史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは、紅河です。

前回、戦闘シーンまでと言いましたが、申し訳ありません!今回は無しです!
次回にはございますので、宜しくお願い致します!

それでは、どうぞ!


BATTLE.36 お湯と同じ

 さて、一輝達との待ち合わせ場所は学園の校門前だったな・・・。

 来てっかな?

 ん?あれは・・・一輝とステラか・・・。やっぱ先に来てたんだな。

 しかし、仲睦まじい事で・・・。

 ほんの少し、からかってやるか・・・

 フフフフフ・・・。

 

 

「もう少しで待ち合わせ時刻になるはね」

「うん。綾辻さんは準備が整ったってさっき連絡が来たよ」

「あれ?マコトからは来てないの?」

 

 ステラが首を傾げ、一輝を見つめる。

 ステラは世間一般、多くの老若男女に「この女性は綺麗だと思いますか?」と聞けば、その誰しもが『美人な女性』と答えるだろう。何せ綺麗な朱髪、たわわに実った巨乳、しかもAランク騎士の伐刀者でヴァーミリオン皇国のお姫様だ。

 その容姿端麗でべた惚れの彼女に見つめられた一輝は、その可憐さに見惚れてしまう。自分の照れ顔を見られたくないのか、思わず顔を反らしてしまったようだ。

 

 まぁ、ステラが美人なのは間違いねぇし、見惚れるのは分かるけどな。

 

 それにしても、師匠も学生時代は大変だったんだろうなぁ・・・。だって師匠の奥さん、ステラよりも綺麗な人だもんなあ・・・。

 毎日手入れされた綺麗な金髪で、尚且つステラに負けず劣らずの巨乳とルックス、子供一人産んでる体とは思えない程のスタイルを持ち、それに学生時代は成績優秀、運動神経抜群、武術もピカイチと来たもんだ。それはそれはモテたんだろうなあ・・・。

 師匠、お酒に酔うと奥さんの自慢しかしねぇんだもん・・・。それを聞いてる奥さんの美羽さんは照れて顔真っ赤だし・・・・。話を聞くこっちの身にもなってくれよ、たくっ・・・。

 でも美羽さんによると、師匠も他の異性からモテたみたいなんだよな・・・。当時の師匠は一途に美羽さんを思ってて、気付かなかったらしいけど・・・。

 こうして思い返すとホンッッットに似てるなぁ「師匠」と「一輝」・・・。

 

 おっと、そろそろ二人の場所に到着だ!

 

「イッキ?何照れてるのよ・・・あからさまに照れると、そのぉ、こっちが恥ずかしくなるでしょ・・・」

「う、うん。ごめんステラ・・・」

 

 そんな二人に、俺は気配を絶ちながら近付いていく。

 

 すぅ・・・・・。

 

「わぁっ!!」

 

「ひやぁ!」「うわっ!」

 

 二人揃ってビクンと体を震わせる。

 どうやら、気配を消していた俺には気付けなかったようだ。

 

 

「アハハハッ、良いぞ良いぞ、そのリアクション!」

 

「ま、真琴!?驚かせないでよ!」

「いきなり、何すんのよ!」 

 

「二人でいちゃついてたから、ついな?」

 

 俺は口角を上げ、ぱちんと両手を合わせて「ごめん、ごめん!」と頭を下げる。

 

 

「「ついじゃない!(わ!)」」

 

 一輝とステラの二人が口を揃えて、俺に反論する。

 

 ステラと髪が逆立ち、怒鳴りながら俺目掛けて殴りかかる!

 まぁ、無手の武術を修めてないステラの攻撃なんて、俺には当たらねぇけど。

一輝はというと、ステラを止めようと声を掛けるが、ステラは聞く耳を持たないようだ。

 そんな俺達を遠くで見つめる人物が一人、どうやら綾辻絢瀬先輩のようだった。俺とステラが戦っている様子を見て、人見知りの先輩は萎縮し話し掛けずらかったみたい。それを一輝が発見し声を掛ける。

 

 

「あ、綾辻さんこっちこっち!ほら二人ともそろそろ喧嘩はやめなよ」

 

「え?ええ、そうね」

 

「おう、そうだな」

 

「全く・・・少しは手加減しなさいよ」

 

「無手の武術を修めていないステラに当てられるつもりはないんでな!諦めろ」

 

「今度、組手をやるときは覚えときなさいよ!」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 もうそろそろ綾辻先輩の“元実家”だった、綾辻一刀流道場に到着する。

 案内役の綾辻先輩の顔色はあまり優れないようだ。何せ自分の家族を病院送りにし、大切な場所を奪った張本人と再会する羽目になるのだから・・・・。

 優れなくて当然か・・・・。

 けど、以前の綾辻先輩より、『心』の余裕は見て取れるな・・・。信頼出来る一輝がいるからか?

 

 すると、ステラが生徒手帳を取り出しこれから戦うであろう相手の情報をネットを使い調査していた。

 一輝のために。

 

「それにしても、この倉敷って男サイテーね・・・。非公式に他学校に殴り込み、街の道場で道場破りの繰り返し・・・ねぇ、マコト、アンタ本当にコイツと友達なの?」

 

 ステラの前に居た俺に、そう投げ掛けた。

 

「ん?まぁな。確かに倉敷がやったことは庇護出来ねぇ。お前が言ってることも分かる。けどなぁアイツは剣客の強者と戦いたかっただけだ、それに実力は折紙つきだ」

 

「何せ、七星剣武祭ベスト8だからね」

 

 一輝が真琴に同調する。

 

「だからって・・・」 

 

「綾辻先輩がいる前でこんな事は言いたくはねぇけど、道場を運営している以上勝負は付いて回るんだ、仕方無いだろ」

 

 この発言が綾辻先輩にはどうも引っ掛かってしまったようだ。何故俺がこんなにも道場に詳しいのか、深夜に一輝を襲撃した時に「悪いけど分かるんだよ、俺も大切なモノを失ってるからな」という言葉を発したのか・・・。

 疑問を解決するべく綾辻先輩が俺に話し掛けて来る。

 

「ねぇ、一つ気になったんだけど、近衛君って何でこんなに“道場に詳しいの”?」

 

「言ってませんでした?俺は道場で育ったんですよ、先輩と同じ様にね」

 

「それじゃあ何で!あんな奴と・・・!僕«被害者»の気持ち、分かるでしょ!?」

 

 綾辻先輩の目の奥は悲境な者同士を見付けたような目をしていた。

 確かに俺は梁山泊の道場で育ったから、先輩の気持ちは分かる。だけど、今まで梁山泊«家族»を第三者に奪われた事は一度もない。挑むものは悉く師匠達にこっぴどく打ちのめされているからだ。

 それに倉敷が挑んで来たときは、俺が相手をしてなんとか勝利を収め、事なきを得たし・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺だって奪われた。

 

 初めて第三者に家族«大切なモノ»を奪われたのは・・・俺の両親だけだ・・・。

 

 

 

 

 けど今は、梁山泊の人達がいる。

 

 俺には帰る場所がある。

 

 だから前に進められる。

 

 今の・・・・・・俺があるんだ。

 

 悲しんだって一度失ったモノは二度と戻っては来ないし、前にも進まないんだから。

 

 

 

「確かに、大切なモノを奪われた気持ちは分かりますよ」

   

「なら、何故?!」

 

「でも、奪われたのならそれを受け止め、前に進むしか無いんですよ・・・信頼出来る仲間と一緒にね・・・。俺の大切だったモノはもう、戻って来ないので・・・・」

 

 俺の言葉、一つ一つに重く、重く、重く、綾辻先輩にのし掛かる。

 俺は今までアイコンタクトと取ってくれた綾辻先輩から、目を反らす。

 

 

「あっ・・・」

 

「マコト、アンタ、もしかして・・・」

 

「・・・(真琴・・・)」

 

 真琴の話を聞いていた三人は、その誰もが悲愴な表情を浮かべる。

 

 この三人の中で一輝だけが、真琴の過去を知っていた。

 一輝は真琴が過去を話した、あのとてつもない悲愴な顔を今でも覚えている。ルームメイト時代、3ヶ月程過ぎた頃だった。共に修行し、お互いの信頼も築けた頃に語り合った日があった。その時、過去に何があったのか、どんな経験をしたのかを話した。上から下まで。

 

 一輝は家族に見放され、〝居ない者〟として扱われたこと。

 

 真琴は両親を幼くして亡くし、父方にも母方にも〝化物〟と呼ばれ、梁山泊で育ったこと。

 

 包み隠さず、朝になるまで語り明かしたのだった。

 

 話終わると、一輝には何故か“近衛真琴”という人物に、この上ない親近感を感じていた。

 

 一輝にとって生まれて初めて、『友情』を感じた瞬間だった。

 

 だって、この学園にいる間は友人なんて出来やしないと思っていたから。

 

 だって、自分には才能がなかった«負け組だった»から・・・。

 

 周囲の者から見放されていたから・・・・。

 

 だが、真琴だけは違った。

 

 そんな事気にせず、ずっと話し掛けてくれた。

 

 共に真琴と修行する日々。

 

 共に真琴と組手を組む日々。

 

 そんな毎日がずっと続いた。

 

 毎日、喜び勇んで学園に通い、共に学園生活を過ごした。

 

 それが一輝には心の底から嬉しかった。

 

 だから・・・・。

 

「(その事情を話してくれた時、君のとても辛そうな表情をしていたのを僕は今も覚えてるよ。今の君には僕達が居るんだ、何かあったら頼ってくれ・・・。逆に僕達側にあったら、君は迷わず動いてくれるだろう?)」

 

 

 これからはかけがえのない〝真友〟のために、出来る限りを尽くそう―――。

 

 自分の心を救ってくれた友のために・・・。

 

 真琴が苦しいときは自分が助ける・・・。

 

 そう、心に誓ったのだった。

 

 

 

 

「さ、俺の話はこれくらいでいいだろ?」

 

「そうね・・・暗い話はこれくらいにするとして、でもそれにしたって、剣の世界を欲しいままにした剣豪が若造なんかに負けるのかしら・・・私、信じられないわ・・・・」

 

「それは僕もだよ・・・あの海斗さんが・・・・」

 

 一輝は以前、«ラストサムライ»である綾辻海斗が活躍した、リプレイ動画を思い返していた。

 男らしい刀の振る舞い、思わず見惚れてしまうほどの剣技の美しさを持つ、綾辻一刀流の技の数々・・・。

 どれ一つとっても綾辻海斗は❮達人級❯〝マスタークラス〟と呼ぶに相応しい武人だった。

 

 

 そんな男がどうして二十歳にも届いていない若人に遅れを取ってしまったのか・・・。

 何故再起不能にまで追い込まれてしまったのか・・・。

 

 

 一輝は納得できずにいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 何故、名だたる剣の大会でラストサムライとまで称された剣豪が、たかが一介の伐刀者に敗北を喫してしまった理由・・・・・・それはただ一つ、〝身体の衰え〟に他ならなかった。

 

 ラストサムライが剣の世界から引退したのは、自分の身体に患ってしまった「心臓病」が原因。人の身体を動かす原動力はこの心臓が担っている。この重要器官が作動しなければ人は動くこともままならない。人間は数秒~数十秒呼吸をしなかっただけで、軽い呼吸困難に陥り、息切れを起こしてしまうのだ。

 もし、仮に心臓病を患ったまま戦闘を行えば、戦いの最中に発作を起こしてしまう危険性がある。それが元で隙が生じ、戦いに敗れてしまうだろう。

 戦いの世界は一秒でも隙を見せてしまえば、その先には『死』しか待っていないのだから・・・。

 

 自分自身が心臓病を患ったと知ればとる選択肢は二つしかない。

 

 

 

 一つは、身体を酷使し続け、その命尽きるまで抗うかーーー。

 

 もう一つは、身体を労い酷使しないよう努め、ただ永らえる人生を送り続けるかーーー。

 

 

 

 この二つに一つだろう。

 

 

 

 

 

 «ラストサムライ»こと綾辻海斗は後者の選択肢を選び、自分自身の剣術を多くの人間に残すべく、指導者の道を選択したのだった。

 

 だがそれは、剣客としては死んだも当然といえた。心臓病を患い、自分の身体に気を遣ってしまい、鍛練の修行すらまともに出来ないのだから。

 

 

 

 

 人間の筋肉、武術の基礎というのは〝お湯〟と同じだ。

 熱し続けなければただの〝水〟に戻ってしまう・・・。

 

 

 それが真理なのだ。

 

 

 綾辻海斗は己の身体に気を遣い、指導者として力を注いだ。その結果、剣客としての身体は衰えていき、武術の腕前も自ずと下がっていったことだろう。❮達人級❯から蔵人が戦える腕前まで・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真琴達がそうこうしている間に綾辻絢瀬の〝元実家〟へと到着した。

 しかし、周囲の緑豊かな木々が並ぶ清々しい風景とは裏腹に、この景色に決してそぐわない変わり果てた道場が真琴達の目の前に広がっていたのだった。

 

 

 




今後は後書きの方に更新予定日を記述していこうとおもいます。あくまで予定ですので、過ぎてしまった日などは申し訳御座いません。勿論、過ぎないように務めさせて頂きます!

次回更新予定は8月14日~16日の17:00~21:00です。早く仕上がれば、来週の土日までには完成するかと思います!気長にお待ちくださると嬉しいです!

ご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております!
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