暁紅   作:昆布豆豆太郎

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どうも、昆布豆豆太郎です。

『暁紅』第十一話になります。

今回は少し急展開する話になります。

それでは、ごゆっくりどうぞ。


避難

川神祭が終わり、一週間が過ぎた。

『禁止区域強制退去法』の執行を五日後に控えた日。

 

島津寮で朝食を食べていると、クッキーが喋りだした。

 

「そういえば、あとちょっとで法案が執行されるね」

「あ~、そういやそうだったな」

 

翔一が答える。

今日まで何の問題もなく過ごしてきた。しかし、海斗が感じる嫌な予感の正体はまだ分かっていなかった。

ニュースやバラエティ番組ではしょっちゅうこの話題が出てくる。現に今つけているニュースも法案のことで持ちきりだった。

 

(何にも起こらないで欲しいがな…)

 

海斗は残りのお茶を飲み干した。

 

 

 

 

 

同刻、暁東市。 憐桜学園。

 

朝早くから校庭はバスでごった返していた。

理由は、数日前に遡る。

 

憐桜学園の教師であり、禁止区域とも繋がっていた柊朱美が川神学園にコンタクトをとってきたのだ。

要件は、「憐桜学園の生徒及び、周辺高等区の資産家を川神学園に匿うこと」だった。

暁東市禁止区域を統べる元政治家の五十嵐は、法案執行日に資産家を政府との交渉材料として誘拐しようとしているという。

その件に関して鉄心は承諾した。資産家や令嬢は川神院で匿うという。

 

そして今日、そのための移動を開始しようとしていた。

生徒たちには、「交流」という理由で。

資産家たちには、「万が一のための避難」という理由で。

 

準備が整い、次々に憐桜学園から発車していくバスを。物陰から見る者がいた。

 

 

 

 

 

 

川神では、風間ファミリーが通学路を歩いていた。

海斗と麗華もその近くを歩いていた。

すると突然、海斗の携帯が鳴った。電話だ。

海斗はディスプレイを見た。相手は。

 

「…尊?」

「宮川?」

「ああ…」

 

宮川尊徳《みやがわたかのり》。海斗とは同級生で、麗華の妹の彩のボディーガードだ。

海斗は通話ボタンを押し、携帯を耳にあてた。

 

「もしもし」

『海斗か?』

「俺の携帯なんだから当たり前だろ」

『そうだな、麗華お嬢様は?』

「隣にいるぞ」

『そうか。なら本題に入る』

「もったいぶらずに早く言えよ」

『…今、川神に向かっている』

「………は?」

『憐桜学園全校生徒が今、川神に向かっている』

「なんでまた?」

『『交流』だそうだ』

「交流?」

『表向きはそうなっている。だがおそらくは『避難』だろう』

「…法案か」

『ああ』

「侑祈と薫は?」

『違うバスだが、後ろを走っている』

「いつぐらいに着くんだ?」

『今日の夕方だ。寝食は川神院でするそうだ』

「安全そうだな」

『ああ』

「着いたら連絡くれ」

『わかった』

 

そう言って電話を切ると、今度は麗華が話しかけてきた。

 

「なんて?」

「憐桜学園全校生徒が川神に来るらしい」

「え!?」

 

さすがの麗華も目を丸くした。

 

「それって、どういう…」

「交流という名の避難だそうだ」

「避難? 法案が関わってるってこと?」

「ああ」

「どうなるのかしら」

「さあ」

 

そう言いながら学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

川神禁止区域

 

「森羅さん、暁東市の禁止区域の連中がここに向かっているそうです」

 

山西が川神禁止区域の最奥にいる森羅のもとへとやってきた。

森羅の他に内田と、新しく幹部になった石川と佐伯がいた。

 

「なぜだ?」

「おそらく、奴らの標的であった資産家が川神に向かっているせいでしょう」

「ほう、奴らの中にも表に未練のある者がいるようだな」

「内部で裏切りがあるような組織を仲間に加えるのですか?」

 

石川が森羅に尋ねる。

 

「仲間…ではない。奴らはあくまで『駒』だ。」

「なるほど…」

「だが、駒とはいえ大事な『客人』だ。表面上は丁重にもてなそう」

「はい」

 

石川は頷いたが、佐伯は思案顔だ。

 

「佐伯、どうかしたか?」

 

内田が尋ねると、佐伯は尋ね返した。

 

「暁東市の禁止区域の奴らは、どうやってここに来るのでしょうか?」

「奴らのトップである五十嵐は元政治家だ。地下鉄の地図の一つや二つ、持ち出せるだろう。あとは、地下鉄のホームに出ないように掘り進めていくだけだ」

「しかし、奴らの目的は資産家の誘拐なんですよね? 川神市まで穴を掘る意味は無いのでは?」

「もしものために退路も確保しておいたんだろう。それも、いくつもな」

「ここへの抜け道は、数ある退路の内の一つということですか?」

「そういうことだ」

「なるほど」

「まぁ、丁重にもてなしつつ。最後には切り捨てる」

「わかりました」

 

 

「戦争が始まるな」

 

森羅は静かにつぶやいた。

 




いかがだったでしょうか?
『暁紅』第十一話をお送りしました。

少し内容に無理があるかもしれませんが、御了承頂ければ幸いです。

次回の投稿は少々遅れそうです、大変申し訳ございません。

今後共、暁紅をよろしくお願いします。
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