短編とボツその他   作:(^q^)!

10 / 13
ゼロエネルギー(ボツかもしれない)

「虚数ってあるじゃん」

 

 昼休みのことだ。小学校の図書館は街にあるそれと比べれば蔵書数も少なければ状態もさしていいものとは言えないのだが、教室の備品の本よりはよっぽど種類がある上に休み時間特有の騒がしさとは無縁なのでありがたい。俺もスポーツは好きではあるのだが教室で丸めたプリントを使った野球なんてのはやりたくなかった。

 

「ああ、二乗すると負の数になる数字だろう? それがどうかしたのかい?」

 

 俺の左隣からそういうのは天才。こいつは先生とか親に天才天才とよく言われている奴だ。

 

「たとえば虚数は現実に数字として存在することは不可能だろう」

 

 そういうとコクリと天才は頷いた。窓のから差し込む日差しは若干肌寒い気温を感じさせない程度に暖かい日差しを供給してくれる。

 

「それはそうだね。でも記号として定義した以上数式に組み込めて、それを使うことでできることが増えるわけだから現実に存在するとも言えるかもしれないね」

 

「ああ。つまりは記号として定義されたものはありえないようなものでも存在するってことになると思わないか?」

 

 俺がそう言うと天才はぶつぶつと何かを呟きながら考え込んでしまった。こうなるとこちらの話を聞かなくなる恐れがある。一応まだこちらの話を聞いているうちに話を続けてしまおう。

 

「でさ、0って数字の話になるんだけど、こいつを除算することはできないじゃん? なんでかっていうと、0/1=χだとχ*0=1になって0を乗算してるのに0以外の数字が出てきちゃうから。

もっというと、χ*1=0ならχ=0なんだけどこうすると0*0=1になっちゃうからゼロを割ることはできないって話」

 

 天才はふんふんと頷きながら聞いている。

 

「つまりはこのχって数字は存在しないわけなんだけど、それって虚数と似てるじゃん? ってことはゼロを乗算するとゼロ以外になる数字の記号として定義したっていいかもしれないよね」

 

「うーん、そうかもしれないけど、それはどんな数式で使えるんだい?」

 

 天才のその返しは予想していた。ただ、正直俺はそんなの全く思いつかない。なので適当に返そうと決めていたのだ。

 

「今じゃあ使えないかもしれないけれど、未来ではそれが必要になるのかもしれないね。人類がそれを使う段階に来てないだけなのかもしれないよ。虚数だって定義した当時は誰にも必要と思われなかったし」

 

 恰好つけて適当に言った気恥ずかしさからさっさと席を立って教室に戻った俺は天才の顔を一瞥もせずにいた。天才は、その優秀な頭脳をいかんなく発揮させて何かを考えていた様子だった。

 

 

 

 子供の頃の自分ほどに修正したいものというのは早々ないだろう。幼さ、無知からくる行動はそれらを乗り越えた時に振り返るには残酷なまでに羞恥がある。

 

 子供の頃、小学生の俺は雑学にハマっていた。無駄知識をひたすらに収集し、それらを反芻し、蓄えた。無駄な知識の収集の最中にいくつもの本を読むようになりそれらが与えた教養は若い俺にとっては毒のようにしみこみ、自分の行動のあらゆるものはなんというかイタいモノになってしまっていたのだ。

 

 そのイタさのベクトルはもしかすれば周囲にはバレていなかったのかもしれないが、自分だけは明確に覚えている。あの頃の自分はどう考えてもイタかった。脳のどこかがところてんか何かになってしまったのではと思うほどにその行動は変であった。いくつもの変のうちの一つが雑学の披露である。

 

「なあ、数字のゼロとレイの違いって知ってるか?」

 

 こんな風に俺は言うのだ。お前その知識って調べりゃ出てくることだし受け売りなのになんでそんなに偉そうに語ってんの? 今の俺であればそう思うのだが、かつての俺はとある一人の友人に対してこうして雑学をひけらかすことが日課であった。

 

「うん? どちらも数の概念で無を意味するんじゃないの?」

 

 答えたそいつは天才と学校の先生には言われていた。当時の俺は頭の良さという部分での評価に飢えていたのだ。小学校のテストなんて高得点で当たり前だというのにそのテストで満点をとることが頭の良さであると俺は信じて疑っていなかった。

 

 天才は国語だとか社会科などの文系科目がめっぽう苦手だったのだ。俺は文系のほうが得意ではあるが算数なども間違えることはまずないという程度の学力があった。テストの点数で頭の良し悪しが決まると考えていた昔の俺は当然、文系科目の得点の低い天才と比べれば俺のが天才じゃないかというようなことを心の中で思っていた。そんな天才に雑学を教授することはその理論の補強になり、余計に俺は天才相手に得意げになっていくのだ。

 

「ところが、ゼロっていうのは何にも無いっていう意味での0で、レイっていうのはとてつもなく少ないほぼ0っていう意味なんだ」

 

「へー、知らなかったよ」

 

 天才は俺に話をいつも目を輝かせて聞いてきてくれていた。あの態度の裏でなんだこいつめんどくせえとか思われていたとしたらどうしようと想像してしまう。まあ天才の真意を知る前に俺は転校してしまったので奴が何を思っていたのかも知ることはできない。転校した先では誰に雑学をひけらかすこともなく過ごしているうちに自分の行動を振り返り、これは恥ずかしいことをしていたのではないだろうかと気が付くことができた。




ボツ理由

クソ適当数学なのでガバガバな感じのまま主人公がもう一人のヒロインにガバガバ数学理論を教えようと考えていたが俺のINTとEDUが足らなくてこれ以外のガバ数学理論が思いつかなかった。


プロット

ヒロインは二人の予定
一人は小学生のころにさんざん無駄知識を披露した天才
もう一人は中学生のころにさんざん無駄知識を披露した天才

彼女たちが主人公が言ったガバ理論を実現してしまって世界が超絶便利になった
しかしそれは技術のブレイクスルーすぎたから未来からなんかてきがやってきてなんやかんや
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。