長らくお待たせ致しました!
最新話更新です。
少し、短いですが次話は早めに更新しようと思っておりますので、宜しくお願い致します!
「う、うん。なんか刀になっちゃったみたい・・・」
「エエエエエエエエエ!?!?!?」
不気味な小さな一室に、絶叫が木霊する。
「え?!いや、人体変化ってどういう事だ!?伐刀者の能力なのか!?」
「そう、なのかな?」
「あ、その下に私の鞘もあるみたいだから取って収めてくれる?」
「あ、はい」
刀華の言うとおり真琴が目を向けると、刀華が居たであろう場所に白い鞘が置いてあった。
「それじゃ、収めますね」
「う、うん。んっ!」
真琴が鞘に戻そうとすると、変な声が刀華から溢れた。
「あの、どうかしました?」
「なんか、く、くすぐったくて・・・」
鞘に収める独特なカシューっという音と共に、刀華の甘い声が真琴の耳にへと入ってくる。真琴の本能を刺激するようにその声が耳の奥へと進んでいく。
部屋で女子と二人っきり・・・。
普通ならナニかあってもおかしくはないはず。
真琴は何故だか、イケナイ雰囲気のような気がしてならない。
が・・・、それは人間であった場合だろう。
今の刀華は刀になっているのだ。
そんな、変な気持ちには動かない。
もし、なるとしたならば・・・刀を愛する特殊性癖を持ち、常識を持たない人間であった場合だ。
真琴という人間はそこまで落ちぶれてはいない。ちゃんと常識を持った活人拳の武術家で伐刀者なのだ。そんな事態にはなり得ない。
「取り合えず、収めましたよ」
「うん。有難う、まこ君」
「さっき、くすぐったいって言ってましたけど・・・」
「うん、何かね、まこ君に私の服を着させて貰ってる感覚だった」
「え?そうなんですか?そこまでのクオリティーがあるとは・・・」
「スタッフが伐刀者なのかな?それにしても凄いアトラクションだけど・・・」
「そうですね・・・よもや人体変化とは・・・。人によって変化するモノは変わるんですかね?」
「そうなんじゃない?まこ君の場合は手甲やすね当てになるのかなぁ」
「その能力者が対象者の魂に干渉するように技を発動してみればそうなのかもしれませんね・・・。刀華さんの場合は名前みたいですから俺の場合は案外、琴なのかも知れませんよ?名前に琴って漢字使いますから」
真琴がいった。
「フフッ、そうかもね」
刀華もその言葉に笑みを返して答える。それに安堵したのか、真琴は刀華を腰に携えながら扉の先を見据えた。その先は薄暗く、怪しい闇の道が広がっている。
何処までも、何処までも、何処までも、何処までも、何処までも・・・。
二人はその闇の奥へと歩みを進めていく・・・。
その道には壁に松明が設置されているだけで、それ以外のモノは一切ない。
ただ暗い道なりが奥へと続いてるだけだ・・・。
先程の部屋で鳴り響いていた不気味なBGMももう聴こえない。
何故か脅かし要員のスタッフですら、姿を現さない。
お化け嫌いな人間には出ないのは良い事かもしれないが、何も音もなく、敵もなく、ただただ薄暗い道を進んでいく・・・。
ただ、それだけだ。それだけなのに・・・!
少女と少年の心の中から『恐怖』という感情が消え去る事は一向に無かったのだった。
人という生き物には動物にはない、知性がある。
その為、何かを永続的にしてしまうとある種の『恐怖』が芽生えてしまうものだ。
とある話に人間が穴を掘って、掘り起こした穴を埋めて、また掘り起こす。そしてもう一度掘って、またその穴を埋める。それを何度も掘り返す・・・。
これらの無駄な行動を繰り返すと、人間という生き物は・・・『自殺』をするそうだ・・・。
意味のない無駄な行動をとらされると、人間は簡単に精神に異常をきたし自殺を図る。
真琴達の今の行動はこれらと少し似ている。
二人がお化け屋敷にいるというのもあるのだろう。音楽が無音、不気味な場所で、薄暗い道を、歩き続けている。
何秒?
何分?
何時間?
一体、何分経ったかなんて分からない。
ここにいるだけで何時間も経っているようなそんな感覚が二人を襲う。
ここには時間を確認する術は無い。
アトラクションを最大限に楽しむという事で、荷物は全て受付にて預けてしまっている。だから、二人には何も無い。
そして、突然自分自身の姿がナニモノかに変化させられている。
こんな状況下に脅かされれば、『恐怖』感じない人間など、この世に居はしないだろう。
「ねぇ、まこ君。ちょっと休憩しない?」
「疲れました?」
「ううん、疲れてはいないと思う。まこ君に持って貰ってるから楽だし・・・でも」
「でも?」
「何か、休憩したい気分なの・・・落ち着きたいというか、休みたいというか・・・」
「分かりました。んじゃここで休憩しましょう」
「うん・・・」
刀華のその声はどこか掠れているような気がした。
適当な場所に座る二人・・・。
だが、言葉は出ない。
沈黙が続く・・・。
ここに居るせいなのか。折角、男女二人きりという絶好のシチュエーションの筈なのに、高揚感が全くといっていいほど感じなかった。
「・・・ねぇ、まこ君、私ってこのままなのかな・・・」
この空気を払拭したのは、刀になった刀華だった。
「それは・・・俺からはなんとも・・・。異能による幻術かもしれないですし、解けると思うんですけどね」
「ここを出るまでは解除されないのかな?」
「やっぱり、そうなんじゃないですか?」
「かなぁ・・・でもね」
「でも?」
「どうしても考えちゃうの・・・このままだったらどうしようって・・・このまま変わらなかったら私は一体、どうなるのかなって・・・。お母さんや皆にはどう説明すればいいのかなって・・・」
その弱音は真琴にとって意外な一言だった。
これまで破軍に入学し、刀華と出会ってから一度たりとも聞いたことも無かった刀華の弱音・・・。
破軍学園、生徒会長にして序列一位。
前回七星剣武祭ベスト四。
皆の憧れであり、目標である存在の«雷切»東堂刀華・・・。
そんな彼女が不安を漏らす事だなど一切無かったのだ。
真琴が目にしていなかっただけで、本当はか弱い少女なのかもしれない。でも、それでも、普段から彼女の立ち振舞いからしてそんな様子は一切見当たらなかったのも事実だった。
この特殊な状況で不安が助長された事で、言葉を出してしまったのかもしれない。
しかし、そんな彼女に真琴がしてやれる事はたった一つ。それは・・・。
「不安になる必要なんてありませんよ」
「え?」
「もし、刀華さんがこのままだったら、俺が刀華さんを使いますから」
「まこ、君?」
「刀華がこのままでも刀華さんは刀華さんでしょ?それは変わらないですから。だったら、俺が武器として刀華さんを使用させて頂きます。梁山泊で武器術は一通り習ってますし・・・といっても刀華さんや一輝程じゃないですから、一度と梁山泊に戻って修行のし直しですけど・・・」
「まこ君・・・」
「そうなったら、一度破軍学園は中退になるんですかね?そうなると父さんとの夢は叶えられなくなっちゃいますけど、父さんなら許してくれそうですから」
「ふ、フフッ」
「な、なんですか?俺、変なこと言いました?」
「ううん、まこ君らしいと思っただけ。ありがとね、まこ君!」
「どういたしまして」
「さぁ、行こ!こんな所でぐずぐずしてたら日が暮れちゃうよ!」
「そうですね、急ぎましょう!」
「うん!」
ありがとうね、まこ君・・・。貴方のお陰で今までの不安が一気に消し飛んじゃった・・・。
貴方は自分に関わった人をほっとけない性格の活人拳のお弟子さん。顔はちょっと怖いけどお菓子作りが好きで食べるのも大好きで、武術やあらゆる物事に真っ直ぐな、私の大事なお友達・・・。
まこ君のそういう優しいところ、私は・・・・。
いかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けましたか?
次回の更新日は11月15日~16日の17:00~21:00です。
早めに更新出来る時は活動報告に書かせていだきます。
もし、早めに出す場合は来週の月曜には出せるかと思いますので宜しくお願い致します。
では、ご感想、ご指摘誤字脱字等、お待ちしております。