第四訓練場に先に入場していたのは落第騎士《ワーストワン》だ、背中を押してくれた真琴の言葉を胸に模擬戦へと挑む。これは真琴が会場に入る数分前の事である
「どうだ?黒鉄、準備の方は?」
「バッチリですよ、例えAランク騎士でも敗けられません。僕が立てた誓いの為にも」
「・・・ふっそうかなら大丈夫だな、この模擬戦勝てたら七星剣武祭優勝も夢じゃないな!」
「からかわないで下さいよ。卒業に必要な条件が優勝なら勝ち取るだけです、その為に努力はしてきましたから、真琴と一緒に」
口にするのは簡単だ、黒鉄一輝は魔力量が平均以下で他の能力も軒並最低ランク。このステータスは余りに酷い、伐刀者の道へ進む事は棘の道だ。普通なら伐刀者を辞め一般人となり普通の人生を歩んだ方が一輝の為だ、だが彼はそうしなかった、自分の心の傷を理解し励まし背中を押してくれた唯一無二の親友が、居る!だからここで退く訳にはいかない!
一輝が覚悟を決めた時、ヴァーミリオン皇国の皇女ステラ・ヴァーミリオンが入場して来た。ここに前代未聞の落第騎士黒鉄一輝とAランク騎士ステラ・ヴァーミリオンが揃い模擬戦が始まろうとしていた。
❮ステラ・ヴァーミリオンは天才である❯これが世間の評価だ。ステラはその一言で済ましてしまう事が嫌いだった。ヴァーミリオン皇国でも同じ事が起き、周りの者や対戦相手がそう口々に告げていた。あたかも自分は努力してないみたいな評価だったからだ!そんな自分勝手に他人を評価する人達がステラは嫌いだ。
ステラは何も最初から天才だった訳じゃない、最初は自分の魔力に振り回されるばかりだった。自分自身の魔力で傷付き、怪我を追い周りの者達はその姿を見て何度も伐刀者になる事を必死に止めた。
だがステラは辞めなかった、その強大な魔力をコントロールする為に毎日欠かさず努力し諦めずその結果、Aランクまで登りつめたのだ。
ロングレンジばかりではなく剣術も怠らず鍛練を行い、ステラ・ヴァーミリオンの戦闘スタイルはオールラウンダーへと集約していった。
ステラの固有霊装の名は妃竜の罪剣«レーヴァテイン»
竜の力をもった大剣でありそれから繰り出される、皇室剣技«インペリアルアーツ»は大地をも揺らす力があり日輪の如き剣の軌道を描くステラの剣技。
他にも
摂氏三千度の炎を発する伐刀絶技。
炎をドレスの様に身の周りに展開し攻撃を防ぐ伐刀絶技。
並の伐刀者の攻撃では全く攻撃が効かないなどAランク騎士に相応しい技の数々が揃っている。
「逃げなかったのね、黒鉄一輝!」
「あぁ、勿論。だってAランクと闘えるなんて滅多に無いからね」
「では、これより模擬戦を始める。模擬戦では幻想形態を使用し体力のみを削る戦闘だ、両者準備は良いな?」
「はい!」「大丈夫です!」
「では始め!!!!」
「傅きなさい!妃竜の罪剣«レーヴァテイン»」
「来てくれ!陰鉄!」
両者の固有霊装が展開された。直ぐ様ステラが攻撃し速攻を掛けた!!
「ハァーーーー!!」
ステラが妃竜の罪剣«レーヴァテイン»が降りおろされ一輝はその攻撃を受け流そうと構えるが直撃する寸での瞬間に後方に跳びステラの攻撃をかわした。ステラの一撃で訓練場のコンクリートは砕かれ小さなクレーター出来上がっていた。
「いい判断ね、私の妃竜の息吹(ドラゴンブレス)は摂氏三千度まともに受ければただじゃ済まないわよ!!!」
一輝はそのままステラの攻撃を受けていく、だが只受けるのではなく相手の剣術を【見切りながら】である。そんな二人の伐刀者がつばぜり合いを始めた所で真琴が会場入りし新宮寺黒乃の側まで来た。
「何でアイツ親しげに神宮寺理事長の側に居るんだ!」
「そんな奴ほっとけよ、其より模擬戦だろ?」
「あぁ、やっぱりヴァーミリオン殿下が優勢か、AランクにFランが敵うわけないか」
「そりゃそうだろー!」
野次馬の伐刀者達がステラ・ヴァーミリオンの勝利を確信する中、真琴は違った。逆に黒鉄一輝の勝ちに決まると所感していた所に和服を着こなした一人の女性が姿を現した。
「もうくーちゃんったらこう言う事は言ってくんないとー」
少し寂しいそうに呟く女性は、理事長の黒乃と少し親しげである。
「ありゃくーちゃんの側に居るの、まこっちじゃんおひさー」
「あ、寧々さんご無沙汰しております」
「ん?二人は知り合いだったか?」
「まぁねー昔にちょっとね、話せば長くなるから後でね。それよりまこっちは破軍学園に入学してきたんだね」
「まぁ父の育った母校ですから、俺も学業くらい同じ道を歩みたいんで。ですけどその『まこっち』って渾名止めてもらえません?俺女の子じゃないんですから」
「良いじゃないか『まこっち』可愛いと思うぞ」
「そうだよー私だけしか言わないからさー」
「広まったらどうする責任取るんですか!」
「減るもんじゃないしへーきへーき!」
「・・・はあ」
「おっ、もうじき試合が動き出すかな?」
「そうでしょうね、一輝の見切りがそろそろ終わるはずですから」
その発言直後一旦攻撃が止んだ。二人の方に眼を向けると一輝とステラの動きが止まっていた。
「逃げるのだけは巧いじゃないの」
「いや、ギリギリさ・・・!ステラさんが研き上げてきた剣!感じるよ凄い努力だ!」
「あっ・・・!な、中々眼が良いのね!でも簡単に見切れる程、私の剣は御安くないわよ!!!」
「いや『もう見切った』!!」
ここから一輝の猛攻が始まった!
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模擬戦編は次まで続きます、ケンイチ要素が少なく師匠達の出番はもう少し後ですのでお楽しみに!