めた。

 

「さっきの仕合で一輝が使用した技術は、❰六徳の感❱っていわれるものだ」

「「六徳の感?」」

「五感を極限化したものが第六感の感覚、すなわち❮勘❯だ」

「それって直感ですよね?それで攻撃を躱せるものなんですか?」

「そうだ、一輝がそれを証明しただろ?」

「それもそうなんですが・・・」

 

 未だに半信半疑な珠雫。

 

「でもシズクの気持ちも分かるわ・・・」

 

 

「・・・達人になるとこの感覚を、目では追いきれない動きを察知する“センサー”として武術に取り込んでいる。六徳とは数の単位で、刹那の10分の1が❰虚空❱、達人になるとさらにその10分の1の❰清浄❱へとレベルアップしていく。一輝は中学の頃から道場破りを繰返し、武術に関する多くの書物を読破し、技術を身に付けて来た。既にこの“勘”の武術利用を身に付けてても、おかしくないだろ?」

 

「・・・改めてイッキとのクロスレンジの実力差を感じるわ・・・そんな技術が武術にあったなんて、私初めて聞いたもの・・・」

「私もです・・・、真琴さんの武術知識の量も計り知れませんね・・・」

「二人が知らないものなんて、幾らでもある。武術に関して言えばな!さて、そろそろ俺は準備に入る、ここでさよならだ」

 

「分かりました」「勝つのよ、マコト!」

 

「当たり前の事を言うな!勿論、勝つさ・・・!」

 

 

 真琴はステラ達と勝利の約束をし、控え室に入っていった。

 そして、一時間後、真琴の第六仕合のゴングが鳴り響く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ皆々様!先程の興奮さめやらぬなか、次の仕合が間も無く始まります!続いては近衛真琴選手VS剛鐵寺心陽選手の対決です!先に入場して参りましたのは剛鐵寺選手!二つ名は鋼鉄人«メタルマン»!ここまでの戦績は連戦連勝!果たしてこの勢いは止まらないのか!?そして、剛鐵寺選手の代名詞、“鋼鉄冑”«メタルティックスーツ»がその真価を発揮するのか!?」

 

 月夜見半月の見事な実況が会場を包み、その熱気を最高潮まで高めていく。

 その半月に紹介された剛鐵寺はというと、胸を躍ろさせながら真琴の到着を待っていた。真琴は低ランクながら破軍学園の数々の伐刀者を、ほぼ“一撃”で沈めて来ているのだ。そして、その一撃とは❮気当たり❯を使用して、相手を逃走させているのだ。これは強者の証明に他ならない。剛鐵寺は歴戦の猛者であり、戦闘好きという事で知られている。真琴の仕合が楽しみでしょうがないのだ。

 

「(近衛真琴・・・。落第伐刀者らしいが、あの東堂と引き分ける程の実力者、そして数多の武術を使いこなし、ここまでの勝ち上がって来た強者!この前の模擬戦を見たときから戦いたくてしょうがなかった・・・。全て対戦相手を一撃で葬り、人を蹴り上げ、宙を蹴り、気当たりを目の当たりにした俺は、生まれて初めての武者震いを味わった・・・。今からアイツの技を味わうのが楽しみだ)」

 

 

「やっと、入場です!近衛真琴選手がこの第五訓練場に入場してきました!これまで戦績は五戦連勝、全て相手を一撃で打ち倒しています!!近衛選手は数多の武術を修め、空手、ムエタイ、中国拳法、柔術を使いこなします!そして、気当たりといわれるを技を使用し、戦わずして勝利するという芸当までやってのけているのです!!しかも殆どの相手をこの“気当たり”のみで打ち倒しています!ついた二つ名が“皇帝の拳”«エンペラーフィスト»!!もう落第の拳«ワーストフィスト»とは言わせない!!」

 

「粋な実況だなぁ・・・恥ずかしいっちゃありゃしねぇ・・・」

「おい、近衛」

「なんすか、先輩」

 

 剛鐵寺は闘志剥き出しで真琴に話し掛けた。それに負けじと真琴は静かな闘志を剛鐵寺に放つのだった。

 

「お前、強いんだってな」

 

 その表情は笑みを浮かべ、嬉しそうだった。

 

「まぁ、それなりには、ですがね・・・」

 

 真琴は戦闘が始まる前に、剛鐵寺の戦闘能力の分析を終わらせていた。真琴の“観の目”は剛鐵寺のクロスレンジは弟子級開展である事を見抜いていた。様々な情報を読み取りこれからの戦術を組み立てていく・・・。

 そして、仕合が始まる前にそれは出来上がったのだった。

 

 

「それでは!両者が出揃ったところで仕合開始です!今回の解説は折木有里先生にお越しいただいております、宜しくお願い致します!」

「よ、宜しくねぇ~」

「先生、余り無理をなさらないでくださいね・・・」

「わ、分かってるよー」

「心配ですが、では開始のアナウンスお願いします!」

 

 

「来い!シュタール!」

 

「我が身を護れ!甲鉄陣玉鋼!!」

 

「Let's Go Ahead」

 




ご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。