そうしていたら遅くなりました。すんません。
束と千冬が電話で話す6時間前――
蓮は、ドイツに来ていた。
目的はVTシステムを研究・開発していた研究所の破壊だ。
束曰く――
ドイツ軍はどうせ隠蔽しちゃってとぼけるだろうから、レンくん、それよりも先に潰しちゃってきてよ!!
――だそうだ。
最近の束は、顔は笑っているが、目が笑っていないことが多く、非常に怖い
まあそんなわけでドイツに来ており、俺の立っている崖の下にはその施設があるのだが....
「思っていたよりもISが多いな」
俺の当初の予定では、無影を展開後
び破壊し任務完了!! だったのだが....
見た限り、外の警備だけでも3機はいる。
これに研究用のISを含めると少なくとも4か5はいるだろう。
とりあえず俺は予定通り鎮魂歌を発動、これで中にいる奴らは、気絶する――――はずだった。
しかし発動した鎮魂歌は見えないバリアーのようなものに防がれた。
「っ!? シールドバリアーか!!」
生身の人間が気絶する程度にしたことが仇となった。
その程度の威力でISにも使用されているシールドバリアーが破けるはずもなく何事もなかったかのようにかき消された。
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
途端に警報が鳴り始め、施設の入口の隔壁が閉じられる。
施設の屋上からは対IS用の
一斉に発射された数十発というミサイルは複雑な軌道を描きながら蓮に迫っていく。
研究所に務める全ての職員がこのあとの光景を想像し、思う。
しかし肝心の蓮はというと何もせずただそこに腕を組んで立っていた。
それが職員の想像を確かなものにしていく。
そして、ミサイルが蓮に当たろうかという時、蓮とミサイルの間に
するとミサイルは次々と黒い球に飲み込まれて、消失していく。
最後の一発が消失した時、そこには無傷のまま空に佇んでいる蓮の姿があった。
それを見た職員は先程とは全く違う反応をしていた。
「な、なんだ....あれは....」
「か、勝てるはずがない....」
それが全てを物語っていた。
中にはその場に崩れ、殺される、と怯えるものまで出てきた。
そんな時、警備にあたっていた一機のISが、うぉぉぉぉ! と叫びながら手に持ったライフルを乱射してきた。
もちろん、蓮に効くはずもなく、再び発動した黒い球に吸い込まれる。
銃がダメなら剣だ、だと思ったのか、斬りかかってくる。
どうやらまだ、この能力がなんなのか分かっていないらしい。
蓮は突っ込んでくるISの方に黒い球を向ける。
「アンタ、もう終わりだよ」
連がそう言って操縦者は何を言っているのかわからない、と言ったような顔をするが、すぐに異変が起こり始める。
操縦者とISの姿が渦を巻くようにずれ始める。
それはもう、すでに”事象の地平面”を超えていることを示しており助かることは不可能だった。
「うわぁぁぁぁぁぁ........」
しばしの沈黙のあと、警備をしていたISに視線を向ける。
たったそれだけで、ひっ、という声を出し一目散に逃げ出した。
職員たちはというと全員がその場で腰を抜かし動けないでいたため、蓮は職員の研究データだけを奪い、職員たちはワープホールの中に放り投げ別の場所に移動させた。
どこに出たかは知らない。
*****
職員をどこかに飛ばしたあと、データを抜き取り、蓮は外に出ていた。
理由は単純にして明快、元々の目標であるデータ抜き取り後の施設の破壊のためだ。
蓮が空を見上げると太陽は既に沈み始めていた。
思ったよりも時間を食ったな~、と思いつつ最後の作業に移る。
双肩に浮かぶ、鎮魂歌を施設上空から浴びせるように発動。
もちろん、さっきのようなものではない、完全に施設丸ごと霧散させるような威力だ。
波状となった衝撃波は瞬く間に施設を飲み込み、消し去っていく。
数秒後には施設のあった場所には何もなく、ただクレーターが残っているだけだった。
「任務完了っと」
蓮はプライベートチャネルで束に繋ぐ。
『はいは~い! やあ、レンくん。終わった?』
「ああ、たった今な。職員はどこかに飛ばしておいた。ISの方は一機、
『うんうん。まあ上出来だね。まあISの方を
「でもさぁ、ISだけ破壊するより、まとめて殺ったほうが効率よくないか? 楽だし」
『そこはほれ~、レンくんの操縦技術の見せ所じゃない? それに、ちーちゃんもうるさいしね。』
絶対理由は後のだろ? と思うが気にせず、帰ることだけ伝えて通信を切った。
空を見ると太陽は沈み、暗闇の中にいる蓮を月だけが照らしていた。
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