『暁紅』第十四話になります。
投稿がすごい遅れてしまいました。申し訳ありませんでした。
今回は戦闘描写はありません。
しかし、十五話へと続く大事な話となります。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
川神禁止区域。
麗華達はここに連れ去られた。
「ここが、禁止区域か…」
九鬼英雄が顔を顰めながら周囲を見渡す。
「お前たちのような坊ちゃんには無縁の場所さ」
「ちげぇねぇ」
周囲が騒ぎ出す。が、先頭の男だけは平然としていた。
「我らをどうするつもりだ?」
「人質だ」
男が答える。
「何のために?」
「政府に要求を突き付けるため」
「だが、今回の件で貴様らは我ら九鬼だけではなく。二階堂や倉屋敷も敵に回すことになったぞ?」
「烏合の衆など敵ではない」
「ほう…、九鬼の従者部隊を甘く見るなよ?」
「程度が知れている」
「なにっ!?」
普段冷静な英雄だが、今の言葉にだけは怒りを露わにした。
自身の忠臣達を侮辱されたのだ、無理もない。
しかし、男の次の言葉を聞いては、怒りを収めるしかなかった。
「九鬼最強と謳われるヒューム・ヘルシング。奴は我らの中でも新参の石川と闘ったが、引き分けだった。石川は我らの中では下の強さだ」
「それがどうした」
「九鬼最強とは笑わせる、見込み違いだ」
「ヒュームは本気ではない」
「主の危機に本気を出さない従者など、たかが知れている」
「…」
「わかったら、大人しくしていろ」
「一つ聞きたい」
「なんだ?」
「貴様らはそこまでして、何を求める?」
「……人間の持つ自由と権利の確保」
「それだけか?」
「それ以上、求めるモノは無い」
「なぜ、そのような要求を?」
「お前は、自由か? 幸せか?」
「無論だ」
「その自由を、幸せを、奪われた者はどうなると思う?」
「どういうことだ?」
「…」
それ以上、男―――――藤木が喋ることはなかった。
一方、川神学園。
海斗たちがニュースを見ていると、緊急の声明が発表された。
声明はビデオだったため画質が荒かった。
五十嵐が画面に映る。
『国民よ、現実を見ろ。立ち上がれ、同胞よ。無能な高官が国を仕切る時代は終わる』
海斗たちはテレビ画面を見つめる。
『我々は法案執行と同時に反抗を開始した。政治家達は考えもしなかっただろう、自分たちがゴミのように扱ってきた者が牙を剥くことを』
その時、日本に住むほとんどの者が五十嵐の声明を聞いていた。
『現に我々は、資産家の身柄確保に成功している』
そういうと五十嵐は麗華や英雄たちをテレビに映した。
生徒たちは安堵の声を漏らした。
『今一度思い出せ、政府の過ちを』
最後に五十嵐が締めくくり、声明は終わった。
「明日、救出作戦を開始する」
鉄心が2-F教室に入るなりそう言った。
「人質の安全はどうなんだ?」
百代が尋ねる。
「見せしめに殺すことは無いじゃろう。そんなことをすれば、政府の怒りをさらに買うことになるからの」
「なるほど」
「明日、夜明けと共に出発じゃ!」
皆、それぞれ頷いた。
総理官邸。
内閣総理大臣は一人の男を呼び出した。
「今回は前代未聞の事態でよぉ、こちらも本腰入れなきゃならねぇ」
「そこで、俺の出番ってわけですか」
「おうよ。川神院も動く、お前にはその援護にあたってもらいたい」
「暴れ放題ってわけですかい?」
「嬉しいだろ?」
「ええ、そりゃあもう。喜んでさせていただきます」
「じゃあ、すぐに川神に行け」
「わかりました。むこうには梅屋あるから助かった~」
男―――――釈迦堂刑部、元川神院師範代は川神へとむかった。
闘いが、始まる。
いかがだったでしょうか?
『暁紅』第十四話をお送りしました。
次回から本格的な戦闘に入ります。
なんとあの人が登場! なんてこともありますので、今後とも読んでいただけたらと思います。
それでは、次回も『暁紅』をよろしくお願いいたします。