『暁紅』第十三話になります。
投稿が遅れましたこと、お詫びいたします。
今回から、本格的な戦闘に入ります。
まだまだ至らぬところばかりですが、最後まで読んでいただければと思います。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
禁止区域強制退去法執行日、当日。
憐桜学園の生徒や資産家が川神学園に集められた。
理由は一つ。
川神院で資産家を匿った場合、川神学園に矛先が向くと考えたからだ。最初は百代や自分たちで対処できると考えていたが、朱美から禁止区域住人の強さや人数などを聞き考えが変わりこのような形体を執った。
2-Fには、麗華の妹ということで彩と尊徳が来ていた。
3-Fには、萌と薫が来ていた。
何かしらと萌に絡む百代を薫が止めていた。
「…そろそろね」
「そうだな」
麗華が確認しながら言う。
海斗は教室に設置されたテレビでニュースを見ていた。
報道ヘリが川神禁止区域の上空を飛び、様子を映している。
時刻は午前10時58分。法案の執行時刻は午前11時。
クラスの誰もが時計を睨んでいた。
テレビ画面左上の時刻表示が11時になった、その時。
ニュースを中継していたカメラの視点が揺らいだ。報道ヘリが墜落したのだ。
カメラは地面に転がっているのか、地平を映している。瓦礫が映っているところを見るに、禁止区域であると想像できた。
カメラの視点が急に持ち上がった。何者かがカメラを手に取ったのだ。
カメラの視点が動き、人の顔が映る。
その顔を見た瞬間、ニュースを見ていたほとんどの者が驚愕しただろう。
『偽りの安らぎを得る者たちよ、括目しろ』
その顔の正体は、元政治家の五十嵐行雄だった。
7年前に政界から姿を消して以来、行方が分からなかった。
『これは、はじまりだ。この国に潜む膿が作り出した偽りの安息を、真の安息にするための。立ち上がれ、同胞たちよ!』
そこで映像は止まった。
直後、川神学園周辺に多数の気が現れた。
皆、すぐさま戦闘態勢に入った。
「多くが中の上で、何人か壁越えがいるな」
3-Fで、百代は現れた気を探っていた。
そして直後、百代は感じた。
周囲を包み込む圧倒的な気を。
「なんだ…!? これは…」
新たに現れた気は7つ。どれもヒュームや鉄心クラスの気だ。
「くっ…!」
百代は教室を飛び出した。
「…神崎様」
「どうしたの? 薫」
「私も、行こうと思います」
「町に?」
「海斗たちも、そうするはずです」
「なら私も」
「万が一のこともありますので、神崎様はここにいてください」
そう言うと薫は刀を握り、教室を出て行った。
他の生徒たちも、次々に迎撃に向かった。
(この感じ、強いな。親父と互角か、それ以上だ…)
海斗の父、朝霧雅樹は暁東禁止区域において名を轟かせていた。
海斗ですら、敵うか怪しいほどの強さを持っていた。
「…海斗、僕達も行こう」
尊徳が海斗に話しかけてきた。
「プリンシパルの傍を離れるのか?」
「薫は向かったそうだ、さっきメールが来た。それに、外が突破されればそれこそお終いだ」
「なら外の守りを固めた方がいい、か」
「ああ」
「死ぬかもしれないぞ」
「覚悟の上だ」
どうやら尊徳は覚悟を決めているようだ。
なら、海斗に決める権利は無い。
海斗が麗華を見ると、麗華は静かに頷いた。
百代は一番近くに感じる気を目指していた。
その気は、変態の橋の上で立ち止まっている。
すると。
「おい」
ヒュームが追い付いて来て隣に並ぶ。
「どうしたんですか?」
「この先にいる気には気をつけろ、只ものじゃない」
「それ程の敵なんですか?」
「そうだ。俺は他の場所へ向かう、この先は任せたぞ」
「信頼してもらえるとはうれしいですね」
「マシな赤子がいないだけだ」
「な~んだ」
遠ざかるヒュームを見送りながら、百代は変態の橋へたどり着いた。
橋の丁度中央に男が一人立っていた。
「川神百代だな?」
「そうだ」
「ならいい、来い!」
男は構えることなくそう言った。
「なら、さっそく」
百代は地を蹴り、男に肉薄する。
「川神流無双正拳突きー!」
渾身の力を込めて拳を放つ。
しかし男はそれを片手で難なく受け止めた。
「なっ!?」
「本気ではないな? 小手調べのつもりか?」
「くっ!」
「その程度で私は倒せん!」
男は百代の拳を払い、後退すると腰に装備している鞭をとった。
そして、鞭をしならせ地を叩く。
鞭は音を立てて地をえぐった。
「…行くぞ!」
男は鞭を振るい、百代の右腕に絡ませた。
鞭は百代の右腕を強く締め付ける。
「くっ!」
百代は空いている左腕で鞭を掴み、気を圧縮させて小型のブラックホールを出現させた。
ブラックホールは鞭の途中部分を飲み込み、消滅した。
百代の腕に絡まっていた鞭の先端部分がスルリと解けた。
「ほう、想像以上だ。ブラックホールを作り出すとは」
男は驚いていたが、それでも笑みを浮かべている。
百代は、男の強さに驚いていた。本気ではなかったとはいえ百代の拳を払い、あまつさえ神速に近い速度で鞭を百代に絡ませたのだ。
「これほどの強さを持つ人がいるとは、ぜひ名前を聞きたい」
「藤木、とだけ名乗っておこう」
「それほどの強さを持っているなら、他に良い生き方もあったはず」
「生き方の良し悪しは個人が決めることだ、力を追い求めた末の生き方だ」
「久しぶりだな、こんなに強い人と戦うのは」
そういうと百代は藤木に拳を繰り出した。
「動きが単調すぎだな、仕留める!」
藤木も拳を構え、百代に仕掛けていった。
海斗は、多数の禁止区域住民と交戦していた。
壁越え級が来ないのは、海斗から気が発せられていないからだろう。
「多すぎるな」
そう言った直後。
川神学園内に巨大な気が3つ現れた。
いや、他にも何人かいるかもしれない。
「なんだ?」
海斗が川神学園の方角を振り返る。
直後、海斗の携帯が鳴った。しかし海斗が出る前にアラームは止まった。
そして、しばらくして巨大な気や小さな気が川神を離れて行った。
「時間だな」
藤木は川上学園から味方の気が遠ざかっていくのを確認すると、百代の方を向く。
「続きはいずれな」
「何!?」
藤木は大きく跳躍し、川神から離れて行った。
時間は少しさかのぼる。
川神禁止区域の山西と宇畑、そして暁東禁止区域の相馬は多数の部下を引き連れて川上学園に侵入した。
宇畑が鉄心を抑え、山西がルーを抑えている隙に相馬をはじめとする住人達は資産家を誘拐した。
麗華や妙、萌や彩はもちろんのこと。九鬼英雄やその妹の紋白たちも誘拐された。
皆が川神学園に帰ってきたとき、鉄心やルーはとても疲弊していた。ルーに至ってはしばらく戦闘ができない程にやられていた。
その場にいるほとんどの者が、救出作戦に参加すると言った。
九鬼従者部隊は日本各地の禁止区域鎮圧に出向いているため、救出作戦に参加出来るのはヒュームとクラウディオにあずみの3名だけだがこの上ない戦力だ。
翌日、救出作戦が実行されようとしていた。
いかがだったでしょうか?
『暁紅』第十三話をお送りしました。
連れ去られました、麗華が。音もなく。
あ、ちなみに言いますと。最後の方で海斗に電話していたのは麗華です。
先日、読者様が書いてくださった感想を拝見し「頑張らねば!」と急ピッチで書きました。
最近、マブラヴオルタネイティヴというゲームをプレイしております。
とても面白いです!
少年少女が『戦術機』というロボットを駆り、地球外起源種『BETA』と戦っていくお話です。
少し前に放送していた『トータル・イクリプス』というマブラヴオルタネイティヴの外伝作品を観て興味を持ちました。
戦術機のデザインはとても気に入っています。
戦術機のプラモデルも購入し、現在チマチマ製作中です。
皆さんも興味がありましたら、プレイしてみてください。
それでは、次回も『暁紅』をよろしくお願いいたします。