誤解を受けることを承知で言うが、俺は転生者だ。小学六年の秋にしてようやく気が付いたのだが、むしろ俺でなければ気づくことができたかどうかも怪しい。
もちろん、こんなことをリアルに言い出したら白い目で見られることは必至なので言うことはない。時代は二十一世紀。神の子とか言って宗教起こせる時代じゃないのだ。とはいえ、今このままでは俺だってそこらへんのほら吹きと大差ない。
イエスが復活したように、俺も何かの神秘の証が必要だろう。転生者と認められるほどの何か。俺はそれを持っている。
特殊能力といえばいいのだろうか。異能といってもいい。サイキック的な魔法パワーが俺には備わっているのだ。しかも頭もよくて容姿もいい上に性格なんて神だ。こんなパーフェクトな存在が転生者でなくてなんだというのだ。生憎、神様とかいうランプの魔人に出会ったことはないのだが、十中八九俺は転生者だろう。多分転生の時に記憶が消えただのなんだのとかいうパターンに違いない。
「フハハハハ! また一つ真実を明かしてしまったーぁ! 俺とは何て罪な存在なんだ! 知恵の木の実を種まで食ってしまったに違いない! アーッハッハッハ!」
「まただよ」
俺が凄すぎる世の不条理を俺以外のやつの代理で嘆いていると、横でとやかく言う声が聞こえた。
額に手を当ててやれやれといった様子でこちらを見るこいつは隣の家に住む幼馴染とかいうこれまた転生者のそばに居がちな存在だ。名前は
まあこの程度では俺が転生者であることは揺るぎない。なぜなら転生者っぽいとてつもなく大きな要素として俺は超能力が使えるからだ。
その能力の一つとして、未来予知がある。
「ちょっと待て」
「何?」
そう言って、足を止めて振り返った大沢の進行方向にペチャりと落ちるものがあった。鳥の糞だ。俺が声をかけなかったら見事大沢に直撃しただろう鳥の糞を、俺の超能力で回避させてやった。即ち大沢が鳥の糞にぶち当たって半泣きで一回家に帰るという未来を消失させ、用がないなら声をかけるなと怒って先に学校に行ってしまう未来を作り出したのだ。
世界を作り、また、世界を滅ぼしてしまえるこの能力。俺でなければこうもうまく使いこなすことはできなかっただろう。
そんな偉大な俺の行いを知覚できない大沢は割といつも通りに先に学校に行ってしまった。鳥の糞に気づく様子はない。まあ地面に落ちた音とかも車の音とかで掻き消えていたし、地面に落ちてる鳥の糞とか気づくわけない。
転生者であれば気が付けたのかもしれないことを思うと、やはりこいつは転生者である俺の幼馴染キャラといったところだろうか。大沢がコンピューターでないことは承知で言わせてもらえば、NPCとかいうやつだろう。
PCがそもそも俺だけなんじゃないかとか、転生者同士って割といがみ合うしいいことなんじゃないかとも思うが、まあ彼女が鳥の糞にあたんなくってよかったねとでも言っておこう。やはり転生者である俺は孤独が似合う……なんて言ってると遅刻してしまう。ランドセルが跳ね回らなようにしっかり押さえてから、俺は学校へと走り始めた。
私は転生者だ。前世の記憶がある以上それは事実であり、不変だ。そのことに悩んだこともある。私が今の体の本来の持ち主の精神を上書きしちゃったんじゃないかとか、実は憑依とかそんな感じで乗っ取ってるんじゃないかとか。
小学六年の秋になったって答えはいつまでも出ない。出るはずがない。答えの無い問いなのだから。
いつも通り憂鬱になりながら歩いていると、これまたいつも通りうるさいやつが来た。
満面のドヤ顔で大股に大きく手を振りながら私のところまできたこいつの名前は中山。私の幼馴染で、アホだ。いつも唐突に意味不明なことをやらかしたりのたまったりする変な奴だ。三つ子の魂百までというが、こいつは赤ん坊のころからドヤ顔だったのでたぶん不老不死になったとしても変わらんだろうという嘆きがある。
そんな迷惑な存在となぜ幼馴染なんて言う関係に甘んじているかといえば、私が転生者故の精神成熟度合いで中山の面倒を幼少期からずっと見続けていたからに他ならない。私がちょっと休もうとしても、中山はどこからか私を見つけ出して一緒に行動を余儀なくされる。なんて迷惑なやつなんだ、中山。
「ちょっと待て」
中山が私に声をかける。割とよくある真面目な顔になるときの声だ。中山は見た目はかなり良いので、黙って止まっていれば本当に絵になるのだが、いかんせん動き出したらドヤ顔だしアホだしでホントもう素材を無駄にしている。
「何?」
そうして振り返ると、やはりいつも通り特に何か用事があるようではなかった。こいつの行動が意味不明なのは割とよくあるのでこういう時はしつけの意味も込めて怒って先に学校に行ってしまう。ということにしている。本当に怒っているわけではないが、私の演技はかなり巧妙なのでアホなこいつは騙されるだろう。そして、それで反省してくれればと思うのだが、どうにもそういった兆候は全くない。学習能力ないんじゃないのか? まあ昔から変わらないのでそろそろこの作戦もやめようかと検討中だ。
まあやめるのはいつだっていいだろう。そんな風に考えてさっさと学校に向かった。
ボツ理由
そもそも俺自身これをいつ書いていたのか思い出せない
プロット
男のほうは能力者であって転生者ではない
女のほうは転生者であって能力者ではない
そんな二人のストーリー
だったような気がする