史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは!紅河です!

遅れてしまって申し訳御座いません!
楽しみにお待ちいただいている方はお待たせいたしました!
少し短いですが、お付き合いください!




BATTLE.33 揺れ動く心

 真琴が折木を実況席に送った後、会場に向かう途中で

珠雫とトイレ前でばったり会っていた。お互いの用事が終わっていたこともあり、二人で仕合会場に向かった。

 その道中で珠雫が気になっていた事を口にした。

 

「あの、真琴さん」

「何だ?珠雫」

「お兄様とステラさんと三人で何処に向かってたんですか?お兄様がやらなきゃいけない事があると仰っていましたが・・・」

 

 珠雫は右隣を歩いている真琴に、上目遣いで言った。

 

「ああ、その事か。ゆりちゃん先生の所へ行ってた」

「ゆりちゃんの所に?何故ですか?」

「次の仕合の審判はゆりちゃん先生だろ?」

「はい、そうみたいですね」

「綾辻先輩が反則技を使うから、それを報告する為にな」

「えっ?綾辻先輩はお兄様の仕合で反則を使うんですか!?」

 

 私は第三訓練場ステージに向かう途中の廊下で、真琴さんからその話を聞いた。“反則”という言葉に私は思わず、声を大にして反応してしまった。

 

「馬鹿!声が大きい!」

「あっすみま・・・うっぷ」

「聞かれたらどうすんだよ!」

 

 真琴さんが素早く私の口を手で塞いだ。

 

「そ、そうですね・・・すみません・・・でも反則を使ってるなら没収仕合としてお兄様の勝ちになるのに、何故そうしないんでしょうか?」

 

 私は首を傾げながらお兄様の意図を聞くため、真琴さんに質問をする。お兄様の仕合会場に真琴さんと向かいながら・・・。

 

「一輝の考えがあっての事だ」

「お兄様の?」

「ああ。一輝は綾辻先輩の事を救いたいのさ・・・壊れそうな綾辻先輩の心な・・・」

「お兄様はそんなに綾辻先輩の事が大事なのでしょうか・・・あんな事をされたのに・・・」

 

 珠雫は綾辻という言葉を真琴から聞き、ある出来事を思い出して自分の拳を思いっきり握り締めた。それは手から血が滲み出てしまう程のようだった。

 そして、珠雫の頭の中には“ある一つ”の答えに思行き着いた・・・。それは、『一輝は綾辻先輩の事が好き』という推測だった。そうでもなければ卑怯な手を使用した綾辻の事を庇ったり、助けたりはしないだろう・・・。そんな考えが頭から離れない・・・・。

 それを察したのか真琴さんが私の頭に手を置いて声を掛ける。

 

 

「別に一輝は大切な『友』を救いたいだけだよ。お前が考えている事にはならねぇ、心配すんな」

 

 そう言って優しく私の頭を撫でた。いつもより優しく、暖かい温もりを感じる撫で方だった。

 

「・・・はい。そうですね」

「んじゃ会場に行こうぜ。そろそろ始まるだろうからな!」

 

 真琴はニカッと珠雫に笑顔を向けて、その手を引いて会場に走って行った。 会場の廊下にタッタッという爽快な足音をたてながら・・・。

 

 

 

 私は男の人に手を引かれるという事を家族以外の人間にされた事は一度も無かった。私に近付いて来る男性なんて、黒鉄の名に媚びようとする人達ばかりだった。その顔は今でも覚えている・・・・。下卑た表情、ニヤついた顔、機嫌を取るように卑屈な表情、その顔付きは人間によって様々だった。だから私は人間が嫌いになっていった・・・。私の家柄しか見てくれない人達、家の人間だってそう・・・。私の能力しか見ていない・・・。私自身の心を見てくれる人なんて誰も居なかった・・・・。お兄様やお母様以外では・・・。

 でも破軍学園に来てからというもの、それは徐々に無くなっていった。ルームメイトのアリスや真琴さんが私を見てくれたから・・・。私の気持ちを『理解』してくれた・・・。今ではそれが凄く嬉しい・・・。

 そして、その真琴さんと二人でステージ会場に着いた時、私は胸の高鳴りを感じた気がした。トクントクンという胸の鼓動を・・・。

 

(あれ?今私・・・・)

 

 珠雫は胸を押さえその足を止めた。

 

「ん?どうしたんだ?珠雫・・・。急に止まって・・・」

 

 真琴も足を止め、珠雫の方に振り向く。

 

「・・・いえ、何でもありません」

「ん?そうか」

「アリス達が席を確保して待っています、行きましょう」

 

 珠雫が照れを誤魔化すようにステージの方へ走り去っていく。真琴がすれ違い様に見た珠雫の顔は、ほんの少し赤くないっていたような気がした。

 

「お、おい!俺を置いていくな!」

 

 珠雫を追いかけ、真琴もアリスとステラが待つ客席へ向かった。間もなくして、黒鉄一輝VS綾辻絢瀬の師弟対決が始まろうとしていた!

 

 

 




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