うまくかけてるかなぁ。
蓮はあの束の何も言わせない様な目に逆らうことができず無影を展開しすぐさまIS学園の上空に移動した。
ラウラはVTシステムによって、過去のヴァルキリー、織斑千冬がISを纏った姿に変化し、雪片を構えて、その場に静かに佇んでいた。
蓮が一夏に目を向けると雪片弍型を握りしめ、中段に構えていた。
刹那、変化したISが一夏にむかう。
雪片を中腰に引いて構え、必中の間合いから放たれる必殺の一閃。
「ぐうっ!」
その一閃によって、一夏の雪片弐型が弾かれる。
そのまま上段の構えに移り、縦一直線、落とす様に鋭い斬撃が一夏に襲いかかる。
しかし一夏はかろうじて後方回避に成功する。
だが、すでにシールドエネルギーが底をついていた白式は光とともに消えた。
一夏の左腕からは軽く刃に触れてしまったため、じわりと血がにじんでいた。
これであいつはもう何もできないだろう、と蓮が思っていた矢先、一夏はとんでもない行動に出た。
「うおおおおっ!!!」
一夏はあろうことか握りしめた拳を武器にISへと突っ込んで行った。
しかし一夏の背後にいた箒がそんなことをさせるはずもなく一夏は止められる。
「馬鹿者! 何をしている! 死ぬ気か!?」
「離せ! あいつ、ふざけやがって! ぶっ飛ばしてやる!」
「おいおい、現実を見ろよ織斑」
「「!?」」
蓮は余りの一夏の無謀さに呆れ近づく。
一夏は驚いた様に目を見開き、箒に至ってはクラス対抗戦の時の恐怖からか小さく震えていた。
そんな箒を見て蓮は、少し複雑な気分になるが今は一夏である。
「織斑、お前エネルギーもなくなってISが使えない状態でどうやってあれに太刀打ちする気だ?」
「何しに来やがった! 箒をあんな目に合わせやがって!!」
一夏は怒りの矛先をISから蓮に変えて、殴りかかって行く。
しかしISを装備している蓮と生身の一夏では、どちらが勝つかなど火を見るよりも明らかだ。
「ぐあっ!?」
案の定、一夏は蓮の重力掌握によって地面に押し付けられる。
そんな一夏を可哀想な目で見ていると--
「やはり来たか。だがそこまでにしておけ、お前にはやることがあるのだろう?」
いつもの様に事件が起きて何かあってから出てくる織斑千冬の登場だ。
「まあ、あの人に行って来いと笑顔で言われましたからね…。しかし織斑先生、あなたはもう少し早く出て来たらどうです? このままではあなたのせいで無益な被害が出るだけですよ?」
「……ああ。だがそれよりもお前は早くあいつに頼まれたことをした方がいいんじゃないのか?」
「……何だか、話を逸らされた気がしてなりませんが…まあいいでしょう。では、いかせてもらいますよ」
そう言った蓮はVTシステムによって変化したISへとむかう。
やはり、自分を攻撃しようとする相手にのみ反応するらしく、少し近づいただけでは向きをこちらに変えるだけだった。
しかし蓮は何も無理して近づく必要はない、蓮には重力掌握がありこの学園全体は無理でもここだけなら完全に射程内である。
その為蓮は攻撃を悟られぬ様に、予備動作なしで、重力掌握を発動した。
ドオォォォォン!!
敵ISは地面にねじ伏せられる。
何とか起き上がろうと必死に上体を起こそうとするが全く動けない。
「す、すごい」
「何なんだ、この力の差は…」
一夏と箒は圧倒的な力の差に先日、襲撃を受けたのにもかかわらず、感嘆の声をあげた。
蓮はゆっくりとねじ伏せられているISに近づき重力掌握によって作ったブラックホールを己の右腕に纏い、指先で空を切る様にISの腹の辺りを斬った。
すると中からは眼帯が外れた状態のラウラが倒れる様に出てきた。
そんなラウラを蓮は受け止め言う
「お前にこんなものは必要ないだろう?」
そう言って蓮はISの中からVTシステムのみを抜き取る。
「まあ、こんなもんでしょ…」
そう言って蓮はラウラを織斑千冬に預け、忽然と姿を消した。
一夏は千冬から気絶した状態のラウラを受け取り保健室に運んで行った。
*****
「う、ぁ……」
光が天井から降りているのを感じ、ラウラは目を覚ました。
「気がついたか」
「私……は……?」
「全身に相当な負荷がかかったことで筋肉疲労と打撲がある。しばらくは動けないだろうから、無理はするな」
「何が……起きたのですか……?」
ラウラは無理をして上半身を起こそうとするが全身を走る痛みにその顔を歪める。
だがその瞳だけは千冬を真っ直ぐに捉えていた。
「ふう……。一応、重要案件である上に機密事項なのだがな」
しかしラウラがそんなことで引く相手ではないことを知っている千冬はここだけの話であることを沈黙で伝えると、ゆっくり言葉を紡いだ。
「VTシステムは知っているな」
「ヴァルキリー……トレース…システム」
「そうだ。IS条約で現在、どの国家・組織・企業においても研究は愚か、開発・使用すべてが禁止されている。それがお前のISに積まれていた」
「………」
「お前を助け出したのは篠ノ之束の知り合いだ。そいつがお前のISからVTシステムのみを抜き取り今は篠ノ之束によって解析され、現在はその解析を元に学園がドイツ軍に問い合わせている。近く、委員会の強制捜査が入るだろう」
ラウラはぎゅぅっとシーツを握りしめ、その視線はいつの間にかうつむき、眼下の虚空をさまよっていた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ」
「は、はい!」
いきなり名前を呼ばれ、驚きも合わせて顔を上げる。
「お前は誰だ?」
「わ、私は……。私……は、……」
「誰でもないのなら、ちょうどいい。お前は今日からラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「あ……」
千冬は席を離れたち去ろうとするが、何かを思い出しラウラの方に振り返る。
「ああ、それから」
ラウラは何なのだろう、と首をかしげながら次の言葉を待つ。
「お前は私にはなれないぞ」
そう言って、千冬は保健室から去って行った。
「ふ、ふふ……ははっ」
笑うたびに全身が引きつる様に痛むがそれさえもどこか心地いいと感じた。
そして、出来れば私を救ってくれたあの人にも会って礼が言いたいものだ。
*****
後日----
束に千冬からの電話があった。
「お前は今回のVTシステムの件は一枚噛んでいるのか?」
「ひど〜い。私をうたがうのぉ? だいたい、それならわざわざ彼をむかわせたりしないよ〜。それに私は完璧にして十全な篠ノ之束さんだよ? すなわち、作るものも完璧において十全でなければ意味がない」
「...........」
「ていうか忘れてたけどついさっき、あれを作った研究所は彼に頼んでもう地上から消えてもらったよ。……ああ、わかってはいると思うけど、死亡者はゼロね。」
うふふ、と笑いを付け加えて、束はつらつらと話す言葉を一度区切る。
「そうか。では、邪魔をしたな。」
「いやいや、とんでもない。前も言ったと思うけど、ちーちゃんならいつでも大歓迎だよ♪」
「……では、またな」
電話を切ると続けて着信音が鳴り響く。
「こ、この着信音は!」
ピッ
「ハァ〜イ皆のアイドル、天才篠ノ之束さんだよ」
『----。……姉さん』
「うんうん。要件はわかっているよ。欲しんだよね、箒ちゃんだけの専用機が」
『!!』
「………でも箒ちゃんも都合がイイよね、今まで散々私を突き放しておいてこんな時に限って頼ってくるんだから」
『!?』
「でも、いいよ。安心して、もう用意してあるよ! 最高性能にして規格外、そして白と並び立つもの。その期待の名前は
『紅椿』----」
そうして、箒と話したあと電話をしまい、言う。
「まあ、規格外って言っても、レンくんには敵わないけどね」
いやぁ、昨日はグダグダだったんで、今日中に投稿できてよかったですわ(^ω^)
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