史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

29 / 66
こんにちは、紅河です!

今回の戦いを楽しみにしてる方が多くいる様で、嬉しい限りなんですがご期待に添えているでしょうか・・・。感想をいただけると嬉しいです!!
ではお楽しみ下さい!


BATTLE.28 皇帝の拳«エンペラーフィスト»VS鋼鉄人«メタルマン»

「ねぇ、うた君」

「なぁに刀華」

「私、まこ君の仕合観に行きたいよぉ」

「駄目、生徒会長としての仕事が溜まってるんだから」

「ええええ・・・」

 

 刀華は露骨に落ち込んでいた。とても大切な“友人”である真琴の仕合を観れないのだから・・・。

 

「真琴君の仕合は恋々達が撮ってくれるから安心してよ」

「そうですわよ、会長。早く終わらせましょう、そうすれば間に合うかも知れませんわ」

「うぅ・・・分かった、頑張る」

 

 

 刀華が生徒会の仕事に精を出している頃、一輝とアリスが席を確保しているステラ達の元へ向かっていた。

 

「イッキ!早く早く!」

「ごめん、ちょっと遅れちゃった」

「私の仕合が少し長引いちゃってね」

「結果はどうだったの?」

「勿論勝ったわ、心配しないで、珠雫」

「それより、真琴の仕合開始時間は・・・」

「もう少し見たいですね」

 

 

 一輝達の出来事は真琴と剛鐵寺が入場する、数十分前の事である。

 

 

「両者睨み合いをしています、折木先生、この仕合両者はどのような動きをするのでしょう」

「二人とも得意なのはクロスレンジですー、近衛君は多くの武術を持っていますし、剛鐵寺君は鋼鉄の冑を持っています。どちらの技も至近距離が得意としていますから、クロスレンジの練度が高い方が勝者となると思いますよぉ~ゲホ・・・」

 

 

 有里は持病を多く持っている為、咳き込んでいる事はよくあることだった。それを心配そうに見つめる半月だったが、そんな事とは裏腹に剛鐵寺が先に仕掛けた!

 

 

「んじゃ、始めるか!近衛!」

「どうぞ・・・」

「鋼鉄武器«メタルウェポン»!」

 

 この鋼鉄武器«メタルウェポン»とは剛鐵寺心陽の持つ、有りとあらゆる武器を無の状態から創り出すという伐刀絶技。剛鐵寺が創り出す武器達は、どれも一級品であり事細かに創り出すため、剛鐵寺が持つ高い魔力制御でなければ成り立たない代物である。剛鐵寺は鋼鉄武器«メタルウェポン»を使用し、太刀を創り出した!

 

 

「へぇー・・・無から武器を創り出すとは・・・」

「まだまだこれからさ、俺を楽しませてくれよ、近衛!」

 

 剛鐵寺はそのまま真琴に向かい、攻撃を仕掛けた!剛鐵寺は多くの武術本を読み一輝程では無いにしても、剣術を身に付けている。そして、そのまま真琴に斬りかかる!

 真琴は絶対防御とされる❮前羽の構え❯をとり、攻撃に備えている。

 

「ソォラァ!」

 

 そのまま真琴に太刀を振り下ろす!!だがしかしっ!

 

「❰白刃流し❱!」

 

 

 剛鐵寺の一太刀は真琴に届くこと無く空を切った。真琴は白刃流しを用いて紙一重でかわし、剛鐵寺にカウンターを叩き込んだのだ!

 この技は古式空手の真髄の技の一つ。ステラと組手を行い、勝利した時にも使用している。

 普通であれば無手で武器使いと戦った場合、相手の攻撃に合わせ両手で“突いて”、“払って”いる間に、身体を斬られ敗北してしまう。しかし、この❰白刃流し❱は腕一本で攻撃と防御を同時に行い、最小にして最速の払いを瞬時に行うことで、相手の顔面にカウンターを叩き込む技なのだ!

 

 バコーンという衝撃が会場を包み込む。

 

「マコトの拳が相手に入った!?」

「決まったんですか!?」

「いや・・・」

 

 

 

「き、決まったー!近衛選手の一撃が剛鐵寺選手の顔面にヒット!!剛鐵寺選手は無事でしょうか!?」

「!?(成る程そういうことか・・・)」

 

 真琴は異変に気付いていた。

 その真琴の拳は確かに剛鐵寺の顔にヒットしていたのだ・・・。だが顔に“当たった”だけだったのだ。

 

「ああっと!剛鐵寺選手、傷一つありません!これは一体!?確かにヒットしたように見えましたが・・・」

「確かに近衛君の拳は剛鐵寺君に当たりました、ですけど当たる瞬間に剛鐵寺君が鋼鉄冑«メタルティックスーツ»を発動し、直撃を防いでいたのぉ」

 

 

 

「なんと!流石鋼鉄人«メタルマン»です!近衛選手の一撃を防ぎましたあ!その名は伊達ではない!!」

 

 

 拳を当てて真琴は一端後ろにバックステップをして、距離をとる。

 

「先輩、やりますね。俺の拳を瞬時にガードするとは、中々出来るものじゃないですよ(ふむ、剛鐵寺先輩と同じ実力でやってたけど、もう少し体内武術段階を上げた方が良さそうだな)」

「そうだろ?まさかあれを一度で躱すとはな・・・やはり、やるな!」

 

 真琴に刀が聞かないと見ると持っていた太刀の形状を変化させ、ジャベリンを形作る。それを持ち、今度は真琴の拳が届かない遠距離から戦う戦法に変えたのだった。

 剛鐵寺は突く、突く、突く!負けじと真琴はその攻撃を回し受けで回避し、更に中国拳法の化剄も駆使しながら回避、回避、回避、それを躱し続けたのだった!!剛鐵寺は攻撃を行う際に、武器を創り替えながら真琴に攻撃する。普通に攻撃をしては真琴当たらないと踏んだのだろう。ならばランダムに武器を替え、相手を惑わす作戦に出たのだ。だが戦闘中に武器を創り替えながら戦うという事は、高い集中力と高い魔力制御がなければ成り立たない。それを兼ね備える剛鐵寺だからこそ成立していた。真琴はというと剛鐵寺の戦法に驚きつつも、見事に避けきっていた。

 その様子を見ていた生徒の歓声と会場中の熱気は真琴が攻撃を躱す度に、徐々に上がっていった。

 

「「「「おおおおおお!!!」」」」

 

「良いぞー剛鐵寺ー!」「やっちまえーー!」

「負けるなあー近衛ー!」「頑張ってー近衛師匠ー!」

 

「これは素晴らしい攻防です!剛鐵寺選手が攻撃しそれを近衛選手が完璧に防御しています!お聞き下さい!この熱い歓声を!これは熱い仕合になってきましたあ!」

「近衛君、やるなぁ」

 

 有里先生が真琴の戦いを見て感心していた、その真琴を応援する為、一輝達も客席に座り仕合を見守っている。

 

「流石マコトね、あれほどの攻撃を回避し続けるなんて・・・」

「ええ(それに恐らく今の真琴は・・・)」

 

 

 

 剛鐵寺は嬉しかった。真琴の実力は当初より想定していたより遥かに上回るものだったからだ。これ以上の強者と戦える事は伐刀者になってから、経験した事がなかった。

 何故ならこの剛鐵寺心陽は多くの実践を積んでいるのだ。貴徳原カナタと同じ生粋のお金持ちの為、カナタと同じ様に「特別収集」といった形で実戦の現場を経験し、時にはカナタと同行を共にし、多くの犯罪組織を壊滅させてきたのだ。カナタは悪を裁く為に参加していた、だが剛鐵寺は違う理由なのだ・・・。それは“強者と戦う”為!!ただそれだけの理由で実践に参加し、戦ってきたのだ。

 

「(この“近衛真琴”という男、一筋縄ではいかないな・・・俺の攻撃が一度たりとも当たらない!なら早速“あれ”を使うか)」

 

 真琴は相手の目の奥の光が動いたのを確認した。これは剛鐵寺が行動を決定した事でもあった。

 

「(ん?何か思い付いたのか、ま、何が来ても冷静に対応するだけだ!)」

 

 真琴が覚悟を決めると、剛鐵寺の準備が終わったのか、それとほぼ同時に技を発動させた!!

 

 

「くらえ!螺旋槍«ドリルランサー»!」

 

 剛鐵寺が真琴目掛けて回転攻撃を仕掛けた!これは剛鐵寺自身と武器であるジャベリンの先端部分を回転させ、相手に向かって連続突撃を行う技である。何往復もさせる事で、最後には相手を貫き打ち倒すというもの。この伐刀絶技で多くの伐刀者や犯罪者を倒した来たのだ。

 

「これは・・・くぅ!」

「油断してると命取りだぜ!」

 

 剛鐵寺が回転突撃の猛攻!

 しかし、真琴には掠る程度・・・。クリーンヒットはしていなかった。だがここで諦める剛鐵寺ではない、尚も攻撃を続けたのだった。

 

 

 

「(これも躱すか!・・・躱すというのなら当たるまで続けるのみ!!)」

 

「(くっそ、思ったよりスピードが速ぇ!しかも休憩なしに連続で突撃して来やがる!一瞬でも油断したらやられる!)」

 

 真琴はこの技の突破口を探していた。どうやれば打破出来るのか!?何をすればいいのか!?自分の頭の中にある引き出しを総動員して事に当たっていた。

 

「(何かねぇか!これを打破する方法は!?)」

 

 徐々にだが剛鐵寺のスピードに目が慣れてきた。何を思ったのか真琴は技のリズムを数え始めた。

 

「(師匠が昔、自分の動きを読む相手と戦ったらしい。師匠がとった行動は他の先生方の戦いのリズムを身体にインプットして、それを打破したらしいけど。だったら俺がとるべき方法は!)」

 

 

 そして、ある“とんでもない戦法”を思い付いた。

 

「(一!)」

 

 真琴が数字を数えると、直ぐ様剛鐵寺の突撃が飛んでくる。

 

「(二!)」

 

 剛鐵寺が向かってくる!

 

「(三!)」

 

 向かってくる!

 

 

「(四!このリズムだな!)」

 

 

 

 真琴が無双構えという隙の大きい構えをとった。それを見た剛鐵寺は好機と見てそのまま真正面から突撃してきた!

 

 

「(今だ!)ウオオオオオオ!!!」

「!」

 

 

 ズドォーン!その衝撃と共に剛鐵寺のジャベリンは真琴に突撃した!当たった場所から数メートル離れた位置で、剛鐵寺の螺旋槍«ドリルランサー»は停止した。

 

「マコト!」

「真琴さん!」

 

 ステラと珠雫が真琴の身を案じる声を発した。会場中の生徒も剛鐵寺の勝利を確信していた。

 

「今度は剛鐵寺選手の螺旋槍«ドリルランサー»が完璧に決まったあああ!!!これを受けた近衛選手、やられてしまったのかあ!?」

 

 誰もが勝ちを確信していたが、剛鐵寺は違う。確かに自分の攻撃は真琴に向かって突撃した。しかし・・・・。

 

「(確実に当たったはず・・・だが手応えが無い、どういうことだ?)」

 

 

 

「・・・あぶねぇあぶねぇ危うく離すとこだったぜ・・・」

 

 

「な、なにぃ!?(俺の螺旋槍«ドリルランサー»を素手で止めただとォ!?)」

 

「真琴さん!」

「マコトォ!心配させんじゃないわよ!」

「S+は伊達ではないわね」

「うん、攻撃中の槍を掴み取るなんて流石、真琴だよ」

 

 

「「「「「「!?!?!?」」」」」」

 

「な、なんとおお!?近衛選手、倒れていません!自身の手で剛鐵寺選手の槍を押さえ付けて止めているぅ!!!身体に槍は届いていない!回転し動いている物体を掴んで止めるなんてなんという動体視力だぁ!!」

 

 

 

 

 

 会場中の誰もがその事実に戦慄した。

剛鐵寺の攻撃が完全に決まったと思っていたからだ。そして、恐ろしいスピードで何度も何度も、突撃を繰り返していたのだ。普通に考えて一度でも避けるのに失敗すれば、身体を貫かれ倒れるのは確実だ。だがしかし!真琴はあろうことか突撃中の槍を掴み取り、押さえ付け止めたのだ!!

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、中々の威力だったぜ・・・両手じゃなきゃ砕けていただろうな」

 

 真琴の手は小刻みに震えている。

 剛鐵寺は後ろに跳び、一端真琴から離れた。

 

「・・・まさか、俺の螺旋槍«ドリルランサー»を掴んで止めるとは・・・やってのけたのはお前が初めてだ」

「そりゃどうも」

「お前を評して俺の奥義を見せてやる、鋼鉄冑«メタルティックスーツ»!」

 

「剛鐵寺選手、遂に鋼鉄冑«メタルティックスーツ»を解禁しました!この技は全身を鋼鉄でコーティングする事で、外部からのダメージを完全に防御してしまう、剛鐵寺選手の十八番ともいえる伐刀絶技です!!学園の多くの伐刀者がその技の前に敗れています!!近衛選手も敗北してしまうのか!?」

 

 

「お前は面白い、面白いぞ!近衛真琴!やはり戦いはこうでなくてはな!!」

 

 剛鐵寺は今まで以上に嬉々として、真琴に攻撃してきた。ここまで戦いを楽しませてくれる伐刀者は久しぶりだった。戦いが好きな剛鐵寺にとって、真琴という強者と一戦交えている事は幸せだったのだ。

 

「(全く、戦闘狂の相手は疲れるな・・・)」

 

 

「行くぞ!オリャア!」

 

 剛鐵寺が鋼鉄武器«メタルウェポン»で新たな武器を創り出した!それはツヴァイハンダーと呼ばれる両手剣である。重量も重い為、扱うのは難しく使いこなす伐刀者は中々いるものではない。剛鐵寺はツヴァイハンターを使いこなしている!

 

「オラオラオラァ!」

「(力一杯に振るっているだけか、だが拳圧でそれをカバーしていやがる!!)」

「くらえ!!」

 

 剛鐵寺が真琴の鳩尾目掛けてツヴァイハンターを思いっきり突いた!

 

「この一撃、貰った!」

 

 すると、その突かれたツヴァイハンターを白刃取りし、停止させた!!

 

「し、白刃取り!?」

「あれほど見事に成功させるなんて・・・」

 

「ヌゥ!(う、動かん!俺より細い腕をしているのに何処にそんなパワーが!)」

「チィ・・・・・チェスト!!❰白刃折り三日月蹴り❱!!!」

 

 真琴はツヴァイハンターを叩き折るとそれと同時に剛鐵寺の脇腹目掛けて、蹴りを放った!!

 

「ぐおおぉ・・・!」

 

 思わぬ攻撃をくらい体勢を崩しながら、後ろに下がった。

 

「見事な蹴りが入りました!折木先生、近衛選手が使った技は一体?」

「多分、あれは古式空手の技の一つですねぇ」

「古式空手?」

「うん、元々空手は刀や武器を持った人達と戦う為に創られた武術だからねぇ。対武術用技が沢山あるのよぉ」

 

「・・・見事だな、彼処から蹴りを打ち出すとは」

「そういう技なんでね、それより俺の蹴りを耐えますか・・・流石、鋼鉄人«メタルマン»ですね。さてと、んじゃ今度は俺の番です!」

 

 

「チェリァ!!」

「ヌゥ・・!」

 

 真琴が拳の嵐を剛鐵寺に浴びせ続けた!正拳、裏拳、前蹴り、様々な技の押収が剛鐵寺に襲い掛かったのだ!!

 

 

「おぉっと!今度は近衛選手の猛攻だあ!!剛鐵寺選手耐えきれるかぁ!?」

 

「はあああ!!」

 

「(コイツの拳撃、一つ一つが重い・・・!この俺が防戦一方だと!?)」

 

 鋼鉄冑«メタルティックスーツ»を着ていても、真琴の拳の衝撃が身体に襲って来ていた。だが、剛鐵寺の持つ防御力を持ってすれば耐えられない訳ではない。そんな攻撃では剛鐵寺は倒せない、剛鐵寺は硬い冑を纏っているのだから。

 しかし、真琴は師匠達からそれに対応する技を教わっている!それは相手が鋼鉄の冑を着ているからこその“技”である!その“技”とは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのお返しですよ!流石に内側は鍛えて無いですよね?しぃ・・・・❰不動砂塵爆❱!!」

 

 

 

 

 

 真琴は今までの拳撃とは少しスピードを緩めて拳を打ち出した。そのまま剛鐵寺の身体へ密着させて、技を発動させた!

 

「(おぐあぁぁぁぁ!!!・・・何だこの技は!?俺の身体の内部に直接、ダメージがァ!?)」

 

 剛鐵寺は味わった事のない技に驚きつつ、その技の威力に負けて膝をついてしまった。

 

「お、おお!?剛鐵寺選手、膝をついてしまったあ!一体どうしたんでしょう!?近衛選手の拳が身体に触れて動いただけにしか見えませんでしたが・・・」

「それは違うよぉ、ケホッ」

 

 ハンカチで口を拭いながら有里先生が答える。

 

「折木先生?どういう事ですか?」

「えっとねぇ・・・」

「一体どんな技なんですか!」

「あれは浸透勁の技だねぇ」

「浸透勁?」

 

 解説と同時にステラと珠雫が、一輝に質問していた。

 

「お兄様、何故剛鐵寺先輩は膝をついたんでしょう?」

「そうね、何でもないただの緩やかな拳にしか見えなかったわ」

「それはね、真琴が浸透勁の技を使ったんだ」

「浸透勁?何なのそれ?」

「浸透勁、発勁とも云われている。真琴が使う空手の拳は主に“剛拳”、すなわち外部に直接ダメージを与えるんだ。だけど中国拳法では逆に“柔拳”と呼ばれ、身体の内側に直接ダメージを与える拳なんだ。でもね空手にも荒技だけど浸透勁の技が存在してて、それが真琴が放った❰不動砂塵爆❱。つまり剛鐵寺さんは真琴に内側を攻撃されたということさ」

「それじゃ如何なる硬いスーツを纏っているのだとしても・・・!」

「そう、体内を攻撃されてはそれも無意味、ということだね」

 

「くっ・・・」

「へぇ・・・立ち上がりますか」 

「あれでは俺は倒れんぞ・・・!」

「ですけどこれで終わりです!!!」

「な、何だと!?」

 

 

 

 

 

 

「❰風林寺数え抜き手❱!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 真琴は剛鐵寺の身体の一点に向けて抜き手を放つ!

 

 

「四!」

「血迷ったか!?俺に外部の攻撃は効かんぞ!」

 

 真琴はその抜き手の手の数を一本ずつ減らしていく。

 

「三!!」

 

 ピキッという微かな音が剛鐵寺の耳に入る。

 

「(な、何だ!?この音は!?・・・・ま、まさか!?)」

 

 剛鐵寺の考えは嫌な方向で的中する。

 

「二ぃ!!」

 

 ピキッピキッと次第に剛鐵寺の鋼鉄冑«メタルティックスーツ»にヒビが入っていく・・・!

 

「一!!!!」

 

 ピキッバリーンという音と共に剛鐵寺の鋼鉄冑«メタルティックスーツ»はものの見事に、砕け散った!!

 

「お、俺の鋼鉄冑«メタルティックスーツ»が破られた!?」

 

「おお!?剛鐵寺選手の代名詞であり、切り札ともいえる鋼鉄冑«メタルティックスーツ»が無残にも近衛選手の攻撃によって破られたあ!!!」

 

 

 

「(あ、あの抜き手はもしや!?)」

「どうしたのよ?イッキ」

「いや何でもないよ(まさか、無敵超人の技まで習得してるなんて・・・)」

 

 

 

 一輝は身体を前のめりにさせ、その技を確認している。驚くのも無理もないこの技は、あの❮無敵超人❯“風林寺隼人”の超技百八つ奥義の一つ、❰数え抜き手❱なのだ!一輝は多くの武術書物を読み、噂でしか耳にしていなかったが、この技を知っていたのだ。

 

 

 

 

「ふぅ・・・、先輩の冑、堅いですね、砕くのに苦労しましたよ。一応言っておきますが、先輩の伐刀絶技が弱いわけではないですよ。どんなに優れている冑だったとしても同じこと!この技の前ではね・・・」

 

 

「っ!・・・」

 

 剛鐵寺には真琴が放った、不動砂塵爆のダメージが身体に残っていた。そこに数分たたずに、完璧な抜き手をもらってしまったのだ。今までに真琴に向けて自分が放った技の数々は、掠りはするもののクリーンヒットはしていない。そして、剛鐵寺は気付いていた。近衛真琴が“一切の本気を出していない”事を・・・。

 

 

「(・・・この男、俺に一度たりとも本気を見せていない。悔しいがここまで圧倒されてしまっては、武人として敗けを認めざるを得まい・・・。つまり近衛の実力は、今の俺より数段上にいるこということか・・・完全敗北だな・・・)」

 

「・・・近衛」

「なんすか先輩?」

「俺の鋼鉄冑«メタルティックスーツ»を抜き手で破ったのは見事だった。潔く我が敗北を認めよう」

 

「ここでギブアップ!!勝利したのは皇帝の拳«エンペラーフィスト»!近衛選手だあああ!!!」

 

 

「「「「「うおおおおお!!!!」」」」」

 

 

 

 

 勝利のアナウンスを聞いた会場中の生徒達は、大歓声と共に真琴の勝利を祝福した。だが中にはまだ信じられないという生徒もいるだろうが、それは前よりほどではない。強者で知られる剛鐵寺心陽を完膚なきまでに倒したのだ。それを信じない方がおかしいのだった。

 

 

 

 




ご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。