12話
7月6日
蓮は自分の部屋で無影、瞬影の調整をしていた。
すると部屋の扉がこれでもか、というくらい勢いよく開き、開いた扉から束が入ってきた。
「レンくんレンくんレンく~ん」
「何だよ。騒々しい」
「海に行こうよ!!」
「なんでいきなり海になんか....って、あぁ。そういえば今日からIS学園は臨海学校か」
「そーなんだよー。それに、明日は7月7日。箒ちゃんの誕生日なんだよ!!」
「ふ~ん」
蓮はそんなことはどうでもいい、といった感じでやっていた調整を続ける。
(プレゼントは確か、俺が前に作った展開装甲を束なりに作って装備させたISだったか? 束がどんな風に作ったのかは気になるところだが、あの女はどうでもいい。それに織斑に
遭遇しても面倒だ)
「あれ~、なんだか興味がなさそうだね」
「そりゃそうだろ。俺は束の妹の誕生日何かに興味はない」
「え~、どうしてもついて来てくれないの?」
「行っても面白くないからな」
「私がその面白いことをするって言っても?」
「......説明しろ」
そう言って蓮は調整作業を中断し束の方に向く。
「今ね、アメリカとイスラエルがISの共同開発をしていてね。箒ちゃんにあげるISの初の任務として、そのISの暴走事件を起こしたいと思ってるんだ~」
それを聞いた蓮は、面白そうだ、と言って笑いついて行くことを了承した。
*****
「「..........」」
一夏と箒は更衣室のある別館に向かう途中ばったりと出くわした。
それは別にいい、問題は目の前の光景にあった。
庭にうさぎの耳が生えていた。
いわゆる”ウサミミ”というやつだ。
しかも『引っ張ってください』という張り紙付きだ。
「なあ、これって――」
「知らん。私に聞くな。関係ない」
「えーと....抜くぞ?」
「好きにしろ。私には関係ない」
そう言い終わるとすたすたと歩いて行ってしまった。
一人残された一夏は、仕方なくそのウサミミを思いっきり引っ張る。
すぽっ。
「のわっ!?」
力いっぱい引っ張りすぎたため一夏は素っ頓狂な声を上げて盛大に後ろに転んだ。
「いててて....」
「何をしていますの?」
声のした方に顔を向けるとそこにいたのはセシリアだった。
しかし、一夏は転んだままなので、その......セシリアの下着が見えてしまっていた。
「!? い、一夏さんっ!」
その視線に気づいたセシリアは、ばばっとスカートを押さえて後ずさる。
「す、すまん。その、だな。ウサミミが生えていて、それで....」
「は、はい?」
そんな一夏の言い分にセシリアは素っ頓狂な声で返す。
それはそうだろう、いきなりウサミミが生えていると言われて、意味がわかるはずがない。
「いや、束さんが――」
キィィィィン......。
そんな時、何かが高速で近づいてきているような音がした。
ドカーーーーーン!
何かが地面に突き刺さった。
土煙がだんだんと晴れてきて、その正体があらわになる。
「「に、にんじん....?」」
セシリアと一夏は揃ってそう漏らす。
「あっはっはっはっ! 引っかかったね、いっくん!」
パカッと真っ二つに割れたにんじんの中から現れたのは、篠ノ之束さんだった。
この人...普通に登場できないのだろうか...
「やー、以前ミサイルで飛んでたら危うくどこかの偵察機に撃墜されかけたからね。私は学習する生き物なのだよ。ぶいぶい」
そして中から出てきた束の服装はやはりというべきか、不思議の国のアリスで、一夏の手からウサミミを受け取ってすぐに装着。
束のファッションセンスはイマイチよくわからない。
「お、お久しぶりです。束さん」
「うんうん。おひさだね。本当に久しいねー。ところでいっくん。箒ちゃんはどこかな?」
「え、えーと......」
「まあ、この私が開発した箒ちゃん探知機ですぐに見つかるよ。じゃあねいっくん。また後でね!」
その探知機とやらはどうやらさっきのウサミミらしく、束は箒の向かった方向を指すウサミミに従って、ものすごい速さでさっていった。
「い、一夏さん。さっきの方は一体....」
「篠ノ之束さん。箒の姉さんだ」
「え....? ええええっ!? い、今の方が、あの篠ノ之束博士ですか!? 現在、行方不明で各国が探し続けている、あの!?」
「そう、その篠ノ之束さん」
この臨海学校では、『ISの非限定空間における稼動試験』というのが主題である。
なので各国の代表候補生には新型装備が大量に送られてくる。
しかし、部外者は参加できないため、揚陸艇で装備だけが運ばれて来る。
でも束さんは何かしらで乱入してくるんだろうな、と一夏は思った。
「それじゃあ俺は海に行くけど、セシリアは?」
「は、はい。わたくしも海へ」
「そっか。じゃあ一緒に行こうぜ」
「はい!!」
こうしてセシリアと一夏は海に向かっていった。
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