なんか、前書きを書くのも久し振りな気がします。が、
この度「マコト」が50話まで到達致しました!!
早い、もう4クール目に突入ですよ。これも皆様のコメントやお気に入り数のお蔭です有難う御座います!
しかも、一年ももう少しで終わるという、凄まじいですね。時というのは・・・。
少し、マコトに話をお戻しますが交流組手編は次々回くらいで終わらせる予定ですので、もうしばらくお付き合い下さい!
組手を終え、兼一と一輝がステージ付近を降り、皆のところへ集合する時だった。
ここで、女性とおぼしき声が会場中に広がる。恐らく二人。
一輝達は聞いたこともない声。
真琴と兼一には聞き馴染みのある声。
「お、来たな」
「え?あ、白浜さんのご家族の・・・?」
珠雫が聞き返すと・・・。
「ああ」
真琴が言った。
その声の主達がステージへ姿を現した。
「兼一さん、お待たせいたしましたわ」
「お父様!真兄!お待たせしました、ですわ!」
どうやら、真琴と兼一の知り合いのようで、一人は金色の髪をしたショートの女性。スタイルはステラにも劣らない、ボン!キュッ!ボン!だ。
もう一人はその髪色は茶髪でストレート、兼一と美羽の髪を混ぜたような髪だった。そして、左目の下辺りにほくろがある。
このことから恐らく、兼一と美羽の子供だろう。
「美羽さん、一翔!」
家族の所へ駆け寄る兼一。
二人は何か荷物を持っているようだ。
「遠くからご苦労様です、美羽さん、それに一翔。元気にしてたか?」
いつもの癖で一翔に手が伸びる真琴。
それを簡単に受け入れる一翔。
真琴の手付きは優しいものだった。ただ愛しい妹と戯れているだけ。
たったそれだけだった。
けど、その二人は嬉々としていた。兼一も、妻である美羽もそうだ。
これが俗に言う仲良し家族というものなのだろう。
一輝はその風景にどこか羨ましいと感じてしまう。
この学園には妹である珠雫がいる。
恋人のステラもいる。
大事な友もいる。
だけど、真の家族は一輝を見てはくれなかった。向き合うことすらせず、ただ家に居させるだけ。
叔父も、叔母も、血の繋がった父親も、痛い思いをして産んだ母でさえ、一輝を無視していた。
世間は好意の反対は敵意や悪意だと提言するが、実際には違う。
実際の反対は無関心なのだ。
人間は嫌いを通り越すと無関心へと変貌を遂げる。
これはある一例の話だ。
もし、仮に子供に対して無関心の親がいたとして、その子供がA君という名前だと呼称する。
そのA君がテストで満点をとってもその親は「ああ、良かったね」これで済ませてしまう。
A君が間違って窓ガラスを割ってしまった。すると、その親は修理業者に頼むだけ。A君にはお咎めなしだ。
A君が運動会で披露するダンスを練習している。忙しい親に見て貰いたくて、家に居るときにそれを見せた。A君が「運動会に絶対来てね!」と言えば「見に行く必要はない。今見たから」と断られる。
A君は親に満点とって凄いね、偉いねと言って欲しかった。
A君は親に窓ガラスを割ったことを叱って欲しかった。
A君は格好良かったぞと褒めて貰いたかった。
でも、親は見向きもせず、叱りもせず、褒めもしなかった。
これが無関心だ。
一輝の実例もこれと同じことだ。
だから、兼一達の団欒を観ていると自分の現状に少しの淋しさを感じてしまう。真琴を羨ましいと思ってしまうのだ。
「ええ、真琴君も元気そうでなによりですわ」
「美羽さんもお元気そうで」
「ええ、けど真琴君が居なくて少しだけ梁山泊が淋しいですけどね」
「アハハ、それは嬉しい限りですよ」
「真兄、ちゃんと鍛練してた?ですわ!」
真兄と呼んでいるのが白浜一翔、兼一と美羽の娘。真琴のいもうとである。実際、血は繋がってはないが二人はきょうだいなのだ。
「勿論だ。一翔もそうだろ?」
「うん!ですわ!」
その表情は子供らしいとても明るい表情だ。そして、特徴のある「ですわ」口調。
これは美羽のしつけによるものだ。
美羽を教育したのは祖父である、〝無敵超人〟風林寺隼人。それを受け継ぎ、美羽も娘である一翔にもお嬢様言葉を教育しているのだ。
「お昼ご飯を作って来ましたから皆さんで食べましょうですわ」
―――――――――
美羽達の自己紹介を早々に済ませ、お昼の用意をしていく。
レジャーシートを会場に敷いて、バックから弁当箱を取り出す美羽。それを真琴や兼一、一輝達が手伝う。
弁当箱は重箱三段を三セット、人数も多いからか少し大きめである。箸は割り箸、人数分渡されるとシートに着席する。
が、黒乃はまだ席へ着いてはいなかった。
「理事長先生、着かないのですか?」
「いや、私は」
「構いませんよ、ね、美羽さん」
「ええ、ご飯は沢山作ってきましたし、それより大勢で食べた方が美味しいですもの」
屈託のないまっ皿な笑顔、それには黒乃も弱い。
「なら、お言葉に甘えさせて頂きます」
その弁当箱の中身は三種のおにぎりやら、定番の唐揚げ、だし巻き玉子、きんぴらごぼう、ポテトサラダなど、多種多様のご馳走がそこには連なっていた。
「どれも旨そうね・・・」
「美羽さんは料理得意だからな。俺の料理の基礎はこの人から教わった」
真琴がいった。
「へぇ、期待しとくわ」
「それでは、「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」」
始まりの挨拶を済ませると、割り箸で各々好きな物に手を出していく。それを口に運び、味わった。
先程、美羽が口にした言葉もあったのか、食べたご飯は異様に美味しく感じてしまう。以前、真琴の部屋で食べた料理以上の美味だった。どんどん食べ進む。その手は止まることはない。バクバク、バクバク、口へ運ぶ。瞬く間に、重箱のご飯は消えてしまった。
「はぁ、食べた食べた」
「真琴さんが言っていた通り、料理上手でしたね」
そう、珠雫がいうと・・・。
「そうね、今まで食べた日本料理の中で一番だったわ」
それに、ステラも便乗した。
「お口に合って私も嬉しいですわ」
「理事長、ここの時間は大丈夫なんですか?」
「その辺は気にするな。この第四訓練場の使用者はお前達だけだ」
皆が食事を終え寛ぎ、世間話をしていると、おもむろに一輝の口が開いた。
「あの兼一さん」
「ん?なんだい?一輝君」
「対戦後に言っていたのは・・・」
「僕と一輝君が似ているってやつかい?」
一輝が頷く。
「これは、なんとなくなんだけど・・・。一輝君を見ているとねどうしても昔の自分を重ねてしまうんだよ」
憧れの人物からの言葉に嬉しさを感じざるを得ない一輝。だが同時に何故そう思ったのかと疑問も浮かんでくる。
「昔の自分を、ですか?」
「うん」
「そうですわね、貴方の雰囲気が昔の兼一さんと似ていますわ」
「雰囲気・・・」
「瞳に秘めた光、佇まい、優しそうな声音とか、滲み出るお人好しのオーラとかですわね」
美羽のフォローに何処か心が躍ってしまう一輝。
憧れの人物との共通点、その事実をグッと噛みしめた。
「あともう一つ、言ってましたよね。あの人とは?一体?」
その質問に少し兼一の反応が遅れる。だがそれは一瞬。直ぐ様、元の兼一に戻っていく。
「・・・気になるかい?」
「少しだけ」
その瞳は真っ直ぐ兼一の目を見つめている。
「良いよ、君になら話してあげよう。真琴、ちょっと一翔の面倒をお願い出来るかな?」
「・・・分かりました。一翔、あっちで俺と稽古でもしようか」
「?、うん!」
何か察したのか、真琴は側にいた一翔を連れてシートから離れていってしまう。
「この話は一翔にはまだ早いからね」
優しげな表情をしていた兼一がフッと消え失せた。一輝達にはどんな事かは分からない。だが、一つ言えることは重い、とても重い話というのだけは理解出来た。
それはとある武術家の話。
その人物の名は『田中勤』。
天地無真流古武術の正統後継者ということ〝だった〟。
その正統後継者の彼こと『田中勤』と『白浜兼一』はとある場所で出会い、意外な所で運命的な再会を果たしていた。
とある買い物の為、銀行に立ち寄った時の事だ。そこで銀行強盗に襲われ、たまたま居合わせた田中と兼一、美羽がその強盗犯を撃退。それから梁山泊に立ち寄り、今日のような交流組手を行っていたのだそうだ。
それからというもの度々、梁山泊に訪れていたそうだ。
「天地無真流、聞いたことないわね・・・」
「お兄様、ご存知でしたか?」
「僕も人伝でしか聞いたことだけしかないよ」
「天地無心流・・・確か噂では異質な技が多く、修得するのは困難だと耳にしたことはありますが・・・」
横で聞いていた黒乃がそう補足した。
「よく、ご存知ですね」
「あくまで噂で聞いたことがあるだけですから、多くは知りません」
「その天地無心流に何があったのよ」
ステラが返事を促す。
「ステラさん!」
「だって、早く知りたいじゃない」
「だってじゃないです、脳筋じゃじゃ馬姫は黙ってて下さい」
「何ですってぇ!」
「ケンカしないの、話せるのも話さないわ」
アリスがいつものように二人の喧嘩を止める。
それを確認すると、兼一がまた話し出した。
「その正統後継者、田中勤さんは僕の・・・憧れの人物だった。一輝君が僕に抱いてるのと同じ様にね」
その口をゆっくりと開けていく。
「田中勤さんは僕の鏡写しのような人物だった。同じ様に道場で武術を学び、同じ様に道場主の娘さんと恋をして、とても心優しい人だった」
一個一個、丁寧に・・・。噛みしめるように・・・。
「田中さんは・・・武の道の途中でその命を散らしたんだ・・・」
その紛れもない事実に、全員の時は止まった。
「・・・え?」「散らしたって・・・」「まさか・・・」
「うん。もう田中さんはこの世にはいない」
あまりにも衝撃的な真実。一輝達は動揺せざるを得なかった。
「・・・すみません、僕は何てことを」
自分のしてしまったことに項垂れてしまう、一輝。
「貴方が落ち込む必要はありませんわ・・・」
「でも、兼一さんは・・・」
「もう、過去の事だからね。僕達は神じゃない、一人の人間だ。散った命は蘇らない、それが摂理さ」
「武の世界ってことは誰かに?」
その一輝の質問に兼一は黙って頷いた。
「・・・一体、誰よ!そんな酷い事したやつは!」
「それは・・・「お父様ーー!」」
と、兼一が言葉を放つ前に一翔が駆け寄ってくる。ベストタイミングともいうべき時に、一翔が兼一達の元へ到着する。その一翔によってその真実は闇の中へ隠された。
「一翔・・・」
「聞いて、聞いて、お父様!わたくし、真兄の制空圏が見えましたわ!」
「お、そうか。偉いな、流石僕の娘だ」
優しい手つきで一翔の頭を撫でる兼一。その行為に思わず、笑顔がこぼれる。
「真琴・・・」
「ベストタイミングだったろ?」
といいながら真琴が現れた。
自然とシートから真琴の方へ移動していく、一輝達。
「ベストタイミングじゃないわよ、結局分からずじまいじゃない」
「いや、それで良いんだよ」
黒乃が口を挟んだ。
「理事長先生?」
「近衛は既に白浜さんと梁山泊の皆さんのお陰でなんとかなってはいるが、お前達となると話は別だ」
「何でマコトが良くて、私達は駄目なんですか?」
「武の世界はお前達が思っている以上に危険なんだ。おいそれと知っていいものじゃない。別に知らなくても良いこともある、さっきの続きはそれだ」
「でも気になるじゃないですか!」
「その気持ちは痛いほど分かるが・・・」
「マコトはさっきの話、知ってるのよね?」
その問いに真琴は、頷きで返した。
「僕達だって、一人の伐刀者です。覚悟は出来ています。理事長、話しては貰えませんか?」
「・・・はぁ、仕方ない。言っても聞きそうにないな。私もその事情に詳しい訳じゃない、期待はするな」
「はい」「出来ます!」「大丈夫です」「ええ」
「この話は他言無用だぞ?それを了承してくれ」
「分かった」
「・・・なら話そう。〝闇〟について」
―――――――――
闇。
殺人を旨とする危険集団、❮闇❯。活人を旨とする❮梁山泊❯とは対極に位置する存在。
またの名をロプスキュリテ。
武器組と無手組に分けられ、伐刀者テロ集団で知られる解放軍と同じ裏社会に生きる者達のこと。
そこでの武術の伝承には真剣、死合いで行われ、敗北した者には必ず死が待っているという通常では考えられない非常な現実が待っていた。
理事長が言うには、兼一さんの話に出た田中勤さんは、その集団の誰かに殺されたのではないかと話してくれた。だけど、多くは話してはくれなかった。聞いても、今はまだ話せない、と断られてしまったのだ。
けど、〝今は〟だ。
「そ、そんな集団がいるなんて・・・」
「信じられないけど、事実なのよね?」
「あぁ、そうだ」
真琴は淡々と肯定する。
「真琴さんって子供頃から梁山泊に居たんですよね?」
「ん?あぁ」
「真琴さんが強い理由って昔からその人達と戦っていたから?」
「そうだ。俺は師匠と共に世界を回り世直しをしてきた。そこで多くの強敵、闇、解放軍、様々な武術家、伐刀者をこの拳で打ち倒してきた。ここで行われる仕合は俺にとっちゃ日常みたいなもんなんだ」
「マコトが仕合で妙に落ち着いていたのは既に実戦を経験しているから、だったのね。それも命のやり取りをするその世界で何度も戦っていたから」
「まぁな。師匠の娘もそうだぞ」
「あんな小さい子が?」
「あぁ」
白浜一翔、この娘も梁山泊の一員。その一端を担っているのだ。
「ちょっと待って、あの子さっき制空圏って言ってたよね?てことは真琴、その子は既に?」
「まだ、お前と同じ緊湊じゃない。間近ではあるがな」
いかがでしたか?
次回の更新予定日は来年の予定です!年末は色々忙しいので・・・・。
詳しい日時は活動報告か、この後書きにて書かせて貰います!
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追記、次回は1月5日~6日の17時00分~21時00分の間とさせて頂きます!今年も宜しくお願い致します。