『暁紅』第十二話になります。
投稿が遅れましたこと、お詫びいたします。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
その日の夕方、多摩川河川敷。
海斗と麗華は二人でやって来た。
着くとそこには、よく知る顔ぶれが揃っていた。
「あ! お姉さま、海斗さん」
最初に気づいたピンク色のロングヘアーの少女が手を振ってきた。
「久しぶりね、彩」
「はい」
麗華と彩。どちらも二階堂の令嬢である。
「麗華~」
「久しぶり、妙」
「うん!」
クリーム色の髪をした少女、倉屋敷妙が麗華に駆け寄る。
妙は世界有数の技術力を持つ『倉屋敷重工』の令嬢だ。
「神崎先輩も、お久しぶりです」
「うん」
一つ上の先輩である神崎萌にも挨拶をした。
一方。
「久しぶりだなー、海斗」
「ああ」
海斗たちボディーガードの方も再会を楽しんでいた。
「大事無いようで安心した」
「あったら連絡ぐらいするだろ」
「ははは、確かに」
見ためは女に見える、しかし中身はれっきとした男である南条薫が笑いながら話してきた。
そして。
「麗華お嬢様に何も無いようで安心した」
「まあ、普通に学園に通っているだけだしな」
「それもそうか」
宮川も海斗との再会を嬉しんでいた。
川神院で寝食をしている彩達には門限があるため、少ししか話す時間がなかった。
帰り道、多摩川を歩いていると前から男が一人歩いてきた。
川神祭で会った赤髪の男だ。
「少しいいですか?」
男が話しかけてきた。
「あんたか、なんだ?」
「知り合い?」
「ちょっとな」
麗華を背後に匿い、海斗は男を見据えた。
「倉屋敷という方をご存じないですか?」
「…知ってるが。それがどうした?」
「会わせていただけませんか?」
「無理だな。今はそれどころじゃないからな」
「そうですか…、日を改めます」
そう言うと男は海斗に背を向け。思い出したように「そういえば…」と呟きながら。
「最後に一つ。本は好きですか?」
と、尋ねてきた。
「本は好きだ」
「そうですか。それでは失礼します」
男は今度こそ、来た道を帰って行った。
「誰?」
男が遠のくのを待って、麗華が尋ねてきた。
「川神祭で校内を歩いているときに会った」
「それって、ほぼ初対面ってこと?」
「ああ」
「そんな奴がなんで妙のことを?」
「有名だから、サインでも貰いたかったんだろ」
「そうかしら…?」
「……日が落ちてきたな。帰るか」
「そうね」
二人は島津寮への帰路についた。
(やはり、同一人物かもしれない)
赤髪の男は歩きながら考え事をしていた。
(報告するべきか。…今は言わない方がよさそうだな)
そしてまた、男は人気の無いところへ向かっていった。
川神禁止区域。
「間もなくだな」
「はい」
森羅と内田は夜空を見上げていた。
と、そこへ山西がやって来た。
「森羅さん、暁東禁止区域の五十嵐さんと相馬さんをお連れしました」
「ご苦労、山西」
山西が森羅の後ろに控えたところで、五十嵐が口を開いた。
「お前が森羅か。今回の協力、感謝する」
「こちらも感謝している、お互い様だ」
「こちらの目的は、資産家の誘拐だ」
「こちらの目的は、マスタークラスの殲滅」
「資産家を匿っている川神院の対処は任せる」
「問題ない」
「では、始めるとしよう」
「新たな日本の明日の為に」
そう言って森羅と五十嵐は手を握り合った。
いかがだったでしょうか?
『暁紅』第十二話をお送りしました。
次回から、本格戦闘が始まります。ご期待ください。
それでは、次回でお会いしましょう。