二週間以上お待たせしてすみません!!!
漸く仕上がりました!!
季節も夏に近づいてきたからか、辺りの気温が徐々に高くなってきた気がする今日この頃。
俺は今朝のトレーニングを早々に済ませ、仕合会場へ向かう。トレーニングつっても、イメージトレーニングだ。これからのシミュレーション、プランを自分の中で組み立てていく。
しかし、最後の最後で、強敵にぶち当たるとはな。
まぁ、これまで温かったし、最後の仕合としては申し分ないか。
時刻は進み、仕合時間までもう少しと迫っていた。ステラや他の伐刀者の仕合は既に始まろうとしている。
俺の仕合は一輝の直前。同じ会場で行われる。ステラやアリスの仕合は観れそうにないか。会場、別だしな。ま、二人なら問題ないだろ。
少し、空気でも吸ってくるか。
控え室を後にし、外へと向かう。
行くのは近くのバルコニーだ。
いつもならこういう場所には行かないんだが、今日ばっかりはな。
学園の人間達も続々と仕合会場へ入っていく。
仕合時間が近いからか、俺に寄ってくる生徒は少ない。会場へ赴き、席を確保しに行ってるのだろう。
そうこうしてる内に、目的地のバルコニーへ到着した。
と、俺以外に誰かいるな。
あの後ろ姿は・・・。
「よっ」
俺はそいつの肩を軽く叩いた。
「あ、真琴」
そいつは元ルームメイトの一輝だった。
「何してんだよ、こんなところで」
「空気を吸いにね」
「なんだ、一輝もか」
「てことは、真琴も?」
「ああ」
奇しくも、同じ目的だった。
「まさか、カナタさんが相手だとはな」
「対戦したことはないのかい?」
「あるにはあるが・・・。ガッツリやってたわけじゃない。殆どの仕合時間を刀華さんに取られてたからな」
刀華がいつも負けたらもう一戦、もう一戦ってな感じで繰り返し戦うせいなんだよな。
ま、悔しいから何度も挑んじまう俺も、か。
「東堂さんか・・・」
今日はえらく思い詰めた表情してんなぁ、一輝。
「自分で望んだくせに、そんな表情すんのな」
「うぐっ」
「刀華さんは強えぇぞ」
「そんな事は痛いほど分かってるさ。自分が相手より数段劣ってることも」
一輝は言葉を続けた。
「真琴や東堂さんのように守るべきモノがある。兼一さんも大切な家族がいる。けど僕には・・・」
中々人には見せない弱音だった。
俺はその一輝の言葉を黙って聞いていた。
なぁに、言ってんだ。
お前が居たから、俺は退屈せず学園生活を送れた。いや、これからも送れるの間違いだな。
いいか、一輝。
お前の道は、一輝の英雄譚は、これからなんだ。
未来永劫、後世に語られるんだ。
一人の男として。
一人の伐刀者として。
一人の剣術家として。
だから、自信を持て!
俺が太鼓判を押してやる!
「俺は悲しいぜ。そんな弱気でどうする!お前に守るべきモノがない?それは嘘だ」
「え?」
真琴が僕の肩をがっしりと掴む。
「いいか?お前の側には誰がいる?」
あっ・・・。
「一輝の周りには誰がいるよ?一輝の事が、一輝が大事な、大切な存在だから、お前に人が集まって来たんだろ!?お前がここに居る人間に影響を与えたんだ!お前が人を変えたんだ!これは誰にも出来る訳じゃない。昔の何も出来ない一輝じゃ成し得ないことを、今のお前はやってのけたんだ!そうだろ?」
そうだ。
昔の僕じゃない。
僕が僕自身を諦めないと誓ったんだ。
偉大なあの人に追い付く為に!
自分の夢を叶える為に!
「そうだね。忘れるところだった。有難う、真琴」
「もう、言葉は要らないな?」
「ああ。雑念は捨てる。僕は全身全霊を懸けて東堂さんと戦いたい!
僕は・・・あの誇り高い騎士に勝ちたいだけなんだ!」
やっと、一輝らしい目に戻ったな。
全く、手間かけさせる親友だぜ。
「それじゃ、時間も時間だ。行こうぜ?」
「ああ、これが、最後の戦いだ!」
◇◆◇◆◇
俺達は各々の控え室に戻った。
もう間もなく、仕合のゴングが轟く。
最後の仕上げ。
瞑想だ。
仕合前に必ず行うようにしている。
最も、空手家だった母が現役時代必ずやってて、それを真似してるだけなんだが。ま、所謂、ルーティーンって奴だ。
俺、静の気を有してるし。結構、相性は良い。
さて、アナウンスも鳴ったことだし行くか!
すると、控え室のドアが開きそこには刀華の姿が現れた。
運命なのか、はたまた偶然なのか、刀華と俺は同じ控え室に指定されていた。
「刀華」
「まこ君・・・いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる!」
たったそれだけを交わし、俺は会場へと歩を進めた。
会場中が熱気の渦に飲み込まれている。
学園の生徒がこの仕合を、楽しみで、楽しみで仕方無いのだ。
会場の席は満杯。
学園の生徒達で埋め尽くされていた。
その会場へ向かう、一つの集団があった。そして、傍らには黒乃理事長の姿もある。
「まさか、梁山泊全員が出動とは、いやはや驚きましたよ」
「可愛い弟子の仕合ですからね、観ないわけにはいかないですよ」
言葉を交わしているのは、真琴の師匠である白浜兼一と黒乃理事長だった。
その後ろに妻の美羽、風林寺隼人、岬越寺秋雨、梁山泊のそうそうたる面子が揃っている。
「でも、僕達がご一緒しても良いんですか?関係者席なのでしょう?」
「構いませんよ。他の席は生徒達で埋まってしまってますし、空いてるのはここだけですから」
「今回はご厚意に甘えておきましょう」
「そうですね。黒乃理事長、有難うございます」
「いえいえ」
黒乃に案内され、会場入りする梁山泊。
入った瞬間、周囲の生徒達の目が此方へ向いた。
「おい、見ろよ、あの一団」「誰の関係者だ?にしてもでけぇ爺さんだな」「一緒にいる女性達もやべぇぞ。美人過ぎるだろ」「終わったら声掛けてみようかな」「やめとけ、傷顔の男もいることだし。殺されるぞきっと」
と、周囲は梁山泊で持ちきりだ。
それに構わず、席へと着く梁山泊の面々。
すると、着く前に一人の老人と浴衣を着込んだ一人の女性の姿も見受けられた。
「この気は隼人、お主か」
背は小さく、頭が綺麗に禿げている老人。この人物こそ、刀華と寧々の師であり、風林寺隼人の戦友、南郷寅次郎その人である。
無敵超人との逸話は、また別の機会とさせていただく。なぜこの老人がここに来ているかというと、弟子である刀華の応援だ。
「おお、先日ぶりじゃのう、寅次郎。そこにおるのは寧々君のようじゃな」
「あ!風林寺のじっちゃん!なんでここに!?」
「弟子の応援じゃよ」
「弟子?ああ、まこっちか」
「その下駄・・・。若い頃の寅次郎にそっくりじゃのう」
無敵超人の言葉に頬が膨れながら反発する。
「ちちちちち、違いますぅ!下駄を吐いてると便秘が良くなるってテレビでやってたんですぅ~!」
「良い弟子を持ったの、寅次郎」
「それはお互い様じゃて」
南郷の目は兼一へ向けられる。
「あの小僧が一番弟子なんじゃろ?」
美羽や黒乃と世間話をしている兼一を見ての言葉だった。
「ああ、そうじゃ。我らの初めての弟子じゃ」
一言一言、重く発する梁山泊の長老。
それには皆の思いが込められてるような、そんな気がした。
「可愛い女の子がいっぱいいるねぇ」
帽子を被った髭男が手をワキワキしなが言葉を溢している。
「剣星、捕まる、ぞ」
「そんなことシナイネ!」
そんなことを言いながら、その目は泳いでいる。
「どうだかなぁ。身内が警察のお世話になるなんて、俺ぁ嫌だぜ?」
「大丈夫よ!アパチャイ達が止めるよ」
「そうだねぇ。そんな事にならないよう勤めねばね」
梁山泊面々が盛り上がってる場所から、少し離れてるところに黒服に身を包んだちょび髭の男が座っていた。
(何だ!?あの軍団は!?無敵超人とか聞こえたが、まさか、あの梁山泊なのか!?!?何故、伐刀者でもない彼奴らがここに!?私は落ちこぼれの負ける様を見に来ただけだというのに!これでは生きた心地がせんではないか!!)
困惑しながら、様子を伺っている。
赤座が一人で右往左往しているとこで、会場内に仕合を宣言するアナウンスが轟く。
「皆様!長らくお待たせ致しました!この会場での一仕合目、漸くの開始となります!今回は異例のテレビ中継も御座います。ですがこの月夜見半月、ヘリにも負けず皆様を盛り上げさせて頂きます!!では、入場していただきましょう、西ゲートから❮
止まぬ歓声と共に、スタスタと会場入りを果たすカナタ。
優雅な振る舞いで数多の生徒を魅了し続けている。
「対するは、破軍学園では異端。無手の武術を使用し、ほぼ仕合の全てを気当たりで制した武人!近衛真琴選手の入場だァ!!その異質な技から、❮皇帝の拳❯の二つ名を名付けられました!もう❮落第の拳❯とは言わせない!ここまで勝ち上がってきたその力、見せてもらいましょう!」
「相変わらず、熱い実況だな」
そうぼやきながら、ステージへ足を進める。
真琴の目にはカナタしか写っていない。目の前の武人しか止められるものは居ないのだ。
「あ、マコトが来たよーー!」
「遂に我らの弟子の出番ね」
「真琴の野郎、相当仕上がってるな」
「そうだ、な。だが、対戦相手も、中々だ」
「若者はこうでないとのぅ」
「ふっ、皇帝の拳ねぇ。やはり若者は凝った名前を名付けるんだねぇ~」
染々と秋雨が語る。
「ふふっ、懐かしいですね。あの
「昔は私達もやんちゃしましたですわね」
「そうですね。美羽さん」
お互いの思い出を共有しながら、弟子を見つめる兼一。
「ほう、真琴君の相手、かなりやるようだね」
「あの目、死線を潜り抜けた者の目だ。若いのに大したもんだ」
「相手がどんな強敵でも、僕は信じています。あの子は、僕の弟子は必ずやり遂げますよ」
「そうだね。我らは弟子を信じて待つ。それが師匠である私達の勤めだね」
「兼ちゃんも師匠らしくなってきなね!」
生まれて初めての可愛い弟子。弟子を信じ、その成長を見届けることこそが、師匠である兼一の勤めなのだ。
「ようやく、貴方と戦えるのですわね」
自身のレイピア型の固有霊装を展開させ、構えるカナタ。
「いつもは時間切れだったり、予定が合わなかったりでまともに戦えませんでしたからね」
「ええ。貴方の強さがどれ程のものか、この身で味わうのが楽しみでしたのよ?」
「それは、俺も同じですよ。今日は師匠達も来てるのでね、負けるつもりはありません!!」
真琴が決意を新たに自身の固有霊装の名を叫ぶ。
空手の前羽の構えから玉鋼が、手、すねに形成され、やがて、手甲、すね当てへと変化した。
「貴方には気当たりは通じない。師から授かった俺の拳で貴方を打ち砕く!」
「ならば、私の刃で以て、その全てを切り刻みます!」
「Let's Go Ahead」
両者の決意と同時に、機械音声が仕合のゴングが鳴り響く。
会場中の生徒達は開始と同時に戦いが始まると踏んでいたのだろう。
しかし、両者は一向に動かない。
出方を伺っているのだ。
隙を見せたら一瞬にしてやられるのだ。
(見の目を弱く、観の目を強く!)
相手を見据え、制空圏を展開させる。と、同時に相手の制空圏をも把握する。
でけぇな。
流石、第二位。
俺の目には数メートル程の制空圏が写っている。武器の制空圏と無手の制空圏とじゃ、広さは倍ぐらい違う。
ロングレンジの範囲も合わせると更に広がる。
これが伐刀者特有の制空圏だ。
両者が拮抗している中、戦いの火蓋を切ったのはカナタの方だった。
「❮星屑の剣❯!」
「おおっと!先に動いたのは貴徳原選手だァ!自身の伐刀絶技❮星屑の剣❯を放ったようです!私達には何も見えません!」
カナタの伐刀絶技、星屑の剣。
これは自身の武器、フランチェスカを細かく砕き、ダスト状にしたもの。相手の目に視認することは出来ない。それほどのものなのだ。
目に見えないものを受ける、避けるというのは武術家でも至難の技だ。
どう?返すか?
へっ!決まってるよな。
あれしかねぇっての!!
「・・・❮流水制空圏❯」
スゥー……。
真琴の体が一瞬、透けた。
その実状に会場中がどよめいた。
人間の体が透けて見えた。いや、透けたのだ!
星屑の剣は無惨にも真琴の体を通り抜けてしまった。
(私の星屑の剣を完璧に躱した!?)
「貴方には本気にならざるを得ません。ですから切り札を使わせて頂きます!」
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