24話
九月
夏休みも終わり、憂鬱な顔で学校に向かう学生を横目で見ながら俺はIS学園行のモノレールに乗っていた。学園に近づくにつれて乗客はどんどん減っていきIS学園の二駅前では
乗客は俺一人となってしまっていた。
突然決められてしまった学園生活。今まで学校と名のつくところに通ったことなど一度もなかったがまさか今になって行く羽目になるとは思いもしなかった。
(しかし、今更学校に行ってどうしろっていうわけなんだが......)
まぁ、なるようになるか、と思い何気なく窓の外を見た。
「おいおい、マジかよ!?」
視線の先には四機のIS。そのうちの一機がIS用のライフルをこちらに向けていた。咄嗟に俺は駆け出して反対の窓を突き破り外への脱出する。次の瞬間にはモノレールが轟音を
伴いながら爆発した。なんとか脱出に間に合った俺は海に自由落下していく中でISを展開、上から落ちてくるモノレールの部品を避けて上空に飛ぶ。攻撃を仕掛けてきたISを見ると四機がそれぞれライフルを構えながらこちらを見ていた。
「随分な
すると、隊長らしき人物が少し前に出てきた。
「お前が篠ノ之蓮だな? 本国からの命令によりお前を拘束する。痛い目を見たくなければ投降しろ」
「嫌だと言ったら?」
「ふん、力ずくで連れて行くまでだ!」
ライフルを四機が一斉斉射してくるが持ち前のスピードで全てを躱す。相手は攻撃を避けられたことに驚いているのか隙ができた。その隙を狙って相手の懐に潜り込みライフルをはじき飛ばし使用不能にしそのまま相手を展開装甲で斬りつける。そして援護しようと他の三機がライフルによる攻撃をしてくるが俺は目の前のISの背後に回り込みさっきまでいた場所に蹴り飛ばす。結果そのISに銃弾の雨が降り注ぎエネルギー切れを起こした。
「クソッ、ここまでとは聞いてないぞ!?」
残ったうちの一人の女が吐き捨てるかのように言う。他の二人もこの短時間で一人やられたためか明らかな動揺が見て取れた。
「さぁ、お前らがどこの国の所属か何故このタイミングで俺を襲ってきたのか。洗い浚い吐いてもらおうか」
言わなければ、どうなるかわかっているな? と言わんばかりに蓮は詰め寄る。
彼女らにしたら、言おうが言わまいが結果は同じ。言ったものなら祖国から国家反逆罪で一生陽を見ぬ生活を強いられるだろう。任務を失敗しても同じだ。祖国は証拠をなくすために任務そのものをなかったことにし、彼女らの存在そのものも消してしまうだろう。それほどのことを彼女らは命令であれやっている。しかし言わずにいれば、目の前に居る二人目の男性IS操縦者・篠ノ之蓮によって撃墜されるだろう。先程の戦闘で蓮に彼女らが及ばないことは火を見るよりも明らかであった。それは彼女らもわかっているし、それを認めないほど彼女らは男尊女卑の風潮に染ってはいなかった。
しかし、だからと言ってそれが彼女らが降伏する理由にはならなかった。彼女らは軍人だ。自らが望んだわけではないが、それでも祖国の発展の為と引き受けた任務だ。最後まで任務を全うする、そんな心意気で彼女たちは再び銃口を蓮へと向ける。
「......まだ戦うつもりか? 今までの戦闘で俺とお前らの力量の差ははっきりしたはずだ。お前らはどこぞのバカとは違ってそれくらいは理解できると思ってたんだが……違ったか?」
ちなみにどこぞのバカとは、織斑たちのことである。
「ふん、悔しいが私たちの誰よりお前の方が格上なのは十分理解している。だが、私たちは軍人だ。祖国のために働く義務がある。だから我々は与えられた任務を全うする」
「いい心意気だ!!」
そして再び戦闘が始まった。
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「く......そ......」
戦闘が終わり静寂が訪れる。蓮はふぅ、と息を吐き背伸びをする。その額には汗ひとつかいてはいなかった。蓮にとって正規の軍人との戦闘は準備運動のようなものだった。たとえそれが自らの命を賭した戦闘でもそれは変わらない。幼少期に施された人体強化は伊達ではないし、何よりくぐり抜けてきた死線と場数が違った。
蓮はふと、自分が通学途中だったことを思い出しモノレールを見る。しかしモノレールは先程の襲撃で大破。所々で煙を上げていた。
「......このまま行こ」
蓮は襲撃してきた四人をモノレールの支柱に括り付け、瞬影を装着したままIS学園に向かった。
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俺はIS学園に着いて所定の手続きの後、教室に連れて行かれて現在、入ってこいと言うまで入ってくるなと絶賛廊下で待ちぼうけをくらっている。というのも担任がクラスに
『よし、それでは転入生。入ってこい』
呼ばれたため教室の中に入る。ドアが開き前の席の方に目を向けると、
「篠ノ之蓮だ。訳あってこの学園に転入してきた。君らより一つ上だが、気軽に話かけてくれて構わない」
俺の自己紹介が終わると女子が嬉しそうな顔をして今にも叫びそうだったがガタッと音をたてて立ち上がった織斑によって阻まれた。
「なんで......なんでお前がいるんだよ!!?」
「話を聞いてなかったのか? 訳あって転入してきたんだ」
「訳って......お前は箒や、他の皆を攻撃してきたのに......」
「織斑。勘違いしているようだから言わせてもらうが、俺は千冬から任務を受けただけだ」
そう言うと横から出席簿が迫ってくるが俺は片手でそれを掴んだ。
「学校では織斑先生だ」
「はいはい、織斑教諭。それでだ、正式に任務を受けた俺に対し待機命令が出ていた彼女らが俺に攻撃してきたんだフレンドリー・ファイヤーどころか命令違反までしている。自業自得だろ?」
「それでも......「それに俺はあらかじめ任務の妨害をしてくる奴らを撃滅する許可ももらっていた」千冬姉!?」
瞬間、織斑の頭に出席簿が落とされた。
「学校では織斑先生だ。さっき
「はい......織斑先生」
「それと、
そんなことを言っている間に朝の
「......ではHRを終了する。1限目は第三アリーナで実習を行う。各自迅速に着替えて集合するように。解散!」
そう言われ、俺は廊下に出た。織斑が怪訝そうな顔をしているが相手にしない。メンドくさい。
少し進むとすぐに女子の集団に囲まれた。
『きゃぁぁああ、二人目の男子!!』
『織斑くんもいいけど、彼も結構いいわよ!』
『どっちが受けで、どっちが攻めなのかな?』
おい、最後の! どこのどいつだ!? 出てこい!! 俺にそんな趣味はないぞ!
俺は身体能力をいかし腐女子に捕まる前に女子生徒の上を飛び越えた。織斑はまだ後ろにいるがほっておく。
「おい
それだけ告げて俺は更衣室に向かった。後ろの物陰に隠れながらついてくる尾行者に気づきながら......。
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