史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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皆さんこんにちは、紅河です。


更新が遅れてしまい、申し訳御座いません!
自分の体調不良と執筆の遅さで一日遅れとなってしまいました。

今後はこのような事がないよう、つとめていきます。
何卒、宜しくお願い致します。




BATTLE.40 準備

 本日は快晴。

 気持ちよく外へ出掛けるも良し。家に籠りゲームしたりするも良し。

 様々な思惑が飛び交う今日この頃。

 

 ここ破軍学園では、七星剣武祭代表戦の真っ最中。

 他の学生伐刀者達は、自分自身の能力向上の為模擬戦を行ったり、学生を謳歌する為娯楽や勉学に勤しんでいた。

 ここ第四訓練場では二人の伐刀者が鬼の様な模擬戦を行っていた。

 

「おら!脇が甘いぞ!珠雫!脇を閉めてコンパクトにしろ」

 

「ぐっ・・・」

 

 真琴が珠雫の為に模擬戦をしている、のだが・・・。

 その戦闘は、はたから見た人間には最早いじめにしか見えない。

 何故なら、珠雫が距離をとろうとすれば、すかさず真琴が距離をつめて追って、そして、投げられる。

 はたまた、珠雫がクロスレンジに移行すれば、真琴の容赦のない攻めが待っている。

 地に伏せる度、真琴に厳しい言葉で何度も何度も、珠雫は叱責を受けていた。

 

「よし、少し休憩だ。水分補給しとけ」

 

「は、はい」

 

「はい、お疲れ様。珠雫」

 

 壁際で待機していた、アリスこと有栖院凪がスポーツドリンクを持って珠雫の側へと歩んでくる。

 

「ありがとう、アリス・・・」

 

「真琴、珠雫とは初めての模擬戦なのに、厳しすぎやしない?もう少し加減してもいいと思うのだけど」

 

「私もそう思ったけど、真琴さんが言うには「武術は中途半端が一番危ないから手は抜けない」んだって」

 

「それは、分かるけど・・・それにしてもよ。やり過ぎな感じはするけど・・・(何かいつもの真琴じゃないような気もするのよねぇ・・・女の勘ってやつが囁いてるのよねぇ)」

 

 それから数時間後・・・。時刻は午後四時を迎える丁度十分前。真琴達の訓練時間が過ぎようとしていた・・・。

 

「今日の模擬戦はここまでだ。珠雫、ゆっくり休んで明日の模擬戦まで復習しとくように」

 

 珠雫の体は蝉の抜け殻の様な、生気のないモノへと変貌を遂げていた。

 

「これはやり過ぎたか・・・?おーい、起きろー珠雫ー」

 

 真琴はゆさゆさと珠雫を揺らす。

 

「ハッ・・・ここは・・・」

 

「お、気付いたか」

 

「真琴・・・さん・・・。私、また気絶したんですね」

 

「少し加減を間違えてしまったみたいだな、今後は気を付ける」

 

「いえ、あれくらいでも私は構いません・・・」

 

 珠雫がゆっくりと立ち上がろうとするが、力が入らないのか尻餅をついてしまう。

 

「ほらな。無理すんなって・・・すまんな」

 

「そうよ、仕合前に倒れたりしたら本末転倒なんだから・・・」 

 

「そう、ね。二人とも、有難う」

 

「珠雫。今日の模擬戦、寮に帰ったら復習しとけよ?」

 

「〝素早く懐に入る〟ってやつですか?」

 

 その発言に真琴が無言で頷く。

 

「女性は男より筋力がない、継続してクロスレンジを鍛えてない珠雫は尚更だ。まぁ他の女性でも鍛え方によっては男を超えることもあるが・・・今すぐってのは無理だからな」

 

「分かりました。その様に戦法を組み立ててみます。あと、模擬戦中に教えてくださった«首里手»をもう一度ご説明して頂けますか?」

 

「あぁ、いいぜ。うちの空手では腕のしなりとスピードで打つ貫手を«首里手»、筋力と自重で打つ«那覇手»が存在する。小太刀で言うと、素早く切りつけ相手を捩じ伏せろってことだ」

 

「素早く、切りつける、ですか」

 

 珠雫は余りピンと来ていないようだ。

 

「そうだ。言葉で説明するより見せた方が早いか・・・珠雫、今から何発か放つからそれを見てろ」

 

「真琴さん、もしかして何か的でもあった方が良いですか?」

 

「まぁ、そうだな。空中に十個ほど氷を生成してくれ」

 

 真琴がそういうと固有霊装を顕現させ、珠雫の小太刀«宵時雨»で空中に水を造り出した。そこから徐々に凍っていき、少し大きめの氷が十個、生み出された。

 

「よし、この辺に固定させてくれ。今から見せてやる」

 

 真琴が指定した位置は六十㎝程離れたところだった。手を伸ばせば氷に触れる距離だ。

 そして、真琴が構えて少し息を吐く。

 

「ハァッ!」

 

 パァン!パァン!パァン!と砕音が訓練場に響く。真琴の足元には先程砕かれた砕氷が飛び散っている。

 

「さて、お前の目にはどう見えた?」

 

「三発、です」

 

「そうだろうな」

  

「実際には六発、ですね。真琴さんが放った数は・・・」

 

 珠雫は分かっていた。自分自身が造り出した氷が六つ砕けていることを・・・。これが示す答は、真琴が放った突きが六発、放たれたということに他ならなかった。

 

 

「瞬間に六発何て、考えられませんね・・・」

 

「えぇ。まず普通の人間には同時になんて打てるもんじゃないわ・・・」

 

「もっと極めれば何発も行けるだろうがな。珠雫、俺が言いたいことこれで分かったよな?」

 

「は、はい」

 

「んじゃま今日はこの辺にしとこうぜ?俺もこれから準備しないとだし・・・」

 

「何か予定でもあるの?」

 

「ああ、これからデー・・・」

 

「「え?デー?」」 

 

 珠雫とアリスの二人が真琴の言葉に首を傾げる。

 

「いや、なんでもない。気にしないでくれ」

  

 真琴は何かを隠すように慌てて、頭を掻いた。

 だが、アリスはなにか勘づいたようだ。

 

「ねぇ、真琴?」

 

「何だよアリス」

 

「準備って何を準備するの?」

 

「何って、そりゃ服を買ったり・・・下見に行ったり・・・(あっやべっ)」

 

 真琴はつい口が滑ってしまいそうになる。そして、その顔は若干赤い。

 それを見逃さないアリスではない。

  

「ねぇ、もしかしてデートでもするのかしら?」

 

「え?デ、デートですか?真琴さんが?」

 

 珠雫が少し興味を示し、真琴の方を振り向く。

 

「(でも何で私の胸はモヤモヤしてるの?私にはお兄様がいるのに・・・。確認するのは気になったから確かめるだけ・・・嫉妬とかじゃそんなんじゃない。ただ真琴さんの相手が気になるだけ、友達として・・・)」

 

 珠雫は自分の感情と葛藤しつつ、ある気持ちを押し殺して、真琴の言葉を待つ。

 

 

「はぁ、アリスにはやっぱバレるか・・・仕方ねぇ少し話すか」

 

 真琴がことの事情を説明した。

 

「成る程。今度の週末に雷切とデートね」

 

「あ、あぁ」

 

「それで忙しそうにしてた訳ね、なんかいつもの真琴の雰囲気と違うから、そんな事じゃないかと思ったわ」

 

「お前の鋭さはうちの柔術の先生を思い出すぜ・・・」

 

「あら、そうなの?」

 

「だって、俺が何かを相談しようとすれば、俺が話す前にその話の答えやアドバイスを言っちゃうんだもんよ・・・」

 

「その人は人間の心でも読めるんですか?」

 

 その話を聞いた珠雫はゾッとする。

 

「梁山泊の人達に会えば分かる(梁山泊の達人全員が相手の心を読めるとは口が避けても言えんな、これは・・・)」

 

「服に困ってるなら私が見立ててあげるわよ?カッコいいの選んであ・げ・る♡」

 

「あぁ、助かる」

 

「あら、素直なのね」

 

「身嗜みは武術ほど自信はないんでね」

 

「そうなのね。ねぇ、珠雫、貴女も一緒に行かない?」

 

「わ、私は・・・」

 

「女性の意見は多いにこしたことはないからよ、頼むわ・・・」

 

「そこまで言うなら、仕方ありませんね・・・付き合いますよ・・・」

 

「おう、ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 そして、時は過ぎ・・・デートはもう明日に迫っていた。

 真琴も刀華もこれが初めてのデート。緊張しないわけがない・・・。誰しもが生まれて初めての異性とのデートならテンションが上がり、様々な期待を浮かべてしまう事だろう。

 もし、緊張しない人間がいるとするならば、いつも女友達と遊ぶチャラチャラした男か、男友達としか遊ばない女性しかいないだろう。

 

「もしもし」

 

 真琴は何やらデート前日だと言うのに、何処かに電話をしている様だ。

 

「なんだい?真琴、何かあったのかい?僕のスマホに直接電話なんて」

 

 電話越しに聞こえるその声は、とても優しげな男性の声だ。

 

「師匠、ちょっと、報告というかなんといいますか、声が聞きたくなってしまって・・・」

 

 そう、電話越しに聞こえる声の主は何を隠そう、❮梁山泊一番弟子❯〝白浜兼一〟その人だった。

 

「どうしたんだい?急に・・・報告ってまさか負けたのかい?」

 

「いえ!七星剣武祭の方は順調です。連戦連勝ですから」

 

「まぁ、そうだよね。僕の弟子が負けるはずないもの」

 

 何故か兼一は自分の事でもないのに自信満々のようだった。

 

「・・・ちょっと、明日デートする事になったんです」

 

「デート?一体誰とだい?」

 

「こっちで知り合った女性です」

 

「真琴はその娘の事、好きなのか?」

 

「まぁ、はい。俺が梁山泊を出る前に「大切な人を見つけなさい」って言ってくれましたよね?」

 

「あぁ。それが強くなる近道だと君が旅立つ前に言ったね」

 

「その人が俺にとって、〝大切な人〟なんです。勿論、こっちで出来たルームメイトや他の友人もそうですが、その娘だけは、少し別格というか・・・」

 

「真琴も見付けたんだね。僕と同じ様に・・・」

 

「はい」

 

 真琴と兼一はお互いに大切な人を思い浮かべる。

 

 師匠である白浜兼一は現在の妻である、風林寺美羽を・・・。

 弟子である近衛真琴は先輩である«雷切»東堂刀華を・・・。

 

「僕も初めてのデートの前日は緊張したよ、懐かしいなぁ」

 

「師匠も緊張すること、あるんですね」

 

「それはそうだよ。僕は元々戦いとか争い事は苦手だし、いじめられてたから、異性となんて仲良くしたことなかったからね」

 

「話は聞いたことありますけど、いじめられてたなんてイメージ出来ませんよ」

 

「アハハ、今の僕の体を見たらそうだよね。今度、家に帰ってきたら僕の昔の写真を見せてあげるよ」

 

「はい、是非。あぁそれと、師匠、もう一つだけ」

 

「ん?なんだい?」

 

「この前にメールで聞きましたけど、明後日の予定は無いんですよね?」

 

「あぁ。ないよ、小説も落ち着いたし、大きなイベントはないかな」

 

「それじゃあ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 

 

 時刻は午前十一時・・・。

 今日は土曜日。七星剣武祭代表選抜戦もいよいよ、折り返し地点までやって来た。学生の各々が様々な休日を謳歌していることだろう。

 そして、天気は晴れ。

 デートにはもってこいの天気だ。

 

 あの人と最初に出会った公園にて、彼女は彼を待っている・・・。

  

 




いかがでしたか?

今後、体調管理には気を付けなければ・・・。


次回の更新予定日は9月27日~29日の17:00~21:00です。宜しくお願い致します。
いつでもご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております。
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